【栄養素欠乏による低栄養】低栄養はフレイルに繋がる重大リスク因子

栄養管理
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リハビリくん
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こんにちは!リハビリくんです!

   

こちらでは「栄養素欠乏による低栄養」をキーワードに記事を書いていきます!

   

低栄養とは食欲の低下や、噛む力が弱くなるなどの口腔機能の低下により食事が食べにくくなるといった理由から徐々に食事量が減り、身体を動かすエネルギーや身体作りに欠かせないたんぱく質などの栄養が不足している状態のことをいいます。

  

高齢者にとって低栄養は健康障害に直結します。感染症、褥瘡、創傷治癒の遅延、骨格筋の萎縮などを発生させたり、筋肉量・筋力・骨量の減少により転倒や骨折のリスクが上昇します。

  

筋肉量・筋力の低下により、疲れやすくなったり、活力が低下したりすることで身体活動量が低下します。身体活動量が低下することで、1日のエネルギー消費量が減少し、食欲が低下し食事摂取量が低下し、更に低栄養が進行するといった悪循環が発生します。このことから、低栄養に対しては早期に適切な介入を行うことが必要となります。

     

  • 嚥下機能の発達について
  • 入院時には転倒、肺炎という危険性が潜んでいる
  • 栄養素の欠乏による低栄養とは?
  • 高齢入院患者の栄養摂取状況の実態
  • 低栄養がリハビリテーションに及ぼす影響と対応方法

   

低栄養状態の患者様のリハビリテーションを実施するうえで、様々な疑問を抱えることがあると思います!そんな方のために、こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、特に関心が高い分野が「栄養」と「褥瘡」になります!

職場以外の活動としては埼玉県理学療法士会にて活動をさせて頂いております

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


  

最近は仕事をするにしても、育児を全うするにしても、自分の身体作りが重要ということを再認識しております。身体作りを効果的に行うためにはプロテイン等の健康補助食品が欠かせません。

  

最近頼りにしているのが、マイプロテインの元社長が立ち上げたサプリメント・プロテイン「Naturecan(ネイチャーカン)フットネス」になります。Naturecan(ネイチャーカン)のプロテインは他ブランドと比べても健康志向であり、安全性も高いといえると思います!

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嚥下機能の発達

私たちが生命を維持するためには、食べ物を摂取し栄養を吸収する一連の消化器機能が必要になります。

その機能がいつから始まるのかというと、吸啜・嚥下の動きは胎生13〜14週頃に出現するようになります。24週頃までにみられる吸啜運動は口腔内に液体が流入しない空飲運動であり、吸啜の動きがリズミカルになるのは在胎28週、嚥下を伴った哺乳運動が確立するのは在胎34週頃以降になります。

基本的に一度身につけた、食べ物を摂取し栄養を吸収する一連の消化機能は、その後一生涯に渡り生活をともにします。

しかし、加齢や疾患の影響で「食」を絶たれてしまう場合もあります。高齢者の多くが生活のなかで「食事」を楽しみに挙げており「食」は生命維持のほかにも、社会参加、QOLの向上、健康寿命の増大につながる重要な要素になります。

入院時における転倒や肺炎は医療の課題

本邦の人口における2019年の報告をみると、団塊の世代が後期高齢者へと突入する現在、75歳以上人口は1,849万人(男性729万人、女性1,120万人)となっております。また、総人口に占める割合は14.7%であり、非常に高い割合を占めております。

当然、医療機関に入院する75歳以上の割合は、14.7%よりも更に高いものとなります。その結果、転倒や肺炎など本来治療対象とした疾患以外の弊害が医療の課題となっております。

転倒は低栄養と関連があり、ADLやQOLを低下させる原因となります。転倒後は身体的影響だけではなく、転倒後症候群により精神的影響も加わるため、外傷がなくとも繰り返す転倒に恐怖を抱き外出や散歩を控えるため、活動量の制限を来し身体的虚弱(フレイル)が進行します。

肺炎については、ここ近年の高齢者の死因からみても、3位や4位にランクインしており、生命を脅かす危険な症状ということがわかります。

また、厚生労働省の報告によると高齢者の肺炎の70%は誤嚥性肺炎によるものということもわかっています。誤嚥性肺炎の原因は摂食機能障害だけではなく、低栄養と免疫低下の問題も関係しております。

高齢者の入院において、「食べること」「転倒」「肺炎」「低栄養」は切り離すことのできない関係性になります。入院患者に対する医療の質を向上させるためにも、それぞれについての理解を深める必要があります。

前述した高齢者の肺炎については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【高齢者の肺炎の特徴と分類についての記事はこちらから

栄養素の欠乏による低栄養について

入院患者のリハビリテーションを行う際には、低栄養という問題に直面します。一般的に地域高齢者の低栄養の割合は20%前後と言われていますが、地域で生活する方と入院患者の違いとして、入院すると低栄養に伴う症状の進行が非常に早いという特徴があります。

栄養素の欠乏による低栄養については三種類に分類することができます。

  1. エネルギーと蛋白の摂取不良に起因する慢性期型栄養障害(マラスムス)
  2. 主として蛋白の摂取障害や代謝亢進による急性期型栄養障害(クワシオルコル)
  3. マラスムスとクワシオルコルの混合型

