理学療法士が副業でブログをするのはアリ?(先に結論)
結論から言うと、「今すぐ収入を増やしたい人」にとってブログはメインの副業にはなりにくい一方で、「数年単位でキャリアの選択肢を増やしたい理学療法士」にとっては十分アリな選択肢です。非常勤や訪問リハのように翌月から手取りが増えるタイプではなく、書いた記事が少しずつ蓄積されていく「資産型」の副業だと捉えるとイメージしやすいです。
また医療・健康は YMYL 領域であり、検索上位は大手サイトが多く、ブログ単体で生活費レベルを稼ぐのは現実的ではありません。その一方で、情報発信を通じて「何が得意な PT なのか」を外に示せることは、転職・講師・執筆など将来のチャンスにつながります。本記事では、ブログ副業のメリットと現実、他の副業との比較、始める前に確認しておきたいポイントを整理します。
ブログ副業で理学療法士が得られるもの(お金以外)
ブログのメリットは、収入だけではありません。臨床で学んだことを文章にする過程で、「なんとなく理解しているつもりだった知識」が構造化され、勉強の定着が良くなります。症例検討を書くイメージに近く、アウトプットの習慣が付くことで、日々のリハビリの振り返りも自然と細かくなります。
また、ブログは Web ライターや書籍・冊子の執筆、セミナー講師などの「ポートフォリオ(作品集)」にもなります。自分の興味や得意領域をテーマとして蓄積しておくことで、のちに監修やコンテンツ制作の話が来たときにも説明しやすくなります。広告収入やアフィリエイト収入は「おまけ」と捉えつつ、キャリア全体を強くする基盤づくりと考えると続けやすいです。
理学療法士がブログ副業で稼ぐまでの現実(時間軸と金額感)
ブログ収益の最大のハードルは「時間差」です。一般的には、開設から 6 か月〜 1 年くらいまでは PV 自体が少なく、月数百〜数千円、あるいはゼロが普通です。そこから記事数が 30〜50 本、運営期間が 1〜3 年のあいだに、月 1〜3 万円前後まで伸びるケースが出てきますが、全員が到達できるわけではありません。
加えて、医療・健康ジャンルは YMYL の影響で個人ブログが上位を取るのが難しい領域です。理学療法士として専門性はあっても、「検索結果では医学書院やガイドラインサイトに勝ちにくい」という前提があります。そのため、ブログ単体での大きな収益を最初から期待しすぎず、「学び・発信・小さな収益」を組み合わせた中長期プロジェクトとして捉えることが現実的です。
他の副業とブログの比較(時間単価とリスク)
副業を考えるときには、「時間単価」と「リスク(体力・メンタル・法的)」を並べて比較しておくと判断しやすくなります。ここでは、理学療法士が選びやすい代表的な副業とブログの位置づけを簡単に整理します。
※表は一般的なイメージです。実際の条件は勤務先や個人差により大きく変わります。
| 副業の種類 | 即金性 | 時間単価のイメージ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 非常勤・アルバイト | 高い(翌月の給与に反映されやすい) | 時給ベースで把握しやすい | 体力負担が増えやすく、勤務先の就業規則に注意が必要。 |
| 訪問リハ・トレーナー業 | 比較的高い | 件数や歩合により幅が大きい | 移動時間や責任の重さが増える。事故・トラブル時のリスク管理が重要。 |
| Web ライター | 案件獲得後は早い | 慣れるまで低めだが、スキル次第で改善 | クライアントワークのため納期や修正対応が発生。文章力のトレーニングに最適。 |
| ブログ運営 | 低い(収益化まで時間がかかる) | 初期はほぼゼロ、軌道に乗ると「過去記事」が稼ぐ形に | 在宅・低コストで始められ、資産性とポートフォリオ性が高いが、継続と戦略が必要。 |
このように、「今月の収入を増やす」ことを優先するなら非常勤や訪問リハ、「文章を書くのが苦にならない・在宅で働きたい」なら Web ライター、「キャリア全体を外向きに開きたい・中長期で積み上げたい」ならブログが向きやすいイメージです。ブログは単独ではなく、他の副業やキャリア戦略と組み合わせて考えるとバランスが取りやすくなります。
ブログ副業を始める前に確認したい 5 つのポイント
ブログを始める前に、最低限チェックしておきたいポイントが 5 つあります。どれも後回しにするとトラブルにつながりやすいので、開設前〜初期の段階で一度整理しておくと安心です。
まず、勤務先の就業規則です。副業禁止・事前申請制・収入の上限など、医療機関ごとにルールが異なります。次に、税金と社会保険の扱いです。年間 20 万円を超える雑所得は確定申告が必要になり、住民税の通知方法も含めて押さえておきたいところです。また、医療・健康情報を扱う場合は YMYL と個人情報保護に注意し、「患者さんを特定できる情報を書かない」「ガイドラインなど一次情報を確認する」ことが前提になります。最後に、週あたりどれくらいの時間をブログに充てられるか、家族の理解は得られているかも含めて、自分のリソースを冷静に見積もっておきましょう。
