【GNRIを用いた栄養評価】14.89×Alb+41.7×IBW

栄養管理
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リハビリくん
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いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

  

リハビリテーションの実施にあたって、短時間で実施することができる栄養スクリーニングの存在は非常に重要になります。しかし、栄養スクリーニングの種類については様々なものがありますので、どの栄養スクリーニングを使用すればいいのかは悩むんでしまうと思います。

    

その中でも、GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)は、理想体重との比である%IBWとアルブミン値を使用して栄養状態を数値化し、4段階で評価を行うことができます。

現在の体重だけ分かれば、%IBWは計算できますので、非常に簡単かつ有効な栄養スクリーニングといえます。また、Excelなどで数式を組んでしまえば、体重とアルブミン値のみ入力するだけで数値化することができるため、病院や施設のように大人数を評価したい場合にも向いています。

   

  • GNRIとは?
  • エネルギーやタンパク質の摂取量が不足した状態:PEMについて
  • GNRI の評価方法が知りたい
  • カットオフ値はあるの?

   

栄養評価を実施する上で、様々な疑問を抱えることがあると思います!そんな方のために、こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。

  

主な取得資格は以下の通りです

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。

  

療法士の働き方に対する記事の 1 つが右記になりますが、"理学療法士は生活できない?PTが転職を考えるべき7つのタイミング"こちらの記事は検索ランキングでも上位を獲得することができております。興味がある方は、こちらの記事も目を通してくれると幸いです☺

栄養スクリーニングで低栄養患者を抽出する

栄養スクリーニングは栄養評価の一側面として捉えることができ、栄養管理の端緒として、栄養不良患者または栄養不良のリスクがある患者を抽出することが目的となります。

一般的には、栄養スクリーニングを行った結果、更に詳細な栄養評価が必要となった対象者に対して、栄養アセスメントが実施される流れになると思います。

栄養スクリーニングでは、効率のよい評価が求められます。そのため、以下に示したような要件を満たした評価ツールが必要になります。

  1. 妥当性がある 
  2. 信頼性がある 
  3. 入手しやすい情報を利用する 
  4. 実施が容易である 
  5. 低コストである 
  6. 患者に対して非侵襲的な方法である

栄養管理を最も有効に実施するには、全患者に対して、日常的なケアの一環として栄養スクリーニングを行うことが必要になります。

スクリーニングツールとしては、様々な種類のものが現在までに提唱されていますが、高齢者を対象とした栄養スクリーニングで根拠があるGNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)について説明していきます。

栄養スクリーニング法 GNRIとは

近年、リハビリテーションにおいても栄養管理の重要性が浸透してきており、様々な栄養スクリーニングや栄養アセスメントが普及しております。

栄養スクリーニングや栄養アセスメントを活用して、低栄養を抽出することは重要なことになります。しかし、1 つの指標によって低栄養を診断することは難しく、現時点で低栄養を抽出するための標準的な評価方法は確立していません。低栄養の判定において有用といわれる様々な栄養スクリーニングや栄養アセスメントがありますが、それぞれ課題や問題点が指摘されています。

例えば、栄養状態を判断するためにアルブミン値を参考に低栄養の有無や程度を評価する場合があると思います。確かにアルブミン値は栄養状態の判断において大変参考となる指標ではありますが、炎症や水分量の影響を受けるというデメリットがあります。そのため、アルブミン値のみでの栄養状態の正確な判定は難しい場合があると考えられます。

また、65歳以上の高齢者の低栄養リスク把握するための、MNA: Mini Nutritional Assessmentは使用しやすく、多くの医療機関で使用されていると考えられますが、MNA は入院患者よりも介護施設や在宅の高齢者に適した評価方法であり、質問者によるバイアスが入りやすいと言われています。

また、アルブミン値と体重減少の程度によって栄養状態を評価する NRI: Nutritional Risk Indexも有効性が示されております。しかしながら、入院や入所生活における高齢者については、平常時体重を正確に出すことが難しい場合があり、NRIを使用できない場合があります。

そこで考えられた評価法が、体重の変化量の代わりに現体重と理想体重の比を用いて栄養状態を評価する GNRI:Geriatric Nutritional Risk Index になります。

GNRI の読み方と特徴

GNRI とは Geriatric Nutritional Risk Index を略したものになります。読み方はシンプルに 「ジー エヌ アール アイ」 となります。略称で呼ばないとすれば、「ジェリアトリック ニュゥートリィシャナル リスク インデックス」となります。 

GNRIは、理想体重比(%IBW)と血清アルブミン値を用いた高齢者の栄養評価法であり、Bouillanne らが 2005 年に発表しております。Buzby らによる Nutritional Risuk index を高齢者向けに改良したもので、血清アルブミン値、現体重、理想体重のみで算出することが出来ます。急性期患者、血液透析患者、心不全患者などにおいて予後予測能が評価されています。

GNRIは、外科領域で栄養障害に関連した術後合併症の発生を推定する指標として用いられている Nutritional Risk Index (NRI)を高齢者にも活用できるよう工夫した指標になります。Nutritional Risk Index (NRI)と比較したときの違いとして特徴が 2 つあります。

