
こんにちは!リハビリくんです!
今回は、新型コロナウイルス感染症者へのリハビリテーションについて解説させて頂きます。
COVID-19の入院患者は狭い病室内への隔離されてしまうこともあり、重症度に関わらず運動量や活動量は確実に低下してしまうと予想されます。そのため、隔離期間中であっても、発症早期からリハビリテーションを実施していくことが重要になります。
日本では2020年の1月に新型コロナウイルス感染症者が認められてから、およそ2年半の月日が経過しております。現在の新型コロナウイルス感染症の病態や治療方法、そしてリハビリテーションについて、こちらの記事でまとめさせて頂きます!

【簡単に自己紹介】
埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です
現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!
主な取得資格は以下の通りになります
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!
3学会合同呼吸療法認定士/認知症ケア専門士/透析技術認定士/糖尿病療養指導士/終末期ケア専門士等の医療系資格の勉強はアステッキをご利用するのも良いと思います。独自のeラーニング講座と専用アプリが搭載されており、隙間時間に学習を進めることができます!
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新型コロナウイルス感染症の病態像
新型コロナウイルス感染症の主要な病態は呼吸器症状となります。多くの症例(8割程度)は初期の感冒様症状だけで軽快し、一部の症例が重症化してしまいます。重症化の理由は、宿主の炎症反応・免疫応答によるとされています。

重症度は、主に酸素投与の必要性で判断されています。下記に日本における重症度区分を示します。

実際には、低酸素血症なし▶︎低酸素血症あるも酸素投与不要▶︎カヌラでの酸素投与▶︎マスク・オキシマイザーでの酸素投与▶︎高流量鼻カヌラ酸素療法(HFNC)=ネーザルハイフロー▶︎NPPV▶︎挿管人工呼吸▶︎ECMOの順に重症となります。
呼吸器以外にも多彩な臓器や器官に病態・症状が生じ得ることが知られており、感染による直接的な組織傷害より生じたものであるのか、感染に対する宿主応答による変化であるのか論じられている状況となっています。
心血管系では、不整脈・急性心障害・ショック・心停止・心筋炎等が報告されています。脳梗塞・肺塞栓・深部静脈血栓症等の血栓塞栓症の報告も多く、抗凝固療法の併用による予防が推奨されています。
炎症性合併症としては、ギラン・バレー症候群や小児では川崎病に類似した臨床的特徴をもつ多系統炎症性症候群が報告されています。二次性の細菌感染症・心筋感染症も報告されています。また、入院環境・活動性の低下によるICU-AWや廃用症候群・誤嚥性肺炎はリハビリテーション部門での治療対象となります。
標準的治療
新型コロナウイルス感染症の標準的治療としては、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症診療
の手引きが適宜更新されております。

軽症例では自然軽快することが多く、内服による解熱薬や鎮咳薬等の対症療法で問題ありませんが、重症化する可能性があるため経過観察が必要となります。
基本は低酸素血症に対する治療となります。先に挙げたように、カヌラでの酸素投与・マスクやオキシマイザーでの酸素投与・HFNC・NPPV・挿管の順で重症者への対応となります。
感染の観点からは、挿管して閉鎖式の管理をしたほうが感染のリスクが少ないため、当初はHFNCやNPPVはあまり用いられない傾向にありました。また、HFNCについては比較的新しい治療法であり、導入している施設が少なかったことも要因の1つになります。しかしながら、HFNCの利用により人工呼吸器使用に至る症例を減らし得るという報告が出て、HFNCは広まりつつあります。
感染予防の点からは、エアロゾル発生手技と同様にみなすという勧告がされています。薬物療法については日々更新されており、現在は保険収載されている薬物は4種類あり、重症化因子のある症例では、中和抗体の適応があります。
65歳以上の高齢者・悪性腫瘍・慢性閉塞性肺疾患・慢性腎臟病・2型糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満(BMI30以上)・喫煙・固形臓器移植後の免疫不全・妊娠後期の項目について「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」で重症化のリスク因子として示されています。
リハビリテーションの適応

新型コロナウイルス感染者の急性期リハビリテーションでは重症症例に対するリハビリテーション、中等症例に対する呼吸リハビリテーション、そしてCOVID-19の重症度にかかわらず、発症前からフレイルや廃用症候群等により身体機能およびADLが低下している場合が適応となります。
実施上の留意点
感染予防として、N95マスク・アイガード・キャップ・長袖エプロン・手袋を装着してリハビリテーションを実施します。これらの装備は、同じレッドゾーン内の介入であっても、患者ごとに取り換えて実施したほうが良いと考えられます。
日本環境感染学会のガイドラインでは、診療行為や患者の状態によってPPE装着の適応を示しています。勤務先の特色にも合わせて、療法士はどのような行為を行うのか、どのようなPPEにするか、のルールを策定しておくといいと思います。
一般論として、療法士は患者と20分以上接すること、療法士が対応する患者は、正しくサージカルマスクを装着し続けることが難しい可能性があること、エアロゾル発生が予測される呼吸リハビリテーションや嚥下リハビリテーション、食事場面に対応すること等が判断の条件になるかと思います。
PPEは正しく装着すること、および、汚染した表面に触れないよう正しく脱ぐこと、脱いだ後にもアルコールで手指消毒することが極めて重要となります。
マスクについても、マスクフィットテスト等を定期的に実施し、正しくマスクを装着することが重要になります。また、患者自身にマスクの装着や咳エチケット、手指消毒を指導したり、アルコールを渡して手指消毒をしてもらうことも重要です。エアロゾル対策としては、立ち位置への配慮が必要になります。正面に立つのは控え、後側方に立つのが推奨されます。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では、新型コロナウイルス感染症者へのリハビリテーションについてまとめさせて頂きました。
COVID-19感染症患者には感染予防を徹底した上で、積極的なリハビリテーション治療が必要になります。
COVID-19感染症を罹患した場合、呼吸器症状の出現や臥床状態が継続することで身体機能が低下したり、隔離生活によって生活範囲の狭小化することが予測されます。また、精神機能に影響を及ぼす可能性もあります。
特に、心身機能が低下しやすい高齢者やお体の不自由な方には、COVID-19が治癒した後の生活に影響を与えないためにも、機能維持を目的としたリハビリテーション医療が十分に提供されることが重要だと考えられます。
隔離期間中であっても、発症早期から機能維持を目標としたリハビリテーションを実施できるように、感染予防に努め、適切な素早い対応をできるように支援していきましょう。
新型コロナウイルス感染症は呼吸器症状から副反応まで予想しにくい恐い症状が様々ありますが、不安や抑うつなどの精神症状も社会的問題となっております。不安や抑うつ症状については、他の記事でまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【HADS(評価法)を徹底解説についての記事はこちらから】

参考文献
- 金子賢人,松田雅弘,千葉康平,山下智幸,刀祢麻里,粟野暢康,久世眞之,猪俣稔,林宗博,出雲雄大,森本正.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の 理学療法介入による身体機能・基本動作能力への影響.理学療法科学 .2021,36(4),p547–551.
- 川名明彦,三笠桂一,泉川公一.新型コロナウイルス感染症(COVID-19).日本内科学会雑誌 .109巻,3号,p392-395.