- 認知症ケア加算の施設基準は、1・2・3で必要な体制が異なる
- 認知症ケア加算1・2・3の施設基準|最初に違いを確認
- 配布資料|施設基準・届出前チェックシート【PDF・Excel】
- 認知症ケア加算1|認知症ケアチームの構成と活動を確認する
- 認知症ケア加算2・3|病棟ごとの研修修了看護師がポイント
- 1・2・3で共通して確認したい手順書・せん妄対策・研修
- 2026年改定|身体的拘束実施日は20%、加算1は管理者等と協働
- 届出様式|加算1は40の10、加算2・3は40の11
- 配布チェックシートの使い方|「適合」だけで終わらせない
- 施設基準を日々の認知症ケアへ落とす5分フロー
- よくある質問
- 次の一手|全体像を確認する → 患者ごとの記録を整える
- 参考文献
- 著者情報
認知症ケア加算の施設基準は、1・2・3で必要な体制が異なる
認知症ケア加算の施設基準は、加算1・2・3で必要な人員配置や院内体制が異なります。加算1では認知症ケアチームの設置とカンファレンス・病棟回診、加算2・3では病棟ごとの研修修了看護師の配置などが重要です。
さらに2026年6月1日からは、身体的拘束を実施した日は所定点数の100分の20で算定する扱いとなり、加算1では認知症ケアチームと病院管理者等の責任者が協働して身体的拘束の最小化を進めることが示されました。本記事では、令和8年度の公式通知・届出様式をもとに、施設基準、2026年の変更点、届出前に確認したい項目を整理します。院内確認に使えるA4チェックシートのPDF・Excelも用意しています。
先に区別:「施設基準」は医療機関として満たす人員・体制・研修等の要件です。一方、身体的拘束を実施した日の100分の20算定などは、患者ごとの「算定要件」に関するルールです。本記事では両者を分けて整理します。
認知症ケア加算1・2・3の施設基準|最初に違いを確認
最初に押さえたいのは、加算1では「認知症ケアチーム」、加算2では「専任の医師または看護師+病棟の研修修了看護師」、加算3では「病棟の研修修了看護師」が中心になる点です。特に、週1回程度のカンファレンスと週1回以上の病棟回診は加算1の取り組みであり、1・2・3すべてに同じ形で求められるものではありません。
| 確認項目 | 加算1 | 加算2 | 加算3 |
|---|---|---|---|
| 中核となる体制 | 認知症ケアチームを設置 | 所定の要件を満たす専任の医師または看護師を配置 | 加算2と同じ専任医師・看護師の配置要件はなし |
| 病棟の研修修了看護師 | 原則、全ての病棟に1名以上の配置が望ましい | 原則、届出を行う全ての病棟に3名以上 | 原則、届出を行う全ての病棟に3名以上 |
| カンファレンス | 週1回程度 | 加算1と同じ週1回程度の規定ではない | 加算1と同じ週1回程度の規定ではない |
| 病棟回診・助言 | 認知症ケアチームが週1回以上、各病棟を巡回 | 専任の医師または看護師がケアの実施状況を定期的に把握し、必要な助言を行う | 加算1・2と同じ専任者による巡回・助言要件はなし |
| 認知症ケアの手順書 | 必要 | 必要 | 必要 |
| せん妄チェックリスト | 必要 | 必要 | 必要 |
| 届出様式 | 様式40の10 | 様式40の11 | 様式40の11 |

上表と図版は、加算1・2・3の違いをつかむための要約です。実際には医師・看護師の経験、研修、勤務形態などにも要件があるため、最終的な届出では最新の施設基準通知と届出様式を確認してください。
配布資料|施設基準・届出前チェックシート【PDF・Excel】
令和8年度の認知症ケア加算1・2・3について、届出前に確認したい項目をA4チェックシートにまとめました。人員体制、病棟配置、研修、手順書、せん妄対策、届出様式、2026年の身体的拘束関連の確認を1枚で整理できます。
PDF版は印刷して手書きで確認したい場合、Excel版は院内の確認状況や根拠資料の保存場所を入力しながら管理したい場合に使いやすい形式です。
注意:このチェックシートは、院内で施設基準・届出準備を整理するための補助資料です。厚生労働省や地方厚生局の公式届出様式そのものではありません。実際の届出・算定では、最新の告示、通知、疑義解釈、地方厚生局の届出様式を確認してください。
認知症ケア加算1|認知症ケアチームの構成と活動を確認する
認知症ケア加算1では、認知症ケアに係る専門知識を持つ多職種による「認知症ケアチーム」が中核になります。人員を配置するだけでなく、チームとしてカンファレンス、病棟回診、相談対応、職員研修を継続して行える体制が必要です。
認知症ケアチームの構成員
認知症ケアチームは、主に以下の職種で構成します。
- 専任の常勤医師:認知症患者の診療について十分な経験を有する医師
- 専任の常勤看護師:認知症患者の看護経験が5年以上あり、認知症看護に係る適切な研修を修了した看護師
- 常勤社会福祉士または常勤精神保健福祉士:認知症患者等の退院調整について経験を有する者
患者の状態に応じて、理学療法士、作業療法士、薬剤師、管理栄養士が参加することが望ましいとされています。理学療法士が必須構成員という意味ではなく、必要に応じて多職種で認知症ケアを支える位置づけです。
専任看護師は原則週16時間以上チーム業務に従事する
