理学療法士は勝ち組?それとも負け組?PTのメリットとデメリット

理学療法士とは
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リハビリくん
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いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「理学療法士は勝ち組なのか?」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

   

理学療法士は職業として勝ち組といえるのでしょうか?年間 10,000 人増えているため人気がある職業だとは思います。しかし実際のところ、給料や仕事のやりがい、理学療法士として働くメリット・デメリットはどうなのでしょうか?理学療法士という職業が勝ち組なのか否か、考察しながら解説していきたいと思います。

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。

  

主な取得資格は以下の通りです

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。

  

こちらの記事は検索ワードのランキング 2 位を獲得しております。"理学療法士は生活できない?PTが転職を考えるべき7つのタイミング"興味がある方は、こちらの記事も目を通してくれると幸いです☺

理学療法士の働き方

医療機関で働く理学療法士の基本的な働き方として、1 単位あたり 20 分の疾患別リハビリテーション料を 1 日に ⚪︎ 単位程度取得するといったノルマが職場ごとに設定されているのが、基本になります。

急性期、回復期、生活期と医療機関の機能にもよって目安は異なると思いますが、一般的には 1 日 18 〜 21 単位程度取得している理学療法士、作業療法士が多いのではないかと考えます。

理学療法士の働き方を想像しやすいように、実際に筆者の 1 日(9 時 – 17 時の 7 時間労働)をご紹介します。因みに筆者の勤務地では 1 日 18 単位を取得することになっております。下記のタイムスケジュールをご覧ください。


  • 8 時:出勤
  • 8 時 55 分:朝礼
  • 9 時 00 分:診療開始→各病棟に移動する
  • 9 時 05 分〜 9 時 45 分:2 単位リハ実施(合計 2 単位)
  • 9 時 50 分〜 10 時 30 分:2 単位リハ実施(合計 4 単位)
  • 10 時 33 分〜 10 時 53 分:1 単位リハ実施(合計 5 単位)
  • 10 時 57 分〜 11 時 57 分:3 単位リハ実施(合計 8 単位)
  • 12 時 02 分〜 12 時 22 分:1 単位リハ実施(合計 9 単位)
  • 12 時 25 分〜 12 時 40 分:書類業務(カルテ)

  • 12 時 40 分〜 13 時 40 分:休憩

  • 13 時 43 分〜 14 時 23 分:2 単位リハ実施(合計 11 単位)
  • 14 時 26 分〜 15 時 26 分:3 単位リハ実施(合計 14 単位)
  • 15 時 30 分〜 15 時 50 分:1 単位リハ実施(合計 15 単位)
  • 15 時 53 分〜 16 時 13 分:1 単位リハ実施(合計 16 単位)
  • 16 時 17 分〜 16 時 57 分:2 単位リハ実施(合計 18 単位)
  • 17 時:診療終了

医療機関で働く理学療法士、作業療法士のよくある働き方は、このような形態になっています。急性期、回復期、慢性期といった分類によって多少異なる部分はあると思いますが、大枠はこのような働き方になります。

理学療法士の年収

職業について優劣をつけるときの 1 つの判断材料として給与や年収が挙げられます。理学療法士の収入は実際どのくらいなのかを説明します。

理学療法士の平均年収 431 万円

理学療法士の年収は、経験や勤務先、地域などによって大きく異なります。一般的には、病院や介護施設などの公的機関で働く場合は、給与が安定していますが、昇給やボーナスが少ないというデメリットがあります。一方、個人開業や民間企業で働く場合は、給与が高くなる可能性がありますが、仕事量や責任が増えるというデメリットがあります。

厚生労働省が公表している令和 4 年度賃金構造基本統計調査によると、理学療法士の平均年収は、431 万円と報告されています。その内訳は月収が 300,700 円、賞与が 698,400 円となっております。

こちらのデータを他の職種と比較してみると、理学療法士の年収は日本の給与所得者の平均年収(全産業を累計したデータ)となる 463 万円を下回っており、32 万円の差があります。日本の給与所得者の平均年収の内訳は月収が 311,800 円、賞与が 884,500 円となっており、理学療法士は月収も賞与も下回っております。

