PT/OT/ST の転職ガイド(結論)|最短 6 週間で「ミスマッチ」を減らす
転職は「勢い」よりも、棚卸し → 比較 → 書面確認で勝てます。 転職の全体フロー(最短)を 3 分で確認する
PT / OT / ST の転職は、情報の集め方を間違えると「人が良さそう」「残業なさそう」だけで決めてしまい、入職後にズレが露呈します。本記事は、転職の流れ・職場選び・面接・書類・条件交渉・赤旗を 1 本にまとめ、現場でそのまま使えるチェック形式に整えました。
ゴールは、生活と臨床の質を上げることです。判断をブレさせないために、①譲れない条件 3 つ、②比較表、③書面確定(口頭の約束を残さない)までを「型」として持っておきましょう。
転職の流れ(最短 6 週間)
起点は「退職の意思が固まった日」です。最短で進めるコツは、候補 3〜5 件を同時進行で比較し、見学・面接を同じ週に寄せて判断のブレを減らすことです。
| 週 | 目的 | やること | 合格ライン(出力) |
|---|---|---|---|
| 1 週目 | 軸を決める | 希望条件の棚卸し(勤務時間/給与/通勤/症例/教育/休日/役割) | 譲れない条件を 3 つに絞る |
| 2〜3 週目 | 求人を仮押さえ | 採用ページ・体制・症例・勤務条件を確認し、見学予約+面接日を仮確保 | 候補 3〜5 件を比較表に格納 |
| 3〜4 週目 | 見学・面接 | 業務フロー/人員配置/教育/残業/評価制度を「現場」で確認 | OK / 注意 / NG を各 3 点メモ |
| 5 週目 | 条件交渉 | 雇用条件通知の文面確認、入職日・配属・試用期間・給与レンジを調整 | 書面の不明点ゼロ |
| 6 週目 | 退職・引継ぎ | 口頭→書面、引継ぎチェック作成、有休・社保の確認 | 最終出勤日+有休消化計画が確定 |
求人チャネルの使い分け(直応募/紹介/知人づて)
結論、忙しい人ほど「比較の仕組み」が必要です。直応募=一次情報に強い一方で、比較と交渉は自力になります。紹介=非公開求人や交渉代行が強い一方、担当者の質に差があります。知人づては内部情報に強い反面、辞退・退職時に角が立つリスクがあるため、距離感を意識します。
| チャネル | 強み | 注意点 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 直応募(採用ページ) | 一次情報/選考が速い | 比較が難しい、裏事情が見えにくい | 志望先が明確/交渉も自分でできる |
| 人材紹介(医療福祉特化) | 非公開求人/条件交渉代行/日程調整 | 担当者品質に差、スピード依存 | 忙しい/比較検討したい/交渉が苦手 |
| 知人づて(紹介) | 内部情報が得やすい/配属希望が通りやすい | 辞退・退職時に角が立ちやすい | 文化適合を重視/人間関係を確かめたい |
職場選びの軸と確認方法(OK/NG 早見)
職場選びは「雰囲気」よりも、再現性のある指標で見ます。とくに差が出るのは、①人員配置(負担)、②教育(伸びるか)、③労務(燃え尽きないか)、④症例(臨床の質)、⑤評価制度(納得感)です。
| 軸 | OK(例) | NG(例) | 確認方法(質問の軸) |
|---|---|---|---|
| 人員配置・負担 | 患者属性に対し配置が妥当、休憩が取れている | 常時人手不足、過密スケジュール | 1 日担当件数/単位数/休憩取得率 |
| 教育・評価 | OJT と振り返りの仕組み、評価基準が見える | 新人任せ、評価が不透明 | 新人研修回数/症例検討会頻度/評価票の有無 |
| 労務・制度 | 残業計測と支給が明文化、有休ルールが明確 | サービス残業、振替が曖昧 | 勤怠打刻/ 36 協定/シフト決定プロセス |
| 症例・キャリア | 希望領域の症例が一定、連携が機能している | 学べない症例構成、属人的 | 疾患割合/重症度/カンファ運用 |
| 評価制度・昇給 | 等級・昇給ルールが説明できる | 「頑張り次第」で具体がない | 昇給条件/評価面談頻度/手当の根拠 |
見学・面接で必ず聞く 10 問(そのまま使える)
質問は「詰める」ためではなく、入職後のズレを消すために行います。ポイントは、①数字(件数・単位・時間)、②ルール(書面・運用)、③例外時(急変・欠勤)まで確認することです。
- 1 日の担当件数と、1 件あたりの単位/分数、残業が発生するタイミングは?
- 配属はどの病棟・ユニット想定ですか?ローテーションはありますか?
- 教育体制:OJT の内容、フィードバック頻度、症例検討の運用は?
- 評価制度の指標(等級・昇給ルール)は説明できますか?資料はありますか?
- 急変対応・処置同席・吸引などのルールと体制は?(誰が判断し、誰が支える?)
- カルテ種別、記録 1 件あたりの標準所要時間は?
- 休日体制・当直/オンコールの有無と手当、代休運用は?
- 試用期間の待遇(給与・手当・評価方法)は本採用と差がありますか?
