- FSSTの評価方法|原法と変更条件を分けて実施する
- FSSTで評価するのは多方向ステップと動的立位バランス
- FSST原法のセッティング|4本の杖で4区画を作る
- FSSTの進行順序|2→3→4→1→4→3→2→1
- 計時開始と終了|最初の足が区画2、2足目が区画1へ接地
- FSSTの説明方法とデモンストレーション
- 練習1回後に成功試行を2回測定し、速い方を採用する
- FSSTの無効条件|不成功試行は採点せず再実施する
- テープ・歩行補助具を使う場合は変更条件として記録する
- FSSTのカットオフ|15秒と12秒は対象集団が異なる
- FSST評価記録シートv3|PDF・Excel
- FSSTで記録する項目と記録例
- FSSTの方向別所見をリハビリへつなげる
- FSSTの再評価では測定条件と成功率も比較する
- FSSTの信頼性・妥当性
- FSSTで起こりやすい測定ミスと対策
- FSSTのよくある質問
- まとめ|原法・成功試行・変更条件を分けて記録する
- 次に確認する内容
- 参考文献
- 著者情報
FSSTの評価方法|原法と変更条件を分けて実施する
Four Square Step Test(FSST)は、床に置いた4本の杖で作る4区画を、前方・側方・後方へ素早く移動し、多方向ステップ、障害物またぎ、動的立位バランスを評価する時間計測テストです。
原法では、区画1から開始して2→3→4→1→4→3→2→1の順に移動します。検者のデモンストレーション後に練習を1回行い、成功試行を2回測定して、速い方のタイムを採用します。
杖をテープへ変更した場合や、歩行補助具を使用した場合は、原法と同じ条件ではありません。変更内容を記録し、原法で報告された12秒・15秒などのカットオフをそのまま適用せず、同一条件での経時比較を優先します。
FSST原法の要点
- 床に平らに置いた4本の杖で4区画を作る
- 区画1に立ち、区画2を向いて開始する
- 順序は2→3→4→1→4→3→2→1
- 各区画で両足を床へ接地する
- 可能な範囲で正面を向いたまま移動する
- 練習1回後、成功試行を2回測定する
- 成功試行2回のうち速いタイムを採用する
FSSTで評価するのは多方向ステップと動的立位バランス
FSSTは、前方・側方・後方へのステップと低い障害物のまたぎを、決められた順序で素早く行う能力を評価します。
単純な直線歩行とは異なり、支持脚の切り替え、足部クリアランス、左右への重心移動、後方ステップ、順序の理解を同時に必要とします。
- 前方・側方・後方への多方向ステップ
- 支持脚と振り出し脚の素早い切り替え
- 低い障害物をまたぐ足部クリアランス
- 決められた順序を維持する注意・遂行機能
- 正面を向きながら進行方向を切り替える能力
- 動作速度と正確性の両立
一方、予期しない外力に対する反応性姿勢制御を直接評価する検査ではありません。「外乱への反応」や「つまずいた瞬間の立て直し」を評価する検査と同一には扱わず、あらかじめ決められた多方向ステップ課題の遂行として解釈します。
FSST原法のセッティング|4本の杖で4区画を作る
原法では、ストップウォッチと4本の杖を使用し、杖を床へ平らに置いて十字状の4区画を作ります。
杖は、対象者がまたぐ低い障害物として機能します。杖の位置が動いたり、区画の大きさが毎回変わったりすると、前回値や文献値との比較が難しくなります。
必要な用具
- 4本の杖
- ストップウォッチ
- 滑りにくく平坦な床面
- 必要に応じて歩行ベルトなどの安全確保用具
コースの作り方
- 4本の杖を床へ平らに置き、十字状に配置する
- 4つの区画を1・2・3・4と設定する
- 対象者は区画1に立ち、区画2を向く
- 区画4は開始位置の右側、区画2は前方に位置する
- 杖が動かないことと、床が滑らないことを確認する
区画配置
区画1に立ち、前方の区画2を向いて開始します。
テープで作ったコースは原法と異なる
テープへ変更すると、障害物をまたぐ高さ、接触の意味、足部クリアランス、課題難易度が変わります。安全上テープを使用する場合は「変更条件」と記録し、原法と区別してください。
