理学療法士の退職金|いくら?確認法と注意点

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理学療法士の退職金は「いくら?」より先に“規程の読み方”を押さえる

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退職金は、同じ職種・同じ勤続年数でも「制度の種類」「支給条件」「計算のベース」が違うため、金額だけを見ても判断しにくい手当です。本稿では、退職金規程の読み方と、転職前に損しないための確認手順を、臨床職でも迷わず回せる形に整理します。

結論はシンプルで、①自分の職場の制度類型を特定 → ②規程の“支給要件”と“計算要素”を確認 → ③退職・転職の手続き順を整えるの 3 段です。ここを押さえると、「結局いくら?」の問いに、根拠つきで答えられるようになります。

退職金の仕組みは大きく 3 パターンで考える

退職金は「退職時にまとまって出るお金」という見え方が同じでも、制度としては別物が混ざりがちです。まずは、あなたの職場がどれに該当するかを切り分けてください。

実務では、規程ベースの退職金に加えて、共済企業年金( DB / DC )が“上乗せ”になっているケースもあります。複数制度がある場合は、書類も窓口も分かれるため、早めに確認しておくのが安全です。

退職金の制度類型:まず切り分ける 3 パターン
パターン お金の出どころ よくある書類・名称 確認ポイント
退職金規程(就業規則)型 事業所(法人) 退職金規程/就業規則/賃金規程 支給要件・算定基礎・係数・申請手順
共済(退職金共済)型 共済制度 共済加入証/掛金明細/加入者番号 加入期間・通算・移換(転職時)
企業年金( DB / DC )型 制度口座(年金) DB 規約/ DC 規約/残高通知 受け取り方(年金/一時金)・手数料・移換

「相場」を見たいときに外さない 2 つの注意点

退職金は「相場」を知って安心したくなりますが、相場だけで意思決定するとズレやすい分野です。特に医療・福祉は、法人規模や制度の有無で差が出やすく、同じ勤続年数でも振れ幅が大きくなります。

見るべきは金額の大小よりも、①支給の“条件”(不支給・減額の条項)と、②計算の“ベース”(基礎賃金・算定月数・係数)です。ここが分かれば、あなた自身の見込み額を“自分の職場仕様”で見積もれます。

退職金規程で必ず見る 6 か所(チェックリスト)

退職金で最も詰まりやすいのは「規程のどこを見ればいいか分からない」問題です。まずは、下の 6 か所だけを順に確認してください。ここだけで、支給の有無と計算の骨格が見えます。

規程が手元にない場合は、総務・人事に「退職金規程(または就業規則の退職金章)」の閲覧手順を聞くのが最短です。口頭回答だけで済ませず、必ず書面( PDF でも可)で確認します。

退職金規程の読み方:まず見る 6 か所(実務チェック表)
見る場所 キーワード例 ここで分かること 記録メモ(例)
支給要件 支給対象/勤続年数/在籍期間 そもそも出るか(最低勤続年数など) 勤続 ○ 年以上で対象
不支給・減額 懲戒/自己都合/重大な規律違反 “出ない/減る”条件 自己都合は係数 ○○
算定基礎 基礎賃金/基本給/職能給 何をベースに計算するか 基本給のみを採用
算定月数 支給月数/勤続係数 勤続年数で月数がどう増えるか ○ 年で ○ か月
係数・等級 支給率/職位係数/等級 役職・等級で増減するか 主任以上で係数上乗せ
手続き 申請/提出書類/支給日 いつ何を出せばよいか 退職後 ○ 日以内に申請

計算の考え方:基礎賃金 × 支給月数 × 係数(が基本形)

退職金の計算は、名称は違っても「掛け算の部品」に分解すると読みやすくなります。典型は、基礎賃金(ベース)支給月数係数を掛ける形です。規程に「別表(支給表)」がある場合は、そこが最重要です。

例えば、規程に「基礎賃金=基本給」「勤続年数に応じた支給月数」「自己都合係数」などが書かれていれば、見込み額は部品を埋めるだけで計算できます。計算結果は概算でもよいので、転職前に 1 回は数字を出しておくと判断がブレません。

  • 例)退職金(概算)= 基礎賃金(例:基本給) × 支給月数(勤続年数別) × 係数(自己都合/会社都合・職位など)

税金の基本:退職所得控除を使うために“書類”をそろえる

退職金は給与とは税の扱いが違い、条件を満たすと退職所得控除が使えます。ここで重要なのは、制度の種類によって書類・窓口が分かれることです。退職金規程型・共済・企業年金で、支給元が別なら、必要書類も別になります。

