【アルツハイマー型認知症】発症予防と症状進行を遅らせることが重要

認知症
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リハビリくん
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こんにちは!リハビリくんです!

     

今回はアルツハイマー病の予防と治療についてまとめさせて頂きます!

  

皆さまが勤務する医療機関や施設、または生活する周囲にも認知症と考えられる方が随分増えてきたのではないでしょうか。認知症を患う方は年々増加しておりますが、認知症の中でも最も多いのがアルツハイマー病になります。認知症全体の60%以上を占めるため、認知症と言えばアルツハイマー病を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。特徴としては、女性の患者が多く、被害妄想や暴言・暴力、徘徊などに発展する可能性もあります。

    

認知症を引き起こす原因は様々であるため、全ての認知症を防ぐことは難しいと思われます。 しかし、認知症に対する特効薬がない今、認知症対策の鍵は発症予防と症状進行を遅延させることになります。

        

アルツハイマー病の危険因子には遺伝性のものと非遺伝性のものがあります。遺伝性のものに対しては介入は難しいと思いますが、非遺伝性危険因子の中には、予防や治療の介入が可能なものもあります。ここに標準を合わせて介入していくことがアルツハイマー病の発症予防に繋がると考えられます!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!

  

最近気になっている資格なのですが、2023年より、日本急性期ケア協会が主催する急性期ケア専門士認定試験が実施されるようです。急性期ケア専門士は急性期ケア・急変対応におけるスペシャリストです。 状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、 医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格となっています!

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アルツハイマー病は認知症の大半を占める

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)は認知症の最大の原因疾患であり、認知症の60〜80%を占めると言われています。

日本の65歳以上人口における認知症有病率は15%と推定されており、2012年時点では65歳以上の高齢認知症者は462万人と推計されていました。

診断が確定した認知症ではADが67.6%と最も多く、次いで血管性認知症(VaD)が19.5%、Lewy小体型認知症(DLB)認知症を伴ったパーキンソン病認知症(PDD)が4.3%となっています。

認知症について理解を深める上で4大認知症の知識は欠かすことができません。4大認知症については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【4大認知症の特徴と対応についての記事はこちらから

65歳未満で発症した若年性認知症の有病率は10万人当たり47.6人と推計され、VaDが最も多く、次いでAD、外傷、前頭側頭型認知症となっています。

アルツハイマー病の発症予防が鍵

認知症の発症予防のためには、その最大の原因疾患であるADの発症予防が重要となります。発症予防については発症を遅延させるだけでも大きな効果があり、発症を1年遅らせることにより今後40年の間にADの有病者数を9百万人以上減少させられる可能性が示唆されています。

アルツハイマー病の非遺伝性危険因子

ADの危険因子には遺伝性のものと非遺伝性のものがあります。ADの非遺伝性危険因子の中で予防や治療の介入が可能なものには、心血管系の危険因子(高血圧、糖尿病、肥満など)、心理社会的要因、行動特性(身体的精神的不活発や喫煙)を挙げることができます。これらに対し標準を当て予防や治療をしていくことが必要だと考えられます。

高血圧

高血圧とADや認知症の発症リスクとの関連についての系統的再評価では、中年期における高血圧と老年期におけるADや認知症の発症リスクの増加との関連が示されたが、老年期における高血圧とADや認知症との関連は一定した結果は出されておりません。

一方、老年期における低血圧は特に降圧剤服用者においてADや認知症の発症リスクと相関しています。高血圧の治療により、ADや認知症の発症リスクが軽減されるか否かを検討したメタ解析により、降圧剤治療は認知症の発症率に有意な変化を及ぼしませんでしたが、「MMSEによる認知機能に有意な改善をもたらしたとするもの」「認知症の発症率の低下が認められたとするもの」「降圧剤の種類に依存するというもの」などが報告されています。

血圧の正常値や管理方法については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【血圧の正常値と管理方法についての記事はこちらから

糖尿病

糖尿病はADや認知症の発症リスクを高めることが報告されています。Luらのメタ解析によると、ADの相対危険度は1.39、認知症全体の相対危険度は1.47となっています。

糖尿病の管理については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【糖尿病×血糖管理についての記事はこちらから

肥満

BMIが全認知症の発症リスクと相関するという研究や、肥満が認知症やADのリスクを増加させるという報告があります。肥満とADの統合オッズ比は1.80と有意であることが示されております。他のメタ解析でも、肥満とADの相関について相対危険度1.59と同様の結果が出ております。

年齢との関係では、中年期の肥満は認知症の発症リスクを有意に増加させる一方、老年期の肥満は認知症のリスクを減少させ、痩せはリスクを増加させることが報告されています。