FSSTの進行順序|2→3→4→1→4→3→2→1
区画1から開始し、2→3→4→1→4→3→2→1の順に移動します。
前半では区画2、3、4、1へ進み、後半では逆方向に区画4、3、2、1へ戻ります。対象者は前方、側方、後方へのステップを組み合わせて、開始区画へ戻ります。
進行順序
1から開始 → 2 → 3 → 4 → 1 → 4 → 3 → 2 → 1で終了
- 区画1で区画2を向いて立つ
- 区画2へ前方ステップする
- 区画3へ側方ステップする
- 区画4へ後方ステップする
- 区画1へ側方ステップする
- 区画4へ逆方向の側方ステップを行う
- 区画3へ前方ステップする
- 区画2へ側方ステップする
- 区画1へ後方ステップして終了する
各区画では両足を接地する
各区画では、片足だけではなく、両足が区画内の床へ接地してから次の区画へ進みます。
片足が接地した直後に次の区画へ進むと、原法よりタイムが短くなります。測定前に「それぞれの区画へ両足を入れてから次へ進んでください」と説明を統一します。
可能な範囲で正面を向いたまま行う
原法では、可能であれば全シークエンスを通して正面を向いたまま移動します。身体の向きを区画ごとに変える課題ではなく、正面を保ちながら前方・側方・後方へステップします。
ただし、正面を維持できなかったことだけで自動的に不成功試行にはなりません。順序を正しく完遂し、バランス喪失や杖への接触がなければタイムを記録し、身体の向きを変えたことを変更内容として併記します。
計時開始と終了|最初の足が区画2、2足目が区画1へ接地
計時開始は最初の足が区画2の床へ接地した時点、計時終了は最後の足、つまり2足目が区画1の床へ接地した時点です。
| 項目 | 原法の条件 | よくある誤り |
|---|---|---|
| 開始 | 最初の足が区画2の床へ接地した時点 | 開始の合図と同時に計時する |
| 終了 | 2足目が区画1の床へ接地した時点 | 最初の足が区画1へ入った時点で止める |
| 採用値 | 成功試行2回のうち速いタイム | 平均値や遅い方を採用する |
検者によって開始・終了の押し方が異なると、短時間の検査では測定誤差が大きくなります。院内で計時条件を統一し、再評価でも同じ方法を使用します。
FSSTの説明方法とデモンストレーション
測定前に検者が進行順序をデモンストレーションし、対象者が理解できていることを確認してから練習へ進みます。
説明のテンプレート
「杖に触れないように、決められた順番で、できるだけ速く移動してください」
「それぞれの区画に両足を接地してから、次の区画へ進んでください」
「可能であれば、身体は正面を向いたまま行ってください」
説明文やデモンストレーションの方法が試行ごとに変わると、理解度や動作速度に影響します。再評価では、可能な範囲で同じ説明を使用します。
練習1回後に成功試行を2回測定し、速い方を採用する
原法では、デモンストレーション後に練習を1回行い、成功した試行を2回測定して、速い方を採用します。
- 検者が進行順序をデモンストレーションする
- 対象者が練習を1回行う
- 成功試行1回目を測定する
- 必要な休憩を取る
- 成功試行2回目を測定する
- 2回のうち速いタイムを採用する
「本番を2回行う」という表現だけでは、不成功試行を含む2回で終了する可能性があります。正確には、成功試行を2回そろえることが必要です。
成功試行の条件
正しい順序を完遂し、バランスを失わず、杖へ接触していない試行を採点します。各区画への両足接地も確認します。
FSSTの無効条件|不成功試行は採点せず再実施する
原法では、順序を正しく完遂できない、バランスを失う、杖へ接触する場合を不成功試行とし、採点せずに再実施します。
本記事では検索時に使われやすい「無効条件」という表現も使用しますが、原法の説明では「unsuccessful trial」とされています。
| 不成功となる状況 | 確認内容 | 対応 |
