NIHSS の評価方法|採点手順と 11 項目【早見表】2025

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この記事でわかること(結論)

このページは NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)評価方法(採点手順)を最短で確認できるように構成しています。まずは「評価方法へジャンプ」から手順を確認し、その後に 11 項目の要点・判定のコツ・重症度分類 を押さえれば実務で迷いません。

NIHSS は 0〜42 点で脳卒中の神経学的重症度を定量化します。原則は 最初のパフォーマンスを採点し、過度な練習・誘導は行いません。眼鏡・補聴器・義歯などは普段の補助具を装着可、ただし検査を容易にする過度の補助は不可です。

臨床 × キャリアの伸ばし方ガイド(院内教育・転機の考え方)

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結論・早見表(ポイントだけ先に)

NIHSS 運用の要点(成人・急性期/2025)
項目 要点
目的 急性期の重症度を共通言語で把握し、経時変化と治療・リハの方針決定に直結。
総点 0〜42 点(高いほど重症)。0:症状なし/1–4:軽症/5–15:中等症/16–20:中等–重症/21–42:重症(便宜的目安)。
評価原則 初回の反応で採点。誘導・過度の練習は不可。普段の補助具は装着可。
時間 原則 10 分前後で実施可能。検者間で手順・声かけを固定化(再現性重視)。
次アクション 合計点に加え 項目内訳(失語/無視/運動)をもとに、姿勢管理・嚥下/誤嚥・褥瘡対策を即時設計。脳卒中 GL の実務ポイントも参照。

評価前の準備(環境・前提)

評価前チェックリスト
カテゴリ 確認事項
環境静かな環境、十分な照明。家族や同席者には見守りのみ依頼。
補助具眼鏡・補聴器・義歯など普段の補助具は装着可(成績を上げるための過度な補助は不可)。
体位上肢試験:座位 90° or 仰臥 45°、下肢試験:仰臥 30°が取れる体位を準備。
鎮静・疼痛鎮静・強い疼痛・せん妄は採点に影響。必要なら保留や注記。
ベースライン失語・認知症・視聴覚障害など既存の障害を所見に明記。

評価方法(採点手順)

  1. 説明 → 同意 → 体位調整:検査の流れを簡潔に伝え、普段の補助具を装着。
  2. LOC → 注視 → 視野 → 顔面 → 上肢 → 下肢 → 失調 → 感覚 → 言語 → 構音 → 無視の順に実施(原則的な順序)。
  3. 初回のパフォーマンスで採点:練習で成績が向上しても最初の反応で判定。
  4. 注記:検査不能の理由(疼痛・理解困難・既存障害)を明記。
採点ルール早見表(守るべき原則)
テーマ 要点
誘導過度な練習・ヒントは不可。指示は最小限・統一文言で。
補助検査を容易化する補助は不可。普段の補助具は装着可。
時間上肢保持 10 秒、下肢保持 5 秒など規定時間を守る。
区別失語(理解・表出)と構音障害(発話の明瞭度)を分けて採点。
内訳合計点だけでなく、どの項目が高得点かを臨床に反映(例:無視が強い→転倒・逸脱対策)。

11 項目の要点(早見表)

NIHSS 各項目と判定のカギ(概要)
# 項目 点数レンジ 判定のカギ
1意識レベル(反応・質問・命令)0–3・0–2・0–2覚醒、見当識、命令の遂行(失行・失語の影響に留意)。
2注視0–2共同偏視の有無(追視で判定)。
3視野0–3同名半盲・全盲(顔向け反応・瞬目も参照)。
4顔面麻痺0–3対称性・随意運動(額・歯の露出・頬)。
5上肢の運動0–4 ×290°(座位)/45°(仰臥)で 10 秒保持のドリフト。
6下肢の運動0–4 ×230°(仰臥)で 5 秒保持のドリフト。
7四肢運動失調0–2協調運動(指鼻・踵膝)、麻痺による制限は除外。
8感覚0–2針刺激の左右差・減弱。
9言語(失語)0–3呼称・復唱・理解。構音障害とは独立。
10構音障害0–2発話の明瞭度。義歯・口腔状態の整備。
11消去現象/半側空間無視0–2二重同時刺激での消失。視野欠損と区別。

各項目の解説(手順と判定のコツ)

1. 意識レベル(反応・質問・命令)

