CNSとは?評価方法・A1/A2の違いと点数の見方

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CNS(Canadian Neurological Scale)とは?評価方法と見方

CNS・NIHSS・JSSのどれを選ぶか迷っている方へ

NIHSS・CNS・JSSの使い分けを確認する

CNS(Canadian Neurological Scale)は、脳卒中患者の意識、見当識、言語、顔面・上下肢の運動を評価し、神経学的重症度を数値化する尺度です。共通項目のMentationを評価したあと、受容性言語障害の有無によってA1またはA2のどちらか一方を選択します。

合計点は1.5〜11.5点で、高いほど神経学的状態が良好と解釈します。この記事では、CNSの評価項目と配点、A1・A2の選び方、再評価時の記録方法を整理し、PDF記録シートと自動計算ツールも掲載します。

CNSの評価項目と配点

結論:CNSは、全例に実施するMentationと、受容性言語障害の有無によって選択するA1またはA2で構成されます。A1とA2を両方加算するわけではありません。

CNS評価でMentationから受容性言語障害の有無を確認しA1またはA2を選ぶ流れ
図1:CNSではMentationを評価したあと、受容性言語障害の有無によってA1またはA2を選択します。
表1:CNSの評価項目と配点
区分 評価項目 配点 使用条件
Mentation 意識レベル alert:3.0
drowsy:1.5
全例
Mentation 見当識 良好:1.0
不良・評価不能:0.0
全例
Mentation 言語 正常:1.0
表出性障害:0.5
受容性障害:0.0
全例
A1 顔面、上肢近位、上肢遠位、下肢近位、下肢遠位 顔面:0〜0.5
上下肢各項目:0〜1.5
受容性言語障害なし
A2 顔面、上肢、下肢の左右差 顔面:0〜0.5
上肢・下肢:各0または1.5
受容性言語障害あり

A1・A2の分岐点:表出性言語障害や構音障害があるだけでA2へ切り替えるわけではありません。施設で採用している受容性言語課題を遂行できない場合に、言語を0点としてA2を使用します。

以下では、公開されているCNSの評価票と研修資料をもとに、採点構造と判断の流れを日本語で要約します。正式に評価するときは、施設で採用している原尺度、評価票、研修手順を優先してください。

CNSの評価方法

結論:意識レベル、見当識、言語の順にMentationを確認し、言語評価の結果からA1またはA2へ進みます。特に重要なのは、表出性障害と受容性障害を区別することです。

1.意識レベルを確認する

意識レベルは、覚醒しているalertを3.0点、傾眠傾向があるdrowsyを1.5点として評価します。

CNSは、alertまたはdrowsyの患者を対象とする尺度です。昏迷や昏睡など、CNSの課題へ反応できない状態では無理に採点せず、GCSなどによる意識評価と基本的な神経学的観察を優先します。

2.見当識を確認する

見当識は、採用している評価票で定められた場所や日時などの質問を用いて確認します。必要な質問へ正しく回答できれば1.0点、不正解または評価できなければ0.0点です。

公開されている研修資料の間では、見当識を確認する質問の範囲や表記に一部差があります。評価者や評価日によって課題を変更せず、施設で採用した版を統一して使用してください。

3.言語を評価してA1・A2を決める

言語評価では、先に受容面を確認し、規定された課題を理解して遂行できる場合に表出面を確認します。

表2:言語評価とA1・A2の選択
評価結果 言語得点 使用する運動セクション
受容・表出ともに保たれている 1.0 A1
受容面は保たれているが、表出面に障害がある 0.5 A1
受容性言語障害がある 0.0 A2

構音が不明瞭でも、課題を理解しており、回答内容を判別できる場合は、構音障害だけを理由に受容性障害とは判断しません。構音障害はCNSの得点とは別に所見として残します。

4.受容性言語障害がなければA1を評価する

A1では、口頭指示に基づいて顔面、上肢近位、上肢遠位、下肢近位、下肢遠位を評価します。左右を確認し、より障害が強い側の所見を採点します。

表3:A1の評価項目と配点
評価項目 確認する内容 配点
顔面 表情をつくったときの口角や鼻唇溝の左右差 左右対称:0.5
筋力低下あり:0.0
上肢近位 上肢挙上と保持、抵抗に対する筋力 0〜1.5
上肢遠位 手指・手関節の運動と抵抗に対する筋力 0〜1.5
下肢近位 股関節運動と抵抗に対する筋力 0〜1.5
下肢遠位 足関節運動と抵抗に対する筋力 0〜1.5

上肢・下肢の各項目は、次の4段階で採点します。

  • 1.5点:明らかな筋力低下がなく、抵抗に抗して保持できる
  • 1.0点:重力に抗して必要な運動ができるが、抵抗には十分に抗せない
  • 0.5点:運動はみられるが、重力に抗した必要な運動を完遂できない
  • 0.0点:明らかな運動がみられない

