【OHスケール|褥瘡評価表】4つの危険因子でリスクアセスメント

褥瘡対策
記事内に広告が含まれています。
リハビリくん
リハビリくん

いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「OHスケール」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

   

褥瘡は発生してしまってから治すより、未然に発生を予防できればそれに越したことはありません。発生を防ぐためにはどうすればいいのか?そこで効果を発揮するのがリスクアセスメントスケールになります。

   

褥瘡の発生を防止するにはリスクアセスメントツールを活用し、様々な褥瘡発生要因からその対象者の褥瘡発生リスクを評価し、リスクに応じた予防策を実施することが重要になります。

  

今までに褥瘡発生リスクが高い患者および利用者を抽出するためにいくつものリスクアセスメントスケールが考案されてきました。その中で、日本でよく使用されていて、簡便で使用しやすい評価法の1つとしてOHスケールを推奨することができます。

   

こちらの記事では、OHスケールの評価方法を解説し、すぐにでも臨床でOHスケールを活用した評価ができるように、Excelファイルの評価表をダウンロードできるようにしてあります。是非ご活用して頂ければと思います!

リハビリくん
リハビリくん

【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。

  

主な取得資格は以下の通りです

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。

  

こちらの記事は検索ワードのランキング 2 位を獲得しております。"理学療法士は生活できない?PTが転職を考えるべき7つのタイミング"興味がある方は、こちらの記事も目を通してくれると幸いです☺

褥瘡のアセスメント

褥瘡とは、身体いずれかの部位の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができた状態のことを指します。日本褥瘡学会は褥瘡について以下のように定義しています。

「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる」

褥瘡ができてしまうと、患者に苦痛が生じるだけではなく、もとの原因疾患に対する治療が遅延したり、金銭的な負担の発生に繋がったり、転院先の選択肢が狭まったり、あらゆる弊害が生じます。

このような褥瘡を予防するためには、褥瘡のリスクアセスメントが必要になります。褥瘡のリスクアセスメントを適切に行うことで、褥瘡のリスクを評価し、予防策を講じることができます。

褥瘡の危険因子評価

褥瘡のリスクアセスメントには、褥瘡の危険因子評価が必要になります。褥瘡の危険因子評価には、以下のような項目があります。

  • 基本的動作能力
  • 病的骨突出
  • 関節拘縮
  • 栄養状態低下
  • 皮膚湿潤(多汗、尿失禁、便失禁)
  • 皮膚の脆弱性(浮腫)
  • 皮膚の脆弱性(スキン- テアの保有、既往)

OHスケールとは

OHスケールは、寝たきり高齢者・虚弱高齢者を対象として得られた褥瘡発生危険要因を点数化していることが特徴になります。自力体位変換能力、病的骨突出、浮腫、関節拘縮の 4 項目について点数を付け、合計点数でリスク評価をします。合計点数 1~3 点は軽度レベル、4~6 点は中等度レベル、7~10 点は高度レベルになります。

評価項目が 4 項目と少ないため、短時間で評価することができます。また、合計得点によりどのようなタイプのマットレスを用いるべきなのか判断することができます。

褥瘡予防・管理ガイドライン OHスケール推奨度

日本褥瘡学会の褥瘡予防・管理ガイドラインでは、高齢者のリスクアセスメント・スケールとして「推奨度C1」となっています。

OHスケールの評価表、評価用紙

OHスケールの評価表をダウンロードできるようにしてあります。

評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺

OHスケールの評価項目と評価方法

危険要因は、①自力体位変換能力 ②病的骨突出(仙骨部) ③浮腫 ④関節拘縮 の4つになります。その合計点で危険度レベル(1〜3点:軽度、4〜6点:中等度、7〜10点:高度)を決め、体圧分散マットレスの適切な選択に繋げます。

自力体位変換能力

対象者本人の力で、意識的か無意識的かは問わずに、身体に加わった圧力とずれ力に対して有効に体位を変え、軟部組織の血流を改善できるかを判定します。

健常人と比べてもまったく問題ない場合を 0点、自力ではまったく動けない場合を 3点とし、その中間であるどちらでもない場合を 1.5点と判定します。

寝たきりで体位変換を全介助で行っている方に対して、3点をつける場合があると思いますが、本当にまったく体動がないのか注意してみてください。

足を不随意的に動かすような行動が結果的に圧やずれ力の軽減に繋がっていたり、上肢をもぞもぞと動かすような行動により、背部の局所圧の軽減に繋がっている可能性があります。その場合の採点は1.5点になりますのでご注意下さい。

