【サルコペニアの原因4つと対応方法】フレイルに進行させないために

フレイル・サルコペニア
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リハビリくん
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こんにちは!リハビリくんです!

   

こちらでは「サルコペニアの原因と対応方法」をキーワードに記事を書いていきます!

  

サルコペニアについては、加齢によるサルコペニア、栄養障害によるサルコペニアといったように原因が複数あります。また、複数の要因が複合してサルコペニアに陥る場合もあるため、単純な病態ではなく、複雑なものとなります。

   

サルコペニアに対する予防や治療では、サルコペニアを来した原因を究明し、運動療法・栄養管理・薬物療法などを組み合わせた介入を行う必要があります。

  

また、サルコペニアは可逆性を認める病態であるため、適切な対応を行うことで健康な状態へと戻すことが期待されます。医療従事者のサルコペニアに対する理解や対応力が鍵になるはずです。

   

  • サルコペニアの定義ってあるの?
  • サルコペニアの種類が知りたい
  • サルコペニアに陥る原因は?
  • サルコペニアへの対応方法や治療法が知りたい

   

サルコペニアは、リハビリテーションに密接に関わる病態です。そんなサルコペニアの診療を行ううえで色々と悩む方もいらっしゃると思います。そんな方のために、こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、特に関心が高い分野が「栄養」と「褥瘡」になります!

職場以外の活動としては埼玉県理学療法士会にて活動をさせて頂いております

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


  

最近は仕事をするにしても、育児を全うするにしても、自分の身体作りが重要ということを再認識しております。身体作りを効果的に行うためにはプロテイン等の健康補助食品が欠かせません。

  

最近頼りにしているのが、マイプロテインの元社長が立ち上げたサプリメント・プロテイン「Naturecan(ネイチャーカン)フットネス」になります。Naturecan(ネイチャーカン)のプロテインは他ブランドと比べても健康志向であり、安全性も高いといえると思います!

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リハビリテーション栄養×サルコペニア

リハビリテーション栄養の定義は、ICF(国際生活機能分類)による全人的評価と栄養障害・サルコペニア・栄養素摂取の過不足の有無と原因の評価、リハ栄養診断、ゴール設定を行ったうえで、対象者の栄養状態・サルコペニア・フレイルを改善し、機能・活動・参加・QOLを最大限高めることができるように、栄養管理を行うことになります。

ICFとは人間と環境との相互作用を含めて、人間の健康状態を系統的および全人的に評価するツールとなります。高齢者をICFの中で考えてみると、高齢者は疾患や加齢による身体要因、併存疾患、精神要因、薬剤要因、社会要因のために低栄養やサルコペニアになりやすい特徴があります。

さらに、低栄養やサルコペニアはフレイルの中核要因であり、フレイル高齢者は術後にADL低下や長期入院と繋がりやすいことがわかっています。

そのため、サルコペニアに対して適切な評価と対応を行い、サルコペニアの予防および改善を図ることが、今後超高齢化社会を辿る本邦で、ますます重要になると考えられます。

サルコペニアの定義

サルコペニア(Sarcopenia)とは、骨格筋・筋肉(Sarco)が減少(penia)していることを表します。発生要因としては、タンパク質の摂取不足と運動量の減少によって、作られる筋肉よりも分解される筋肉の方が多くなるためです。

狭い定義のサルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量の低下(原発性サルコペニア)、つまり老年症候群のひとつになります。人の筋肉量は40歳を境にして徐々に減少していく傾向があり、60歳を超えるとその減少率は加速します。つまり、歳を取ればほとんどの人が程度に差はあれど、このような傾向を示す事になります。

一方、広い定義のサルコペニアとは、すべての原因による筋肉量と筋力の低下を意味します。この全ての原因というのは、活動・栄養・疾患に分類することができ、これらが原因となるサルコペニアを二次性サルコペニアと表現します。

サルコペニアの4つの原因

サルコペニアは、加齢のみが原因の原発性(一次性)サルコペニアと、活動・栄養・疾患が原因の二次性サルコペニアに分類されます。

原発性サルコペニアについて

原発性サルコペニアの原因

前述した通り、原発性サルコペニアの原因は加齢になります。

歳を取ると、テストステロン・エストロゲン・成長ホルモンといった同化促進ホルモンの血中濃度が低下し、炎症性サイトカインの産生が増加します。

その結果、骨格筋の筋線維の数が滅少し筋線維自体も萎縮します。加齢では、typeI筋線維(遅筋・赤筋)よりtypeI筋線維(速筋・白筋)が主に萎縮します。運動ニューロンと運動単位数だけでなく、骨格筋再生に重要な筋芽細胞に分化する筋衛星細胞の数も減少し、筋芽細胞への分化も抑制されます。

