新卒 PT の初任給と手取り早見表|明細と交渉チェック

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この記事でわかること(結論)

【面接で使える】給与交渉テンプレを見る

新卒の理学療法士( PT )の初任給は、総支給で 20〜26 万円が主流で、手取りは条件にもよりますが 約 17〜22 万円が目安です。本記事は「手取り早見表」「給与明細の読み方」「面接での交渉チェックリスト」の 3 点を軸に、求人票で見落としやすい固定残業や手当の扱いまで実務目線で整理します。

先に結論だけ知りたい方は「手取り早見表」→「明細の読み方」→「交渉チェックリスト」の順で読むと、迷いどころを最短で潰せます。

相場の見方(施設種別・地域差・「手当込み」に注意)

初任給は 施設種別(急性期/回復期/維持期/訪問)地域(都市部>地方)手当の含み方で見え方が大きく変わります。募集要項は「総支給」「基本給」「諸手当」「固定残業」の区別を必ず確認しましょう。とくに住宅・資格・皆勤は、支給要件と金額の変動幅が大きく、手取りの体感差に直結します。

客観指標としては、厚生労働省の 賃金構造基本統計調査 がベースになります。学歴区分や年齢階級、医療・福祉の産業分類を参照し、求人票の提示額が「施設・地域の中央値に対して高いのか/手当込みで見せているのか」を見立てるのがコツです。

現場の詰まりどころ(新人がつまずく 5 つ)

初任給の情報は「額面」と「手取り」が混ざりやすく、比較の軸がブレると一気にしんどくなります。ここは新人が詰まりやすいポイントを先に固定しておくと、求人比較と面接がラクになります。

新卒 PT が詰まりやすいポイントと、最短の確認手順
詰まりどころ 起きること 最短の対処
「総支給」が高いのに手取りが伸びない 課税手当や固定残業の比率が高く、控除も増える 基本給/手当/固定残業の内訳を数値で分解して比較する
入職数か月は明細が高く見える 住民税が未開始で、翌年から手取りが落ちる 翌年 6 月以降の手取りも想定して生活費を設計する
固定残業の「時間数」が曖昧 超過時の支払いが不明で、時間外が常態化しやすい 見なし時間/超過時の割増/支給実績を面接で確認する
住宅手当が「もらえる前提」になっている 世帯主要件・契約名義などで対象外になる 支給条件(世帯主/距離/名義)を先に聞く
初年度賞与の期待値がズレる 在籍要件で「寸志のみ」「満額対象外」になりやすい 初年度の支給ルール評価基準をセットで確認する

手取り早見表(概算)と計算ロジック

以下は 独身・関東例・住民税あり のざっくり目安です(社会保険・税で 18〜20%前後の控除を仮置き)。住民税は原則翌年 6 月から発生するため、入職初年度は明細がやや高く出るケースがあります。

月給の総支給から手取りの概算(成人・新卒 PT ・ 2025 年例)
総支給(月) 手取り目安 想定控除率
200,000 円約 164,000 円18%
220,000 円約 181,000 円18%
240,000 円約 199,000 円17%〜19%
260,000 円約 216,000 円17%〜19%
280,000 円約 234,000 円17%〜19%

計算の流れ:総支給 −(健康保険・厚生年金・雇用保険)− 所得税 − 住民税(翌年〜) ± 通勤費の非課税分。固定残業代・住宅手当・家族手当などの構成で実額がブレるため、早見表はあくまで目安として使い、面接では「内訳の数値」を必ず取ってから判断しましょう。

給与明細の読み方(固定残業の罠を回避)

明細は「支給」と「控除」を分けて読み、基本給に固定残業が含まれていないか、含む場合は時間数・超過時の割増まで明示されているかをチェックします。住宅・通勤・資格手当は支給条件と課税区分も確認しましょう。

給与明細の主要項目とチェックポイント(新卒 PT 向け)
項目 見方/注意点
基本給 昇給・賞与のベース。固定残業を含めないのが望ましい。含む場合は「○時間分」「超過時の割増率」「超過分の支払い」の 3 点を確認。
各種手当 資格/職務/皆勤/住宅/通勤など。支給条件(距離・世帯主・名義)と、課税/非課税をセットで見る。
固定残業代 見なし時間が非現実的でないか。超過分が別途支給されるか。月の残業実績との整合を確認。
社会保険 健康保険・厚生年金・雇用保険。標準報酬月額で決まるため、手当増額で控除も増える。
税金 所得税は月次天引き、住民税は翌年 6 月から前年所得に基づいて開始。