疼痛、関節可動域制限、固定具、安静度、禁忌などにより規定動作を実施できない場合は、神経学的な筋力低下と同一に扱わず、実施できなかった理由を記録します。

5.受容性言語障害があればA2を評価する

A2では、詳細な抵抗運動ではなく、顔面、上肢、下肢の反応が左右で等しいかを確認します。

表4:A2の評価項目と配点
評価項目 評価内容 配点
顔面 表情や口角、鼻唇溝の左右対称性 左右対称:0.5
左右差あり:0.0
上肢 上肢の保持または運動反応の左右差 左右同等:1.5
左右差あり:0.0
下肢 下肢の保持または運動反応の左右差 左右同等:1.5
左右差あり:0.0

A2の「左右同等」は正常を意味するとは限りません。A2は主に左右差を評価するため、両側が同程度に低下していても「同等」となる可能性があります。必要に応じて、上下肢の筋力や運動反応を別の神経学的評価で補足してください。

6.MentationとA1またはA2を合計する

Mentationに、A1またはA2のどちらか一方を加えて合計点を算出します。

  • 最低点:1.5点
  • 最高点:11.5点
  • 得点の方向:高いほど良好、低いほど神経学的障害が重い

A1からA2、またはA2からA1へ変更した場合は、合計点だけでなく、使用したセクションと変更理由も記録します。

A1・A2の判断で迷いやすい場面

結論:A2を選択する基準は、失語や反応の遅さがあること自体ではなく、施設で採用している受容性言語課題を遂行できるかどうかです。

表5:A1・A2の分岐で迷いやすい場面
場面 基本的な判断 記録すること
指示は理解できるが、名称や用途を答えにくい 表出性障害として0.5点、運動はA1 どの表出課題で誤りがあったか
発話は不明瞭だが、回答内容は判別できる 構音障害だけを理由にA2へ変更しない 構音障害と回答の判別可否
反応は遅いが、待つと課題を遂行できる 反応遅延だけで受容性障害と決めない 反応時間、覚醒状態、注意の変動
受容性言語課題を遂行できない 言語0.0点としてA2へ進む 使用した課題と実際の反応
前回A1、今回はA2となった セクション変更そのものを重要な変化として扱う 変更理由、覚醒、言語、全身状態

再評価では条件と使用セクションを記録する

結論:CNSの再評価では、同じ評価票と手順を使用し、A1・A2、覚醒状態、疼痛、投薬、固定具などの条件差を記録します。合計点だけを並べても、変化した理由までは判断できません。

表6:CNSを同じ型で再評価する5ステップ
手順 実施内容 記録ポイント
1 CNSを実施できる覚醒状態か確認する alert、drowsy、反応の遅さ
2 施設で採用した評価票と課題を使用する 使用した版、評価時刻
3 Mentationを評価してA1またはA2を選択する 使用セクションと選択理由
4 規定された肢位と方法で運動項目を評価する 左右差、実施困難だった項目
5 合計点、項目別変化、条件差を残す 疼痛、眠気、発熱、投薬、固定具など

CNSの記録例

記載例:CNS 9.0点(A1)。前回9.5点から0.5点低下。alert、見当識良好、表出性言語障害あり。右上肢遠位の抵抗保持が前回より低下。疼痛なし、投薬変更なし。

このように、合計点に加えて、使用セクション、変化した項目、評価条件を残すと、多職種が変化の内容を共有しやすくなります。

CNS記録シートのダウンロード

結論:繰り返し評価するときは、合計点だけでなく、A1・A2、評価条件、前回比、判断根拠を同じ用紙へ記録すると変化を追いやすくなります。

配布しているA4記録シートでは、患者情報、評価条件、使用セクション、各領域の得点、根拠メモ、再評価時の変化を1枚で整理できます。

このPDFは記録用です。項目文や詳しい採点基準は掲載していないため、施設で採用している評価票と併用してください。

CNS記録シートPDFを開く

プレビューを開く

CNS自動計算ツール

結論:CNS自動計算ツールでは、MentationとA1またはA2を入力すると、合計点と参考となるNIHSS推定値を確認できます。

言語で受容性障害を選択するとA2へ自動で切り替わり、未選択項目がある場合は結果を確定しない仕様です。未入力項目を誤って0点として扱うことを防ぎやすくしています。

自動計算は入力補助です。A1・A2の選択、実施手順、評価条件、所見の記録は代替できないため、原尺度と施設手順をあわせて確認してください。

CNS自動計算ツールを別タブで開く

CNSの点数の見方

結論:CNSは1.5〜11.5点で、高いほど神経学的状態が良好、低いほど障害が重いと解釈します。合計点だけで独自に軽症・中等症・重症へ分類せず、項目別所見と前回からの変化を確認します。

A1とA2では運動項目の構造が異なります。セクションをまたいで変化した場合も合計点は記録できますが、点数だけを単純に比較せず、A1・A2が変更された理由を併記してください。

点数が低下した場合は、神経症状の変化だけでなく、眠気、発熱、鎮静、疼痛、関節可動域制限、固定具などの影響も確認します。再評価や報告の基準は、施設の脳卒中管理手順を優先してください。

