PT の働き方別の向き不向き【病院 / 施設 / 訪問】

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PT の働き方別「向き・不向き」早見ガイド

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理学療法士の主な働き先は「医療機関(病院)」「施設」「訪問系」の 3 つに大別されます。さらに病院は急性期・回復期・慢性期、施設は老健・特養・デイ(通所)などに細分化され、それぞれで役割や求められる力が大きく異なります。本記事では大分類 → 細分類の順に特徴を整理し、自分に合う現場のイメージを持てるようにまとめました。

最後にYES / NO の簡易適性チェックも用意しています。転職や配置換えで迷っている方は、まず大分類の相性を押さえたうえで細分類の違いを確認し、「どの現場で一番力を発揮できそうか」という仮説を持って見学・面談に臨んでみてください。

まずは大分類の違い(病院/施設/訪問系)

大分類が変わると、仕事の重心も変わります。病院は医療安全と医学的管理のもとでの機能回復・維持、施設は生活期の維持向上と合併症予防、訪問系は「住まい」での生活再構築と家族支援が主軸です。「どこで成果を出せると一番やりがいを感じるか」を最初にイメージすると選びやすくなります。

同じ評価でも使いどころは異なります。病院では早期離床とリスク評価、施設では包括的アセスメントの継続、訪問では IADL・家屋評価・地域資源連携が鍵になります。「評価結果をどのような意思決定につなげたいか」を意識すると、自分に合うフィールドが見えやすくなります。

PT の働き方:大分類の比較(対象:理学療法士・2025 年版)
項目 医療機関(病院) 施設 訪問系
主な対象 術後・急性増悪・回復期・慢性期 生活期の要介護高齢者 在宅の要介護者(独居 / 同居)
主眼 早期離床・合併症予防・機能回復 ADL / IADL 維持・転倒 / 再発予防 生活再構築・家屋 / 介護支援・家族連携
評価の重心 リスク評価・機能 / 能力の変化検出 包括評価・継続モニタリング 家屋 / IADL / 介護負担・地域資源
働き方の特徴 スピード感・情報量多い・多職種連携 着実に積み上げる・チームケアの継続 自律性が高い・単独判断・移動あり

病院の中の違い:急性期/回復期/慢性期

同じ「病院」でも、どの期を主に担当するかで評価と介入の設計思想が変わります。急性期は「安全とスピード」、回復期は「アウトカム設計と反復」、慢性期は「合併症予防と生活設計」が中心です。自分の得意な思考様式と照らし合わせて選ぶとミスマッチを減らせます。

病院の期別比較(対象:理学療法士・2025 年版)
項目 急性期 回復期 慢性期(療養等)
役割 早期離床・合併症予防・退院支援の起点作り 能力回復・ ADL 自立・家庭復帰の最大化 生活期移行・再発 / 廃用予防・ QOL 維持
代表業務 離床プロトコル、術前後 / 検査前後対応 目標設定、個別 / 集団訓練、家族指導 姿勢 / 拘縮 / 褥瘡 / 栄養連携、継続支援
チーム体制 医師・看護・検査と即日連携 多職種カンファ・ SW と退院調整 介護・栄養・地域連携の比重が高い
成果指標 在院日数・合併症率・離床到達速度 FIM / Barthel・在宅復帰率・目標到達 ADL / IADL 維持・合併症発生率・ QOL
向きやすい人 瞬発力・意思決定が得意・変化を楽しめる 指標管理・ PDCA ・教育的関わりが好き 着実・粘り強い・小さな変化を積み上げられる

施設の中の違い:老健/特養/デイ(通所)

施設は“生活期を途切れなく支える”ことが主眼です。老健は在宅復帰と医療連携、特養は長期入所の生活支援、デイは在宅継続と家族負担の軽減に比重があります。医療依存度や看取りの方針も施設により大きく異なり、PT に求められる役割も変わります。

施設種別の比較(対象:理学療法士・2025 年版)
項目 老健(介護老人保健施設) 特養(介護老人福祉施設) デイ(通所介護 / 通所リハ)
主眼 在宅復帰・医療と生活の橋渡し 生活の場の支援・重度化予防 在宅継続・活動性維持・家族支援
PT の主業務 個別 / 集団訓練・退所支援・家族指導 ポジショニング・移乗 / 歩行・嚥下 / 予防 個別 / 集団・運動処方・家屋 / 介護助言
評価 ADL / IADL・転倒 / 再入所・在宅率 ADL 維持・褥瘡 / 拘縮・行動症状 活動量・運動耐容能・実行率
働き方 比較的安定、行事・退所前で繁忙あり 安定、医療依存度次第で負荷差 曜日変動、送迎・連絡で時間管理が重要
向きやすい人 包括視点・家族 / 地域の橋渡しが得意 丁寧に積み上げる・予防思考が得意 コミュニケーション力が高く場を巻き込める