このように骨格筋に関わる器官の変化から、身体機能の低下を引き起こしサルコペニアに陥るという仕組みが原発性サルコペニアとなります。

原発性サルコペニアの対応方法

加齢が原因の場合、レジスタンストレーニングと分岐鎖アミノ酸を含む栄養剤摂取の併用が最も効果的になります。

分岐鎖アミノ酸を含む栄養剤としては、最近では様々なものが販売されております。身近なものでいえば、味の素株式会社が取り扱っているアミノバイタル®︎シリーズなどが挙げられます。筆者も身体を鍛えていた時に利用していました。

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レジスタンストレーニングの内容は、負荷強度が最大負荷量(1RM)の80%以上、セット数が2〜3セット、回数が1セットにつき8〜12回、頻度が週3回、期間が3カ月以上の内容が推奨されています。

ただし高齢者の場合には、より負荷の少ないレジスタンストレーニングでも筋力や筋肉量の改善を認める可能性があると報告されています。

二次性サルコペニアについて

活動量に関連するサルコペニア

原因

活動によるサルコペニアは、不活動・安静臥床・無重力などが原因で生じる廃用性筋萎縮になります。つまり、廃用症候群の一部といえます。

周術期で生じることが多いですが、術前や周術期以降の閉じこもりの生活で生じることもあります。入院生活や施設入所中に活動量の低下からサルコペニアをきたすことも考えられます。

フレイル高齢者や障害者では、軽度の侵襲や短期間の安静でも廃用症候群を引き起こしやすくなります。

廃用によって筋肉量は1日約0.5%減少し、筋肉量は0.3〜4.2%減少します。そのため、不要な安静を避けて、四肢体幹の筋肉量を低下させないことが重要になります。

医師による不要な安静指示でサルコペニアを生じた場合のことを医原性サルコペニアと表現します。また、廃用症候群の入院患者では、その大半に低栄養を認めることが報告されています。

つまり、廃用症候群患者のサルコペニアでは、活動によるサルコペニアのみが原因であることは稀であり、栄養や疾患によるサルコペニアを合併していることがほとんどになります。

廃用および安静臥床による弊害については、他の記事でまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【安静臥床が及ぼす身体への悪影響についての記事はこちらから

対応方法

周術期では、不要な安静臥床や禁食を避けて早期離床と早期経口摂取を行い、全身の筋肉量を無駄に低下させないことが最も重要になります。

入院患者に対して「とりあえず禁食」「とりあえず安静」という対応を行うと全身および嚥下関連筋の医原性サルコペニアを生じる危険性があります。

術前や周術期以降では、閉じこもりの生活を予防し、外出機会を作ることが重要になります。フレイル高齢者や障害者で単独での外出が困難な場合には、介護保険制度を上手く活用しデイサービス使用、ヘルパーとの外出、外出しにくい住環境の場合には住宅改修を検討する必要があります。

閉じこもりの生活を予防することが重要という話をさせていただきましたが、このテーマについては、他の記事でまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【IADLの充実を目指したリハビリについての記事はこちらから

栄養に関連するサルコペニア

原因

栄養によるサルコペニアは、飢餓でエネルギー摂取量がエネルギー消費量より少ない状態が続き、栄養不良となることになります。成人低栄養の原因は、以下の3種類に大別されます。

  • 飢餓
  • 急性疾患or外傷(急性炎症・侵襲)
  • 慢性疾患(慢性炎症・悪液質)

このうち飢餓のみが栄養によるサルコペニアに含まれ、侵襲と悪液質は疾患によるサルコペニアに含まれます。

飢餓が持続すると肝臓のグリコーゲンが枯渇するため、筋肉の蛋白質の異化で生じた糖原生アミノ酸からグルコースが合成されます。その結果、筋肉量が減少することになります。

対応方法

飢餓の場合、リフィーディング症候群に注意のうえ、1日エネルギー必要量=1日エネルギー消費量+
エネルギー蓄積量(1日200〜750kcal)として栄養改善を目指す攻めの栄養管理が必要になります。

