【健康な骨に必要な栄養素】基本は蛋白質とカルシウム&ミネラル

栄養
リハビリくん
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こんにちは! リハビリくんです!

 

今回は骨の健康のための栄養摂取について解説させて頂きます。

  

皆様は子供の時に、骨を強くするためにはカルシウムをとりなさいって言われた経験ありませんか?私は言われた覚えがあるんですけど、実は骨の健康のためには実はカルシウムだけでは足りないんです。

 

骨は有機成分であるたんぱく質(主にコラーゲン)と無機成分であるカルシウムやリンなどからできています。骨のコラーゲンの生成・維持、ミネラルの吸収・利用には多くの栄養素が関与しています。骨を形成するミネラルはカルシウム、リンのほかナトリウム、マグネシウム、カリウムなどがあります。また、ビタミンD・ビタミンKは骨の形成に、ビタミンB群・ビタミンCはコラーゲンの生成・維持に不可欠で、これら多くの栄養素が骨の健康にかかわっています。

 

したがって、骨の健康のためにはカルシウムだけではなく、多くの栄養素が必要となります。実際の食生活では、これらの栄養素を含む食品をバランスよく摂取することが重要になります。


リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!

  

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子供の頃、誰もが「骨を丈夫にするために小魚を食べなさい」「背が高くなるように牛乳を飲みなさい」と言われたことがあると思います。食べ物から摂る栄養が骨を強くしたり、骨の成長を助けたりすることは、皆さんご存知のことだと思います。骨には「体を支える屋台骨」「内臓や脳などの臓器を保護する」「カルシウム貯蔵庫」という3つの重要な役割があり、子供から大人まで、すべての人にとって骨は大切な器官なのです。

私たちの体は血液中のカルシウム濃度が下がると、骨に蓄えていたカルシウムを溶かし、血液中のカルシウムを維持しようとします。「カルシウムを摂らないと骨量が減る」「骨がスカスカになって弱くなる」と言われるのはこのためです。

また、骨は一度できたら完成というわけではありません。破骨細胞による「骨吸収(骨をこわす働き)」と、骨芽細胞による「骨形成(骨をつくる働き)」を繰り返し、大人になっても骨は絶えず「骨吸収」と「骨形成」を繰り返します。正常な人の場合、このバランスが保たれているのですが、閉経・加齢などによりこのバランスが崩れ【吸収>形成】となると、骨粗鬆症症を発症します。

骨は有機成分(蛋白質)と無機成分(カルシウムやミネラル)からできている

有機成分について

骨の有機成分は約 20 %であり、その大部分はコラーゲンとなります。コラーゲンというのは「蛋白質」の一種になります。蛋白質は「アミノ酸」が複数結合したものの総称ですが、この分子量と構成によって、蛋白質の中の「コラーゲン」と理解すれば良いと思います。

このコラーゲンは建物で言えば骨組みとなる鉄筋に相当します。骨に含まれるコラーゲンは、I型コラーゲンであり、その分子の集合体としての強度は、隣接するコラーゲン同士の間の架橋形成に依存します。

コラーゲンの生成にはビタミンC、正常なコラーゲン架橋の形成・維持のためにはビタミンB群が必要になります。骨粗鬆症の定義は「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」とされており、ここで「骨強度」を説明する要因として骨密度と骨質が挙げられていることになります。

この「骨質」に大きくかかわっているのが、骨の有機成分の大部分を占めるコラーゲン架橋です。骨粗鬆症にならないためには、骨強度を低下させないことが必要になります。そのためには、コラーゲンの材料としてのアミノ酸の供給源となる蛋白質は必要不可欠です。蛋白質は骨だけではなく、私たちの健康の保持・増進に欠かすことのできない主要な栄養素であります。

その必要量は、日本人の食事摂取基準2020年版では、以下の表のように示されています。

蛋白質の摂取推奨量

日本人の食事摂取基準(2020 年版)

この必要量の策定にあたっては、現在は窒素出納法が採用されており、窒素すなわち蛋白質の平衡を維持する量(摂取と排泄のバランスを維持する量)を基に数値が算出されています。

蛋白質の必要量は、これまでは高齢者の方が体重当たりに換算するとわずかに多いとされてきましたが、日本人の食事摂取基準2020年版では小児や成人と同じ値が用いられています。たんぱく質の推奨量は0.92g/kg体重となり、日常的には体重1kg当たり1gと考えておけば良いと思います。

なお、エネルギー比率で考える場合には、摂取するエネルギーの13〜20%(50〜64歳では14〜20%、65歳以上では15〜20%)をたんぱく質で摂取することが目標となります。蛋白質は骨の健康だけではなく、全身の栄養状態にかかわる栄養素であり、適切な摂取が重要です。