注意点として、こちらの統計については、同じ年齢で比較したものではございません。理学療法士のデータの平均年齢は 34.7 歳、全産業を累計したデータの平均年齢は 43.7 歳と年齢差が生じております。

理学療法士という職業は 1960 年代に誕生したこともあり、平均年齢が若い業界となっております。そのため、現時点では単純に全産業と比較することは難しく、理学療法士として経験年数を重ね、43〜44 歳になった頃には、収入は増えていると考えられます。

34.7 歳で平均年収 431 万円の理学療法士、43.7歳で平均年収 463 万円の全産業、理学療法士が毎年 3,000 円程度昇給すると仮定すると、9 年後には 27,000 円基本給が増えているため、年収が 324,000 円程度増加し、全産業の平均値程度になると予想することができます。

企業によって昇給率も異なりますし、基本給が増える分賞与も増えるため、厳密には平均年収は上記の試算より高くなるのかもしれませんが、ひとまず理学療法士の年収は全産業の平均値程度になると考えられます。

理学療法士の年収を増やす方法

理学療法士として年収を増やすためには、どのような方法があるのか一例を挙げます。

  • 専門性を高める:理学療法士は、様々な疾患や障害に対応するために、常に勉強や研修を行う必要があります。専門的な知識や技術を身につけることで、自分の価値を高めることができます。また、資格や認定を取得することで、より高度なサービスを提供することができます。資格については、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらもご覧になって頂けると幸いです【理学療法士おすすめ民間資格|PT転職に強い9つのスキルアップ資格についての記事はこちらから
  • 人間関係を築く:理学療法士は、患者や家族、医師や看護師など、多くの人と関わる仕事です。信頼や協力を得るためには、コミュニケーションや対人スキルが重要です。また、同じ理学療法士や他の専門家とのネットワークを広げることで、情報交換や相談ができるようになり、新たな道を切り開くことに繋がります。
  • 転職を考える:理学療法士の年収は、勤務先や職種によっても大きく異なります。一般的に、病院やクリニックなどの医療機関で働く理学療法士よりも、介護施設や福祉施設、企業やスポーツチームなどで働く理学療法士の方が年収が高い傾向があります。理学療法士の転職については、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらもご覧になって頂けると幸いです【理学療法士は生活できない?PTが転職を考えるべき7つのタイミング】はこちらから
  • 副業や講演を行う:理学療法士として診療業務を行う以外にも、副業や講演などをすることで、収入に繋げる方法があります。オンラインサロンの運営、ブログや YouTube、講演や執筆など理学療法士を活かした副業の方法は多種多様となってきています。

理学療法士 増えすぎ問題

近年、理学療法士は年間 10,000 人のペースで増加し続けています。公共社団法人日本理学療法士協会によると、令和 5 年時点で理学療法士の有資格者数は 213,735 名と報告されています。

需要と供給のバランスでいえば、2019 年に厚生労働省が「医療従事者の需給に関する検討会:理学療法士・作業療法士受給分科会」にて理学療法士と作業療法士の有資格者数について言及しておりますが、2019 年時点で供給数は需要数を既に上回っていると報告されております。

更に、2040 年には需要数の約 1.5 倍になると推測されています。要するに理学療法士が 3 人いるとしたら、そのうちの 1 人の理学療法士は理学療法士として働けないということになります。理学療法士が増えすぎている要因を以下に挙げます。

  • 教育制度の変化:理学療法士の教育制度は、1999 年(平成 4 年)の指定規則改正により、大きく変化を遂げました。この時の指定規則改正は、当時の日本社会の構造変化に対応して教育の大綱化と規制緩和策が進められ、その影響を受けたものとなっております。これにより、理学療法士の教育水準は向上しましたが、同時に理学療法士の養成数も増加し、現在(2023 年 3 月 31 日時点)では理学療法士養成校の総数は 277 校(募集停止 7 校)となっています。

理学療法士が増えすぎている問題を解決するためには、以下のような方法があります。

  • 養成校数の調整:需要と供給のバランスを考慮して、養成校数を適切に調整する必要があります。現在、理学療法士の養成校数は、国や地方自治体が決めていますが、実際の需要とは乖離しています。理学療法士の養成校数を減らすことで、理学療法士の数を適正化することができます。
  • 理学療法士の職域の拡大:理学療法士の働く場の多くは病院やクリニック、施設となっています。一部の理学療法士はスポーツ関係、ウィメンズヘルス分野、特別支援学校、産業保健分野、重症児デイサービスで活躍しておりますが、全体の割合でいえば数 % の理学療法士であり、職域が十分に拡大されたとは言えない状況にあります。

