理学療法士はオワコン?将来性・需給と続ける判断

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理学療法士はオワコンではありません。ただし、将来の競争と職場差には注意が必要です

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結論から言うと、理学療法士の仕事がすぐになくなる状況ではありません。厚生労働省の職業情報では、令和6年度の有効求人倍率は全国4.53倍で、現在も人材不足の側面が示されています。一方、長期の需給推計では、2040年頃に理学療法士・作業療法士の供給数が需要数の約1.5倍になる可能性も示されています。

つまり、「今すでに仕事がない」と「将来も何も変わらない」のどちらも正確ではありません。本記事では、理学療法士がオワコンと言われる理由を公的データから整理し、不安の原因を職種・現在の職場・自分の希望条件に分け、続ける・異動する・転職するの次の行動を判断できるように解説します。

このページで答えること

理学療法士という職種が本当に終わっているのか、将来不安をどのように分解して判断するか。

このページで詳しく扱わないこと

転職サービスの詳しい比較、退職手続き、生活費や家計の具体的な見直し。

公的データでは「現在の求人」と「将来の供給増加」が同時に示されています

理学療法士の将来性を判断するときは、現在の求人状況と長期的な需給予測を分けて確認する必要があります。片方だけを見ると、必要以上に楽観的または悲観的になりやすいためです。

理学療法士の現在と将来を判断するための公的データ
確認項目 確認できるデータ 読み取り方
現在の求人 令和6年度の有効求人倍率は全国4.53倍[3] 全国平均では、現在すでに働き口が消えている状態とは言いにくいです。ただし、地域・領域・勤務条件によって差があります。
現在の賃金 令和7年賃金構造基本統計調査を基にした年収は全国443.6万円、平均年齢は36.2歳[3] 全国平均だけで、自分の給与が高いか低いか、今後昇給するかは判断できません。年齢、経験年数、地域、手当、残業、賞与を分けて確認します。
長期的な需給 2040年頃にPT・OTの供給数が需要数の約1.5倍になるとの推計[1] 長期的には、資格を持っているだけで条件のよい職場を選べるとは限りません。一方で、資料では地域間格差も指摘されています。
理学療法士はオワコンなのかを、現在の求人、長期的な将来、自分の判断の3つに分けて整理した図版
理学療法士の将来性を、現在の求人・長期的な需給・自分の条件に分けて整理

この3点から分かるのは、理学療法士が直ちに不要になるのではなく、今後は地域、領域、職場環境、実務能力による差が大きくなり得るということです。「資格があるから何もしなくてよい」でも、「今すぐ別職種へ移るべき」でもありません。

理学療法士が「オワコン」と言われる5つの理由

オワコン論の背景には、将来の供給増加だけでなく、給与、業務負担、職場環境、AIへの不安が混在しています。それぞれ確認方法が異なるため、自分に最も近い論点を1つに絞ることが重要です。

理学療法士がオワコンと言われる理由と確認方法
よくある不安 整理しておきたいこと 最初に確認すること
理学療法士が増えすぎている 長期的な供給増加は示されていますが、現在の求人状況や地域差とは分けて考える必要があります。 希望する地域・領域で、条件に合う求人がどの程度あるか確認する
給与が上がらない 全国平均年収だけでは、昇給幅や生活への影響は分かりません。 固定給、手当、残業代、賞与、直近3年間の昇給を分けて整理する
単位・記録・会議で消耗する 理学療法士のバーンアウトには、業務量や職場環境など複数の要因が関連します。[4][5] 残業が発生する原因を、単位数、記録、会議、移動、割り込みに分ける
職場による差が大きい 労働環境、仕事上のストレス、満足度、同僚との関係は、離職意向と関連する要素として報告されています。[6][7] 教育体制、相談ルート、配属、残業、評価制度を職場ごとに比較する
AIで不要になる AIによる業務支援と、理学療法士全体の需給は別の論点です。 記録・情報整理など補助される業務と、評価・説明・合意形成・再評価など自分が担う業務を分ける

不安は「職種・職場・自分」の3層に分けると判断しやすくなります

「理学療法士はオワコンかもしれない」と感じたときは、職種全体の問題だけでなく、現在の職場や自分の希望条件が混ざっていることがあります。問題の層が違えば、必要な対策も変わります。

理学療法士の将来不安を切り分ける3層
主な確認項目 対応の方向性
職種の問題 需給、診療報酬・介護報酬、活躍領域、地域差 公的資料や希望地域の求人を定期的に確認する
現在の職場の問題 給与、残業、単位数、教育体制、配属、人間関係、相談体制 上司への相談、担当調整、異動、他施設との比較を検討する
自分の条件 体調、生活、通勤、得たい経験、希望年収、将来像 譲れない条件と許容できる条件を決める

たとえば、「将来性がない」と感じていても、実際の主因が恒常的な残業や教育体制の不足なら、職種を変えなくても職場を変えることで改善する可能性があります。反対に、現在の職場に大きな不満がなくても、希望する生活やキャリアと合わない場合は、中長期の選択肢を準備する必要があります。

続ける・異動・転職は4ステップで仕分けます

いきなり退職の結論を出すのではなく、主因、改善可能性、比較条件、次の行動の順に整理します。短時間でも紙に書き出すことで、SNSや周囲の意見ではなく、自分の条件を基準に判断しやすくなります。

先に相談を優先するケース:ハラスメント、心身の明らかな不調、深刻な長時間労働、患者安全を保てない状況がある場合は、2週間の改善を試すことにこだわらず、職場内外の相談先や医療機関などへの相談を優先してください。