たんぱく質の摂取不足により、体内のアミノ酸プールを維持するために、筋肉が分解されることになれば、サルコペニアのリスクが高まります。筋肉量や筋力の低下は、身体活動量の低下や、転倒リスクの上昇、さらにはフレイルやロコモティブシンドロームにつながることも予想されます。

転倒は骨折のリスクであり、要介護や要支援の原因になりうるため、蛋白質の摂取不足とならないように努めましょう。

無機成分について

骨の無機成分は約70%(重量比)となります。下図は骨の無機成分の割合を示したものになります。

骨の無機成分(重量比%)

カルシウムが最も多く、リンやナトリウム、マグネシウム、カリウムなども含まれます。骨といえばカルシウムが取り上げられることが多いですが、それ以外にも多くのミネラルが無機成分には含まれています。

私たちは、これらのミネラルを食事から供給することになります。後述しますがリンやミネラルは日常の食事から多量に供給されるため、不足や欠乏の可能性は低いと思います。

私たちの通常の食生活で最も注意が必要なのはカルシウムであり、次いでマグネシウム、カリウムとなります。

カルシウムの摂取量は不足しやすい

カルシウムは骨の健康に必要不可欠な栄養素です。国民健康・栄養調査では日本人のカルシウム摂取量は500mg/日程度であり、この摂取水準は1970年代からほとんど変わっていません。

カルシウムの必要量は日本人の食事摂取基準では、成人男性で750mg、成人女性では650mg、75歳以上の男性では700mg、女性では600mgとなっています。

骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインでは少し高めの700〜800mgを食品から摂取することが勧められています。習慣的なカルシウム摂取量を評価するツールとして、「カルシウム自己チェック表」が開発されています。

カルシウム自己チェック表

これは1か月程度の習慣的な食物摂取状況を回答するもので、9項目の食品、食品群の摂取頻度と、1日の食事回数を選び、その合計点数を40倍した値が、1日当たりのカルシウム摂取量の推定値となるという評価となります。

現在のカルシウム摂取状況から考えて、集団で評価した場合にはプラス200mg程度の摂取が望ましいと考えられます。

不足したカルシウムを日常的に食べる食品で補うとして、牛乳であれば182g、ヨーグルトであれば167g、木綿豆腐であれば235g摂取すればカルシウム200mgを摂取することができます。

リン

リンは様々な食品に含まれており、通常の食生活で不足することは基本的にありません。むしろ、リンは加工食品などの添加物として利用されているため、過剰摂取が危惧されています。

リンを長期にわたって過剰接種すると腎機能の低下、副甲状腺機能の亢進、カルシウムの吸収抑制などに繋がる可能性があると報告されているため、加工食品の食べ過ぎには気をつけましょう。

マグネシウム

マグネシウムは多くの体内の酵素反応やエネルギー産生に寄与しており、体内のマグネシウムの50〜60%は骨に存在しています。長期にわたるマグネシウムの摂取不足は骨粗鬆症のリスクを上昇させることが示唆されています。

下記の表は、日本人のマグネシウム摂取状況と推奨量を年代別にまとめたものとなります。

年代別のマグネシウムの摂取状況と推奨量

マグネシウムの平均摂取量は、75歳以上の女性を除いて、推奨量よりも低値となっています。マグネシウムを供給する代表的な食品を下図に示します。

マグネシウムを多く含む食品

ナトリウム

日本人のナトリウム摂取量は、食塩および食塩を利用した調味料に由来し、通常の食生活でも摂取量が多くなってしまうことが多い傾向にあります。したがって通常の食生活では不足や欠乏の可能性はほとんどないと考えられています。

食塩は摂取しすぎるとご存知の通り、高血圧や慢性腎臓病の発症リスクの上昇および重症化につながるため、適切な摂取量にコントロールする必要があります。

カリウム

カリウムは、ナトリウムと同様に体液の浸透圧や酸・塩基平衡にかかわっていますが、ナトリウムが細胞外液に含まれるのに対し、カリウムは細胞内液に含まれています。

カリウムは多くの食品に含まれており、摂取量を増やすことにより、ナトリウムに拮抗して血圧上昇を抑える作用が期待されています。

日本人の食事摂取基準2020年版では、カリウムの食事摂取基準は不足や欠乏の予防のための目標量と、生活習慣病の発症予防のための目標量が設定されています。

下記の表は、日本人のカリウム摂取状況と目安量・目標量を年代別にまとめたものとなります。

カリウム摂取状況と目安量・目標量

男性の摂取状況をみると、65歳以上では目安量を上回っているが、すべての年齢階級で目標量よりは低値となります。

女性では40歳以上で平均値は目安量を上回っていますが、65〜74歳を除いてすべての年齢階級で目標量よりは低値となっています。

注目したいのは、男女ともに若い世代でのカリウム摂取量が不足していることです。カリウムの主な供給源は野菜や果物であり、若い世代はそれらを摂取できていないことが予想されます。

