LEFS 評価のやり方|採点・MCID・記録例
LEFS( Lower Extremity Functional Scale )は、下肢の「生活動作の困りごと」を患者本人の回答で数値化できる代表的な PROM です。結論としては、0〜80 点で採点を固定し、変化量はまず 9 点前後を目安に読むと、初回評価から再評価まで迷いにくくなります。
このページで答えるのは、LEFS をどう採点し、どう解釈し、どう記録するかです。逆に、PROM 全体の選び方や WOMAC ・ KOOS ・ HOOS の詳細採点までは深掘りせず、LEFS を使うと決めたあとの実務に絞って整理します。
LEFS とは?何を測れる PROM か
LEFS は、下肢の筋骨格系症状(股関節・膝・足関節など)による活動制限を、患者の主観で把握する質問紙です。画像所見や可動域だけでは拾いにくい、生活動作レベルの変化を追いやすいのが強みです。
20 項目を 0〜4 点で答え、合計 0〜80 点で表します。高いほど機能が良好です。痛み、不安、活動量、生活背景の影響を受けるため、数字だけで完結させず、患者コメントや歩行指標と束ねて読むと解釈が安定します。
いつ・誰に使う?|適応の目安
LEFS は、膝だけ・股だけと部位特異的に寄せすぎず、下肢全体の活動制限を横断的に追いたい場面で使いやすい尺度です。保存療法、術前後、外来フォロー、回復期の歩行獲得期などで「生活動作の戻り」を見たいときに向きます。
- 向く場面:股・膝・足関節をまたぐ症状、複合要因、外来での経過追跡
- 迷いやすい場面:膝 OA / 股 OA など、疾患特異的に深く追いたいケース
- 運用のコツ:説明、記入方法、靴・装具・杖、評価タイミングを初回から固定する
LEFS の評価方法(実施手順)と採点ルール
LEFS は自己記入式が基本です。回答時は「今日の状態に近い困りごと」として、各活動の難しさを選んでもらいます。迷う場合は一番近い選択肢を選んでもらい、読み書きが難しい場合は代読・代筆を使っても、選択は本人が行う形でそろえると再評価でブレにくくなります。
採点は各項目 0〜4 点、合計 0〜80 点です。施設内では 80 点満点で統一し、必要時だけ%換算にすると混乱を減らせます。未回答は少ないほどよく、まずは全項目回答を目標に運用するのが実務的です。
横スクロールで全体を確認してください。
| 要素 | 結論 | 詰まりやすい点 | 固定する条件 |
|---|---|---|---|
| 項目数 | 20 項目 | 尺度の全体像が共有されていない | 「下肢の活動制限をみる質問紙」と先に説明する |
| 配点 | 各項目 0〜4 点 | 向き(高いほど良い)が混乱する | カルテ表記に「高いほど良い」を添える |
| 総得点 | 0〜80 点 | %表記と混在する | 院内は 80 点満点で統一する |
| 再評価 | 絶対値+変化量で読む | 靴・装具・杖・時間帯が不明 | 靴/装具/杖/時間帯/環境をセットで残す |
| 記入方法 | 自己記入が基本 | 自記と聞き取りが混在する | 変更した場合は記録に残す |
スコアの解釈|MCID・MDC(変化量の目安)
LEFS で臨床上いちばん大事なのは、点数そのものより変化量が説明できるかです。まずは 9 点前後を 1 つの主目安にすると運用しやすく、原著では MDC と MCID がともに 9 点、系統的レビューでも MCID 9 点・ MDC 6 点が代表値として整理されています。
ただし、日本語版の外来患者では MDC 8.14 点、膝 OA 患者の 3 か月データでは MCID 5.2 点の報告もあります。つまり「 9 点だけで機械的に切る」のではなく、疾患・時期・介入期間で幅が出る前提で、痛み、歩行、患者の実感と一緒に読むのが安全です。
横スクロールで全体を確認してください。
| 見るポイント | 目安 | 臨床での解釈 | 書き残すと強い情報 |
|---|---|---|---|
| 絶対値 | 0〜80 点 | 高いほど機能が良い | どの活動が残っているかを 1 行で言語化する |
| 主目安 | 9 点前後 | 変化ありの第一候補として扱う | 前回との差と患者コメントを併記する |
| 日本語版補足 | MDC 8.14 点、膝 OA 3 か月 MCID 5.2 点 | 対象・時期で幅が出る | 疾患名、介入期間、再評価間隔を残す |
| 注意 | 数字だけで効果判定しない | 痛み、歩行、生活背景と束ねて判断する | NRS、TUG、10 m 歩行、階段などを同時点で残す |
LEFS と WOMAC / KOOS / HOOS の使い分け
下肢 PROM で迷うときは、疾患特異性が必要か、どこまで深く追いたいかで決めると整理しやすいです。LEFS は下肢全体を横断的に追うのが得意で、WOMAC は OA、KOOS は膝の多面的評価、HOOS は股関節の詳細評価に強みがあります。
横スクロールで全体を確認してください。
| 尺度 | 得意な対象 | 強み | 注意点 | 迷ったら |
|---|---|---|---|---|
| LEFS | 下肢の活動制限を横断的に | 短時間で回しやすく、経過を追いやすい | 疾患特異性は高くない | まず下肢全体の生活動作を押さえたいとき |
| WOMAC | 膝 / 股 OA の痛み・ ADL | OA の標準的な比較に強い | レンジ表記と向きの固定が必要 | OA の痛み+ ADL を中心に追うとき |
| KOOS | 膝(損傷〜 OA) | 症状・スポーツ・ QOL まで拾える | 項目数が多く運用は重い | 膝を多面的に深く追いたいとき |
| HOOS | 股関節(OA / THA など) | 股の症状・ ADL ・ QOL に強い | 項目数が多く運用は重い | 股関節を疾患特異的に追いたいとき |
記録とチーム共有のコツ(カルテに残す最小形)