求人票は「総支給」を大きく見せがちです。実際の可処分を把握するには、基本給:手当:固定残業=何:何:何かを先に固定してから比較しましょう。

初任給の交渉チェックリスト(質問例と一言テンプレ)

新卒でも、確認すべきは「情報の透明性」です。条件を明確化する質問を用意しておくと、内定後のミスマッチ回避に直結します。

面接で確認したい質問リスト(目的つき)
質問 意図
基本給と諸手当の内訳を数値で教えてください。 総支給の見せ方を分解し、将来の昇給基盤を把握。
固定残業の時間数と、超過時の割増率・支払い方法は? 見なしの適正と、超過分の支払い有無を確認。
住宅・通勤・資格手当の支給条件と課税区分は? 手取りに効く条件か(非課税か)/対象外リスクを潰す。
休日出勤の有無と単価、月の平均回数は? 働き方と収入のブレ幅を把握。
昇給・賞与の評価基準と平均実績は? 将来の年収カーブを見立てる。
初年度の賞与は満額対象ですか? 在籍要件は? 「寸志のみ」「満額対象外」のズレを事前に回避。

一言テンプレ:「内訳まで理解した上で長く働きたいので、基本給・手当・固定残業の内訳と、超過時の割増と支給実績を数値で教えていただけますか。」

現場の実感(ケースで掴む相場感)

回復期リハ病棟

固定残業は少なめでも、早出・委員会・記録で時間外が発生しやすい傾向があります。住宅手当の有無で手取りが 5,000〜20,000 円ほど変動することもあり、初年度賞与が低め(在籍要件で満額対象外)になりやすい点も要確認です。

訪問リハ

歩合色が強い場合は件数と体制で年収差が大きくなります。固定給+インセンティブ型でも、新人期は移動・同行が多く、歩合が乗りにくい時期があるため「初年度の現実的な件数レンジ」を確認しておくと安心です。

急性期・外来

基本給は相対的に高めでも、シフトの影響で手当構成が複雑になりがちです。研修会・学会補助の有無は自己負担と学習機会に波及するため、給与だけでなく「成長コスト」も一緒に見立てましょう。

公務員(行政・病院等)

俸給表に沿って決まるため透明性は高めです。一方で初任給の上振れは起こりにくく、手当の要件(住居・通勤・扶養)や異動の頻度が生活設計に影響します。数字の比較に加えて「異動の範囲」「当直の有無」もセットで確認するとズレが減ります。

FAQ

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

新卒 PT の「手取り」はいくらが目安?

地域・手当・住民税の有無で差はありますが、総支給 20〜26 万円に対し手取りは概ね 17〜22 万円が目安です。まずは「手取り早見表」のレンジで生活費を仮置きし、面接で内訳を詰めると失敗しにくいです。

住民税はいつから引かれる?

原則、翌年 6 月から前年所得に基づいて天引きが始まります。入職初年度は住民税がなく、翌年以降に差が出るため、初年度の手取りだけで家賃や固定費を決めないのが安全です。

固定残業代がある求人は避けた方がいい?

一概に NG ではありませんが、見なし時間・超過時の割増・支払い方法が明記されているかを確認しましょう。月の残業実績と見なし時間が噛み合っているかが判断の軸になります。

ボーナス(賞与)はいつから?

多くは在籍要件があります。「入職初年度は満額支給対象外」「寸志のみ」などの運用もあるため、初年度の支給ルールと評価基準の両方を確認するとズレが減ります。

回復期と訪問、どちらが収入は上がりやすい?

訪問は上振れしやすい一方、新人のうちは件数が伸びにくい時期があります。回復期は安定的ですが、賞与テーブルや昇給幅で年収が決まりやすいので、将来カーブの確認が重要です。

夜勤なしは不利?

夜勤手当がない分の上振れは期待しづらいですが、生活リズムと学習時間の確保で成長効率は上げられます。昇給基準と評価の透明性を重視すると、長期的な損を避けやすいです。

おわりに

初任給の比較は「安全に働ける体制を確認 → 明細で内訳を分解 → 面接で数字を回収 → 条件を揃えて再比較」の順で進めると、手取りの見込みと働き方のズレが一気に減ります。面談前の準備を最短で整えるなら、マイナビコメディカルの面談準備チェック&職場評価シートを使って質問を手元に揃えておくと安心です。

参考文献

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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