【ロコモの判定方法】ロコチェック|ロコモ度テスト|ロコトレを解説

フレイル・サルコペニア
記事内に広告が含まれています。
リハビリくん
リハビリくん

いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「ロコモの判定方法」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

     

平成 25 年厚生労働省国民生活基礎調査の概況をみると、高齢者が要介護になる原因の 4 位が骨 折・転倒 で全体の 11.8% を占め、5 位が関節疾患で 10.9%と運動器疾患が続きました。

   

4 位と 5 位の頻度をあわせれば 1 位の脳血管障害 18.5% を凌駕する値となります。このことから、運動器の障害が高齢者の生活の質を著しく棄損しているのは明らかであり、超高齢社会に突入した本邦においては、ロコモの予防対策は喫緊の課題といえます。

   

日本整形外科学会は2007年、運動器の障害のために移動機能の低下をきたし、進行すると介護が必要になるリスクが高くなる状態をロコモティブシンドローム(ロコモ)と定義し、要介護予防の立場から疾患横断的に運動器障害をとらえ、その予防対策に乗り出しております。

      

ロコモへの認知度は高まってきていると思いますが、ロコモ・フレイル・サルコペニアの違いがよくわかっていない人もいると思いますし、ロコモの評価方法について知識が不足している方もまだまだ多いと思います。そこでこの記事を読むことで下記の事項を理解できるようにしたいと思います!

  • ロコモティブシンドロームとは
  • ロコチェックを解説
  • ロコモ度テストを解説
  • ロコトレについて

   

ロコチェックやロコモ度テストを実施するうえで、様々な疑問を抱えることがあると思います。そんな方のために、この記事をまとめました!是非お読み下さい!

リハビリくん
リハビリくん

【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。

  

主な取得資格は以下の通りです

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


   

ここ近年は新型コロナウイルスの影響もあり、外部の研修会などに参加する機会も減少していると思います。また、職場内での勉強会も規模が縮小している施設が多いのではないでしょうか?

このような状況ではありますが、医療職として知識のアップデートは必要不可欠ですよね。

こんな悩みを抱えるリハビリテーション専門職の味方になってくれるのが「リハノメ」です!

    

「リハノメ」は時間にとらわれず、電車などの通勤中や寝る前の数十分で知識をアップデートできるところが最大のメリットだと思います。気軽に始められる価格設定にもなっているため、是非一度ご利用してみてください!

    

ロコモティブシンドロームとは

令和元年時点で28%を超える本邦の高齢化率は今後も増え続ける見通しであり、2055年には38%に達し、75歳以上の高齢者も 25%を超えると試算されております。

このような状況から、高齢者の健康状態や日常生活活動能力を維持していくことの意義、必要性はますます高まっているといえます。

自立した生活を送るうえで欠かせないものの1つに、自ら移動する能力が挙げられます。移動手段には、独歩、歩行器歩行、車椅子駆動と様々な方法がありますが、共通して言えることとして運動器の健康は重要になります。そもそも、ロコモティブシンドロームは「運動器の障害により移動機能が低下した状態」と定義されています。

ロコモ予防には運動習慣、適切な栄養、活動的な生活習慣が推奨されています。これらは脳血管疾患の原因となる高血圧、脂質異常、糖尿病の予防・改善にも有効となります。

また、運動習慣は認知機能低下の予防効果があることが知られています。すなわち、ロコモ予防は要支援・要介護の原因となる多くの疾患や病態の回避につながると言えます。

高齢者が受傷する骨折の実態

高齢者の骨折は、治療やリハビリテーションが順調に進んでも生活動作に影響が残る場合が散見されます。また件数が多いため、医療や介護への社会的コストも莫大となります。

このため、高齢者の骨折を可能な限り回避することは、本人や家族、介護者のみならず、医療・介護システムへの利点となります。

高齢者の転倒による主要な骨折は、脊椎椎体骨折・大腿骨近位部骨折・骨遠位端骨折・上腕骨近位端骨折となります。この中で、脊椎椎体骨折は転倒などの外傷がないままに起こることが少なくありませんが、他の骨折は転倒や転落によって発生します。

転倒の危険因子は内的リスク因子と外的リスク因子に大別され、神経疾患・循環器疾患・視覚聴覚の低下・薬剤の多剤服・環境要因など要因は多岐にわたりますが、やはり運動機能の低下や運動器疾患は基本的な要因となります。

以上をまとめると、骨折の予防は転倒を回避することが重要であり、転倒予防のためには運動器疾患や運動機能低下を防ぐこと、つまりロコモ予防が重要となります。

ロコモにおける評価法

ロコモのリスクを判定する方法としては、ロコチェックとロコモ度テストが用いられております。ロコチェックの方が短時間で簡単にリスクを判定できるため、まずはロコチェックから使用するといいと思います。

ロコチェック

ロコチェックとは、ロコモティブシンドローム+チェックの略で、日常生活に必要な身体を移動させる能力(立つ・歩く・走る・のぼる等)の低下具合を、簡単に確かめることができる方法になります。

「ロコチェック」の7つの項目はすべて、骨や関節、筋肉などの運動器が衰えているサインになります。そのため、7つの項目のうち 1つでも該当項日があるとロコモの疑いがあると判定されます。

