【歩行の評価尺度】10m歩行、6MWT、FAC、TUG、BBS

評価法
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リハビリくん
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こんにちは!リハビリくんです!

   

この記事では「歩行におけるアウトカム評価」をキーワードに記事を書いていきます!

   

リハビリテーションを実施する患者にとって歩行能力の向上は切実な願いの1つであり、歩行能力を高めて移動範囲を広げることはQOLの視点からも重要となります。

   

歩行能力を適切に評価することは、歩行能力向上に向けた理学療法アプローチ、転倒などのリスクマネージメントをするうえで必要不可欠となり、そのためには歩行能力といっても、安定性・効率性・耐久性・汎用性などさまざまな視点からの評価が重要になります。

   

さらに、歩行評価には定性的または定量的な評価が混在しており、歩行評価に対して明確な指針は出ておりません。定性的な評価の観察評価は安定性・自立度・実用性等の臨床的評価となり、10m歩行テスト、6分間歩行テストなどの定量的な評価は総合的な能力の歩行評価につながり、両者を合わせた総合的な評価を必ず行う必要があります。

   

日々の診療において、客観的で特別な機器を必要としない汎用性の高い評価を利用し、対象者への時間的、身体的負担をかけない評価の運用を十分に考慮する必要があります。そして評価結果を予後予測や状況把握にとどめてしまうのでなく、理学療法アプローチへの応用を
考えることが望ましいと考えられます。

   

歩行は平地歩行だけでなく、持久力・方向転換・障害物またぎなどの応用的な歩行の評価も重要となります。さらには、その患者の居住地域における環境や生活スタイルに合わせた歩行評価および練習を行うことで、最終的に地域で安心して生活するための歩行獲得に繋がります。

   

歩行のアウトカム評価については、6分間歩行テスト、10m歩行テスト、TUGなど高い信頼性と妥当性が認められている評価尺度が様々存在します。しかし、正確な評価方法や結果の解釈についてわからないことがある方もいらっしゃると思います。そこでこの記事で下記のアウトカム評価について解説していきます。

  

  • 6分間歩行テスト
  • 10m歩行テスト
  • Functional Ambulation Categories(FAC)
  • Berg Balance Scale(BBS)
  • Timed Up and Go(TUG)

   

こちらの記事が歩行のアウトカム評価の質の向上、日々の診療に少しでもお力添えになれば幸いです。是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、特に関心が高い分野が「栄養」と「褥瘡」になります!

職場以外の活動としては埼玉県理学療法士会にて活動をさせて頂いております

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


  

最近は仕事をするにしても、育児を全うするにしても、自分の身体作りが重要ということを再認識しております。身体作りを効果的に行うためにはプロテイン等の健康補助食品が欠かせません。しかし、近年プロテインも様々な商品が存在するためどれを選択しようか悩む方もいらっしゃると思います。

  

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6分間歩行テスト

6 分間歩行テスト(6MWT)は運動耐容能を評価するフィールド歩行テストのひとつであり、他には漸増シャトル歩行試験(ISWT)が挙げられます。フィールド歩行テストは、1963年に Balke が一定時間内の歩行距離を測定することで運動耐容能を評価する方法を発表したことが始まりとされています。

その後、12分間走や12分間歩行が発表され、6分間歩行テストは1982年に報告されています。最近では 2 分間歩行テストが2006年に報告されています。2002年にはATS(アメリカ胸部医学会)から6分間歩行テストのガイドラインが発表され、方法の統一が提案されています。

目的・意義

呼吸器疾患や心疾患患者の運動耐容能の評価では、臨床的にも研究にも標準的な検査となっています。

特に、中等度から重症の呼吸器・心疾患治療の効果判定や日常生活における機能障害の重症度評価、在宅酸素療法を施行中の方や導入を検討されている方の運動耐容能等の評価および治療方針の決定などに用いられます。

この検査で得られた歩行距離は、NYHA心機能分類や最高酸素摂取量(peak VO2)と高い相関を示し、予後の予測にも有用であるとの報告があります。特に慢性心不全患者の生命予後や心不全増悪による再入院の予測因子としても頻用されています。

同一患者における6分間歩行距離の改善度が治療効果や予後良好の指標となることも報告されている一方で、年齢や性別、体格の影響を受ける検査であり、異なる患者間での比較をする場合には注意が必要とされています。

評価の方法

30mの平坦な直線コースを用意します。区間の両端に折り返し地点となるようにコーンなどを設置します。6分間でできるだけ速く、長い距離を往復歩行してもらい、その歩行距離から運動耐容能を評価します。

