
こんにちは!リハビリくんです!
こちらでは「高血圧」をキーワードに記事を書いていきます!
リハビリテーションにおいて、血圧の管理は重要なアセスメントの1つになります。特に高血圧症を合併する方に対しては、より重要性がますのではないでしょうか。
また、全国的に高血圧を認める方は非常に多くなっています。日本では総人口の1/3以上の方が高血圧であるということが分かっています。そのため、リハビリテーション専門職であるならば高血圧についての知識はなくてはならないものになります。
- 高血圧って数値的にはいくつから当てはまるの?
- 血圧の分類について知りたい
- 高血圧の人が降圧を目標に治療する場合、血圧の目標値はいくつになるの?
- 高血圧者の生活習慣の見直しについて
- 高血圧者の運動療法について
高血圧について様々な疑問を抱えることがあると思います!そんな方のために、こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非、最後までご覧になってください!

【簡単に自己紹介】
埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です
現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!
主な取得資格は以下の通りになります
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!
ここ近年はコロナ禍の影響もあり、外部の研修会などにも気軽に参加できなくなりましたよね。私の勤務先では、職場内での勉強会も規模が縮小していまいました。あらゆる方面で、以前と比較して自己研鑽する機会が減少してしまったように感じております。
そのような状況ではありますが、医療職として知識のアップデートは必要不可欠になります!
そこで、私自身も活用しており、大変役立っているのが下記の「リハノメ」です!
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3人に1人以上の割合で高血圧症
日本の高血圧者は約4,300万人と推計されています。2022年の日本の総人口が1億2,322万人と推計されているため、1/3以上の割合の人が高血圧ということになります。
高血圧は脳心血管病発症における最大の危険因子であり、血圧レベルと発症リスクとの間には正の相関関係があります。
しかし、2019年時点での日本の高血圧治療率(高血圧者のうち降圧薬を服用している割合)は60%未満であり、高血圧管理率(降圧薬服用者のうち血圧が140/90mmHg未満の割合)は45%を下回る水準となっています。
正常血圧の値と高血圧の値
140/90mmHg以上の血圧を高血圧症とすることは、共通の認識だと思います。しかし、140/90mmHg以下は正常血圧と言えるのかと考えると、その答えはNOになります。
高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)では、120/80mmHg未満を正常血圧とし、その上に正常高値血圧、高値血圧を設定しています。

正常高値血圧または高値血圧では、高血圧へ移行する確率が高く、脳心血管病のリスクが高いことが明らかになっています。
また、140/90mmHg以上、すなわち高血圧は血圧レベルによりI〜Ⅲ度に分類され、レベルが上がるごとに疾病リスクも上昇することも理解しておく必要があります。
正しい血圧測定の方法
- 測定する位置
上腕式自動血圧計を使用して、上腕部で測定します。心臓の高さに近い上腕部での測定値が、最も安定しています。 - 測定時の条件
朝:起床後1時間以内に測定します。排尿後、朝の服薬前、座った姿勢で1〜2分間安静にした後に測定します。
晩:就床前(飲酒や入浴の後)に測定します。座った姿勢で1〜2分間安静にした後に測定します。 - 測定回数
朝晩各1回以上測定することが推奨されています。医師の指示によっては複数回測定し、平均値を記録することもあります。 - その他
血圧測定はできるだけ長期間にわたり継続しておこない、毎日の測定値はすべて記録しておくことが望ましいと考えられます。
血圧測定を服の上から行ってもよいのかどうかについては、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【正しい血圧測定と聴診の方法についての記事はこちらから】
血圧管理の目標値について
高血圧治療の最大の目的は、脳心血管病リスクの軽減となります。JSH2019では年齢や臓器障害、併存疾患に応じた降圧目標が設定されています。