ビタミンD

ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を促進し、骨の健康には不可欠な脂溶性ビタミンの1種となります。ビタミンDにはD2、D3があるが、体内では同様に働いていると考えられています。

ビタミンDには2つの供給源がある。それは、栄養素として食品から供給されるものと、紫外線にあたることにより皮膚で生成されるものです。

皮膚で生成されるのはビタミンD3、食品から供給されるのは、魚類・鶏卵・鶏肉などから供給されるD3、キノコ類から供給されるD2です。

食品からのビタミンDの主な供給源は魚類です。特にサケにはビタミンDが多いためおススメです。下図にビタミンDを多く含む食品を示します。

ビタミンを多く含む食品

骨の健康のためには、食品からの適切なビタミンDの摂取と、適度に紫外線にあたり、皮膚でビタミンDを生成させることが必要です。

ビタミンK

ビタミンKはオステオカルシンのグラ化にかかわる栄養素であり、吸収されたカルシウムの骨への沈着を助けています。また、骨粗鬆症の治療薬としても使用されています。

ビタミンKは納豆に多く含まれており、納豆の摂取量が多い地方では骨折が少ないということも報告されています。

納豆以外では、緑の葉物の野菜に多く含まれています。ビタミンKを多く含む食品を下図に示します。

ビタミンKを多く含む食品

なお、ビタミンKには血液凝固促進作用がありますのでワルファリンを服用されている場合には、納豆等ビタミンKを多く含む食品は禁忌となりますのでお気をつけください。

その他のビタミン

ビタミンB群、ビタミンCはコラーゲン架橋の形成、維持に必要不可欠です。ビタミンB群であるビタミンB6、ビタミンB12、葉酸は血清ホモシステイン濃度と関係していることが報告されています。

血清ホモシステインは、骨密度とは独立した骨折の危険因子であることが示されています。そのため、骨の健康のためにもビタミンB6、ビタミンB12、葉酸の適量の摂取が必要となります。

骨の健康のためには身体活動が重要

骨の形成、維持のためには、骨への荷重、体重の負荷が必要になります。寝たきりや無重力状態が続くと骨吸収が充進し、骨からカルシウムが失われていきます。したがって、リハビリテーションでも荷重を考慮する必要があります。

身体を動かすことは基本的に、骨への荷重へと繋がります。起立練習や歩行練習は当然ですが、ベッドサイドでの徒手抵抗運動でも抵抗部分の骨に荷重が加わりますし、ベッド上での起き上がり練習でも上肢や脊柱の骨に荷重が加わります。

また、身体への荷重は骨だけではなく筋肉の維持にも不可欠となります。適切な栄養摂取と身体活動を組み合わせることで、骨粗鬆症の予防に繋がると思います。

まとめ

最後までお読み頂きありがとうございます!

この記事では骨の健康のための栄養摂取について、まとめさせて頂きました。

骨の健康のためには、カルシウムだけが重要なのではなく、蛋白質をはじめとする多くの栄養素が関わっています。

今回、紹介した栄養素は摂取量が少ない場合には、単独でも骨粗鬆症や骨折のリスクを高まりますが、組み合わさることで、そのリスクはさらに高くなってしまいます。

先行文献によると、複数の栄養素の不足が積み重なることにより、新規骨折の発生が多くなっていることが示されています。そのため、やはり特定の栄養素のみを摂取するのではなく、バランスの良い栄養摂取が基本となります。

また、今回は栄養素といったところを中心的に解説しましたが、適切な体重を維持するためにはエネルギー摂取量も年齢や体格に応じた適切な量を摂取する必要があります。

そして、食べるだけではなく、時には日光浴をしてビタミンDを産生することや、運動を行うことで、骨に荷重を加えることも大切な要素となります。

骨が健康であることは、その人らしく生きることに繋がります。理学療法士や作業療法士は転倒予防策を講じるプロだと思っています。

そんな私たちが健康な骨をつくるための知識も有していたら利用者様は心強いのではないでしょうか?是非、骨の健康についての知識を深め、転倒骨折予防のプロフェッショナルになりましょう!

骨の健康のための栄養摂取において栄養学の視点は欠かすことができません。リハビリテーションと栄養学の話については、他の記事でまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【栄養学と理学療法についての記事はこちらから

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参考文献

  1. 佐々木敏.栄養と運動は骨粗鬆症予防に役立つか~栄養素としてのカルシウム,マグネシウム,カリウム~.CLINICAL CALCIUM.2006,Vol.16, No.1, p110-115.
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