1つは、NRIが体重の変化を現在の体重と平常時体重の比である%UBWを用いて評価しているのに対して、GNRIは、高齢者では平常時体重の記憶が定かでないことが多いため、理想体重との比である%IBWを用いていることになります。

2つめは、高齢者では脳血管障害の後遺症や身体的脆弱などによって立位を保持することができなかったり、脊柱や下肢の変形および拘縮によって身長を実測することが困難なことが多いため、IBWの算出に knee-height から求めた身長推定値を用いていることになります。

以上のようにGNRIは、高齢者の身体的特徴を考慮した栄養評価法になります。

GNRI 計算方法

14.89 × 血清アルブミン(g/dL)+ 41.7 ×〔現体重(kg)÷ 理想体重(kg)]

理想体重(IBW:ideal body weight)の算出方法は、身長(m)× 身長(m)×22となります。

%理想体重(%IBW)の基準は以下の通りになります。

80~90%:軽度栄養障害の疑い

70~79%:中等度栄養障害の疑い

69%以下 :高度栄養障害の疑い

GNRI:カットオフ値、結果の解釈

GNRIの計算結果から、栄養状態は以下の4段階で評価されます。

  • GNRI スコア:98 以上:栄養障害リスクなし
  • GNRI スコア:92 以上 98 未満:栄養障害リスク軽度
  • GNRI スコア:82 以上 92 未満:栄養障害リスク中等度
  • GNRI スコア:82 未満:栄養障害リスク高度

GNRI 練習問題

GNRI のカットオフ値の参考になっているのは、アルブミン値と %IBW の値です。実際の患者を想定して計算してみます。

症例 1:アルブミン値 3.0 g/dl、%IBW= 0.9

14.89 × 3.0+ 41.7 ×0.9 = 82.2

症例 2:アルブミン値 3.8 g/dl、%IBW= 1.0

14.89 × 3.8 + 41.7 ×1.0 = 98.3

症例 1 についてはGNRI:82.2 となるため「栄養障害リスク中等度」、症例 2 についてはGNRI:98.3 となるため、「栄養障害リスクなし」と判定することができます。

GNRI 透析患者 基準値

透析患者では栄養障害が予後を悪化させるため、栄養状態を評価することが重要であると言われております。GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)については、透析患者に対する予後予測能が評価されています。透析患者について GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)で判断する場合には、通常とはカットオフ値(基準値)が異なり、以下の基準が 1 つの考え方となっております。

  • GNRI スコア:91 未満:栄養障害リスク高
  • GNRI スコア:91 以上:栄養障害リスク低

PEM(Protein Energy Malnutrition)とは

超高齢化社会の突入と同時に、近年、高齢者の健康を脅かす症状として問題になっているものが、タンパク質とエネルギーが不足して起こる低栄養状態の PEM(Protein energy malnutrition/タンパク質・エネルギー栄養障害)になります。PEM(Protein Energy Malnutrition)は、高齢の方に多く見られ、低栄養状態が長く続くと日常生活に支障をきたし、やがて寝たきり状態を招きます。

高齢者の低栄養の多くは、蛋白・エネルギー栄養障害(protein-energy malnutrition:PEM)となります。地域在住者での PEM の頻度は 8.9 %とそれほど高い割合ではありませんが、病院外来通院者では約 10 %、入院高齢患者では約 40 %、急性期病院の入院高齢患者では約 30 %、在宅診療を受けている高齢者では 35 %と急性期疾患や要介護状態を伴う高齢者では PEM の頻度が増加することが分かっています。

また、フレイルと PEM の関連についての研究では、フレイルの高齢者では 58.0 %が PEM を合併していると報告されています。高齢者は併存疾患の存在、急性疾患の発症やフレイルが PEM のリスクを上昇させることが判明しています。

PEM はマラスムス型 PEM とクワシオコル型 PEM があり、高齢者ではこれらが混在することもあります。PEM は免疫能や生態修復機能が障害されているため、遷延化しやすく、骨格筋の重度な減少を来した悪液質状態までに進行した場合は PEM の改善は困難となります。

今回、ご紹介した GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)をはじめとする栄養スクリーニングを効果的に活用し、PEM(Protein Energy Malnutrition)の高齢者を未然に防ぐことがこれからの医療・福祉に必要になると考えられます。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

今回はGNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)について述べましたが、その他のスクリーニングツールについては過去の記事でまとめておりますので、こちらの方もご覧になって頂けると幸いです☺️

参考文献

  1. 百崎良,安保雅博.リハビリテーションにおける栄養スクリーニング.Jpn J Rehabil Med .2017,54,p82-86.
  2. 藤井俊樹,服部英明,中濱克之,山田裕治.Geriatric Nutritional Risk Indexによる透析患者の予後予測能力について:Body Mass Index あるいは血清アルブミン単独との比較.透析会誌.47( 1 ),2014,p75-84.
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