|---|---|---|
| 杖への接触 | 足部や補助具が杖へ接触した | 採点せず、接触部位を記録して再実施する |
| 順序の誤り | 区画を飛ばした、逆方向へ進んだ | 順序理解を確認し、再提示して再実施する |
| バランス喪失 | 姿勢を保てず、動作を中断した | 安全を確保し、実施継続の可否を再判断する |
| 両足接地の不成立 | 片足だけで次の区画へ移動した | 手順を正しく完遂できていない試行として再実施する |
転倒回避介助は採点せず安全中止として扱う
検者が身体を支える転倒回避介助を行った場合は、有効なタイムとして採用しません。単なる測定ミスではなく、安全上の中止または実施困難として、介助内容と発生場面を記録します。
疼痛、呼吸苦、めまい、強い不安、全身状態の変化がある場合も、成功試行をそろえるために無理に反復しません。
安全管理・中止基準を詳しく確認する
テープ・歩行補助具を使う場合は変更条件として記録する
テープや歩行補助具を使用した場合は、原法と同一条件として扱わず、変更条件を明記します。
テープを使用する場合
テープでは段差をまたぐ必要がなくなり、杖への接触という不成功条件も再現できません。転倒リスクを考慮してテープを用いる場合は、安全性を優先した変更条件として扱います。
- 「テープコース」と記録する
- 区画の大きさとテープ位置を毎回そろえる
- 原法のカットオフを直接適用しない
- 同じテープ条件での経時変化を確認する
歩行補助具を使用する場合
原法の公開手順には、歩行補助具を使用する標準条件が明示されていません。補助具なしでは安全に完遂できない場合に無理に原法を実施せず、別のバランス評価を選択することも検討します。
補助具を使用して実施する場合は、次の条件を記録します。
- 補助具の種類
- 使用側
- 高さ・設定
- 補助具が杖へ接触したか
- 見守り・介助量
- 再評価でも同じ条件を再現できたか
歩行器は杖で作った4区画をまたぐ原法と両立しにくいため、対象者が安全に実施できる別の歩行・バランス評価を検討します。
| 条件 | 扱い | カットオフ | 再評価 |
|---|---|---|---|
| 4本の杖・補助具なし | 原法 | 対象集団が一致する場合に参考にする | 同じ杖・配置・説明で比較する |
| テープを使用 | 変更条件 | 原法の値を直接適用しない | 同じテープ条件で経時比較する |
| 歩行補助具を使用 | 変更条件 | 原法の値を直接適用しない | 種類・高さ・使用側をそろえる |
| 身体介助が必要 | 採点しない | 適用しない | 実施可否または別評価を検討する |
FSSTのカットオフ|15秒と12秒は対象集団が異なる
FSSTの代表的なカットオフには15秒超と12秒超がありますが、対象集団と識別した内容が異なります。
1つの数値をすべての高齢者、脳卒中患者、前庭障害者へ共通して当てはめることはできません。原法に近い条件で実施したうえで、研究対象と患者背景が一致するか確認します。
| 対象 | 報告値 | 識別した内容 | 臨床での注意 |
|---|---|---|---|
| 65歳超の地域在住高齢者 | 15秒超 | 複数回転倒者の識別 | 高齢者全般へ一律適用せず、転倒歴などと併用する |
| 前庭障害に伴うバランス障害者 | 12秒超 | 1つ以上の転倒危険因子を持つ対象者の識別 | 感度80%、特異度92%と報告された研究対象に限る |
| 歩行可能な脳卒中後患者 | 一律の値で判断しない | 動的立位バランス、実施可能性、経時変化 | 完遂可否、不成功試行、補助具、介助量も記録する |
| テープ・補助具を用いた変更条件 | 原法値を直接適用しない | 同一条件での変化 | 経時比較と動作所見を中心に解釈する |
15秒超の読み方
Diteらは65歳を超える地域在住成人を対象に検討し、15秒超を複数回転倒者の識別に用いる目安として報告しました。