  1. 片脚立ちで靴下が履けない
  2. 家のなかでつまずいたり滑ったりする
  3. 階段を上るのに手すりが必要である
  4. 横断歩道を青信号で渡りきれない
  5. 15分くらい続けて歩けない
  6. 2kg程度(1リットルの牛乳パック2個程度)の買い物で持ち帰りが困難
  7. 家のやや重い仕事(掃除機の使用や布団の上げ下ろしなど)が困難

ロコチェックにてロコモの疑いがあると判定された場合には、より詳細に評価することができるロコモ度テストを行うことで精査することができます。

ロコモ度テスト

対象者がロコモであるか調べる方法、それがロコモ度テストになります。「ロコモ度テスト 1:立ち上がりテスト 」「ロコモ度テスト 2:2ステップテスト 」「ロコモ度テスト 3:ロコモ25 」をそれぞれ実施して、ロコモであるのかないのか、ロコモであるならば重症度は「ロコモ度 1 」「ロコモ度 2 」「ロコモ度 3 」のどれに当てはまるのかを判定します。

ロコモ度テストの詳細な方法については、ロコモONLINEというWEBサイトで詳しくまとめられておりますので、こちらをご確認ください。

ロコモーショントレーニング(ロコトレ)

ロコチェックでロコモの疑いがある方、ロコモ度テストでロコモ度 1 以上であった方の治療、予防に有効であると日本整形外科学会によって推奨されているのが、ロコトレ(ロコモーショントレーニング)になります。

ロコトレとは、「①片脚立ち」と「②スクワット」の2種類のトレーニングで、バランス能力をつけること、下肢の筋力をつけることができ、自分のレベルに合わせて安全に行えるトレーニング方法になります。

さらに自分の体力に合わせて「③ヒールレイズ」「④フロントランジ」を加えて行うとさらに効果的となります。以下に運動の詳細について記載します。

ロコトレ 1 :片脚立ち

バランス能力をつけるためのトレーニングとなります。

開眼で一方の足を 5〜10 cm程度上げて他方の足で立位保持を行います。これを左右 1 分間ずつ 1 日 3 回行うことを目標とします。

転倒の危険に注意して、倒れそうになったらすぐにつかまれるような机や手すりの横で行いましょう。始めから不安定な場合には、壁や机に指や手をついて実施しても構いません。

ロコトレ 2 :スクワット

下肢に筋力をつけるトレーニングになります。

足を肩幅に広げて立ち、お尻を後ろに引くように 2 〜 3 秒間かけてゆっくりと膝を曲げ、ゆっくりと元に戻ります。膝を曲げる時に膝がつま先より前に出ないように意識しましょう。

この動作を 5 〜 6 回繰り返すのを 1 セットとして、1 日に 3 セット実施します。

スクワットができない場合には、椅子からの立ち座りをゆっくり続ける椅子スクワットが推奨されます。イスに腰かけ、机に手をついて立ち座りの動作を繰り返します。机に手をつかずにできる場合はかざして行います。

ロコトレ 3 :ヒールレイズ(踵上げ)

ふくらはぎの筋力をつけるトレーニングになります。

両足で立った状態で踵を上げて、ゆっくり踵を降ろす動作を繰り返します。10〜20回程度を 1 セットとして 2〜3セット実施します。

自信のある人は、壁などに手をついて片脚だけでも実施するのも良いと思います。反対に、立位や歩行が不安定な人は、イスの背もたれなどに手をついて実施してみましょう。

ロコトレ 4 :フロントランジ

下肢の柔軟性・バランス能力・筋力をつけるトレーニングになります。

  1. 腰に両手をついて両脚で立つ
  2. 脚をゆっくり大きく前に踏み出す
  3. 太ももが水平になるくらいに腰を深く下げる
  4. 身体を上げて、踏み出した脚を元に戻す

下肢筋力を強化する効果が高く、やや強度の高い運動となります。1 回 5 〜 10 回を目安とし、1 日に 2 〜 3 セット実施します。高齢者は転倒の危険があるため注意が必要になります。

ロコトレの効果

ロコトレは下肢筋力およびバランスを強化する効果があると有効性が報告されています。ロコトレは簡単な運動でありますが、運動機能の改善効果は十分に認められます。

特に、片脚起立時間やFRTといった静的バランス、歩行時間・TUG・5回立ち上がりなどの動的バランス指標が改善することがわかってきております。このことから、ロコトレを行うことで転倒予防効果も期待できると考えられます。

簡単で安全な運動であるため、運動器リハビリテーションにおいても運動器疾患患者の全般的な運
動機能向上のための自己運動として最適となります。今後、医療機関や介護予防事業、健康増進事業などにおいて広く活用されることが期待されています。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「ロコチェックとロコモ度テスト」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事がロコモティブシンドローム予防や改善に向けての取り組みに少しでもお力添えになれば幸いでございます。

参考文献

  1. ロコモONLINE ロコモ チャレンジ!推進協議会(外部サイト)
  2. 帖佐悦男.ロコモティブシンドローム:運動器疾患を取り囲む新たな概念.Jpn J Rehabil Med VOL. 50 NO. 1 2013.
タイトルとURLをコピーしました