今後も理学療法士として活躍し続けるためには、上記で説明した理学療法士の現状をまず把握することが重要となります。

理学療法士の仕事はやりがいがあり、楽しさもあると思いますが、今の環境がいつまでも継続される保証はどこにもありません。

理学療法士の需要と供給のバランスが崩れ、理学療法士が飽和状態になったとしても、企業が採用したくなるような理学療法士になる努力を今から行う必要があります。

理学療法士のメリット

理学療法士の年収や理学療法士の需要の話から考えると、「理学療法士の未来は明るい」「理学療法士は勝ち組だ」とは言い難いと思います。

しかし、理学療法士には理学療法士ならではの特色、メリットがございます。代表的なものを以下で説明します。

  • 人の役に立つ:理学療法士は、患者の身体機能や日常生活の向上に貢献する仕事になります。患者の回復や笑顔を見ることは、やりがいや喜びにつながります。また、患者や家族との信頼関係や感謝の言葉も、理学療法士のモチベーションになります。
  • 専門性が高い:理学療法士は、専門的な知識や技術を持つ職種になります。理学療法士の専門性は、社会的にも評価されやすく、自分の価値を高めることができます。また、仕事場面以外、例えば家庭やプライベートの空間でも理学療法士の専門性が役立つことは多いといえます。
  • 分野が広い:理学療法士は、病院や介護施設だけでなく、スポーツや健康、教育や研究など、様々な分野で活躍できる職種になります。理学療法士は、自分の興味や適性に合わせて、キャリアチェンジやスキルアップをすることができます。理学療法士の分野は、医療の進歩や社会のニーズによって、さらに広がる可能性があります。

理学療法士の最大のメリットはリハビリテーションの対象者(患者)の目標に向かって、共に試行錯誤しながら訓練や練習の補助をする仕事になりますので、目標を達成した時の喜びを対象者と共有できることだと思います。

子供の時に自転車に乗るための練習をしたり、鉄棒で逆上がりの練習をした人が多いと思いますが、できるようになったときの喜びは相当なものだと思います。

これと一緒で、リハビリテーションにより動作や生活行為を再獲得するときの喜びはかけがえのないものになります。疫病などで身体機能が衰え、歩けなくなった人、トイレで排泄ができなくなった人が「歩けるようになる」「トイレで排泄できるようになった」このときの喜び、やりがいは理学療法士ならではと言えるでしょう。

理学療法士のデメリット

理学療法士は素敵な職業だと思いますが、理学療法士ならではの辛い部分やデメリットもございます。全ての理学療法士に当てはまるわけではありませんが、理学療法士のデメリットを紹介します。

  • 肉体的にも精神的にも負担が大きい:理学療法士の仕事は、患者の身体機能の改善や基本動作の再獲得が基本となるため、患者が手足に力が入らなくても全介助で歩行練習をしたりします。働く環境にもよりますが、かなりの肉体労働になることもあります。また、患者の病状や予後、家族の心情などに配慮しながら、コミュニケーションや指導を行うため、精神的にも負担が大きくなります。理学療法士の仕事は、ストレスや疲労が溜まりやすく、自分の健康や生活に影響することがあります。
  • 待遇が悪い:理学療法士の給与や待遇は、他の医療系の職種と比べても低い水準にあります。昇給率も低く給与やボーナスに不満をもつ理学療法士は多いと考えられます。また、有給休暇を自由に使用できない職場も多く、福利厚生が不十分な職場が一般企業よりも多い印象があります。理学療法士の給与や待遇は、仕事の責任や負担と比べて、見合っていないと言えるかもしれません。
  • 就職環境の悪化:理学療法士の就職環境は、近年悪化しています。理学療法士の数が増えすぎていることに加えて、医療費の抑制やコロナ禍の影響などで、理学療法士の雇用が減少しています。また、理学療法士の仕事は、肉体的にも精神的にも負担が大きいため、離職率も高くなっています。医療領域での離職率が 10.2 %、介護福祉領域での離職率が 18.8 %、21 ~ 25 歳の若手理学療法士の離職率は 16.5 %と報告されています。
  • サービス残業が多い:労働環境に寄りますがサービス残業が当たり前とされている職場があります。理学療法士実態調査報告(理学療法学.第 37 巻,第 3 号)によると残業をしている理学療法士のうち 56.6 %の理学療法士がサービス残業をすることがあると回答しております。

