
こんにちは!リハビリくんです!
こちらでは「CKDとリハビリテーション」をキーワードに記事を書いていきます!
慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全に至るリスク因子であり、患者数は年々増加しています。実際に私の勤める医療機関でも多くの患者様が併存疾患として慢性腎不全と診断されていたり、腎臓病に関係する血液・生化学検査を定期的に実施しています。
CKDおよび透析治療を実施している方へのリハビリテーションは、近年特に注目されている分野になると思います。しかしながら、確立したリハビリテーションの方法はまだ定まっておらず、慢性腎臓病の重症度や全身状態を考慮しながら運動療法を進めていく必要があります。
- CKD(慢性腎臓病)患者について知りたい
- CKDの定義について
- CKD患者のリハビリテーション
- 透析患者のシャントの管理方法
- 運動耐用能の評価と運動療法
CKD患者のリハビリテーションを実施する上で、様々な疑問を抱えることがあると思います!そんな方のために、こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非、最後までご覧になってください!

【簡単に自己紹介】
埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です
現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!
主な取得資格は以下の通りになります
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!
ここ近年はコロナ禍の影響もあり、外部の研修会などにも気軽に参加できなくなりましたよね。私の勤務先では、職場内での勉強会も規模が縮小していまいました。あらゆる方面で、以前と比較して自己研鑽する機会が減少してしまったように感じております。
そのような状況ではありますが、医療職として知識のアップデートは必要不可欠になります!
そこで、私自身も活用しており、大変役立っているのが下記の「リハノメ」です!
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CKD(慢性腎臓病)患者は年々増加している
慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全に至るリスク因子であり、患者数は年々増加しています。2011年時点で、日本における成人人口の約13%、1,330万人がCKD患者と報告されています。
CKD発症の背景因子として、糖尿病・高血圧などの生活習慣病や、加齢による腎機能の低下が大きく関与しています。また、CKDは末期腎不全や心血管疾患のリスクが高く、国民の健康を脅かしています。
CKD治療には生活習慣の改善、食事療法、高血圧・糖尿病・脂質異常症など併存疾患への包括的管理が必要になります。
また、CKD患者のリハビリテーションとしては、2022年度の診療報酬改訂にて透析時運動指導等加算が新設されています。
人工腎臓を算定している患者に対して、病状及び療養環境等を踏まえた療養上の必要な訓練等を行った場合に透析時運動指導等加算として、指導開始から90日を限度に75点が算定出来るようになりました。
この診療報酬の流れから、CKD患者が年々増加傾向にあり、CKD患者への適切な対応・リハビリテーションが必要であるということを国としても発信している証拠でもあります。
腎臓病対策の歴史と今後の課題
昭和47年度より腎不全を身体障害者の内部障害に位置づけ、透析療法を障害保健福祉分野の更生医療の対象とするなど、自己負担の軽減を図るとともに、 透析装置不足地域の医療機関における人工腎臓装置の整備が進められています。
透析患者数は、毎年1万人程度増え続けており、平成20年末には28万人を超えています。また、腎不全による死亡は死亡原因の第8位となっています。このように、腎疾患は国民の健康に重大な影響を及ぼしており、腎疾患の発症・進展予防対策を強化することは喫緊の課題となっています。
慢性腎臓病は、生命や生活の質に重大な影響を与えうる重篤な疾患ですが、腎機能異常が軽度であれば、適切な治療を行うことにより進行を予防することが可能です。
しかし、CKDに対する社会的な認知度は低く、潜在的なCKD患者が多数存在すると推測されます。これは、医療現場においても見過ごされがちです。すべてのCKD患者に腎臓専門医が対応することは困難であるため、かかりつけ医の資質向上やコメディカル等の人材育成が必要だと考えられています。
CKD(慢性腎臓病)の定義
CKDの定義は以下の通りになります。1、2のいずれか、あるいは両方が3か月以上持続した時をCKDと判定します。
- 尿異常・画像診断・血液・病理による腎機能の低下が明らかな状態。特に 0.15 g/gCr 以上の蛋白尿の存在が重要
- 腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下している状態(GFR<60 ml/分/1.73m²未満)
CKD患者×リハビリテーション
まずは、併存疾患や既往歴を確認する