なお、30mの区間を用意すると説明しましたが、環境の関係で30mの距離が準備できない場合は、最低15m準備できればテストの実施が可能になります。

歩行距離に加えて、歩行前後で血圧や脈拍、経皮的酸素飽和度、呼吸数、呼吸困難感・疲労感(Borg scale)などの変動を評価します。

他の運動負荷試験と比べ、特殊な機器を使用する必要がなく簡便であり、患者自らが運動ペースを調整できて安全である上、歩行という運動様式から得られる指標であるため日常生活に即した運動能力を評価できるという特徴があります。

テスト実施前の説明方法

2002年の ATS ガイドラインでは、6分間歩行テストの歩き方として「できるだけ長い距離を歩いてください」という説明を推奨していました。しかし、2013年に Weir らが間質性肺疾患患者ら24 名に「できるだけ早く歩いてください」と説明したところ、平均 52.7 m 延長したと報告しています。

「早く歩いてください」と指示することで、躓いたりバランスを崩したりすることが増える可能性があるため、そのあたりの配慮はより強化する必要がありますが、対象者にとっては「できるだけ長い距離を歩いてください」というよりも「できるだけ速く歩いてください」と説明した方が、わかりやすく頑張れる可能性を示唆しています。

いずれにしても、6分間歩行テストの説明をする際には言葉が変わると試験結果に影響する恐れがあるため、常に同じ言葉を使って説明する必要があります。

結果の解釈

6分間歩行テストでは、疾患も体格も異なる被検者の結果を比較し意味づけすることが難しく、解釈方法については、まだ一定の見解がありません。

一般的には、「400m以下になると外出に制限が生じ、200m以下では生活範囲が極めて身近に制限される」と言われていますが、前述した通り他者と比較するよりも、同一被検者において歩行距離の変化を評価することが重要であると考えられます。

10m歩行テスト

10m歩行テスト(10MWT)は、歩行能力を簡便に評価する指標です。特に歩行能力の中でも、歩行速度を評価することに優れています。

こちらのテストは、歩行に介助が必要な人は対象外になります。また、10m歩行テスト実施時について回るリスクが転倒になります。

「テスト」と名の付くものに取り込む時、人は普段以上に頑張りすぎる傾向があります。「成果を出さないと、頑張らないと」と張り切った結果、人は転倒します。そのため、10m歩行テストを行うからには、絶対に転倒をさせないようにリスク管理に努める必要があります。

評価の方法

歩行距離は10mが一般的ですが、6m、8mおよび12mで評価することもあります。いずれの歩行距離であっても、距離から歩行にかかった時間を割って歩行速度を求めます。

テストは3回行います。3回実施して得られた歩行速度の平均値を求めます。

対象者は歩行補助具を使用することもできます。しかし、その場合は3回とも同じ歩行補助具を使用する必要があります。評価者は評価用紙にテストの際に使用した歩行補助具を記載します。

また、歩行テストというとできるだけ早く歩くというイメージがあるかもしれませんが、10m歩行テストの歩行速度は至適速度(普段歩いているような速さで無理なく歩く)と最高速度(可能な限り速く歩く)のどちらでも評価できます。

評価者は、評価した歩行速度と共に至適速度であるのか最高速度なのかも記載します。

カットオフ値

至適速度で歩行した場合のカットオフ値として、下記の報告があります。しかし6分間歩行テストでも説明した通り、他者と比較するよりも同一被検者において歩行速度の変化を評価することが重要であると考えられます。

  • 回復期リハビリテーション病棟における歩行自立のカットオフ値:11.6 秒

結果の解釈

10m歩行テストを測定することで、10m間における「歩行速度」「歩数」「歩幅」「歩行率」などの歩行パターンを算出することができます。

また、初期評価、中間評価、最終評価と経過を追いながら測定を行うことにより、歩行がどのくらい良くなったか、何が良くなったかを客観的な数値として把握することができます。数値で表せるため、患者様へのフィードバックにも有効です。

Functional Ambulation Categories(FAC)

介助量に基づいた歩行能力の臨床評価指標としてマサチューセッツ総合病院で開発され、Holden らの論文中で紹介された尺度になります。

目的と対象

脳卒中患者、多発性硬化症患者に対して用いられており、機能的な歩行能力の測定が目的になります。

評価の方法

15m程度の歩行路や階段を使用し、動作観察から歩行能力を 6 段階に分類します。

活用方法

臨床現場で簡便に歩行能力の自立度を判定する評価指標として使用することができ、予後予測に活 用することもできます。

院内で歩行の自立度を大まかに設定する場合に「2 介助歩行レベル1」であれば軽介助レベル、「3 監視歩行」であれば見守りレベル、「4 平地歩行自立」であれば病棟内自立レベルといった感じで使用することができると考えます。

Berg Balance Scale(BBS)