ただし、日本の地域在住虚弱高齢者を対象とした研究では、FSSTによって6か月後の転倒発生を十分に予測できませんでした。15秒という値だけで転倒リスクを断定せず、転倒歴、歩行速度、他のバランス評価、生活環境などを組み合わせます。
12秒超の読み方
Whitneyらは、前庭障害に伴うバランス障害を持つ成人を対象に、12秒超が1つ以上の転倒危険因子を持つ対象者の識別に関連すると報告しました。
これは一般高齢者や脳卒中患者の共通カットオフではありません。めまい、前庭症状、歩行速度、他のバランス評価と合わせて解釈します。
カットオフより先に確認すること
- 原法に近い条件で実施したか
- 成功試行を2回そろえたか
- 研究対象と患者背景が一致するか
- 転倒歴や他のバランス評価と整合するか
- 不成功試行や方向別の不安定さがないか
- 前回と同じ条件で再評価できたか
FSST評価記録シートv3|PDF・Excel
原法と変更条件、正確な進行順序、計時開始・終了、成功試行2回、不成功理由、方向別所見を記録できるFSST評価シートです。
パソコン上で入力・編集する場合はExcel版、印刷して手書きする場合はA4 PDF版を使用してください。Excel版では、成功試行2回のタイムを入力すると、速い方を採用値として表示できます。
A4記録シート v3
FSST評価記録シート
原法/変更条件、杖/テープ、補助具、正面維持、両足接地、不成功理由、方向別所見、再評価条件を記録できます。
A4 PDFのプレビューを開く
カットオフ適用欄を確認する
テープ、歩行補助具、原法と異なる介助条件で測定した場合は、記録シートの「変更条件」と「カットオフ適用」を必ず記入してください。
FSSTで記録する項目と記録例
FSSTではタイムだけでなく、測定条件、不成功試行、方向別所見を記録します。
タイムだけでは、前回との差が機能変化によるものか、コースや補助具の違いによるものか判断できません。
最低限記録したい項目
- 原法または変更条件
- 4本の杖、テープ、その他のコース条件
- 開始区画と進行順序
- 正面を維持できたか
- 靴、装具、歩行補助具
- 見守り・介助量
- 練習タイム
- 成功試行2回のタイム
- 採用タイム
- 杖への接触
- 順序の誤り
- バランス喪失
- 各区画での両足接地
- 方向別の減速・不安定さ
- 疲労、疼痛、めまい、不安
| 記録項目 | 記録例 |
|---|---|
| 測定条件 | 原法、4本の杖、補助具なし、靴使用、見守り、正面維持可能 |
| 測定結果 | 練習15.8秒、成功試行1:14.6秒、成功試行2:13.9秒、採用13.9秒 |
| 成功条件 | 順序正確、両足接地可能、杖接触なし、バランス喪失なし、介助なし |
| 動作所見 | 左側方ステップと後方ステップで減速。後方移動時に足部クリアランスが低下する |
| 次回確認 | 同一条件で左側方・後方ステップの減速と杖接触の有無を再評価する |
FSSTの方向別所見をリハビリへつなげる
FSSTは採用タイムだけでなく、どの方向で減速したか、どこで接触したかを観察すると介入へつながります。
| 観察所見 | 確認する要因 | 介入の方向性 |
|---|---|---|
| 側方ステップが遅い | 側方重心移動、支持脚の安定性、足幅、股関節機能 | 支持物を用いた側方ステップから段階づける |
| 後方ステップが不安定 | 後方への重心移動、足部クリアランス、恐怖心、視覚依存 | 手すり使用下での後方ステップを段階練習する |
| 足が交差する | ステップ幅、支持基底面、体幹回旋、リード脚の選択 | 足位置を可視化し、正確な側方ステップを練習する |
| 杖へ接触する | 足部クリアランス、関節可動域、注意配分、視覚情報 | 障害物またぎを低い条件から練習する |
| 順序を間違える | 説明理解、注意、記憶、遂行機能、課題の複雑さ | デモ、視覚提示、分節練習で理解を確認する |
| 2回目に大きく遅くなる | 疲労、疼痛、呼吸苦、持久性、集中力 | 休憩条件を見直し、症状と全身状態を評価する |