CNS評価でよくある失敗

結論:評価者差が生じやすいのは、A1・A2の選択、評価手順、筋力低下以外の要因、記録方法です。

表7:CNS評価で起こりやすい失敗と対処
失敗 問題点 対処
失語があれば一律にA2を選ぶ 表出性障害でもA2へ進んでしまう 先に受容性言語課題の遂行可否を確認する
毎回異なる指示や肢位で評価する 点数が神経症状以外の条件差を拾う 施設で採用した評価票と手順を固定する
動かない理由をすべて麻痺とする 疼痛、固定、可動域制限の影響を区別できない 実施困難の理由を得点とは別に記録する
A2の左右同等を正常と解釈する 両側性の運動低下を見落とす可能性がある 絶対的な筋力や運動反応を別評価で補足する
合計点だけを申し送る どの機能が変化したか分からない 使用セクション、変化項目、条件差を併記する

CNS・NIHSS・JSSの違い

結論:CNSは、意識、言語、顔面・上下肢運動を比較的短時間で反復評価したい場面に向きます。急性期の神経症候をより詳細に評価する場合はNIHSSなどを検討します。

  • CNS:意識、見当識、言語、顔面・上下肢運動の経時変化を確認する
  • NIHSS:眼球運動、視野、感覚、失調、無視などを含めて詳細に評価する
  • JSS:重み付けされた項目によって神経学的重症度を定量化する

どの尺度を使用するかは、評価目的と施設の脳卒中診療手順を優先してください。

CNSからNIHSSへの換算式

結論:CNSからNIHSSを推定する参考式として、次の換算式が報告されています。

NIHSS推定値=23-2×CNS

この式は、CNSとNIHSSの対応を検討した研究から作成された推定モデルです。個々の評価項目を相互変換するものではなく、推定値だけで治療方針や臨床判断を決定することはできません。

失語、注意障害、感覚障害、半側空間無視などは、CNSとNIHSSで評価構造が異なります。詳細な神経学的評価が必要な場合は、換算値ではなくNIHSSそのものを実施してください。

CNSに関するよくある質問

CNSは何点満点ですか?

CNSは11.5点満点で、最低点は1.5点です。高いほど神経学的状態が良好、低いほど障害が重いと解釈します。

A1とA2は何が違いますか?

A1は受容性言語障害がない場合、A2は受容性言語障害がある場合に使用します。A1では上下肢を近位・遠位に分けて筋力低下を評価し、A2では顔面・上肢・下肢の左右差を評価します。

表出性失語がある場合もA2ですか?

受容性言語課題を遂行できる場合は、表出性障害を0.5点としてA1を使用します。失語があるという理由だけで、一律にA2を選ぶわけではありません。

構音障害があれば言語は0.5点ですか?

構音が不明瞭でも、回答内容を判別でき、受容・表出課題を完遂できる場合は、構音障害だけを理由に減点しません。構音障害は所見として別に記録します。

A2で上肢と下肢が左右同等なら正常ですか?

左右同等であることは、必ずしも正常を意味しません。A2は左右差を中心に評価するため、両側が同程度に低下している場合は、筋力や運動反応を別の評価で補足します。

NIHSS換算値を診療判断に使えますか?

換算値は集団データから算出された推定値です。NIHSSの各項目を実際に評価した結果ではないため、治療判断や詳細な評価が必要な場合はNIHSSそのものを実施します。

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全体像を確認する:脳卒中評価・リハビリテーション記事一覧

続けて読む:NIHSSの評価方法


参考文献

  1. Côté R, Hachinski VC, Shurvell BL, Norris JW, Wolfson C. The Canadian Neurological Scale: a preliminary study in acute stroke. Stroke. 1986;17(4):731-737. doi:10.1161/01.STR.17.4.731(PubMed / DOI
  2. Côté R, Battista RN, Wolfson C, Boucher J, Adam J, Hachinski V. The Canadian Neurological Scale: validation and reliability assessment. Neurology. 1989;39(5):638-643. doi:10.1212/WNL.39.5.638(PubMed / DOI
  3. Nilanont Y, Komoltri C, Saposnik G, et al. The Canadian Neurological Scale and the NIHSS: development and validation of a simple conversion model. Cerebrovasc Dis. 2010;30(2):120-126. doi:10.1159/000313637(PubMed / DOI
  4. Bushnell CD, Johnston DC, Goldstein LB. Retrospective assessment of initial stroke severity: comparison of the NIH Stroke Scale and the Canadian Neurological Scale. Stroke. 2001;32(3):656-660. doi:10.1161/01.STR.32.3.656(PubMed / DOI
  5. Heart and Stroke Foundation of Canada. Suggested Stroke Rehabilitation Screening and Assessment Tools. Canadian Stroke Best Practice Recommendations. 2019(Web
  6. CorHealth Ontario. Emergency Department Code Stroke Record: Canadian Neurological Scale instructions for use. 2017(PDF

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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