理学療法士の将来不安を整理する5分フロー
手順 行うこと 判断のポイント 次の一手
1 最もつらい原因を1つ選ぶ 給与、忙しさ、人間関係、教育、将来不安のどれか 短い文章で書き出す
2 職場内で改善できるか確認する 相談、担当調整、記録時間、異動で変わる余地があるか 可能なら期限を決めて改善を試す
3 譲れない条件を3つ決める 残業、休日、教育、配属、給与、通勤などから選ぶ 現職と候補を同じ条件で比べる
4 続ける・異動・転職を比較する どの選択肢が主因を最も改善できるか 相談、見学、情報収集など最初の行動を1つ決める

比較整理に使える無料PDF記録シート

頭の中だけで比較すると、その日の気分や強い体験談に影響されやすくなります。現職を続けるか、異動や転職を検討するかを同じ条件で比較できるように、A4の記録シートを用意しています。

主な悩み、譲れない条件、許容条件、相談先、現職と候補の比較、次の一手を1枚に記録できます。

比較整理シートPDFを開く

比較整理シートのプレビューを見る

プレビューを表示できない場合は、こちらからPDFを開いてください

最初に「今つらい主因」を1つ選び、次に「譲れない条件」を3つまで決めてください。そのうえで現職と候補を同じ軸で並べると、職種そのものを辞める必要があるのか、職場環境を変えればよいのかを整理しやすくなります。

将来不安が強いときに避けたい3つの失敗

不安なときに情報収集だけを増やしても、比較する基準がなければ判断は進みません。特に、職種全体の問題と現在の職場の問題を混ぜないことが重要です。

理学療法士が将来不安で迷うときの失敗と対策
失敗 問題点 対策
体験談だけで職種全体を判断する 地域、領域、職場条件が異なる体験を自分に当てはめてしまいます。 公的データと自分の希望地域の求人を分けて確認する
月給の総額だけで比較する 手当、残業、賞与、休日、通勤、教育体制が見えません。 固定給と変動部分、勤務条件を同じ表に並べる
比較候補がないまま退職を決める 次の職場でも同じ問題が起きる可能性があります。 現職、異動先、転職候補を同じ条件で比較してから決める

理学療法士のオワコン論に関するよくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。

Q1. 理学療法士は本当にオワコンなのでしょうか?

現時点で「仕事がなくなった職種」とは言えません。厚生労働省の職業情報では、有効求人倍率は全国4.53倍です。一方、2040年頃にはPT・OTの供給数が需要数の約1.5倍になるとの推計もあります。現在の求人と長期的な競争を分けて考える必要があります。

Q2. 理学療法士は将来、供給過多になりますか?

厚生労働省の長期推計では、供給が需要を上回る可能性が示されています。ただし、地域間格差も指摘されており、全国のすべての地域・領域で同じ状況になるとは限りません。希望地域と働きたい領域の求人を個別に確認することが重要です。

Q3. AIによって理学療法士の仕事はなくなりますか?

記録や情報整理など、AIで補助しやすい業務は増える可能性があります。ただし、AIの活用と職種全体の需給は分けて考える必要があります。評価結果の解釈、患者・家族への説明、目標の合意、介入後の再評価など、自分が担う判断過程を言語化できるようにしておくことが大切です。

Q4. 続けるか転職するかは、どこで判断すればよいですか?

現在の問題が、相談、担当調整、業務改善、異動で変えられるかを最初に確認します。改善の余地がなく、残業、教育体制、配属、給与、生活との両立などの重要条件が満たされない場合は、他の職場との比較を始める段階です。ただし、心身の不調や安全上の問題がある場合は、改善期間を設けることより相談を優先してください。

まとめ:職種全体の不安と、現在の職場の問題を分けてください

理学療法士は、現在すでに仕事がない職種ではありません。ただし、長期的な供給増加が予測されており、今後は職場、領域、地域、働き方による差が大きくなる可能性があります。

まずは、現在の不安が「職種」「職場」「自分の希望条件」のどこにあるかを分けてください。そのうえで、現職で改善する、異動を相談する、他の職場を比較するという順番で動くと、強い言葉だけに引っ張られにくくなります。

比較条件が決まったら、実際の求人で確認します

教育体制、残業、配属、給与などの比較軸を決めたあとは、求人票や見学で条件を確認する段階です。面談前に使える無料チェックシートも用意しています。

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参考文献

  1. 厚生労働省. 医療従事者の需給に関する検討会 理学療法士・作業療法士需給分科会 これまでの議論の経過と報告. 2022. PDF
  2. 厚生労働省. 理学療法士・作業療法士の需給推計を踏まえた今後の方向性について. 2019. PDF
  3. 厚生労働省. 職業情報提供サイト(job tag)理学療法士(PT). 職業情報を見る(参照2026年7月30日)
  4. Venturini E, Ugolini A, Bianchi L, Di Bari M, Paci M. Prevalence of burnout among physiotherapists: a systematic review and meta-analysis. Physiotherapy. 2024;124:164-179. doi:10.1016/j.physio.2024.01.007 / PubMed
  5. Burri SD, Smyrk KM, Melegy MS, et al. Risk factors associated with physical therapist burnout: a systematic review. Physiotherapy. 2022;116:9-24. doi:10.1016/j.physio.2022.01.005 / PubMed
  6. Lee BK, Seo DK, Lee JT, Lee AR, Jeon HN, Han DU. Impact of work environment and work-related stress on turnover intention in physical therapists. J Phys Ther Sci. 2016;28(8):2358-2361. doi:10.1589/jpts.28.2358 / PubMed
  7. Matsumoto S, Yamaguchi K, Akahane T, Kido A, Akahane M. Turnover tendency and related factors among rehabilitation professionals in Japan: quantifying multiple-choice questionnaire items using topic analysis. Cureus. 2025;17(4):e82645. doi:10.7759/cureus.82645 / PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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