1人暮らしの高齢者が偏食や食思の低下により栄養障害をきたすことを慢性期型栄養障害(マラスムス)と呼びます。

そのような高齢者がもともと有していた基礎疾患の急性増悪のために入院することになり、手術による炎症が生じたり、一時的に食事ができなくなり抹消点滴管理となった場合の栄養障害を急性期型栄養障害(クワシオルコル)と呼びます。

実際の臨床では、上記のようにもともと慢性期型栄養障害(マラスムス)を起こしていた方が、急性期型栄養障害(クワシオルコル)を併発するようなことがあります。この場合を、混合型栄養障害と判定と呼びます。

一例としてマラスムス→クワシオルコルという流れで説明しましたが、入院により急性期型栄養障害(クワシオルコル)となった方が自宅退院後に慢性的な摂取不足に陥り、慢性期型栄養障害(マラスムス)を併発することも考えられます。

混合型栄養障害は重症化しやすく、疾病治療の予後が不良になる恐れがあります。また、入院というものは、それ自体が活動の制限となり、そこに食事摂取量の低下が加わることで、さらなる慢性型栄養障害が進行する恐れがあります。

低栄養はフレイルに直接的に繋がるリスク因子

フレイルは様々な局面で使われる用語ですが、高齢者に限定した場合、多くの臓器の生理学的な冗長性が全般的に障害された状態と表現することができます。

このフレイルに関連して、疾病に対する抵抗性の低下、自分自身の体ないし環境に内在するストレス要因に対する脆弱性、生理学的および心理学的なホメオスターシスを維持する能力の制限などが起こります。

75歳以上の高齢者が集まると、その20〜30%がフレイルであると考えられており、その調合は高齢化するに従って高くなります。

フレイルは高齢者に特有の疾患の発症リスクの増大、周囲に対する依存、 様々な障害、長期入院、施設入所および死亡率の増大などの高齢者の生活全般に影響を与える重大な帰結に繋がることが分かってきております。

フレイルを引き起こす要因は、完全に解明されたわけではありませんが最も可能性の高いものを2つ挙げるとすると、サルコぺニア(筋量の低下)と栄養障害だと考えられます。

栄養障害については、消化吸収自体の問題と嚥下障害が関与している可能性があります。このため嚥下障害を伴い、なおかつリハビリテーションの対象となる病態は、当然フレイルの原因となります。

フレイルの前段階をプレフレイルと表現することができますが、栄養障害(サルコペニア)は更にその前段階にあたります。

『栄養障害(サルコペニア)→プレフレイル→フレイル』このように線形の進行が認められ、また可逆性も期待できることから、栄養障害へのアプローチがフレイルの予防に大きな役割を果たすことになります。特に嚥下障害に対するリハビリテーションは、このことに大きく寄与できる可能性があります。

低栄養が理学療法に及ぼす影響

前項で説明した通り、高齢の入院患者には栄養状態不良者が多いという特徴があります。急性期、回復期、慢性期と医療機関の役割によってその割合には、ばらつきがありますが4人に1人程度の割合で低栄養状態であるといえると考えます。

更に、入院中のエネルギー摂取量は、対象者の年齢・身長・体重から算出するエネルギー必要量と比較しても不足する傾向にあります。エネルギー摂取量が不足している状況では、入院中に栄養状態がさらに悪化する可能性があります。

この状況から、高齢の入院患者のADL を効率的に上昇させるためには、ただ運動療法を行うだけではなく、適切な栄養管理が必要となります。

エネルギー必要量を算出するには、Harris-Benedictの計算式から基礎エネルギー消費量(BEE)を計算することができます。また、1日のエネルギー消費量(TEE)は、BEEと活動係数とストレス係数を掛け合わせて算出することができます。

ストレス係数については特に注意が必要な項目になります。先程説明した急性期型栄養障害(クワシオルコル)により、侵襲や炎症で代謝が常に亢進している状況では、ストレス係数が高くなりエネルギー消費量が増大します。

この状況でリバビリテーションを行うのであれば、エネルギー必要量とエネルギー消費量のバランスをみて、運動内容や強度を設定する必要があります。

ハリス-ベネディクトの式については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【ハリス-ベネディクトの式についての記事はこちらから

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「栄養素欠乏による低栄養」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

高齢者のリハビリテーションでは、骨格筋の増強を目的にレジスタンストレーニングを用いることがあると思います。レジスタンストレーニングは筋蛋白合成を促進する効果が期待され、実施の意義がありますが、低栄養状態の時にレジスタンストレーニングを過度に行ってしまうと、骨格筋の崩壊や蛋白結合の低下を来すことがわかっています。

高齢者の特徴と低栄養患者へのリハビリテーションのポイントを抑え、効果的なリハビリテーションが実践できるように努めてまいりましょう。

こちらの記事でも説明してきた通り、リハビリテーションと栄養学は、切り離すことのできない非常に重要性の高い関係になります。このテーマについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【栄養学と理学療法についての記事はこちらから

参考文献

  1. 葛谷雅文.フレイルに対する栄養介入.日本転倒予防学会誌.Vol.3,No.3,2017,p17-20.
  2. 葛谷雅文.フレイルティ:オーバービューと栄養との関連.日本老年医学会雑誌.51巻,2号,2014:3,p120-122.
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