訪問系の中の選択肢

訪問系にもいくつかのバリエーションがあります。訪問リハ(事業所所属)、訪問看護ステーション所属の PT、通所リハ(デイケア)などです。いずれも「生活の場」で成果を出す点は共通ですが、同行や教育体制、ケースミックス、移動距離、記録の運用は職場によって大きく違います。

見学では特に「初期同行の有無」「家族支援の方針」「担当者会議の頻度」「家屋改修 / 福祉用具の連携」「移動負荷と 1 日の件数」などを確認しておくと、入職後のギャップを減らせます。単独判断の場面が多いため、自分の経験年数や得意領域とのバランスもあわせて検討しましょう。

簡易・適性セルフチェック(YES / NO 判定)

各質問に「はい / いいえ」で答え、最も「はい」が多い列があなたの適性に近い働き方です。迷う場合は、直近 1 年の業務で「最も充実していた瞬間」「最もストレスを感じた場面」を思い出しながら回答してみてください。

適性セルフチェック(対象:理学療法士・2025 年版)
質問 急性期 回復期 慢性期 老健 特養 デイ 訪問系
急変対応やスピード感の中で力を発揮できる はいいいえいいえいいえいいえいいえいいえ
数値での目標管理や再評価の運用が得意 いいえはいいいえいいえいいえいいえいいえ
家屋・制度・家族支援に強い関心がある いいえいいえいいえはいはいはいはい
小さな変化を丁寧に積み上げて成果につなげる いいえはいはいはいはいはいはい
単独判断や移動が多くても苦にならない いいえいいえいいえいいえいいえいいえはい
教育的関わり(説明・コーチング)が好き いいえはいいいえいいえいいえはいはい
多職種会議で論点整理と調整役を担える はいはいいいえはいはいいいえはい

判定ガイド:
急性期型:瞬発力・リスク管理・即時連携が得意。
回復期型:アウトカム設計と PDCA 運用が得意。
慢性期型:合併症予防・生活設計を粘り強く継続。
老健 / 特養 / デイ型:生活期支援・予防・家族 / 地域連携が強み。
訪問系型:傾聴・自律性・家屋 / 介護支援で成果を出しやすい。
複数列が拮抗した場合は、ストレスが最も少ない働き方を優先し、見学で確証を取りましょう。

キャリア設計と次の一歩

大分類 → 細分類で適性を絞れたら、求人票だけで判断せず「見学・面談の質問リスト」を用意しましょう。期別・種別に合わせて、業務内容・教育 / 同行体制・多職種連携・評価指標・残業 / オンコールの実態を確認し、条件と働き方の相性を両輪で見極めることが大切です。

自分の強みを「急性期なら迅速な合併症予防と離床設計」といった形で言語化し、職務経歴書や面接で伝えられるように準備しておくと選考で差がつきます。詳しいフローや質問例は PT キャリアガイド も参考にしてください。次の一歩は、記事冒頭のボタンから具体的な行動に落とし込んでいきましょう。

FAQ

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

年収はどこが高い?

地域・法人規模・役割で大きく変動します。基本給だけでなく固定残業や各種手当、賞与算定条件、オンコールの有無などを合算し、「労働時間あたり」で比較することが重要です。同じ年収でも、実質の時給換算が大きく異なるケースは少なくありません。

スキルの伸ばしやすさは?

急性期では重症管理やリスク評価、回復期ではアウトカム設計と運動療法、慢性期では合併症予防と生活設計、施設では包括ケアとチーム連携、訪問系では生活再建と家族支援のスキルが伸びやすい傾向があります。今後伸ばしたい専門性から逆算してフィールドを選ぶと、学びの効率が上がります。

未経験で訪問や施設に行くのは不利?

未経験でも就職は可能ですが、初期は同行や教育が手厚い職場を選ぶことが重要です。担当者会議や家屋評価のサポート体制、困ったときに相談できる上長・先輩がいるかどうかを見学・面談で確認しましょう。急性期・回復期での経験を一度積んでから生活期へ移るルートも有力な選択肢です。

まとめ

病院・施設・訪問という大分類に加えて、病院の期別(急性 / 回復 / 慢性)や施設種別(老健・特養・デイ)によって、PT に求められる役割や働き方は大きく変わります。本記事の比較表と適性チェックをもとに仮説を立て、見学・面談で現場の実際を確かめながら、自分の強みが一番活きるフィールドを選んでいきましょう。

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