完全に「できる」あるいは完全に「できない」以外のものは全て「どちらでもない」で採点します。また、すべての判定に共通することですが、迷った場合は高い点数で採点してください。

病的骨突出

測定肢位は側臥位で下肢を伸ばし、少しうつ伏せ気味の体位となっています。しかし、下肢に屈曲拘縮があり足が伸ばせない場合や、人工呼吸器を装着しておりうつ伏せが取れない場合もあるため臨機応変な対応が必要になります。

判定する位置は仙骨の中央で骨が一番後方に飛び出した部分とし、脊柱に直行したライン上で仙骨部がどの程度飛び出しているかを計測します。

この判定には専用の判定器を使うと便利です。

健康な状態では,仙骨の中央部は左右の臀筋や皮下脂肪などが骨の突出部よりも飛び出しており、外力が仙骨部に集中しないようになっています。

判定器の真っ直ぐな方を当てたときに中央に空間が観察できる状態を 0点とします。

そして仙骨を守る臀筋や皮下脂肪が失われ、凹みがなくなった状態(お尻の高低差がなくほぼ平らな状態)を1.5点(軽度)とします。

判定器の真っ直ぐではない方を当てたときに、両方の脚がつくような状態を1.5 点(中等度)とします。

仙骨部が明らかに飛び出していて、骨突出部から左右の8 cm離れた部分と2cm以上の高低差がある状態が3点(高度)とします。因みに判定器の真っ直ぐではない方を当てたときに、一方の脚でも浮くような状態であると3点になります。

浮腫

親指で5秒間圧迫した結果、指の痕がすぐ消えるようであれば「浮腫なし:0点」

指の痕がなかなか消えないようであれば「浮腫あり:3点」と判定します。

関節拘縮

全身の関節の動きを確認して一箇所でも拘縮があれば「あり:1点」と判定します。一箇所もなかったら「なし:0点」と判定します。

股関節や膝関節等の大関節に関節可動域制限がないのに、手指の拘縮があるだけでも「あり」という判定になってしまうのか?と筆者も疑問を感じたときがありましたが、説明文を読みとるとそういうことになるようです。

OHスケールによる褥瘡予防・治療・ケア エビデンスのあるマットレス・福祉用具の選び方 [ 大浦武彦 ]

価格:2,200円
(2022/10/3 08:36時点)
感想(0件)

カットオフ値

カットオフ値は特別ありませんが、合計点により褥瘡発生リスクが低いのか高いのかを予測することができます。

褥瘡のリスクアセスメントスケール一覧

褥瘡の発生要因には、「応力(圧縮応力・引張応力・剪断応力)×時間×頻度」、基本的動作能力、病的骨突出、関節拘縮、栄養状態、皮膚湿潤、皮膚の脆弱性などの危険要因、「環境とケアの要因」とさまざまな要素が複雑に関与しています。

このような理由から褥瘡発生に関係する、さまざまな側面を総合的に捉えて、褥瘡リスクを判定する必要があります。今回紹介したリスクアセスメントスケールの OH スケール以外にも効果が認められているリスクアセスメントスケールが開発されており、それが以下の 3 つになります。

  • ブレーデンスケール
  • 厚生労働省危険因子評価票
  • K式スケール

これらのリスクアセスメントスケールについては別の記事“【褥瘡のリスクアセスメント】OHスケールやK式スケール4種を解説”でまとめているため、こちらもご覧になっていただけると幸いです。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事ではOHスケールについてまとめさせていただきました!

OHスケールは筆者が最もよく使うリスクアセスメントスケールになります。実際、臨床では短時間に評価が出来るというメリットは大きく、評価法がなくてもアセスメントすることができるのは強みです。

また、OHスケールの合計点でマットレスを根拠を持って選択するできるという要素もあります。これらのことから筆者の勤務先では、新しく入院患者様が来院された時にOHスケールにより褥瘡発生リスクを判定し、使用するマットレスを決定するといった取り組みを行なっております。

OHスケールは非常に使いやすい評価法であるため、是非試しに使ってみてほしいなと思います。

この記事ではOHスケールについて説明しましたが、褥瘡におけるその他のリスクアセスメントスケールについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【褥瘡のリスクアセスメントスケールについての記事はこちらから

参考文献

  1. 岡田克之.褥瘡のリスクアセスメントと予防対策.日本老年医学会雑誌,50巻,5号,2013:9,p583-591.
タイトルとURLをコピーしました