理学療法士を辞めたい時は「休養・現職改善・転職準備」の3方向で判断する
転職全体の流れを先に確認したい方へ
理学療法士を辞めたいと感じた時は、「辞める / 我慢する」の2択ですぐに決める必要はありません。まず、休養・相談を優先する状態か、今の職場で改善を試せるか、転職準備へ進む段階かの3方向に分けると、次の行動を整理しやすくなります。
この記事では、辞めたい理由を業務負荷 / 人間関係 / 成長停滞 / 待遇の4軸で整理し、「続ける / 転職準備」の見切りラインまで具体化します。退職を決めた後の有休・引き継ぎ・伝え方ではなく、今の自分がどの段階にいるかを判断することに絞って解説します。

まず休養・相談を優先したい状態がないか確認する
辞めるかどうかを考える前に、勤務を続けながら判断すること自体が負担になっていないかを確認します。心身の不調が強い場合は、求人比較や退職判断を急ぐより、休養や周囲への相談、必要に応じた医療機関への相談を先に考えてください。
| 状態 | まず行うこと | 次の一手 |
|---|---|---|
| 眠れない、食べられない、気分の落ち込みが続く | 無理に結論を出さない | 身近な人や相談窓口へ相談し、体調不良が続く場合は医療機関への相談も検討する |
| 出勤前の動悸・腹痛・吐き気などが強い | 通常どおり働くことだけを優先しない | 勤務調整や休養について相談し、体調を確認する |
| ハラスメントや職場の安全面に不安がある | 日時・内容・対応を記録する | 上司、人事、院内外の相談窓口などへ相談する |
| 疲労によってミスや抜け漏れが増えている | 抱え込んだまま続けない | 担当量、残業、記録業務、相談体制を見直す |
こうした状態が強い時は、転職するかどうかを今日決める必要はありません。まず心身と安全を守り、判断できる状態を整えることを優先します。
続けるか、転職準備に進むかの見切りライン
体調と安全を確認したら、次は今の職場で改善できる問題か、環境を変えないと解決しにくい問題かを分けます。「改善策を一度試せる状態」なら現職での調整を先に行い、「相談しても構造的に変わらない状態」が続くなら転職準備へ進む判断がしやすくなります。
| 判断項目 | 現職で改善を試しやすい状態 | 転職準備を考えたい状態 |
|---|---|---|
| 改善可能性 | 相談先があり、改善提案への反応がある | 相談しても同じ問題が繰り返される |
| 健康への影響 | 休養や負担調整によって回復できる | 勤務を続けるほど不調が強くなる |
| 業務負荷 | 担当量や記録運用を調整できる | 慢性的な人員不足などで調整が難しい |
| 成長機会 | 教育、症例、相談相手を確保できる | 学習機会や相談体制の不足が長く続いている |
| 待遇・生活 | 勤務条件の調整で許容範囲に戻せる | 給与、休日、通勤、拘束時間が長期的に許容しにくい |
| 安全・職場環境 | 相談や運用変更によって改善が見込める | ハラスメントや安全上の問題が継続している |
判断のポイント:「今すぐ退職するか」ではなく、現職で改善を試す段階なのか、次の職場を比較する準備に入る段階なのかを決めます。転職準備を始めても、必ず転職しなければならないわけではありません。
辞めたい理由を4つに分けると、変えるべきものが見えやすい
「辞めたい」という気持ちだけでは、職場を変えれば解決するのか判断しにくいため、原因を業務負荷 / 人間関係 / 成長停滞 / 待遇の4軸へ分けます。複数に当てはまっても問題ありません。大切なのは、どの問題が最も強く、現職で変更できるかを確認することです。
| 軸 | 確認すること | 現職で試すこと | 転職準備で確認すること |
|---|---|---|---|
| 業務負荷 | 担当量、残業、記録負荷が許容範囲か | 担当構成、締切、記録運用を相談する | 人員配置、残業、記録時間を確認する |
| 人間関係 | 相談相手や連携ルートが機能しているか | 相談先、役割分担、関わり方を整理する | 教育担当、相談体制、部署の雰囲気を確認する |
| 成長停滞 | 学びたい症例や指導体制があるか | 教育機会や異動の可能性を確認する | 症例、教育体制、研修支援を確認する |
| 待遇 | 給与、休日、通勤、拘束時間を長期的に許容できるか | 勤務条件の調整余地を確認する | 次の職場で外せない条件を明確にする |
たとえば「給与が低い」と感じていても、本当の負担が残業や通勤時間にあるなら、給与だけを比較して転職しても同じ不満が残る可能性があります。反対に、慢性的な人員不足や教育体制など、個人の工夫だけでは変えにくい問題が中心なら、環境を比較する意味が大きくなります。
5分で「今日の次の一手」を決める
考える項目を増やしすぎると動けなくなるため、まずは同じ順番で5項目だけ整理します。目的は退職を決めることではなく、「今日は何をするか」を1つ決めることです。
