理学療法士の1日スケジュール例|回復期・訪問の違い
この記事で答えるのは、理学療法士の 1 日が 回復期と訪問でどう違うか、どこで忙しさが増えるか、どの順で直すと回りやすくなるかの 3 点です。学生・新人・転職検討中の方でも全体像をつかめるよう、モデル日課と詰まりどころを先に整理します。
単なる時間割ではなく、割り込み専用バッファ/同系症例の連続化/記録バッファの固定まで見える化しました。さらに、日課の詰まりを 1 枚で点検できる A4 記録シート PDF も載せているので、読んで終わりではなく、そのまま見直しまで進められます。
回復期と訪問の違いを 30 秒で
※表は横スクロールできます。
| 見るポイント | 回復期 | 訪問 | 最初の一手 |
|---|---|---|---|
| 時間が押されやすい理由 | 病棟都合、カンファ、家族説明、急な依頼 | 移動遅延、電話連絡、追加訪問、報告書 | 「何に割り込まれるか」を 1 週間だけ記録します。 |
| 先に固定したい枠 | 昼の記録バッファ | 移動+連絡の余白 | 先に空白を置いてから予定を埋めます。 |
| 連携の重さ | 院内多職種と同時進行で進みやすい | ケアマネ・家族・主治医との外部連携が多い | 連絡を分散させず、まとめる時間帯を決めます。 |
| 夜に残りやすい仕事 | 記録、会議準備、家族対応の後処理 | 記録、報告、翌日の訪問準備 | 「夕方に残る仕事」を先に昼と夕方へ分けます。 |
現場の詰まりどころ(先に潰すと楽になる)
先に「どこで詰まるか」を掴むと、モデル日課の見え方が変わります。迷ったら よくある失敗 → 日課設計のコツ の順で確認し、仕事内容全体と書類の流れも整理したい場合は 理学療法士の仕事内容ガイド をあわせて読むと噛み合いやすいです。
※表は横スクロールできます。
| 詰まりどころ | 起きやすいこと | 先回りの打ち手 | 記録・見える化のコツ |
|---|---|---|---|
| 割り込みで予定が崩れる | 呼出・緊急対応で連鎖的に遅れる | 毎日「割り込み専用バッファ( 30〜60 分 )」を固定し、突発対応をそこに集約します。 | 割り込み件数と所要時間を 1 週間だけメモし、バッファが足りるか検証します。 |
| 同じ説明を何回もして疲れる | 説明フレーズ・準備物の切替が多い | 同系症例を連続配置し、説明フレーズと準備物を共通化します。 | よく使う説明を 3 行テンプレにし、口頭説明のブレを減らします。 |
| 記録が夜に残る | 夕方にまとめて書こうとして崩れやすい | 昼に「記録バッファ」を置き、午前分だけでも必ず完了します。 | 午前終了時点で未記録件数を見える化し、まず 0 を習慣化します。 |
| 面談が重め介入を潰す | 家族説明・調整で集中が切れる | 面談・説明は午後に寄せ、午前は身体負荷が高い症例を集中配置します。 | 面談は「現状 → 選択肢 → 次の一手」の順に固定して長引きを防ぎます。 |
| 評価が膨らむ | 毎回フル評価になって時間が溶ける | スクリーニング → 必要時に詳細の段階化で時間を守ります。 | 再評価は「前回から変化が出そうな 2〜3 項目」に絞って仮説検証します。 |
回復期の 1 日(モデル日課)
※表は横スクロールできます。
| 時間 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 8:30 | 申し送り・当日目標の確認 | 午前は重め症例を集中配置し、午後は軽め+説明系で切替負担を減らします。 |
| 9:00 | 症例 A〜C(同系疾患を連続) | 準備・説明・片付けを共通化し、周辺作業を削減します。 |
| 12:00 | 記録バッファ/昼休憩 | 午前分の記録をここで終え、午後の遅延を防ぎます。 |
| 13:30 | 症例 D〜F/家族説明・退院調整 | 面談は軽め症例の合間に置き、集中が切れる前提で間を作ります。 |
| 16:00 | カンファ準備・書類 | 評価・要約は「前日ドラフト → 当日加筆」の二段構えで時間を守ります。 |
| 16:30 | 割り込み専用バッファ( 30〜60 分 ) | 突発対応はこの枠で処理し、残業の常習化を防ぐ安全余裕にします。 |
訪問リハの 1 日(モデル日課)
※表は横スクロールできます。
| 時間 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 9:00 | 午前 3 件(近接ルート化) | 移動距離の短縮を最優先にし、道具は午前用を事前にまとめて積載します。 |
| 12:30 | 休憩・移動(連絡もまとめる) | 電話連絡や調整はこの時間帯にまとめ、訪問時間の集中を守ります。 |
| 13:30 | 午後 3 件(家屋評価が続く日は連続配置) | 同系作業をバッチ化し、説明はテンプレ化して短く漏れなく伝えます。 |
| 17:00 | 記録一括・翌日準備 | メモ(要点)→ 夕方一括清書の流れにし、訪問中の脳内保持を減らします。 |
日課設計のコツ(共通)
“忙しさ” は時間の総量よりも、切替と割り込みの増え方で体感が跳ね上がります。下の順番で整えると、改善が早くなります。
※表は横スクロールできます。
| 設計ポイント | ねらい | 最初の動かし方 |
|---|---|---|
| 同系症例の連続化 | 準備・説明・片付けの共通化で周辺作業を減らす | 疾患、介助量、説明内容が近い症例を並べます。 |
| 割り込み専用枠の固定 | 予定崩壊を吸収して残業を抑える | 毎日 30〜60 分の空白を先に確保します。 |
| 評価の段階化 | 毎回フル評価を避けて介入時間を守る | スクリーニングと詳細評価を分けます。 |
| 昼に 1 回記録を終える | 夕方の焦りと未記録の持ち越しを防ぐ | 午前分だけでも必ずその日に閉じます。 |
| 面談・説明を午後に寄せる | 重め介入との切替負担を減らす | 午前は身体負荷が高い介入へ寄せます。 |
| 導線を塊で処理する | 移動ロスと探し物を減らす | 病棟・フロア・訪問ルートをまとめて回ります。 |
よくあるパターン別サンプル
※表は横スクロールできます。
| パターン | 午前 | 午後 | 備考 |
|---|---|---|---|
| カンファが多い日 | 介入(重め)→ 軽め+ドラフト確認 | 家族説明・会議・加筆 | 会議資料は前日ドラフト済みにし、会議前後へ 10〜15 分の余白を置きます。 |
