【糖尿病×血糖管理】食事療法と運動療法により合併症の予防を図る

内部障害
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リハビリくん
リハビリくん

こんにちは!リハビリくんです!

   

入院患者に対する糖尿病の管理というものは、もはや日常診療の一部となっていると言えると思います。そのくらい糖尿病を合併し、血糖管理をしている患者様が多くいらっしゃいます。しかも、糖尿病という疾患はQOLおよび生命予後に大きな影響を与える疾患であるため、血糖管理は非常に重要な医療となります。

  

  • 高齢者の糖尿病の特徴
  • 血糖管理の実際
  • 食事療法の方法は?
  • 運動療法のポイントは?
  • 薬物療法について知りたい!

   

こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非最後までご覧になってください!

リハビリくん
リハビリくん

【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!

  

ここ近年はコロナ禍の影響もあり、外部の研修会などにも気軽に参加できなくなりましたよね。私の勤務先では、職場内での勉強会も規模が縮小していまいました。あらゆる方面で、以前と比較して自己研鑽する機会が減少してしまったように感じております。

そのような状況ではありますが、医療職として知識のアップデートは必要不可欠になります!

そこで、私自身も活用しており、大変役立っているのが下記の「リハノメ」です!

      ↓↓↓

高齢になると糖尿病の罹患率は上昇する

高齢になると糖尿病の罹患率は上昇します。そして、その大半は2型糖尿病になります。

糖尿病の罹患率が上昇するのは、加齢に伴う膵臓細胞のインスリン分泌能の低下、筋肉量の低下、体脂肪率の増加によるインスリン抵抗性の増加、活動性の低下などが影響していると考えられています。

高齢者の糖尿病患者では、食後に高血糖や低血糖を起こしやすいという特徴があります。また、重症低血糖は転倒・骨折、認知症、心血管疾患、死亡の危険因子となります。

軽症の低血糖でもうつやQOL低下などの悪影響をきたしやすく、脱水や感染症などを契機に高浸透圧高血糖状態を引き起こす可能性があります。

このようなことから、身体機能が低下した高齢者の糖尿病は特に注意を払う必要があります。

入院患者の血糖管理のポイント

高齢者が入院した場合ですが、入院することになった主病名に加え、糖尿病を合併するケースが非常に多くなります。

そのようなケースの血糖管理では、運動・食事・薬物療法によって血糖のみならず、血圧・脂質を包括的にコントロールする必要があります。

入院患者の血糖管理の最大の目標は、血糖・血圧・脂質を含めた包括的なコントロールにより、血管合併症を予防し、栄養状態の改善および生活機能やQOLの改善を図ることになります。

糖尿病患者の食事療法

糖尿病において、食事療法は重要な治療法の1つになります。入院患者は治療による絶飲食後であったり、輸液管理をしていたり、嚥下障害などの影響で低栄養となっている方もいらっしゃいます。

全身状態を評価し、患者の年齢・合併症・並存疾患を考慮しながら栄養状態を改善し、血糖・血圧・脂質を管理する必要があります。

目標体重の目安

日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」の食事療法に準じると65 歳未満では BMI=22kg/m2 から算出した数値を目標体重とします。

65歳以上の高齢者においては、BMI=22~25 kg/m2をから算出した数値を目標体重とします。

注意点としては、高齢者においては年齢や臓器障害など患者の属性や代謝状態を考慮しながら目標体重を設定する必要があります。あくまでこの計算式で算出した体重は目安として考えるべきです。

エネルギー摂取量

エネルギー摂取量の計算方法はいくつかありますが、そのひとつを紹介します。

エネルギー摂取量(Kcal)=標準体重(Kg)×身体活動量(Kcal)

身体活動量については以下を参考に設定します。

食事のエネルギーバランスとしては、一般的には50〜60%を炭水化物から摂取し、タンパク質は20%までとして残りを脂質とするのが適正となります。減塩は血圧を改善するので推奨されます。

高齢の糖尿病患者ではタンパク質の摂取不足によるサルコペニアやフレイルに注意が必要となります。そのため、低栄養または低栄養リスクのある高齢者のタンパク質摂取量は1.2〜1.5g/kg/日が推奨されています。

