OH スコア別マットレス選定・介入プロトコル(成人 2025 年版)
本稿は「OH スコアをどう使うか」に特化した 院内プロトコル案 です。カットオフや定義の詳細は別稿に譲り、ここではスコア帯ごとの支持面(マットレス)・体位変換・踵免荷・教育・再評価の“運用”を 1 ページに集約しました。国際/国内ガイドラインの趣旨(支持面+計画的体位変換の強い推奨)を踏まえつつ、現場実装しやすい形に落とし込みます。
OH の素性と評価手順は既存記事をご参照ください:OH スケールとは(評価表 DL) / 支持面の基礎は マットレスの種類と選び方 が詳しいです。
スコア帯 × 介入(早見表)
下表はガイドラインの原則(支持面+体位変換)を土台に、OH スコア帯での 運用の推奨例 を提示したものです。個々の皮膚所見、体圧、マンパワー、機器の種類により調整してください。
スコアは「判断材料」。所見・環境と統合して意思決定します。
OH 合計 | 支持面 | 体位変換 | 踵免荷 | 再評価 |
---|---|---|---|---|
0 | 標準〜静止型 | 自立支援中心 | 必要時 | イベント時 |
1–3(軽度) | 静止型 or 低圧保持 | ≤ 4 h | 基本実施 | 48 h 以内 |
4–6(中等度) | 静止型 → 圧切替を検討 | ≤ 2–4 h | 常時免荷具 | 24–48 h |
7–10(高度) | 圧切替/自動体位変換 | ≤ 2–3 h(実行可能性で調整) | 厳格免荷 | 12–24 h |
実装のステップ(運用のコツ)
① 支持面選定:骨突出・微気候・ずれ/摩擦の 3 要素で評価し、必要に応じて圧切替や自動体位変換を導入します。② 体位変換:マットレス種別で最適間隔は変わるため“一律 2 時間”に固執しない。③ 踵:枕/専用具で浮かせ、ベッド角度で踵圧集中を回避。
④ 記録:スコア内訳・皮膚所見・介入・次回再評価の時刻を必須項目に。⑤ 教育:患者・家族へ支持面の扱い(空気量・向き・日次点検)と やらないこと(円座・骨突出部マッサージ)を明記。
コピペ用:記録テンプレ(OH 版)
S)____。O)OH __(体位変換__・骨突出__・浮腫__・拘縮__)。仙骨__/踵__。A)リスク__(軽/中/高)。P)体位変換 ≤ __ h、踵免荷、支持面__に変更、教育__、次回__ h 後に再評価。
運用の全体像は 褥瘡の発生要因 も参照。
よくある質問(簡易)
Q1. 体位変換は 2 時間固定ですか?
A. マットレスの種類・皮膚所見・マンパワーで最適間隔は変わります。圧切替・自動体位変換でも“ゼロ圧”にはならないため、所見ベースで見直します。
Q2. 円座は使ってよい?
A. 推奨されません。局所圧上昇や悪化報告があります。代替は踵免荷・体位調整・支持面の最適化です。
まとめ
OH スコアは 0–10 点の簡便指標で、介入の優先度付けと再評価サイクル(おおむね 12–48 h)を設計するのに有用です。中等度以上では支持面の再検討と体位変換の頻度見直し、踵免荷の徹底をセットで。対象や場面に応じてブレーデンや K 式などの併用も検討し、チームで標準化しましょう。
基礎解説は OH スケールとは(評価表 DL) をご参照ください。