リハビリテーションを実施するうえで、併存疾患・既往歴の確認は重要になります。CKD患者は心大血管系合併症、神経障害、腎性貧血などの併存疾患を呈しやすい病態となります。
また、CKD患者特有の徴候としては、高カリウム血症、水分貯留、浮腫などがあるため、こちらも注意が必要です。
透析患者におけるシャントの管理
血液透析では、体に溜まった老廃物を効率よく取り除くために、大量の血液を人工腎臓へ送る必要があります。通常の静脈を流れる血液だけでは十分な血液流量が得られないため、手術によって動脈と静脈をつなぎ合わせて、静脈に大量の血液が流れるようにします。
これを内シャントと言います。シャントは透析をするために、なくてはならない大切なものです。シャント管理を徹底して、狭窄・閉塞・感染・出血の予防に努める必要があります。
日常生活で気をつけること
何も意識しないでリハビリテーションを実施していたら、シャント側の腕で血圧測定を行ってしまう可能性があります。対象となるCKD患者にどのようなリスク管理が必要なのか、考えて行動する必要があります。
- シャント側の手で腕枕しない
- シャント側の腕に腕時計をしない
- シャント側の腕をぶつけない
- シャント側の腕で重い荷物を持たない
- シャント側の腕で血圧測定をしない
- 冬の衣類は手首の圧迫を避けるものにする
シャントの感染予防
- シャントの感染は、閉塞につながり、ひどくなると、敗血症を引き起こす可能性がある
- シャントの感染を防ぐために、シャント側の手洗いを十分に行い、清潔に保つ
- 皮膚のかぶれ、発疹は早めに処置を行う
- シャント側の腕に傷をつくらないように生活する
- 透析した日の入浴は可能であれば控える
CKD患者の運動療法について
運動耐容能
CKD患者の運動耐容能は低下しやすいことが報告されています。CKD患者のリハビリテーションを実施するにあたり、運動耐容能が低下している可能性を考慮する必要があります。
CKD患者の運動耐容能の評価には心肺運動負荷試験(CPX)の実施が望ましいとされています。しかし、CPXが実施できない場合(設備や患者の能力不足)も考えられます。
心肺運動負荷試験を実施できない場合には、自覚的運動強度などを活用して運動耐容能の評価が必要になります。CKD患者のBorg指数の目標値としては12〜13(心不全例では11〜13)が妥当であると考えられています。
【CPX検査(心肺運動負荷試験)とは】
トレッドミルや自転車エルゴメータなどの運動負荷装置を用いて運動負荷試験を行い、心電図および連続呼気ガス分析装置による呼気中の酸素濃度二酸化炭素・換気量をリアルタイムに計測し、酸素摂取量や嫌気性代謝閾値(AT)などの呼吸・循環代謝諸指標を測定するものになります。
運動療法の実施に際しては、個々の患者の運動耐容能の評価が重要であり、特に運動強度の設定においては、具体的かつ客観的評価が必要となります。一般に運動時の運動強度の評価としては自覚的運動強度であるBorg指数が用いられますが、腎疾患患者は運動時の自覚強度と客観的な評価が一致しないことがあるため注意が必要です。
運動療法
CKD患者に対する運動療法は推奨されている
腎臓リハビリテーションガイドラインにおいて、「保存期CKD患者に対し、年齢や身体機能を考慮しながら可能な範囲で運動療法を行うことを提案する【2C】」「透析患者における運動療法は、運動耐容能・歩行機能・身体的QOLの改善効果が示唆されるため、行うことを推奨する【1B】」「腎移植患者において運動療法を実施することを提案する【2C】」と推奨されています。
CKD患者に対する運動療法について、確立されたプログラムはありません。運動療法の強度は腎機能低下に伴う諸症状や合併症の程度に応じて決定していく必要があります。
腎臓リハビリテーションの効果については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【腎臓リハビリの効果についての記事はこちらから】
運動療法の休止・中止基準
CKDに特化した運動療法の休止・中止基準はありません。そのため、運動療法中の休止基準・中止基準については2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインが参考になります。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では「CKDとリハビリテーション」をキーワードに考えを述べさせていただきました。
CKDに対する社会的な認知度はまだまだ低い状況にあります。そのため、気づいていないだけで潜在的なCKD患者は多数存在すると推測されます。CKDの病態理解に努め、適切で安全なリハビリテーションを提供できるように支援していきましょう!
CKD治療において、生活習慣の改善、食事療法、糖尿病などの併存疾患への包括的管理が重要になります。このテーマについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【糖尿病×血糖管理についての記事はこちらから】

参考文献
- 上月正博.CKDにおけるリハビリテーション.日本内科学会雑誌.105巻,7号,p1296-1302.
- 伊藤修.腎臓リハビリテーションの進歩.Jpn J Rehabil Med.Vol.58,No.10,2021,p1113-1119.