LEFS は、①絶対値 ②変化量 ③どの活動が困るかを 1 セットで残すと、チーム共有が速くなります。合計点だけでは介入の焦点が見えにくいため、患者コメントや歩行指標を 1 行だけ添えるのが実務的です。
【LEFS】○○年○月○日 合計:___ / 80(前回:___ / 80) 変化:___ 点 記入方法:自記 / 聞き取り 条件:靴( )装具( )杖( )時間帯( )環境(病棟 / 外来 / 自宅想定) 主観:患者コメント「 」 生活像:困る活動(例:階段、長距離歩行、買い物、通院) 併用指標:痛み NRS ___/10 歩行(TUG / 10 m / 6 MWT など):____________ 次回:再評価日( ) 介入の焦点:____________________
LEFS 記録シート PDF
記録をそろえたい方向けに、LEFS の採点結果と根拠メモを 1 枚で残せる A4 記録シートを用意しました。初回評価と再評価で同じ型を使いたいときに便利です。
埋め込みプレビューを開く
配布版は、設問文をそのまま並べる形式ではなく、採点・条件固定・根拠メモを整理しやすい記録用シートとして作成しています。カルテ記載の下書きや、チーム内の共有フォーマットとして使いやすい形です。
現場の詰まりどころ/よくある失敗
LEFS で崩れやすいのは、尺度そのものより運用の固定不足です。次の 3 点を先にそろえると、再評価の解釈がかなり安定します。
- 説明が担当者で違う:教示文を固定し、「今日の状態」で答えることをそろえる
- 条件が残っていない:靴・装具・杖・時間帯・環境がズレると前後比較が不安定になる
- 点数だけで終わる:痛み、歩行、患者コメントを 1 つ足して意味づけする
迷ったら、記録テンプレ と FAQ に戻りつつ、指標選びそのもので迷う場合は 運動器 PROM ハブ で「どれを主役にするか」を先に決めると立て直しやすいです。
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
LEFS は何点くらい変われば「改善あり」と考えてよいですか?
まずは 9 点前後を主目安にすると実務で迷いにくいです。ただし、日本語版の外来患者では MDC 8.14 点、膝 OA の 3 か月では MCID 5.2 点の報告もあり、対象や時期で幅があります。痛み、歩行、患者の実感とあわせて総合判断するのが安全です。
%(パーセント)表記にした方がよいですか?
施設内運用は 80 点満点のまま統一するほうがブレにくいです。報告書で必要な場合のみ、(合計点 ÷ 80)× 100 で換算すると混乱を減らせます。
代読・代筆はしても大丈夫ですか?
可能です。読み上げや記入の補助はしても、選択そのものは本人が行う形にそろえると、再評価での信頼性を保ちやすくなります。記入方法が変わった場合はカルテに残します。
LEFS と WOMAC はどう使い分けますか?
下肢全体の活動制限を横断的に軽く追いたいなら LEFS、OA の痛みや ADL を疾患特異的に追いたいなら WOMAC が向きます。迷ったら「OA を深くみたいか」「まず下肢全体を押さえたいか」で決めると整理しやすいです。
LEFS の点数が画像所見や可動域と一致しないのですが、どう考えますか?
PROM は痛み、不安、活動量、生活背景の影響を受けます。数字が合わないときほど、患者の困りごと、痛み、歩行能力、生活場面を一緒に確認し、ズレ自体を評価情報として扱うのが実務的です。
次の一手
LEFS は、採点して終わりではなく、同じ条件で再評価できる状態を作ると初めて価値が出ます。次にやることは、①記入方法を固定する、②条件をカルテに残す、③合計点だけで終わらせない、の 3 つです。
続けて読む:運動器 PROM ハブ
下肢・上肢・腰を含めて、どの PROM を主役にするかを整理したい方はこちら。運動器 PROM ハブへ
OA を深く追うなら:WOMAC
膝 / 股 OA の痛み・ ADL を疾患特異的に追いたい場合は、WOMAC の採点と解釈を先に確認すると整理しやすいです。WOMAC 評価方法へ
参考文献
- Binkley JM, Stratford PW, Lott SA, Riddle DL. The Lower Extremity Functional Scale (LEFS): scale development, measurement properties, and clinical application. Phys Ther. 1999;79(4):371-383. doi: 10.1093/ptj/79.4.371
- Mehta SP, Fulton A, Quach C, Thistle M, Toledo C, Evans NA. Measurement properties of the Lower Extremity Functional Scale: a systematic review. J Orthop Sports Phys Ther. 2016;46(3):200-216. doi: 10.2519/jospt.2016.6165
- 中丸 宏二. 下肢疾患外来患者における日本語版 Lower Extremity Functional Scale の信頼性・妥当性・反応性. 理学療法学. 2014;41(7):414-420. J-STAGE
- 橋本 昂介, 平尾 利行, 宮内 秀徳, 二宮 太志, 東 秀隆. 変形性膝関節症患者における日本語版 Lower Extremity Functional Scale の臨床的最小重要変化量. 日本臨床整形外科学会雑誌. 2024;49(1):113-114. doi: 10.15107/jcoa.36-O15-6
- Shirley Ryan AbilityLab. Lower Extremity Functional Scale (LEFS). RehabMeasures Database
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