以上、理学療法士のデメリットを挙げさせていただきましたが、結局これらの要因は職場環境に大きく左右されます。数ある職場の中では、やはり待遇が良い悪いの差はありますので、転職を上手く利用して理学療法士として一生涯働きたいと思える職場で働くことが重要になります。

公務員理学療法士は勝ち組への最短距離

理学療法士で勝ち組になる手段の 1 つに国立・公立病院などで公務員(もしくは公務員に準ずる)理学療法士として働くという方法があげられます。

一般的に公務員理学療法士は民間病院などと比べると給料水準が高くなります。昇給も確実であり、ボーナスの水準も高いため、30 代中旬には年収 500 万円は超えると考えられます。

また、一般の理学療法士との違いとして退職金が手厚いという特徴があります。国家公務員の定年退職金の平均は 2,000 万円を超えるというデータも出ております。

公務員理学療法士は非常に魅力的な話ではありますが、求人倍率が高く、募集も毎年あるわけではない狭き門となっています。副業禁止であったり、完全に年功序列という欠点もあります。

理学療法士になってよかった

理学療法士の国家試験に合格し、理学療法士として働く中で理学療法士になってよかったと思えたエピソードを紹介します。

  • 人の役に立てる:理学療法士になってよかったと思うことの一つは、人の役に立てることだと思います。理学療法士は、低下した身体機能の改善であったり、歩行などの基本動作や日常生活動作の再獲得に貢献する仕事になります。患者様の回復や笑顔を見ることは、やりがいや喜びにつながります。また、患者様やご家族様との信頼関係や感謝の言葉も、理学療法士のモチベーションへと繋がります。
  • 自分の成長を感じる:理学療法士になってよかったと思うことの一つは、自分の成長を感じることです。理学療法士は、専門的な知識や技術を持つ職種です。理学療法士は、様々な疾患や障害に対応するために、常に勉強や研修を行う必要があります。理学療法士は、自分の知識や技術を更新し、向上させることで、自分の成長を感じることができます。また、理学療法士は、自分の興味や適性に合わせて、キャリアチェンジやスキルアップをすることができます。理学療法士は、自分の可能性を広げることで、自分の成長を感じることができます。
  • 仲間や先輩との交流を楽しむ:理学療法士になってよかったと思うことの一つは、仲間や先輩との交流を楽しむことです。理学療法士は、同じ理学療法士や他の専門家とのネットワークを広げることができます。理学療法士は、仲間や先輩との交流を通して、情報交換や相談ができるだけでなく、励ましや支えにもなります。また、理学療法士は、仲間や先輩との交流を通して、楽しみや笑いも共有できます。

理学療法士は、勝ち組になる方法がありますが、それよりも、理学療法士としての魅力や価値を見つけることが大切です。理学療法士は、人の役に立てる、自分の成長を感じる、仲間や先輩との交流を楽しむという、素晴らしい仕事です。理学療法士になってよかったと思えるように、自分の仕事に誇りや満足を持ちましょう。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「理学療法士は勝ち組なのか?」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事が理学療法士の働き方についての理解力向上をもたらし、今後理学療法士を目指したいという人の参考に少しでもなれば幸いです!

参考文献

  1. 宇野健太郎,田中恩.リハビリテーション従事者における離職意思の規定要因に関する調査.理学療法福岡.35号,2022,p106-109.
  2. 白書委員会.理学療法学.第 37 巻,第 3 号,2010,p188-217.
  3. 荒木智子,井上和久,須永康代,石渡睦子,柳田千絵,河合麻美,須藤京子,伯耆田聡子,吉岡明美,清宮清美,渡邊雅恵.埼玉県内の理学療法士をとりまく就労環境.理学療法.18,2011,p15-21.
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