加算1の専任看護師は、原則として週16時間以上、認知症ケアチームの業務に従事します。令和8年度の届出様式40の10でも、専任看護師について認知症患者の看護経験年数と、週当たりのチーム業務従事時間を記載する欄があります。
医師についても、精神科または神経内科での経験、もしくは所定の研修修了などの要件があります。職種名だけで判断せず、経験・研修の根拠資料まで確認しておくことが重要です。
カンファレンスは週1回程度、病棟回診は週1回以上
加算1では、認知症患者のケアに係るカンファレンスを週1回程度開催し、認知症ケアチームが週1回以上、各病棟を巡回します。
| 活動 | 確認ポイント |
|---|---|
| カンファレンス | 週1回程度開催し、認知症患者のケアに関する症例等を検討する |
| 病棟回診 | 週1回以上、各病棟を巡回する |
| 実施状況の把握 | 病棟で行われている認知症ケアの実施状況を確認する |
| 助言・相談対応 | 病棟職員や患者家族への助言、医師・看護師等からの相談に対応する |
| 職員研修 | 認知症患者に関わる職員を対象として、認知症ケアに関する研修を定期的に実施する |
認知症ケア加算2・3|病棟ごとの研修修了看護師がポイント
認知症ケア加算2・3では、原則として届出を行う全ての病棟に、認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修を受けた看護師を3名以上配置します。3名のうち1名は、所定の院内研修を受講した看護師でも差し支えないとされています。
加算2は専任の医師または看護師を配置する
加算2では、病棟の研修修了看護師に加えて、所定の要件を満たす専任の常勤医師または専任の常勤看護師を配置します。
専任者は、病棟における認知症ケアの実施状況を定期的に把握し、病棟職員に必要な助言を行う役割を担います。令和8年度の様式40の11でも、この専任医師または看護師の配置欄は「認知症ケア加算2のみ」と明記されています。
加算3は加算2と同じ専任者の配置要件がない
加算3では、加算2で求められる専任の医師または看護師の配置要件はありません。ただし、病棟ごとの研修修了看護師、病棟職員への研修、認知症ケアに関する手順書、せん妄対策のチェックリストなどを整備する必要があります。
| 確認項目 | 加算2 | 加算3 |
|---|---|---|
| 専任医師または看護師 | 必要 | 加算2と同じ配置要件はなし |
| 研修修了看護師 | 原則、届出病棟ごと3名以上 | 原則、届出病棟ごと3名以上 |
| 院内研修修了者 | 3名のうち1名は院内研修で可 | 3名のうち1名は院内研修で可 |
| 病棟職員への研修 | 実施状況を確認 | 実施状況を確認 |
| 届出様式 | 様式40の11 | 様式40の11 |
1・2・3で共通して確認したい手順書・せん妄対策・研修
人員配置は加算1・2・3で異なりますが、認知症ケアを院内で標準化するための手順書、せん妄対策のチェックリスト、職員研修は共通して確認したい項目です。届出時に書類があるだけでなく、実際に院内で周知・運用できる状態にしておくことが重要です。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 認知症ケアの手順書 | 作成し、院内で周知されているか |
| 身体的拘束の実施基準 | 認知症ケアの手順書に含まれているか |
| 鎮静目的の薬物 | 適正使用に関する内容が手順書に含まれているか |
| せん妄リスク | せん妄のリスク因子確認用チェックリストがあるか |
| せん妄対策 | ハイリスク患者に対するせん妄対策用チェックリストがあるか |
| 職員研修 | 対象職員、実施日、内容、受講者等を確認できるか |
2026年改定|身体的拘束実施日は20%、加算1は管理者等と協働
2026年6月1日から特に注意したいのは、身体的拘束を実施した日の算定割合と、加算1における身体的拘束最小化の推進体制です。施設基準の人員配置とは別に、算定・運用上の変更として確認します。
| 変更点 | 2026年6月1日以降 | 院内で確認すること |
|---|---|---|
| 身体的拘束を実施した日 | 所定点数の100分の20に相当する点数で算定 | 身体的拘束の実施日と算定処理が一致しているか |
| 加算1の身体的拘束最小化 | 認知症ケアチームと病院管理者等の責任者が協働し、組織内で統一した取り組みを推進 | チームだけで完結せず、責任者と共有・改善する仕組みがあるか |
身体的拘束を実施した日は、2026年度改定前の100分の40から100分の20へ変更されています。身体的拘束の有無は加算点数に直接影響するため、ケア記録と算定側の認識を一致させることが重要です。
また、加算1では「認知症ケアチームが活動している」だけでなく、病院管理者等の責任者と協働し、組織として身体的拘束の最小化を進める視点が追加されています。
届出様式|加算1は40の10、加算2・3は40の11
認知症ケア加算の届出では、加算1と加算2・3で使用する添付書類が異なります。令和8年度の届出様式では、加算1は様式40の10、加算2または3は様式40の11です。
| 区分 | 届出様式 | 主な確認項目 |
