IAD(失禁関連皮膚炎)と褥瘡の鑑別フローチャート(A4)
成人・2025年版(20251017 作成)/印刷して現場で使用できます。
鑑別フロー
- 失禁の有無を確認(尿・便・両方・失禁管理の方法)
- 失禁がない → IAD ではありません。圧迫/摩擦/デバイス由来など他原因を評価。
- 失禁がある → 次へ。
- 解剖学的位置と分布
- びまん性・境界不明瞭・排泄物の接触部位(殿部・会陰部・大腿内側 など) → IAD を疑う。
- 骨突出部の局所(仙骨・坐骨・大転子・踵 など)で境界明瞭 → 褥瘡(圧迫/せん断)を疑う。
- 形態と皮膚所見
- 発赤・びらん・表皮剥離・浸軟、疼痛や灼熱感あり。壊死組織は通常なし → IAD 優位。
- 局所の持続的圧迫に一致、ポケット形成や黒色壊死・深い潰瘍 → 褥瘡を強く疑う。
- 機械的負荷・体位・デバイス
- 長時間同一体位/ずれ・摩擦/医療機器圧(MDRPI) → 褥瘡 or MDRPI の寄与を評価。
- 重症度の見積もり
- IAD:発赤のみ → 表在びらん → 広範囲びらん・滲出増加(例:GLOBIAD の軽症~重症カテゴリ)。
- 褥瘡:NPIAP ステージ分類(I~IV、DTPI、Unstageable)を適用。
- 初期対応の優先順位
- 汚染の迅速除去(やさしい洗浄)
- 皮膚保護(バリア剤・保湿)
- 失禁マネジメント(吸収/集尿・便管理デバイスの適正使用)
- 体圧分散・除圧(体位変換・マットレス・デバイス適合)
- 感染徴候・壊死・深い潰瘍は速やかに医師・専門チームへコンサルト
メモ
- IAD は「湿潤関連皮膚障害(MASD)」の一つ。失禁がなければ IAD ではない。
- 褥瘡は「圧迫・せん断×時間×頻度」による局所損傷。骨突出部へ一致することが多い。
参考の枠組み:GLOBIAD(IAD 重症度カテゴリ)、NPIAP 圧迫創傷ガイドライン(ステージ分類)。本資料は教育・臨床支援目的の汎用テンプレートです。