脂質異常症

フィンランド人男性のコホート研究により、中年期における高コレステロール血症(>6.5mmol//)のAD罹患率のオッズ比が年齢やApoE-=4で調整後でも3.1であることが示されています。

その後、CAIDE研究においても中年期における高コレステロール血症(>6.5mmol//)は、ADの危険率をオッズ比2.6で有意に増大させていることがわかっております。

老年期における血清総コレステロールと認知症およびADの罹患率との関係については、相反する結果が報告されており、未だ確立していません。

うつ病

メタ解析により、うつ病の既往がある群は既往がない群に比べて約2倍認知症の発症リスクが高いことが示されています。ADに関しても同様の結果が得られており、メタ解析の統合オッズ比が、症例対照研究では2.03、コホート研究では1.90と報告されています。

認知症に対しては質問票を活用し精神心理面を定量的に評価していくことも重要になります。このテーマについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【HADS(評価法)を徹底解説についての記事はこちらから

喫煙

初期の症例対照研究では、喫煙がADのリスクを軽減するという報告がありましたが、その後の縦断的研究によりADや認知症のリスクは喫煙により増加することが示されています。メタ解析でも、喫煙が認知症やADのリスクを増加させることが確認されています。

不活発な知的活動や低学歴

いわゆる認知予備力の指標としての高学歴・職業的達成・知能・精神的刺激のある余暇活動はすべて認知症のリスクを低減することが報告されています。

すなわち、認知症のオッズ比は認知予備力が低い場合に有意に増加することになります。低学歴とADや認知症のリスクとの関係をみたものでは、ADに対しては相対危険度が1.80、認知症については1.59となっております。

RCTでも健常高齢者における認知機能への介入が、認知機能の改善をもたらすことが示されています。

聴力障害

近年、聴力障害が認知機能の低下を引き起こすことや、認知症発症の危険因子であることが注目されています。

聴力障害は高齢者の多くが抱える問題になります。3つの研究を統合したメタアナリシスによれば、聴力障害による認知症の相対リスクは1.94倍と報告されています。

聴力障害と認知機能低下および認知症発症のメカニズムについては、十分に明らかになっていませんが、加齢や脳血管障害など共通の危険因子を有することや、聴力障害が脳の総容積の低下と関連すること、認知症の危険因子であるうつ病や社会的孤立と関連することが要因として考えられます。

また、聴力障害に対して補聴器などで補正を行うことで認知機能の改善が期待できることがいくつかの研究によって報告されています。専門家による聴力障害の適切な評価と対策が重要となります。

身体不活動

多くの観察研究により定期的な身体活動が認知症の発症を抑制すると報告されています。認知症のない33,816名を対象とした15の観察研究のメタアナリシスでは、身体活動が認知機能低下に対して抑制的に働くことが報告されています。

また、認知症発症に対しても認知症のな163,797名を対象とした16の研究のメタアナリシスにおいて、高レベルの身体活動が認知症およびアルツハイマー型認知症のリスクを低下させることが報告されています。

また、認知機能低下を予防するための運動については、運動の種類としては、有酸素運動やレジスタンストレーニングそれぞれ単独でも効果が示されているが、これらを組み合わせた複合的トレーニングも有効であることがわかっています。

1回の運動時間は、45分より少ない時間では効果が認められず、45分以上の運動時間が必要であることが示唆されています。

運動の頻度については、週2日以下でも効果が認められますが、週5日以上で効果が高くなると考えられています。

運動強度については、低強度の運動では効果を認めず、中強度以上の運動で効果があると考えられています。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

今回はアルツハイマー病の予防と治療についてまとめさせて頂きました!

今回紹介したアルツハイマー病の危険因子には予防や治療が可能なものが多く含まれています。実際、アルツハイマー病の中の約半数の方はこれらの介入可能な危険因子と関連があるものと予想されています。

アルツハイマー病について、理想は特効薬の開発により認知症の根治や発症抑制が可能となることですが、実現は程遠い状況だと思われます。

そのため、アルツハイマー病を含めた認知症の発症予防のためには、その危険因子の削減と防御因子の促進を年代に応じて適切に行うことが現実的な方法になります。

具体的に言えば、教育の見直し、高血圧および糖尿病の予防と適切な管理指導、禁煙指導、定期的な運動、適切な食生活などを心がけることが重要であると考えられます。

参考文献

  1. 桜井良太.運動と認知症.バイオフィードバック研究.2022年,49巻,第2号,p60-64.
  2. 福島順子.アルツハイマー型認知症の病態と治療.北星学園大学社会福祉学部北星論集.2018年,第5号,p111-125.
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