栄養アセスメントCONUTとは?ALB|TLC|TC検査値で評価

栄養管理
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いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「CONUT」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

     

数ある栄養スクリーニング法の中で本邦で最も使用頻度が高い評価尺度はMNA®-SF(Mini Nutritional Assessment-Short Form:簡易栄養状態評価表)になると思います。

MNA®-SFも名称に簡易と入っているくらいですので、非常に簡便に評価することができますが、3ヶ月前との変化を確認する必要がある項目がいくつかありますので、意識レベルや認知機能、全身状態によっては上手くアセスメントできない可能性があります。

   

この記事で紹介するCONUTについては、生化学検査値のみからスコアを算出することができるため、客観的情報のみで栄養状態をアセスメントすることができます。多人数の一括した栄養管理にも向いていると思います。

   

CONUTは大変興味深い栄養アセスメントになりますが、評価方法について詳しく知らない方もいらっしゃると思います。そんな方のために、こちらの記事をまとめてみました。今までにCONUTを一度も使用したことがない人でも、この記事を読むことで明日からの臨床で活用することができるようになることを目標にします。特に、下記のポイントを理解できるようにします。

   

  • CONUTの概要
  • CONUTの特徴と評価方法
  • 血清アルブミン(ALB)、総リンパ球数(TLC)、総コレステロール(TC)と栄養状態との関係性

   

こちらの記事が日々の臨床での栄養スクリーニングや、栄養管理を考慮した効果的なリハビリテーションの実践に少しでもお力添えになれば幸いです。是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
リハビリくん

【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。

  

主な取得資格は以下の通りです

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

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CONUTとは

CONUT(コニュート)は2003年のESPEN(欧州静脈経腸栄養学会)でスペインのゴンザレスらが発表した栄養評価法になります。

一般的に測定されている検査項目であるアルブミン(ALB)、 総リンパ球数(TLC)、総コレステロール(TC)値をスコア化し、3つのスコアを積算して求めたCONUT値を栄養評価の指標として用います。

CONUT値は蛋白代謝、免疫能、脂質代謝という3つの生体指標を反映したもので、栄養レベルは正常、軽度異常、中等度異常、高度異常の4段階で評価されます。

CONUTの特徴と評価方法

評価方法としては、スコアの合計が 0 〜 1 は正常、2 〜 4 は軽度異常、5 〜 8 は中等度以上、9 〜 12 は高度異常とレベルを判定します。すなわちスコアが高いほど栄養状態が不良ということになります。

項目によって重みづけが異なり、ALBのスコアだけが、他の2項目の2倍のスコアになっているのが特徴的となります。

CONUT法は特別な知識がなくても、ほとんどの患者で測定することができます。一般採血3項目で算出されるCONUTスコア合計から最低限の栄養アセスメントが可能であり、短時間で栄養不良患者を把握することができます。

また、3つの栄養指標を用いることにより、重症化しアルブミン値が低下する前に軽度栄養不良患者を抽出することができると考えられます。

診察や問診を必要としないため、簡便かつ客観的に評価することができます。近年、心不全患者や入院リハ患者に対する使用例の報告が増えてきています。

血清アルブミン(ALB)

血清アルブミンは、血液中のタンパク質の一種で、総蛋白の約6割を占め、栄養・代謝物質の運搬、浸透圧の維持などの働きを補っています。栄養状態を評価する際、低栄養に陥っていないかどうかを調べる指標にもなり得ます。

アルブミン値の基準値は 3.8〜5.3 g/dlとなります。アルブミン値による低栄養の明確な基準はありませんが、一般的にはアルブミン値 3.5g/dl以下で低栄養のリスクありと判断している指標が多いように見受けられます。

栄養状態をアルブミン値を含めて判断するときに注意したいことがあります。実はアルブミン値でわかるのは、3 週間前の栄養状態となります。アルブミン値は、血球半減期が 14 〜 21 日と長く、変動がゆるやかであり、長期の栄養状態を反映しています。