こちらでは簡易的なエネルギー摂取量の計算方法を紹介しましたが、身長・体重・年齢を活用したより詳細な計算方法にハリス-ベネディクトの式というものがあります。このテーマについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【ハリス-ベネディクトの式についての記事はこちらから

糖尿病患者の運動療法

糖尿病に対する基本的な運動療法の効果は急性的な効果と慢性的な効果に分類されます。

急性的な効果としては、ブドウ糖・脂肪酸の利用が促進され血糖値が低下します。慢性的な効果としては、インスリン抵抗性の改善が期待されます。

高齢者の糖尿病患者において、定期的な身体活動や運動療法は代謝異常の是正だけでなく、生命予後・ADLの維持・フレイル予防・認知機能低下の抑制に繋がります。

運動の内容としては、筋肉量を増やし脂肪量を減らすレジスタンス運動と最大酸素摂取量を改善させる有酸素運動の併用が効果的です。さらには高齢者ということを踏まえ、転倒予防のためにバランス運動も取り入れると、より効果的な運動療法になると考えられます。

このように、糖尿病患者に対しての運動療法は効果が得られることがわかっていますが、合併症の種類や進行状況によっては運動療法を制限あるいは禁止したほうが良い場合があります。そのため、糖尿病合併症の評価やその他医学的評価が必要になります。

糖尿病増殖前網膜症あるいは増殖網膜症を有する場合には、息をこらえて行うバルサルバ型運動は眼底血圧の上昇につながるため避ける必要があります。運動だけでなく、日常生活でも力んだり、息をこらえたり、重量物を持ち上げるといったことは避ける必要があります。

「糖尿病性腎症」は病期によって5段階にわかれます。従来は糖尿病性腎症の患者の方に対して運動を制限する傾向がありました。しかし、適度な運動は持久力などの運動耐容能を向上させ、脂質代謝などを改善させることから、現在は病期に応じた運動を行うことを推奨しています。第3期B(顕性腎症後期)まで進行した場合は運動療法を制限する必要があります。

糖尿病神経障害では、「感覚神経障害」と「自律神経障害」を招くことがあります。感覚神経障害の場合、足に負担をかけにくい「自転車エルゴメーター」や「水泳」などの運動が望ましいとされています。重篤な自律神経障害の場合は、突然死の可能性もあるため、日常生活以外で運動を行うことは禁忌となっています。

糖尿病においては様々なリスクが潜んでいるため、リハビリテーションの実施において当然リスク管理が重要になります。このテーマについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【糖尿病患者のリハビリにおけるリスク管理についての記事はこちらから

糖尿病患者の薬物療法

2型糖尿病の治療方針は、第1に食事療法・運動療法であり、これらを2〜3か月続けても目標の血糖コントロールが達成できない場合には薬物療法を行うとされています。

入院中の高齢患者は身体に障害を抱え、認知症を合併する患者も多くいらっしゃいます。そのため、インスリン自己注射が難しい患者が多くなります。

さらに、低血糖をきたしやすくシックディに陥りやすいという特徴があるため、薬物療法において低血糖をきたしやすいインスリン療法ではなく、経口血糖降下薬での血糖コントロールが適しています。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では入院患者の血糖管理について、まとめさせていただきました!

入院している糖尿病患者の血糖管理は、日常診療で多く遭遇する課題になります。高齢者においては併存疾患のコントロールと低栄養の管理が両立しない場合もあります。

そのため糖尿病に対する厳格な血糖コントロールを行うべきではなく、低栄養の管理を優先したほうが健康寿命延長に寄与する場合もあり得ます。

低栄養については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【栄養素欠乏による低栄養についての記事はこちらから

参考文献

  1. 万行里佳.理学療法士からみた糖尿病患者の運動療法指導における現状と問題点.理学療法科学.25(3),2010,p457-462.
  2. 上月正博.リハビリテーション医療における糖尿病理学療法の重要性.理学療法学.第40巻,第8号,2013,p669-675.
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