狙い:覚醒・見当識・指示理解の基礎を評価。三部構成(反応・質問・命令)で各々採点。

  • 反応:呼名や痛み刺激への反応(0 正常〜3 無反応)。
  • 質問:「年・月」など 2 問を簡潔に。答えられなければ減点。
  • 命令:開閉眼・握開手など 2 命令。失語・失行に配慮するが、遂行不可は減点。

2. 注視

狙い:共同偏視の有無。指やペン先を水平にゆっくり動かして追視を確認。

  • 偏視が持続:2 点、部分的制限:1 点、正常:0。

3. 視野

狙い:同名半盲など視野欠損。指動かし・指カウント・瞬目反応を観察。

  • 両側同時提示の反応も参考(ただし無視とは区別)。

4. 顔面麻痺

狙い:額しわ寄せ、歯の露出、頬膨らませ等で左右差を判定。

  • 完全麻痺:3、部分麻痺:2、対称:0。

5. 上肢の運動

狙い:抗重力保持とドリフト(左右それぞれ評価)。

  • 座位 90°/仰臥 45°で10 秒保持。保持不可・テーブル接触は減点。
  • 初動で明らかな落下:4、わずかなドリフト:1。

6. 下肢の運動

狙い:抗重力保持(左右それぞれ)。

  • 仰臥位で股関節30°・5 秒保持。保持不可・ベッド接触は減点。

7. 四肢運動失調

狙い:小脳性失調(麻痺の影響は除外)。

  • 指鼻試験・踵膝試験。麻痺が強く評価不能なら理由を注記。

8. 感覚

狙い:針刺激で左右差・減弱を確認。

  • 疼痛・理解困難が影響する場合は注記。

9. 言語(失語)

狙い:呼称・復唱・理解で言語機能を評価(構音とは独立)。

  • 絵カードや定型文を用い、理解・表出の障害を判定。

10. 構音障害

狙い:発話の明瞭度。義歯・口腔内を整え実施。

  • 定型文の読み上げで 0–2 点を判断。失語と混同しない。

11. 消去現象/半側空間無視

狙い:視覚・体性感覚の二重同時刺激での消失。視野欠損と区別。

  • 左右同時提示で一方が消える場合は陽性。視野検査の所見と統合。

臨床の知識整理と合わせて、転職の進め方(3ステップ)を先に決めておくと迷いが減ります。

合計点の読み方と臨床活用

NIHSS 合計点の便宜的分類(臨床メモ)
合計点目安臨床メモ
0症状なし再評価・画像所見と統合して判断
1–4軽症失語・無視などはADL影響が大きい
5–15中等症急性期リハの優先順位を検討
16–20中等–重症合併症予防・体位管理を厳密に
21–42重症全身管理・誤嚥/褥瘡対策を重点化

合計点は重症度の概算に有用ですが、実際のケアは 項目内訳に強く依存します。例えば無視が強ければ転倒・逸脱対策、失語が強ければコミュニケーション・嚥下連携を優先します。早期リハでは 脳卒中ガイドラインのケアバンドルと組み合わせて、体位・誤嚥・褥瘡対策を同時に設計します。

判定で迷いやすいポイント(チェックリスト)

  • 失語 vs 構音:理解・表出の障害(失語)と、発話の不明瞭(構音)を混同しない。
  • 時間規定:上肢 10 秒、下肢 5 秒を厳守。短縮すると過小評価。
  • 過度な誘導:ヒントや練習は不可。最初の反応で採点。
  • ベースライン:視聴覚障害・認知症・失語既往は所見に明記。

FAQ(よくある質問)

Q. ベースラインの失語・認知症がある場合は?
A. 既存障害の影響を所見に明記し、可能な範囲で発症前からの変化を採点します。
Q. 補助具は使ってよい?
A. 普段使用の眼鏡・補聴器・義歯は装着可。ただし検査を容易にする過度の補助は不可です。
Q. 評価にかける時間は?
A. 原則 10 分前後で完了できるよう流れを固定し、再現性を重視します。

参考文献

  • Brott T, et al. Measurements of acute cerebral infarction: a clinical examination scale. Stroke. 1989;20(7):864–870.
  • NIH Stroke Scale – Official training materials. nihstrokescale.org
  • AHA/ASA Guidelines for the Early Management of Patients With Acute Ischemic Stroke. AHA Journals
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