飢餓であり、栄養管理が不適切な状態にある時に、レジスタンストレーニングを行うと筋肉量はむしろ減少してサルコペニアは悪化すると予想されます。そのため、筋肉量増加目的のレジスタンストレーニングは禁忌になります。

一方、安静にすれば良いというわけでもありません。栄養管理が適切に行われ、飢餓状態を脱却するまでの期間は、廃用性のサルコペニアや持久力低下を起こさない程度の身体活動が、機能維持のために必要になります。

具体的には2〜3METs以下の活動(ストレッチ、座位、立位、ゆっくりと歩く)は制限しないで実施し、3METsを超える活動(階段昇降、レジスタンストレーニング、ランニング)は控えたほうがよいと考えられています。

エネルギー必要量や消費量の話をさせていただきましたが、このテーマについては他の記事でまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【ハリス-ベネディクトの式についての記事はこちらから

リフィーディング症候群(refeeding syndrome)とは

リフィーディング症候群とは、慢性的な栄養障害がある状態に対して、急激に栄養補給を行うと発症する代謝性の合併症のことになります。飢餓状態が長く続いたあとに急に栄養補給されると、心不全や呼吸不全、腎不全、肝機能障害ほか多彩な症状を呈することがあります。

疾患(悪液質)に関連するサルコペニア

原因

悪液質は基礎疾患によって引き起こされ、脂肪量 の減少の有無にかかわらず、骨格筋量の減少を特徴とする複合的代謝異常の症候群になります。

臨床症状として、成人では体重減少、小児では成長障害がみられます。食欲不振、炎症、インスリン抵抗性、筋蛋白分解を高頻度に認めます。飢餓、加齢による筋肉量の減少、うつ病、吸収障害や甲状腺機能亢進とは異なる病態であり、疾患罹患率を増加させる」と定義されています。

悪液質の原因疾患はがんだけでなく、慢性感染症、膠原病、慢性心不全、慢性腎不全、慢性呼吸不全、慢性肝不全などが当てはまります。

悪液質の診断基準

がんに限らずすべての悪液質の原因疾患で使用できる診断基準になります。

「12カ月で5%以上の体重減少(もしくはBMI20未満)」を前提基準として、その上で以下の5つのうち3つ以上に該当する場合に診断されます。

  1. 筋力低下
  2. 疲労
  3. 食思不振
  4. 除脂肪指数(筋肉量)の低下
  5. 検査値異常(CRP>0.5 mg/dl、Hb <12.0 g/dl、Alb<3.2g/dl)

対応方法

疾患自体の進行状況にも左右されますが、栄養療法単独での栄養改善には限度があるため、運動療法や薬物療法も含めた包括的な対応を行う必要があります。

運動療法(持久性トレーニング、レジスタンストレーニング)には抗炎症作用があり、悪液質の慢性炎症を運動で改善させる運動仮説モデルが提唱されています。

メカニズムとしては、運動で抗炎症性サイトカインの分泌が増加し、炎症性サイトカインと拮抗することによる ①筋蛋白分解の抑制 ②抗炎症性サイトカインによる筋蛋白合成の増加 ③運動で男性ホルモンの分泌が増加することによる筋蛋白合成の増加の3つが考えられています。

運動で慢性炎症を改善できれば、身体機能だけでなく食欲と栄養状態の改善を期待することができます。そのため、悪液質で体重減少を認める場合には、軽負荷のレジスタンストレーニングや持久性トレーニングを実施します。

しかし疾患が進行し、悪液質のステージが不応性悪液質に達した場合には、運動療法は禁忌となるため、緩和医療の一環としてのリハビリテーションと栄養管理を行うことになります。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「サルコペニアの原因と対応方法」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

サルコペニアは発症したとしても、可逆性がある症状であるため、きちんと対応すれば再び健康な状態へと戻すことができます。しかし、適切な対応ができなければ、症状はさらに進みフレイルへと進行していきます。

ところで、サルコペニアとフレイルの違いはご存知でしょうか?このテーマについては、他の記事でまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【フレイルとサルコペニアの違いについての記事はこちらから

参考文献

  1. 葛谷雅文.超高齢社会におけるサルコペニアとフレイル.日本内科学会雑誌.104巻,12号,p2602-2607.
  2. 藤田聡.サルコペニア予防における運動と栄養摂取の役割.基礎老化研究.35(3),2011,p23-27.
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