| 手順 | やること | 整理のポイント |
|---|---|---|
| 1 | 体調と安全を確認する | 休養や相談を先にした方がよい状態がないかを見る |
| 2 | 辞めたい理由を4軸に分ける | 業務 / 人間関係 / 成長 / 待遇に分ける |
| 3 | 現職で変えられることを1つ決める | 担当量、相談先、記録、教育などから選ぶ |
| 4 | 次の職場で外せない条件を絞る | 「必須」と「できれば欲しい」を分ける |
| 5 | 今日行う行動を1つ決める | 相談する、休む、条件を書く、求人情報を見るなどから選ぶ |
辞めたい時に避けたい4つの失敗
辞めたい気持ちが強い時ほど、「早くこの状況を終わらせたい」という思いから判断を急ぎやすくなります。退職そのものを否定する必要はありませんが、次の職場でも同じ問題を繰り返さないための整理は先に行っておく方が安全です。
| 失敗 | 問題点 | 対策 |
|---|---|---|
| 勢いだけで退職を伝える | 何を変えたいのか整理できないまま進みやすい | 体調と4軸を確認してから次の行動を決める |
| 給与だけで次の職場を決める | 残業、教育体制、人員配置など別の不満を見落としやすい | 辞めたい理由と次の職場の条件を対応させる |
| 1つの求人だけで判断する | 条件の良し悪しを比較しにくい | 同じ条件で複数の候補を比較する |
| 退職手続きから先に調べる | 「辞めること」が目的になりやすい | 見切りラインを確認してから退職実務へ進む |
A4判断シートで理由・見切りライン・次の一手を整理する
頭の中だけで考えると同じ不安を繰り返しやすいため、A4 1枚の判断シートを用意しています。辞めたい理由の4軸、現職で改善できること、転職準備へ進む見切りライン、次に行うことを書き出して整理できます。
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理学療法士を辞めたい時によくある質問
判断に迷いやすい3つの疑問を整理します。
Q1. 「理学療法士を辞めたい」と感じるのは甘えでしょうか?
A. 「甘えかどうか」だけで判断する必要はありません。まず、業務負荷、人間関係、成長停滞、待遇のどこに負担があるのかを分けてください。原因が見えると、現職で調整できる問題か、環境を変える必要がある問題かを考えやすくなります。
Q2. 退職を伝える前に何をしておくべきですか?
A. まず体調と安全を確認し、辞めたい理由と「現職で改善できること / 環境を変えないと難しいこと」を整理します。転職を考える場合は、次の職場で外せない条件まで決めてから退職実務へ進むと、判断の軸がぶれにくくなります。
Q3. 休養と転職はどちらを先に考えるべきですか?
A. 睡眠や食事への影響、強い動悸や吐き気、気分の落ち込みなど、心身の負担が強い場合は、転職先を急いで決めるより休養や相談を優先してください。休職制度を利用できるかどうかは勤務先の就業規則などで異なるため、必要に応じて人事・上司へ確認します。
次の一手は「相談・現職改善・転職準備」のどれか1つでよい
ここまで整理したら、一度にすべて進める必要はありません。体調や安全への不安が強いなら相談・休養、現職で改善余地があるなら調整を1つ試し、構造的な問題が続くなら転職条件の整理と情報収集へ進みます。
すでに「今の職場を離れる方向で考えたい」と判断できている場合は、次に理学療法士の退職手順で、伝える時期、有休、引き継ぎなどの実務を確認してください。
転職準備へ進むなら、求人を見る前に比較条件をそろえる
給与だけでなく、教育体制、人員配置、残業、記録業務、相談体制など、今回「辞めたい」と感じた原因が次の職場で改善できるかを確認します。
参考情報
- 厚生労働省. 職業情報提供サイト(job tag)理学療法士(PT) [Internet]. Available from: https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/167
- 厚生労働省. こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト 相談窓口 [Internet]. Available from: https://kokoro.mhlw.go.jp/soudan/
- 厚生労働省. 総合労働相談コーナーのご案内 [Internet]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
- 一般社団法人 日本人材紹介事業協会 [Internet]. Available from: https://www.jesra.or.jp/
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級