| 評価が多い日 | 評価 × 2 → 介入(軽め) | 評価 × 1 → 記録一括 | スクリーニング → 詳細の段階化で、「評価日でも介入が回る」形にします。 |
よくある失敗(ここだけ直すと一気に楽になる)
※表は横スクロールできます。
| 失敗 | なぜ詰まる? | 修正の第一手 | 次にやること |
|---|---|---|---|
| 予定を分刻みで詰める | 割り込み 1 回で連鎖崩壊します。 | 30〜60 分の割り込みバッファを固定します。 | 会議前後に 10〜15 分の余白を足します。 |
| 重め介入の直後に面談を入れる | 切替が重く、説明が長くなりやすいです。 | 面談・説明を午後へ寄せます。 | 説明テンプレ( 3 行)を作って短縮します。 |
| 記録を夕方にまとめて書く | 夕方の割り込みで残業が固定化します。 | 昼に記録バッファを作って午前分を完了します。 | 午前終了時点の未記録件数を 0 にします。 |
| 毎回フル評価してしまう | 評価が膨らみ、介入時間が削られます。 | スクリーニング → 必要時に詳細へ段階化します。 | 再評価は変化が出そうな 2〜3 項目に絞ります。 |
1 日スケジュール点検シート PDF
読んで終わりにせず、実際の 1 日を見直したいときは、下の記録シートを使ってください。割り込み、記録の遅れ、面談の偏り、再設計メモを A4 1 枚にまとめて可視化できるので、「どこを先に直すか」が決めやすくなります。
この場でプレビューする
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
何分刻みでスケジュールすべき?
基本は単位・評価の枠で管理し、日次では バッファ( 30〜60 分 )を必ず固定します。分単位で過密にすると、割り込みが入った瞬間に連鎖して崩れやすくなります。
残業が続くときの見直し順序は?
①同系症例の連続化 → ②面談・説明を午後に寄せる → ③昼の記録バッファ固定 → ④導線最適化 → ⑤担当配分の再設計 の順で見直すと戻しやすいです。最初に割り込み専用バッファを入れると、改善の体感が早く出ます。
新人に向いた配列は?
午前:重め 1 +軽め 1/午後:軽め 2 +面談 1 など、切替が少なく成功体験を積みやすい配列が向いています。最初から割り込みバッファもセットで教えると、崩れにくくなります。
訪問で連絡が多くて回らないときは?
連絡は分散させず、昼休憩帯にまとめるのが基本です。訪問中はメモだけ残し、夕方の一括記録とセットで処理時間を固定すると、訪問時間の集中が守れます。
見学・面談では何を確認すべき?
「記録は勤務時間内に終わる運用か」「割り込みや急な依頼を誰が吸収しているか」「訪問は担当エリアと件数がどう決まるか」など、1 日の回し方を具体的に聞くと差が見えやすいです。求人票の条件だけでなく、実際の運用で確認するとミスマッチが減ります。
次の一手
次に読む順番は、全体像 → 向き・不向き → 条件確認 です。いきなり求人票だけを見るより、「自分に合う働き方」と「見学で確認すべき点」を先に固定すると判断がブレにくくなります。
条件整理のあとに、求人の見方と動き方もまとめて確認しておきましょう
無料チェックシートを確認する参考文献
- Li SYW, Magrabi F, Coiera E. A systematic review of the psychological literature on interruption and its patient safety implications. J Am Med Inform Assoc. 2012;19(1):6-12. DOI: 10.1136/amiajnl-2010-000024
- Pinevich Y, Liebl M, Hannawa AF, et al. Electronic health record time: a systematic review of the literature. Appl Clin Inform. 2021;12(4):788-799. DOI: 10.1055/s-0041-1733909
- Schwartz-Dillard J, Ng T, Villegas J, Johnson D, Murray-Weir M. Electronic documentation burden among outpatient rehabilitation therapists: a qualitative descriptive study and quality improvement initiative. J Am Med Inform Assoc. 2024;31(10):2347-2355. DOI: 10.1093/jamia/ocae192. PubMed: PMID: 39042519
- Shan G, Jongerden IP, Zegers M, et al. Workflow interruption and nurses’ mental workload in electronic health record tasks: an observational study. BMC Nurs. 2023;22:101. DOI: 10.1186/s12912-023-01209-9
- Levy M, Meystre SM. Interventions addressing documentation burden in the electronic health record: scoping review. Appl Clin Inform. 2024;15(3):598-610. DOI: 10.1055/a-2385-1654. PubMed: PMID: 38568669
- Stangl P, Riedl R. A state of the art literature review on positive and negative effects of interruptions. In: Human-Computer Interaction. 2023. DOI: 10.1007/978-3-031-42293-5_38
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


