Lawton IADL|評価用紙・点数・解釈

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評価
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Lawton IADL は、電話・買物・料理・洗濯・家事・交通・服薬・金銭管理の 8 領域で手段的 ADL を評価する標準尺度です。家庭・地域での自立生活に必須の「道具の使いこなし」を短時間で把握でき、退院支援や在宅フォローの出発点になります。

本稿では、評価用紙の書き方、点数化(多くの様式で 各領域 0–1 または 0–2 点)と解釈、TMIG-IC(老研式)FAI(Frenchay) との使い分け、OK/NG まで、現場がそのまま使えるテンプレに落とし込みます。

ADL/IADL 全体像のまとめはこちら。

ADL/IADL ガイド

Lawton IADL とは(位置づけ)

基本的 ADL(食事・更衣・移乗など)よりも一段高い「暮らしの道具操作」を扱う尺度です。電話・買物・料理・洗濯・家事・交通・服薬・金銭管理という 家事・社会参加のコア領域を網羅しており、地域生活の自立可否や支援設計に直結します。

測定は面接形式が中心で、本人の実際の実施状況を基準に 5–10 分で完了します。退院前評価や訪問初回アセスメントでの“共通言語”として有用です。

項目と採点(0/1 または 0–2 点)

各領域は施設の様式により 0/1(できない/できる)または 0–2(自立/一部介助/不能)で評価されます。実際にやっているかを基準に、補助具や家族支援の条件は記録へ明記してください。総得点は 0(全介助)〜最大 8 または 16(様式に依存)です。

下表は代表的な採点基準の例です。院内様式に合わせて語句を調整し、チームで統一します。

Lawton IADL の代表領域と採点基準(例)
領域 自立(2)/ できる(1) 一部介助(1)/ 部分的(0) 不能(0)
電話 番号検索・発信・受信を自立 短縮・家族補助で一部可能 使用できない
買物 計画〜会計まで単独で可能 品定めや会計に部分介助 外出困難・判断困難
料理 献立・調理・配膳を自立 一部工程に介助 調理不可/危険
洗濯/家事 洗濯・清掃・後片付け自立 一部家事のみ/頻度低 家事実施なし
交通 公共交通の単独利用 付き添いで利用可 利用不可
服薬管理 自己管理(整理・服用) 家族管理下で服用 自己管理不可
金銭管理 支払い・記録を自立 高額/複雑のみ介助 管理不可

解釈・判定(弱点の特定と介入設計)

合計点だけでなく領域別の落ち所を特定し、なぜ困難か(移動能力・視聴覚・認知・実用手段の問題)を分解します。例:買物が困難=歩行耐容能/息切れなら 6MWT、計算/記憶なら代替手段(メモ・家族管理)を提案、など。

TMIG-IC と併読すると、IADL の弱点が知的能動性/社会的役割の低下と連動していないか確認できます。活動頻度の継時変化は FAI で追跡します。

ケース別の使い分け

退院前:家事の可否で在宅可否の判断材料に。外来・在宅:課題領域へ訓練/環境調整/社会資源をマッチング。独居・高齢介護者世帯では、金銭・服薬を重点チェックし、代替手段(配食/服薬カレンダー/口座引落し)を組み込みます。

家族支援が強い場合は「実施していないが能力はある」場面に注意し、実施率を上げる導線(曜日固定・役割の再設計)を併記します。

実施・記録テンプレ

記録例:「Lawton IADL 6/8(電話◎/買物△/料理△/洗濯◎/家事◎/交通△/服薬◎/金銭◎)。買物は距離と判断負荷で失敗。6MWT で耐容能確認、買物代行とメモ化を導入。」

面接時は直近 1–2 週間を基準に、支援の有無(補助具・家族)を必ず記録します。再評価は同条件で。

よくある誤り(OK/NG)

Lawton IADL 運用の OK/NG
場面 OK NG/要修正 理由/対策
基準 実際の実施で判定 できるはず=1 過大評価→実施率も確認
期間 直近 1–2 週間 特別日で判断 代表性低→期間明示
支援 支援条件を記録 支援ありでも自立扱い 条件不一致→コメント併記
解釈 領域別弱点→具体介入 合計点のみ 方針に落ちない→領域別に設計

まとめ

Lawton IADL は「家事・道具使用」の具体的な弱点を浮き彫りにする尺度です。TMIG-IC で全体像、FAI で頻度変化を補完し、訓練・環境・社会資源を組み合わせて実装まで落とし込みましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 0/1 と 0–2 のどちらで採点しますか?

A. 院内の様式に合わせます。再評価の再現性を最優先に、語句と基準をチームで統一してください。

Q. 家族が全部やっていても「できる」に入りますか?

A. 実施していない場合は自立とみなしません。能力の有無はコメントで補足します。

Q. 高次機能の低下が疑われる場合は?

A. TMIG-IC のサブスコア(知的能動性・社会的役割)で併読し、在宅では FAI で頻度変化を追跡します。

参考文献

  • Lawton MP, Brody EM. Assessment of older people: self-maintaining and instrumental activities of daily living. Gerontologist. 1969;9(3):179–186.
  • 日本語実務で用いられる採点語句の院内統一に関する各種ガイドライン(院内様式に準拠)
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