Berg Balance Scaleは、高齢者や脳卒中患者のバランス機能を評価するための指標になります。他のバランス機能評価に比べて、複合的なバランス機能が評価でき、より信頼性が高いとされています。

評価項目

Berg Balance Scaleは14項目で構成されています。序盤の項目は立ち上がりや座位保持など比較的優しい内容ですが、後半になるにつれて踏み台昇降やタンデム立位など課題難易度が上がっていくような構成となっています。

  1. 椅子からの立ち上がり
  2. 立位保持
  3. 座位保持
  4. 着座
  5. 移乗
  6. 閉眼立位保持
  7. 閉脚立位保持
  8. フェンクショナルリーチ
  9. 拾い上げ
  10. 振り返り
  11. 360°の方向転換
  12. 踏み台昇降
  13. タンデム立位
  14. 片脚立位

採点方法

全14項目の各項目ごとに、0 点から 4 点までの 5 段階評価で採点していきます。0 点が最もバランス機能が低いレベル、 4 点が最もバランス機能が高いレベルを示します。合計点は 0 点から 56 点の範囲で算出されます。

カットオフ値

  • 46 点以上:病棟内自立レベル
  • 36点以上:病棟内見守りレベル

Berg Balance Scaleは、評価にやや時間を要するため、体力が低下した高齢者の場合、測定自体が難しいことがあります。短時間でバランスおよび敏捷性を評価する方法として、Four Square Step Testという評価尺度があります。FSSTについては他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【バランス:FSSTについての記事はこちらから

Timed Up and Go(TUG)

TUGは歩行能力や動的バランス、敏捷性などを総合的に判断する尺度としてPodsiadlo & Richardson(1991)らが考案したテストになります。

評価の目的

TUGは、様々な研究者によって研究成果が報告されていますが、一般的には転倒リスクの高い方を判断するのに有用なテストとされています。

特に、高齢者の運動機能に関しての信頼性は高く、下肢の筋力、バランス、歩行能力、易転倒性といった日常生活機能との関連性が高いことが示唆されています。そのため、医療現場だけでなく、介護現場でも良く使用されています。

TUGの特徴

TUGで評価できることとしては、起立着座能力、直線歩行能力、方向転換能力、所要時間、歩数などが挙げられます。

10m歩行テストでは直線距離しか評価できませんが、TUGでは方向転換や起立・着座能力まで評価できることが利点になります。

日常生活では、まっすぐ歩くだけなどの状況は少なく、方向転換や立ちしゃがみなどの動作を複合的に行う必要があります。TUGは日常生活により近い場面を想定した評価となっています。

測定方法

  1. 開始肢位は背もたれに軽くもたれかけ、肘かけがある椅子では肘かけに手を置いた状態、肘かけが無い椅子では手を膝上においた状態とする
  2. 両足が床につくように配慮する
  3. 椅子から立ち上がり、3m先の目印を回って、再び椅子に座るまでの時間を測定する(身体の一部が動き出すときからお尻が接地するまでの時間を計測)
  4. 一連の動作を「通常の歩行速度(安全で快適な速度)」と「最大の歩行速度」の1回ずつ計2回を測定する
  • 2回の測定のうち、速い時間を採用し、秒数の小数点以下1桁までを記入します
  • コーンの回り方は、右回り・左回りどちらでも問題ありません
  • 日常生活において歩行補助具を使用している場合は、普段通り使用して測定します

カットオフ値

TUGのカットオフ値は多くの研究によって報告されています。カットオフ値の研究を下記に一部抜粋します。

  • Shumway-Cook:転倒経験者と非経験者のカットオフ値は13.5秒
  • Bischoff:地域在住高齢者と施設利用者のカットオフ値は12秒
  • 介護予防事業(2005):要支援の高齢者の平均値は12.2秒
  • 運動器不安定症のカットオフ値は11秒

結果の解釈

TUGのアウトカムとしては様々な報告が挙げられていますが、主には「高齢者の転倒リスクの測定値」と「運動器不安定症の診断基準」として活用されています。

つまり歩行のアウトカム評価としてTUGを実施することで、転倒・骨折の危険性を早期に発見し、要介護状態となることを防止することに繋がります。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「歩行におけるアウトカム評価」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事が歩行のアウトカム評価の質の向上、日々の診療に少しでもお力添えになれば幸いです。

参考文献

  1. 佐竹將宏,塩谷隆信,高橋仁美,菅原慶勇.6 分間歩行試験について.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌.2019年,第28巻,第2号 ,p286-290.
  2. 飯田修平,青木主税.10m歩行テストの信頼性[第一報].理学療法科学.2017,32,p81–84.
  3. 松田雅弘.歩行・移動に関する評価の種類と特徴.第18回日本神経理学療法学会学術大会.2020年.
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