つまり、現在の栄養状態を如実に示すものではなく、およそ 3 週間前の値ということになります。 3週間あると人の栄養状態は良い方にも悪い方にも大きく変動する可能性がありますので、タイムラグがあることは理解する必要があります。

また、アルブミン値が低下する原因は低栄養だけではなく、他の要因で低下することもあるため、栄養だけではなく全身状態を総合的に考える必要があります。栄養状態悪化以外にどのような要因が考えられるのか、一例を記載します。

  • 肝機能障害による低下

血清アルブミンは、肝細胞のみで作られ血液中に存在しています。 何らかの異常で肝機能が低下すると、肝臓のアルブミンをつくる能力が低下するため、アルブミン値が低下する可能性があります。

  • タンパク質の喪失による低下

腎不全・ネフローゼ症候群・広範囲熱傷等による腎臓や体表面からのアルブミン漏出、胸水や腹水貯留による体内へアルブミンが貯留することでアルブミン値が低下する可能性があります。

  • タンパク質の消費量増大による低下

体のどこかで炎症が起こると、炎症部分局所でアルブミンの消費量が増大し、血清アルブミン値が低下する可能性があります。手術後や感染などの侵襲が加わっている状況では、 急速に低下することもあります。

  • 脱水によりアルブミン値が上昇することも

血液が濃縮することにより、見かけ上、アルブミン値が上昇することがあります。栄養状態が改善したわけではないので勘違いしないようにしましょう。

ALB( 3.1 〜3.5 g/dl):軽度低栄養

ALB( 2.5 〜3.0 g/dl):中等度低栄養

ALB( 2.5 g/dl未満):重度低栄養

総リンパ球数(TLC)

総リンパ球数とは免疫能やB細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞の総数であり、栄養状態の指標として有用となります。

総リンパ球数は、白血球数とリンパ球割合から算出することができます。計算式は以下の通りになります。

TLC(mm3)=WBC(白血球数)× TLC%/100

例えば、白血球数が10000/uL、リンパ球割合が25%であった場合、計算式は10000/ul × 25 ÷ 100 となり、総リンパ球数は、 2500mm3となります。

この計算は免疫能や栄養状態の指標として有用です。しかし、感染症発症時や白血球数が増加している場合には上昇し、がん・代謝ストレス・ステロイド投与・術後には低下します。栄養状態だけを表した指標ではなく全身状態にも左右されますので、そのあたりのご理解が必要になります。

総コレステロール(TC)

総コレステロールは、血液中の重要な脂肪になります。主な働きとして「細胞膜や血管壁の構成」「副腎皮質ホルモンや性ホルモンを合成する材料になる」「食物の消化・吸収に欠かせない胆汁酸の原料になる」等を挙げることができます。

重要な役割を果たしているコレステロールですが、多すぎても少なすぎても体内に悪い影響を与え、栄養状態にも関係する指標といえます。コレステロールが不足すると「細胞膜や血管が弱くなる」「免疫力が低下する」などの症状が生じる可能性があります。

総コレステロールは、LDLコレステロールとHDLコレステロールを合わせたものになります。総コレステロールの基準値は、1dLの血液中に 150 〜 219 mg/dLとなっております。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「CONUTスコア:検査値からみる栄養評価法」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事が日々の臨床での栄養スクリーニングや、栄養管理を考慮した効果的なリハビリテーションの実践に少しでもお力添えになれば幸いです。

参考文献

  1. 高橋俊介,高橋治美,井出京子,竹内智恵子,栗林希代子,新美三由紀,松島凛太郎,田中司朗.栄養不良入院患者の抽出を目的とする CONUT変法の検討.日本静脈経腸栄養学会雑誌.2016,3,13,p827-834.
  2. 脇坂典子,畑中那奈子,玉田千秋,三宅元子,松田由紀.高齢患者における入院時CONUT値算出の有用性.JSPEN.2019,Vol.1(4),p297-303.
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