退職時はバタつきやすいので、「支給元」「必要書類」「提出期限」「問い合わせ先」を、退職届を出す前に 1 枚メモにしておくと安全です。支給後に「手続き漏れ」が発覚すると、取り戻すのが一気に難しくなります。

転職前にやるべき 3 ステップ(損しない準備)

退職金は「辞めた後」より「辞める前」の確認で差がつきます。特に勤続年数の区切りや、自己都合・会社都合の扱い、規程の係数は、決断後に気づくと取り返しにくい項目です。

次の 3 ステップで進めると、判断が整理しやすくなります。条件整理や年収交渉まで含めて進めたい場合は、交渉で損しない準備(面接前にやること)もあわせて確認しておくと、退職金以外の待遇も含めて最適化しやすいです。

  1. 制度類型を特定:規程型/共済/企業年金( DB / DC )の有無を確認
  2. 規程の 6 か所をメモ化:支給要件・不支給/減額・算定基礎・月数・係数・手続き
  3. “区切り”を確認:勤続年数の閾値(例:○ 年、○ 年)で月数や係数が変わらないかを見る

現場の詰まりどころ/よくある失敗(先回りで回避する)

退職金は、臨床の忙しさで「後で確認しよう」が起きやすい領域です。実際に起きがちな失敗を、回避策とセットで整理します。転職を決める前に、この表だけでも一度チェックしておくと安全です。

“詰まりどころ”は、たいてい「書類がどれか分からない」「誰に聞けばいいか分からない」「期限が過ぎる」の 3 つに集約されます。先に“窓口と期限”を押さえるのがコツです。

退職金で起きやすい失敗と対策(チェック早見)
よくある失敗 なぜ起きる? 対策 記録ポイント
口頭回答だけで判断 規程が複雑で伝言ゲームになる 規程( PDF 可)と別表を必ず確認 条文番号・別表名をメモ
制度が複数あるのに片方だけ手続き 共済・年金の存在に気づきにくい 「支給元」を先に洗い出す 支給元/窓口/期限
勤続年数の“区切り”直前で退職 月数・係数の変化を見落とす 勤続年数別の支給表を確認 ○ 年で月数が変化
提出期限を過ぎる 退職後に連絡が取りづらい 退職前に必要書類を確定 提出期限をカレンダー化

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

自己都合退職だと退職金は必ず減りますか?

必ず減るとは限りません。規程によっては「自己都合係数」で調整する場合もあれば、会社都合と同じ扱いのケースもあります。結論は、退職金規程の「不支給・減額」「係数」の条項(または別表)で決まります。

退職金規程が見当たりません。誰に聞けばいいですか?

まずは総務・人事に「退職金規程(または就業規則の退職金章)の閲覧方法」を確認します。口頭での“概算回答”だけではなく、条文や別表を見せてもらうのが確実です。

共済や企業年金( DB / DC )があるか分かりません。

給与明細・年末調整資料・掛金明細・残高通知などに手がかりがあることが多いです。法人によっては、共済は別番号で管理され、企業年金は別の案内書類が届きます。分からない場合は「退職時に受け取れる制度(共済・企業年金を含む)の一覧」を窓口に確認してください。

退職金はいつ支給されますか?

規程型は「退職後 ○ 日以内」「給与支給日に準ずる」など、法人ごとに違います。共済・年金は支給までの期間が別になることがあります。退職前に「支給日」と「提出書類」をセットで確認しておくと安心です。

おわりに

退職金は、規程確認 → 支給要件の整理 → 計算要素(基礎賃金・月数・係数)の把握 → 手続きの段取り → 退職前の再チェックの順で進めると、迷いが減って判断が安定します。転職を含めて条件整理を進めるなら、面談準備チェックと職場評価シートも使える こちら(無料) から、次のアクションに進めてください。

参考文献

  • Silver MP, Hamilton AD, Biswas A, Warrick NI. A systematic review of physician retirement planning. Hum Resour Health. 2016;14(1):67. doi: 10.1186/s12960-016-0166-z / PubMed: PMID: 27846852
  • Silver MP, Hamilton AD, Biswas A, et al. Planning for Retirement From Medicine: A Mixed-Methods Study. BMC Health Serv Res. 2017. PubMed: PMID: 28401128
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  • Goldhaber D, et al. Evidence from a Large Public Pension System. ILR Review. 2017. doi: 10.1177/0019793916678424
  • Wynendaele H, et al. Understanding turnover in healthcare and welfare sectors: an umbrella review. 2025. PubMed Central: PMCID: PMC12139298

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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