【血圧測定と聴診の正確な方法】素肌の上からカフやマンシェットを!

臨床での悩み
リハビリくん
リハビリくん

こんにちは!リハビリくんです!

血圧を測定する際に、服の上から巻くかどうか迷ったことありませんか?

私は迷ったことがあります!そして今後も迷う場面があるかもしれません!


例えば、訪問リハビリテーションの初回訪問で片麻痺の利用者様が、厚手の脱ぎにくそうなセーターを着てらっしゃったらどうしますか?

信頼関係も築かれていない上に、どの程度の更衣動作能力であるのかも情報が不足しています。この場面で血圧測定の正確性を優先して、服を脱いでもらうのは難しいですよね!

捲ればいいじゃん!って方もいるかもしれませんが、服を捲って上腕が圧迫されるのも測定値が正確ではなくなる可能性があります。

そこで今回こちらの記事で、血圧測定や胸部の聴診を服の上から行っても良いのかどうかを検討していきたいと思います!


リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!

  

3学会合同呼吸療法認定士/認知症ケア専門士/透析技術認定士/糖尿病療養指導士/終末期ケア専門士等の医療系資格の勉強はアステッキをご利用するのも良いと思います。独自のeラーニング講座と専用アプリが搭載されており、隙間時間に学習を進めることができます!

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身体診察の抵抗感について

リハビリテーション専門職は、診療業務において患者様の肌に触れる機会が多いと思います。一方、日本人の文化的特徴としては、人前で肌をさらすことに対して抵抗がある人は多く、反対に触れる側も慣れていない人が多いと思います。日本人はスキンシップも控えめですよね!

女性患者の身体診察の抵抗感についての研究によれば、医師の診察においても腹部・胸部の診察には20〜30%の女性が抵抗があると回答しています。

また、女性で例をあげましたが男性だって不快感を示す人はいるかと思います。初対面で信頼関係がない状態で肌を晒す、触れられることは苦手な人もいらっしゃいます。

そのような背景がありますが、リハビリテーションを行う上で血圧測定や聴診は必須ですよね。

結論からお伝えしますと、可能な限り血圧測定も聴診も「素肌」に当てて行ったほうが正確な検査となります。

しかしながら、個々でいろいろと思うもの、感じるものはあるかと思いますので下記にて考察していきたいと思います!

服の上からの血圧測定について

血圧測定はさまざまな疾患において簡便に評価できる指標となっています。私の経験から言うと患者様の病態や体調に応じて1回の介入中に測定する回数は様々ですが、血圧測定を行わないでリハを行うことはほとんどないかと思います。

血圧測定の基本については、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」に記載されております。

高血圧治療ガイドライン2014:日本高血圧学会

そちらには、「厚手のシャツ、上着の上からカフを巻いてはいけない。厚地のシャツをたくし上げて上腕を圧迫してはいけない」と記載があります。

「厚い生地の服」は血圧測定に適していないとされているが、「薄い生地の服」での正確な測定が可能かについては明確にはされていない状況ですね。

そこで、薄い生地の服は着てても良いのか?というところを判断するために、「素肌」「薄い生地の服(厚さ1mm)」「薄い生地の服(1mm)」を肘までまくり上げた状態」で血圧測定をして比較した研究がなされております。(高齢者を対象)

結果は、素肌と比較して服を着ている状態のほうが有意に血圧が高値になりました。要因としては、動脈硬化が進行し、血管のコンプライアンスが低下していた可能性が挙げられています。

この研究の平均の血圧の差は4mmHgでありましたが、一部の患者では「素肌」の血圧よりも15mmHg程度高い、または低くなることもあったようです。

こうした結果から一般的見解でいえば、「血圧測定を素肌で行ったほうが良い」と言えると思います。

しかしながら私の経験談でお伝えしますと、素肌で巻くことで痛がる・嫌がる患者様もいらっしゃいますし、真冬に訪問リハビリで家を訪問した際に家の中の気温が低く、厚手の服をたくさん着てらっしゃったことがありました。

そのような状況で「血圧を測定するので服を脱ぎましょうか。」と言うのが必ずしも正しいといえるでしょうか?大事なのは、服の上からの血圧測定は、少し正確性が低下するということを理解しておくことだと思います。

一方、病態によっては、しっかりと素肌で測定するべきケースもあるかと考えます。正常値と比較して大幅に逸脱している症例などでは、よりリスク管理に気を使う必要があるためです。ケースバイケースということになると考えますが、患者様、利用者様ごとに血圧測定を行う意義を見つめ直し対応していきましょう。

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服の上からの聴診について

理学療法士が胸部を聴診する機会は、呼吸音の聴診、心音の聴診が主になると思います。血圧測定は、服を着てると正確性が低下する可能性がありましたが聴診の場合はどのような影響があるのでしょうか。

「素肌」「Tシャツ1枚」「Tシャツ2枚」「厚手シャツ1枚」「厚手シャツ2枚」の状態での聴診音の聴こえやすさを調査した研究結果によると、服が厚くなるにつれて呼吸音が聞き取りづらくなることが示唆されました。

当然の結果だとは思います。遮るものが多いほど聞き取りづらくはなると思います。その件について、聴診器のチェストピースを押し当てる力を変更することで、聴き取りづらさが解消できるか調査されています。

その結果、チェストピースを500gの力で押し当てることで「服を着たまま」でも「素肌」と比較しても大きな差がなく聴診が可能という結果がでました。

一見、「服を着たままでもいいのかもしれない」と思いましたが、私たちが普段聴診するときにチェストピースを押し当てる力は、おおよそ200g程度のようです。

したがって、500gの力でチェストピースを押し当てる行為は不快感があると思いますし、人によっては痛いかもしれません。

以上のことを踏まえて、聴診に関しても「素肌」に聴診器を当てて実施するべきだと考えます。

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まとめ

最後までお読み頂いてありがとうございます!

この記事では、血圧測定や胸部の聴診を服の上から行ってもよいのかどうかについて解説させて頂きました!

血圧測定や聴診については、理学療法評価の中でも特に、日々の変化を確認するためには正確性が重要になる評価だと思いますので、正しい測定方法で実施することが重要になるかと思います。

しかしながら、正確性を重要視しすぎて患者様に不快感を与えてしまうことも考えられます。

特に血圧測定は私自身も悩むことが多く、正解はないと思っております。ケースバイケースであるとも思いますので、自分の中での線引きも必要になると思います。患者様、利用者様ごとに血圧測定を行う意義を見つめ直し適切に対応ができるようにしましょう!

血圧に関しては測定方法も重要ですが、血圧を管理するうえでは血圧の正常値を正確に知っておかなければいけません。このテーマについては、他の記事でまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【血圧の正常値についての記事はこちらから

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参考文献

  1. 糸井裕子 , 小川悦代.素肌と衣服の袖の上からの血圧測定値の比較.日本看護医療学会雑誌.12巻,2号,p35-43.

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