FSSTで認めた所見を、そのまま原因と断定しないことも重要です。「側方ステップが遅いから股関節外転筋力低下」と決めず、筋力、感覚、疼痛、注意、生活場面を追加評価して仮説を確認します。
FSSTの再評価では測定条件と成功率も比較する
再評価では、タイムだけでなく、成功試行を得るまでの回数、不成功理由、方向別所見の変化を確認します。
- 同じコースを使用したか
- 同じ靴・装具・補助具か
- 同じ開始位置と進行順序か
- 同じ説明と計時条件か
- 成功試行2回を得られたか
- 杖接触や順序誤りが減ったか
- 正面を維持できる区間が増えたか
- 方向別の減速が改善したか
- 疲労、疼痛、めまいの条件が同じか
条件が変わった場合は、前回値との単純比較を避けます。「前回はテープ、今回は4本の杖」「前回は補助具あり、今回はなし」のような場合は、条件変更後の新しい基準値として記録します。
FSSTの信頼性・妥当性
FSSTは、地域在住高齢者、前庭障害、脳卒中後、骨関節疾患などで信頼性・妥当性が検討されています。
Diteらの地域在住高齢者を対象とした研究では、高い検者間信頼性と再検査信頼性が報告されました。前庭障害に伴うバランス障害者を対象とした研究でも、良好な信頼性が示されています。
日本の脳卒中患者、骨関節疾患患者、健常高齢者を対象とした研究では、高い再現性とBerg Balance Scale、TUGとの関連が報告されました。ただし、脳卒中患者の一部はFSSTを完全に実施できませんでした。
歩行可能な脳卒中後患者を対象とした研究では、動的立位バランスの評価として実施可能性と妥当性が報告されています。一方、対象者によって不成功試行や床効果が生じるため、タイムのみでなく完遂可否を記録します。
系統的レビューでは、複数の成人集団でFSSTの測定特性が検討されている一方、杖、テープ、補助具、試行回数などのプロトコル差も指摘されています。原法と変更条件を分けることが、文献値と比較するときに重要です。
FSSTで起こりやすい測定ミスと対策
| よくあるミス | 起きる問題 | 修正方法 |
|---|---|---|
| 合図と同時に計時を開始する | 反応時間が測定値へ混入する | 最初の足が区画2へ接地した時点で開始する |
| 最初の足が区画1へ戻った時点で終了する | タイムが原法より短くなる | 2足目が区画1へ接地した時点で終了する |
| 不成功試行を本番1回として数える | 成功試行が2回そろわない | 不成功試行は採点せず、実施可能なら再測定する |
| 片足接地だけで次へ進む | タイムが短くなり、原法と比較できない | 各区画へ両足を接地してから進む |
| テープ条件へ原法のカットオフを使う | 障害物またぎの難易度差を無視する | 変更条件として記録し、経時比較を優先する |
| 補助具条件を記録しない | タイム差が能力変化か条件差か分からない | 種類、使用側、高さ、介助量を記録する |
| カットオフだけで転倒リスクを断定する | 対象者固有の転倒要因を見落とす | 転倒歴、歩行評価、生活場面と組み合わせる |
FSSTのよくある質問
各質問をタップまたはクリックすると回答が開きます。
FSSTの正しい順番は何ですか?
区画1に立って区画2を向き、2→3→4→1→4→3→2→1の順に移動します。各区画では両足を床へ接地します。
計時はいつ開始し、いつ終了しますか?
最初の足が区画2の床へ接地した時点で開始し、最後の足、つまり2足目が区画1の床へ接地した時点で終了します。
本番は何回測定しますか?
デモンストレーション後に練習を1回行い、成功試行を2回測定します。成功試行2回のうち速いタイムを採用します。
杖へ触れた場合は無効ですか?
原法では、杖へ接触した試行は不成功試行です。採点せず、疲労と安全性を確認したうえで再実施します。接触した足や方向も記録してください。
身体が正面を向けなかった場合は無効ですか?
正面を維持できなかったことだけで自動的に不成功にはなりません。他の成功条件を満たしていればタイムを記録し、身体の向きを変えたことを変更内容として併記します。
テープでコースを作ってもよいですか?