理学療法士がブログ副業を始めるステップ(ゼロ→初期 10 記事)
最初の一歩は「テーマと読者を決めること」です。患者さん向けに情報発信をするのか、医療職向けに評価・技術を解説するのか、あるいは理学療法士の働き方やキャリアについて書くのかによって、必要な配慮とゴールが変わります。最初から何でも書こうとせず、「自分が一番語りやすい領域」を 1 つ決めると継続しやすくなります。
開設手順自体は、レンタルサーバー・ドメイン・ WordPress を契約して初期設定を行えば OK です。最初の 10 記事では、①自分の自己紹介とブログの目的、②臨床でつまずいた経験とそこから学んだこと、③知識の整理記事(評価・プロトコルなど)、④失敗談や反省点、⑤副業や働き方の工夫、といった内容をバランス良く配置すると、読み手に「この人がどんな PT なのか」が伝わりやすくなります。収益化は、記事が増えてきた段階で広告やアフィリエイトを少しずつ整えるくらいのペースで十分です。
ブログをやった方がいい理学療法士と、別の副業を優先した方がいい人
ブログ副業が向いているのは、「文章を書くことに大きな抵抗がない」「自分の考えや学びを外に出していきたい」「数年先のキャリアも見据えて動きたい」というタイプの理学療法士です。このような方は、ブログを通じて思考が整理され、転職やキャリアチェンジのときに自分の軸を説明しやすくなります。
一方で、「今の生活費がギリギリで、今すぐ手取りを増やしたい」「本業だけで体力・メンタルがかなり限界」「文章を書くことが強いストレスになる」といった場合は、まず非常勤・訪問リハ・短時間アルバイトなど、即金性の高い選択肢を検討した方が現実的です。そのうえで、余力が出てきたタイミングでブログや Web ライターを始める、という順番でもまったく問題ありません。
現場の詰まりどころ
よくある詰まりどころの 1 つは、「最初からお金を目的にしすぎて、成果が出る前に燃え尽きてしまう」パターンです。月数千円にも届かない状態が長く続くと、「こんなに時間をかけたのに…」と虚無感が強くなり、本業の勉強や休息時間まで削ってしまうことがあります。最初の 1 年は「学びと発信の習慣作り」と割り切り、小さな達成指標(10 記事到達・検索流入が出始めるなど)を設定しておくとメンタルが保ちやすいです。
もう 1 つは、「勤務先との線引きがあいまいなまま走り出してしまう」ことです。病院名が推測できる具体的なエピソードや、同僚・上司を連想させる記述が重なると、思わぬトラブルにつながります。また、残業時間や委員会活動が多い時期に無理に更新を続けようとして、睡眠不足や体調悪化を招くケースもあります。「本業の安全・健康が最優先」「守秘とコンプライアンスは絶対」という前提を決めてから、副業ブログのペースを調整していきましょう。
おわりに(副業ブログは“キャリア投資”として設計する)
副業ブログも、「本業の安全と健康の確保 → 守秘とコンプライアンスの確認 → 時間の確保 → 小さく試す → 定期的な見直し」というリズムで回していくと、無理なく続けやすくなります。お金だけを目的にするとつらくなりやすい一方で、学びの整理やキャリアの選択肢を広げるツールとして設計すれば、数年後に大きなリターンを生む可能性があります。
働き方を見直すときの抜け漏れ防止には、現職の整理と今後の希望条件を書き出しておくことが役立ちます。見学や情報収集の段階でも使える面談準備チェック( A4 ・ 5 分)と職場評価シート( A4 )を無料公開しています。印刷してそのまま使えるので、これから副業や転職を検討するタイミングで活用してみてください。面談準備チェックと職場評価シート(ダウンロードページ)はこちらです。
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
教育体制に不安があるとき、副業より先に転職を考えた方がいいタイミングはありますか?
「学べることがほとんどなくなった」「安全にリハビリを提供できない環境だと感じる」「心身の負担が限界に近い」といった状況では、副業で収入を補う前に、まず職場環境そのものを見直した方が良いケースが多いです。副業ブログはあくまでキャリアの選択肢を広げる手段の 1 つであり、過酷な環境を我慢し続けるための道具ではありません。
「教育体制・安全文化・働き方」という視点で現在の職場を振り返りつつ、どこまでが自分の工夫でカバーできて、どこからが職場を変えた方が早いラインなのかを考えてみましょう。環境の「赤信号」については、PT キャリアガイドのチェックポイントも参考になります。