75歳以上の高齢者で忍容性があれば、収縮期血圧140mmHg以下を目標値とします(推奨度1A)
推奨度1A:「A:強く確信がある」「1:強く推奨する」※高血圧治療ガイドライン2019
75歳未満、糖尿病、脳心血管疾患、蛋白尿陽性のCKD患者では、130/80mmHg未満の厳格な血圧管理が必要になります。
抗血栓療法中の患者は、130/80mmHg未満に血圧コントロールすることで出血合併症リスクが抑制することができます。一方、主幹動脈病変を有する脳血管障害・蛋白尿陰性のCKDでは、厳格な降圧管理により脳虚血や腎障害のリスクが上昇するため、140/90mmHg未満に目標が設定されています。
高血圧の治療
高血圧の治療は、『生活習慣の見直し』『運動療法』『薬物治療』に分類することができます。
生活習慣の見直し
高血圧を有する患者に対しては、生活習慣の見直しや指導が必要になります。生活習慣を見直すことは、血圧管理のための重要な治療になりますが簡単ではありません。自己管理というものは皆さんもご存知の通り、継続が難しいためです。
生活習慣の見直しは、単独での効果や即効性は乏しいですが、有意な降圧効果があり薬物治療の効果も増強させることができます。
最も重要なのは減塩であり、1日6g未満の塩分制限により有意な降圧効果が期待することができます(推奨度1A)
推奨度1A:「A:強く確信がある」「1:強く推奨する」※高血圧治療ガイドライン2019
入院患者ではなく、地域で生活する人が対象となるのであれば、実生活での塩分摂取量を早い段階で把握し、減塩食を提供しながら栄養指導や調理指導を行う必要があります。
塩分過多な患者には1日6g未満の制限は高いハードルになると思います。本人だけでは上手くいかない場合も多いため、家族を巻き込みながら食習慣が改善することを目標とします。
肥満を合併する高血圧患者では減量が重要になります。体重の3%以上を減量することで有意な降圧効果を認めたという報告があります。睡眠時無呼吸症候群を合併している場合には、無呼吸が改善することで、血圧低減効果が期待できると報告されています。
運動療法
運動療法の対象者
運動療法の対象者はⅡ度以下の血圧値(Ⅲ度を超える血圧の者は降圧後に運動療法を施行する)で心血管病のない高血圧患者であるとされています3)。
運動療法の種類
ウォーキング・速歩・ランニング・サイクリング・水中運動・水泳・レクリエーションスポーツなどの有酸素運動が推奨されています。
運動療法の効果
運動療法によって血管内皮機能が改善し、降圧効果が得られるとされています。他にも、脂質や糖の代謝、インスリン感受性の改善、循環器合併症による死亡率の低下の作用もあると考えられており、高血圧に対する運動療法の効果は多岐にわたります。
1日60分間を週3回(1日おき)あるいは毎日30分間の運動することによって、収縮期血圧20mmHg以上、拡張期血圧10mmHg以上の降圧効果が得られるという報告があります。
運動時間や頻度については対象者の状態に応じて決定すれば良いかと思います。重要なことは対象者に適した運動療法を選択し、長期的に継続することができるように支援することになります。
薬物治療
臨床試験では高血圧症の方を良く目にしますが、高血圧は危険な症状になります。高血圧の状態が長く続くと、負担のかかる血管や臓器にさまざまな合併症を起こす可能性が高くなります。
血圧が高い状態が続くと動脈の壁に負担がかかって確実に動脈硬化を進行させ、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患のリスクを高めます。
そのため、時には薬物治療によって、積極的な降圧治療が必要になることもあります。そのような場合、JSH2019に基づいて血圧目標値の設定と、降圧薬の選択や導入を行います。
降圧薬にも様々なものがあります。作用機序・降圧以外の多面的効果・副作用の特徴は降圧薬によって異なります。各薬剤の特徴を理解し、患者の病態に合わせた処方薬の選択や調整を行う必要があります。
高血圧とリハビリテーション
運動療法の項目で説明した通り、高血圧に対するリハビリテーションは有効となります。しかし、高血圧は様々な合併症を引き起こす可能性がある症状となるため、リスク管理に努める必要があります。
日本リハビリテーション医学会より2018年に刊行された安全管理・推進のためのガイドラインでは、「運動負荷を伴う訓練を実施するための基準」が設定されており、収縮期血圧が180〜200mmHgを超える場合を訓練中止基準の参考値としております。
また、古典的な土肥・アンダーソンの基準では、運動中の血圧変動について言及されており、収縮期40mmHg以上または拡張期20mmHg以上の上昇を運動中止の基準としています。
これらの基準を目安に、患者ごとに血圧の許容範囲を設定する必要があります。血圧に関しては個人差があります。大切なことは普段の値と比較してどうなのか、血圧上昇に伴い自覚症状や変化が、どの程度の強さで生じるのか、ということになると考えられます。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では「高血圧」をキーワードにまとめさせていただきました!
高血圧については、日常診療で多く遭遇する合併症になります。自分自身やご家族様など身近なところでも、高血圧で悩む方がいるのではないでしょうか。
高血圧にも予備軍から軽度~重度のように段階があります。当然ですが、症状が軽度のうちに治療したほうが改善効果も期待できます。高血圧の基礎知識と治療方法を正しく理解して、適切な対応ができるように心掛けていきましょう!
この記事では血圧が高いときのお話を中心にさせていただきましたが、反対に血圧が低下したときの対応については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【低血圧や血圧低下の対応方法についての記事はこちらから】

参考文献
- 猿田享男.高血圧の判定基準.日本内科学会雑誌.第84巻,第1号,平成7年1月10日,p41-46.
- 辰巳友佳子,大久保孝義.血圧測定と高血圧の診断.心臓,Vol.52,No.3,2020,p256-263.