|---|---|---|
| 認知症ケア加算1 | 様式40の10 | チーム構成、カンファレンス・回診、職員研修、病棟看護師等の研修、手順書、せん妄チェックリスト等 |
| 認知症ケア加算2 | 様式40の11 | 専任医師または看護師、届出病棟、研修修了看護師、職員研修、手順書、せん妄チェックリスト等 |
| 認知症ケア加算3 | 様式40の11 | 届出病棟、研修修了看護師、職員研修、手順書、せん妄チェックリスト等 |
届出様式へ具体的に何を書くか、どの資料を根拠として準備するかは、認知症ケア加算の届出様式40の10/40の11の書き方で詳しく整理しています。
配布チェックシートの使い方|「適合」だけで終わらせない
配布しているチェックシートは、単純に○×を付けるだけではなく、「自院がどの要件を満たしているか」と「その根拠をどこで確認できるか」をセットで整理するために使用します。
- 届出区分を決める:加算1・2・3のどの区分を確認するのかを明確にします。
- 人員要件を確認する:職種、経験、研修、病棟配置などを確認します。
- 運用要件を確認する:カンファレンス、回診・助言、職員研修などが継続して実施されているか確認します。
- 院内整備を確認する:手順書、身体的拘束の実施基準、せん妄チェックリストなどを確認します。
- 根拠資料の保存場所を決める:研修修了証、受講者一覧、手順書、会議・活動記録などを後から確認できる状態にします。
ポイント:「チェックが付いている」ことより、「なぜ適合と判断したのかを根拠資料までたどれる」状態を目指します。届出様式へ転記する前に、チェックシートと実際の人員・研修・院内文書を照合してください。
施設基準を日々の認知症ケアへ落とす5分フロー
施設基準を満たすだけでは、患者ごとのケアが自動的に統一されるわけではありません。ここからは公式の施設基準そのものではなく、認知症ケアを日々の病棟運用へ落とし込むための実務上の整理です。
- 対象を把握する:認知症患者の状態、BPSD、せん妄リスク、身体的拘束の状況などを確認します。
- 要因を評価する:身体要因、環境要因、生活歴、コミュニケーション、これまでの介入反応を整理します。
- 対応を決める:何をするか、誰が担当するか、いつ確認するかを具体化します。
- 実施する:環境調整、活動、疼痛・排泄・睡眠への対応など、患者ごとのケアを実施します。
- 再評価する:介入後の反応を確認し、継続・変更・解除など次の対応につなげます。
患者ごとのラウンドやカンファレンスを「提案→担当→期限→結果」で追える形にしたい場合は、記事末の記録テンプレートへ進んでください。
よくある質問
認知症ケア加算の施設基準・届出で迷いやすい点をまとめます。
Q1.認知症ケア加算1・2・3で届出様式は違いますか?
はい。令和8年度は、認知症ケア加算1が様式40の10、認知症ケア加算2または3が様式40の11です。提出時には、地方厚生局が公開している最新様式を確認してください。
Q2.研修を受けた看護師3名以上が必要なのはどの区分ですか?
認知症ケア加算2と3です。原則として、届出を行う全ての病棟に、認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修を受講した看護師を3名以上配置します。このうち1名は、所定の院内研修を受講した看護師でも差し支えないとされています。
Q3.週1回のカンファレンスと回診は加算2・3でも必要ですか?
加算1では、認知症ケアに係るカンファレンスを週1回程度開催し、認知症ケアチームが週1回以上各病棟を巡回します。加算2・3には、加算1と同じ「週1回程度のカンファレンス」「週1回以上のチーム回診」という形の規定はありません。
Q4.身体的拘束を実施した日は2026年からどうなりますか?
2026年6月1日以降、身体的拘束を実施した日は、認知症ケア加算の所定点数の100分の20に相当する点数で算定します。身体的拘束の実施状況と算定処理が一致するよう、院内で確認できる仕組みを整えておくことが重要です。
Q5.今回のPDF・Excelだけで施設基準の確認は完了しますか?
いいえ。配布しているPDF・Excelは、施設基準や届出準備を院内で整理するための補助資料です。公式の届出様式や通知を置き換えるものではありません。最終確認では、厚生労働省の告示・通知と地方厚生局の最新届出様式を確認してください。
次の一手|全体像を確認する → 患者ごとの記録を整える
参考文献
- 厚生労働省保険局医療課. 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて. 保医発0305第7号. 2026.
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定:認知症ケア加算の見直し. 2026.
- 近畿厚生局. 様式40の10 認知症ケア加算1の施設基準に係る届出書添付書類. 2026.
- 近畿厚生局. 様式40の11 認知症ケア加算2又は3の施設基準に係る届出書添付書類. 2026.
- 近畿厚生局. 基本診療料の届出様式(令和8年度診療報酬改定). 2026.
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