安全上テープを使用することはありますが、4本の杖をまたぐ原法とは課題が異なります。変更条件として記録し、原法のカットオフを直接適用せず、同じテープ条件で比較します。
歩行補助具を使用してもよいですか?
補助具を使用した場合は変更条件として、種類、使用側、高さ、介助量を記録します。原法のカットオフを直接適用せず、再評価でも同じ条件をそろえます。
15秒と12秒はどちらを使いますか?
15秒超は65歳超の地域在住高齢者における複数回転倒者、12秒超は前庭障害に伴うバランス障害者における転倒危険因子の識別に関する値です。対象集団に合わせて解釈します。
Excel版とPDF版の違いは何ですか?
Excel版は入力、編集、保存、再評価時の比較に向いており、成功試行2回の速いタイムを自動表示します。PDF版はA4で印刷し、手書きで記録する場合に使用できます。
まとめ|原法・成功試行・変更条件を分けて記録する
FSSTは、4本の杖で作った4区画を前方・側方・後方へ移動し、多方向ステップ、障害物またぎ、動的立位バランスを評価する時間計測テストです。
原法では、区画1から2→3→4→1→4→3→2→1の順に移動します。計時は最初の足が区画2へ接地した時点で開始し、2足目が区画1へ接地した時点で終了します。
デモンストレーション後に練習を1回行い、成功試行を2回測定して、速い方を採用します。杖への接触、順序誤り、バランス喪失がある試行は採点せず、実施可能であれば再測定します。
テープや歩行補助具を用いる場合は変更条件として記録し、原法のカットオフを直接適用しません。再評価では、同じコース、補助具、説明、計時方法をそろえて比較します。
15秒超と12秒超は対象集団が異なります。カットオフだけで転倒リスクを断定せず、転倒歴、歩行評価、不成功試行、方向別所見、生活場面と組み合わせて解釈してください。
次に確認する内容
- 安全管理・中止基準・再測定の詳細は、FSST運用プロトコルで確認する
- 評価結果は、転倒歴、歩行速度、他のバランス評価と組み合わせる
- 再評価では、原法または変更条件をそろえて比較する
参考文献
- American Physical Therapy Association. Four Square Step Test Instructions. Available from: APTA公式PDF.
- Dite W, Temple VA. A clinical test of stepping and change of direction to identify multiple falling older adults. Arch Phys Med Rehabil. 2002;83(11):1566-1571. DOI: 10.1053/apmr.2002.35469. PubMed: PMID 12422327.
- 藤原求美, 山口実果, 手塚康貴, 太田忠信. Four Square Step Testの信頼性と妥当性について―脳卒中患者・骨関節疾患患者・健常高齢者における検討―. 理学療法学. 2006;33(6):330-333. DOI: 10.15063/rigaku.KJ00004382990.
- Whitney SL, Marchetti GF, Morris LO, Sparto PJ. The reliability and validity of the Four Square Step Test for people with balance deficits secondary to a vestibular disorder. Arch Phys Med Rehabil. 2007;88(1):99-104. DOI: 10.1016/j.apmr.2006.10.027. PubMed: PMID 17207683.
- Blennerhassett JM, Jayalath VM. The Four Square Step Test is a feasible and valid clinical test of dynamic standing balance for use in ambulant people poststroke. Arch Phys Med Rehabil. 2008;89(11):2156-2161. DOI: 10.1016/j.apmr.2008.05.012. PubMed: PMID 18996245.
- Moore M, Barker K. The validity and reliability of the Four Square Step Test in different adult populations: a systematic review. Syst Rev. 2017;6(1):187. DOI: 10.1186/s13643-017-0577-5. PubMed: PMID 28893312.
- 菅田伊左夫, 原田和宏, 堀川智慧, 渡辺友紀, 鈴木智佳, 赤羽貴子, 田中美波, 内藤裕二. 地域在住虚弱高齢者の6ヵ月後の転倒発生に対するFour Square Step Testの予測妥当性の検討. 理学療法科学. 2016;31(4):615-620. DOI: 10.1589/rika.31.615.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハビリテーション、リハビリテーション栄養、シーティング、摂食・嚥下