- 設備・物品・学会参加や研修補助は、実際どの程度使われていますか?
- 直近 1 年の退職理由の傾向は?(差し支えない範囲で)
書類の作り方(骨子テンプレ)|通過率を上げる 3 段構成
履歴書・職務経歴書は「盛る」よりも、再現性のある強みを相手の要件語に合わせて提示すると通ります。書き出しは短く、名詞+数字+貢献で固めます。
| 段 | 書く内容 | ワンポイント |
|---|---|---|
| ① 実績 | 担当領域/症例ボリューム/チーム貢献(教育・委員会・改善) | 数字と名詞で具体化(「何を」「どれくらい」) |
| ② 強み | 評価・介入の得意領域/連携スキル/指導経験 | 求人票の要件語に合わせて表現を寄せる |
| ③ 志望・貢献 | 入職後に達成したいこと/部署への貢献像 | 病院の方針・患者層に接続して「なぜここか」まで言う |
条件交渉のポイント(提示前 → 書面確定)
交渉は「強気」ではなく、根拠と順番で通します。固定額を言い切るより、実績 → 市場レンジ → 希望レンジの順に提示すると合意が作りやすいです。
- 提示前:希望は「給与だけ」でなく、配属・勤務形態(常勤/非常勤)・役割・当直/オンコール・研修補助までセットで整理します。
- 内定連絡〜書面提示:「総額」で比較します(基本給+手当+賞与+固定残業の有無)。不明点は必ず書面で確認します。
- 書面確定:入職時期は引継ぎと有休消化を根拠に調整し、最終出勤日も同時に確定します。
レッドフラッグ(注意信号)|避けるべきパターン早見
赤旗は「雰囲気」ではなく、説明できない/書面にできないで見抜けます。言い回しが柔らかくても、運用が曖昧ならリスクは残ります。
| 危険サイン | なぜ危険? | 切り返し質問(確認) |
|---|---|---|
| 「残業はあるが皆頑張っている」 | 計測・支給・是正の仕組みがない可能性 | 残業の平均時間、打刻方法、申請・承認フローを教えてください |
| 教育・評価が口頭のみ | 属人化して成長が運任せになりやすい | 初月の OJT 計画、評価票(等級)の説明資料はありますか |
| 配属が「入ってから」 | 希望と現実のズレが大きくなりやすい | 配属決定の基準と、入職前に確認できる範囲を教えてください |
| 多職種連携の場が見えない | 情報共有が弱く、事故・負担が増えやすい | 定例カンファの頻度、参加職種、議題の例を教えてください |
| 退職・有休の運用が曖昧 | 揉めやすく、転職計画が崩れやすい | 退職申し出の期限、有休消化の実績、引継ぎの標準手順は? |
現場の詰まりどころ(よくある失敗 → 対策)
転職がうまくいかない原因は、能力ではなく「順番」のミスがほとんどです。ここを先に潰すだけで、ミスマッチと消耗が減ります。
| よくある失敗 | 起きること | 対策(今日やる 1 手) |
|---|---|---|
| 条件の棚卸しが曖昧 | 比較軸がなく、面接で迷う | 譲れない条件を 3 つに固定し、他は「妥協可」に分類する |
| 候補を 1 件ずつ検討 | 判断がブレる、疲れる | 候補 3〜5 件を同時進行、見学・面接を同じ週に寄せる |
| 雰囲気で決める | 入職後に負担・制度が判明 | 担当件数/残業計測/教育計画/評価制度を「数字と書面」で確認 |
| 交渉を遠慮してしまう | 条件が不利なまま確定 | 「実績 → 市場レンジ → 希望レンジ」の順に、レンジで提示する |
| 口頭の約束で進める | 配属・手当・試用期間で揉める | 雇用条件通知・内定書面で不明点をゼロにしてから決める |
よくある質問(FAQ)
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在職中に動く場合、いちばん大事なコツは?
結論、比較の同時進行です。平日夕方の見学枠を先に押さえ、候補 3〜5 件を並列で進めます。面接日も同じ週に寄せると、判断のブレが減ります。
年収交渉はいつ、どう伝えるのが安全ですか?
内定連絡〜書面提示の間が動かしやすいタイミングです。固定額で押し切るより、実績 → 市場レンジ → 希望レンジの順で、レンジ提示にすると合意が作りやすいです。手当(当直/オンコール/通勤)を含めて総額で比較します。
ブランク明けで不安です。見学で何を見ればいい?
初月の教育計画が出る職場は適応しやすいです。OJT の担当、記録のレビュー頻度、カンファ参加の段階、学習支援の仕組みが「運用として」あるかを確認しましょう。
「レッドフラッグ」が 1 つでもあったら即 NG ですか?
即 NG と決めるより、書面化できるかで判断すると安全です。残業・教育・評価・配属・有休のいずれかが曖昧なら、切り返し質問で具体化し、それでも不明ならリスクが残ります。
おわりに
転職は、棚卸し → 比較 → 見学 → 書面確認 → 交渉 → 退職手続きの順番を守るだけで、ミスマッチが大きく減ります。面談準備チェックと職場評価シートで最短で整理したい方は、こちら(面談準備チェック&職場評価シート)もあわせて使ってください。
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


