QIDS-Jの使い方|採点方法・重症度・評価表PDF

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QIDS-Jとは|9領域を0〜27点で評価する自己記入式尺度

QIDS-J(簡易抑うつ症状尺度)は、過去7日間の抑うつ症状を16項目で確認し、9つの症状領域を0〜27点で評価する自己記入式尺度です。

睡眠、食欲・体重、精神運動については、複数項目をすべて足すのではなく、それぞれの領域で最も高い点数を1つだけ採用します。残りの6項目をそのまま加え、9領域の合計点を算出することが採点のポイントです。

この記事では、QIDS-Jの評価表・記録シート、採点方法、重症度の目安、採点ミスを防ぐポイント、再評価時の記録方法まで、臨床で確認しやすい順番で整理します。

なお、QIDS-Jは抑うつ症状の程度や変化を把握するための尺度であり、単独でうつ病を診断するものではありません。診断や治療方針は、医師による診察やほかの臨床情報とあわせて判断されます。

評価尺度全体から探したい場合は、リハビリ評価ライブラリもあわせてご確認ください。

QIDS-J記録シート(A4・PDF)

QIDS-Jの採点結果と再評価条件を1枚で残せる、A4サイズの記録シートを用意しています。

患者情報、評価日、実施条件、9領域の点数、合計点、症状を押し上げている領域、再評価時のメモをまとめて記録できます。合計点だけでなく、どの領域が高かったのかを残しておくと、多職種間で変化を共有しやすくなります。

QIDS-J記録シート(A4)

9領域の採点、合計点、実施条件、再評価メモを1枚にまとめた記録用紙です。

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QIDS-Jの使い方|評価から記録までの5ステップ

QIDS-Jは、評価期間を確認したうえで16項目に回答し、9領域にまとめてから合計点を算出します。

  1. 評価期間を確認する:原則として、過去7日間の状態を振り返ります。
  2. 16項目に回答する:各項目について、最も当てはまる選択肢を選びます。
  3. 9領域にまとめる:睡眠、食欲・体重、精神運動は、それぞれ領域内の最大点を1つ採用します。
  4. 合計点を算出する:9領域の点数を合計し、0〜27点で記録します。
  5. 結果を共有・再評価する:合計点、点数の高い領域、実施条件を記録し、同じ条件で変化を追います。

自己記入が基本ですが、視力、読字、注意、疲労などの影響で回答が難しい場合は、必要に応じて読み上げや説明を行います。その際は、どのような支援を行ったかも記録してください。

QIDS-Jの16項目と9領域の対応

QIDS-Jでは、16項目を9つの症状領域に整理して採点します。

設問文そのものを記録へ転記するのではなく、領域名、点数、変化の方向を残すと、再評価や多職種共有に活用しやすくなります。

QIDS-Jの項目と症状領域の対応
項目 症状領域 主な確認内容 採点方法
Q1〜Q4 睡眠 入眠、中途覚醒、早朝覚醒、過眠 4項目の最大点を1つ採用
Q5 抑うつ気分 悲しさや気分の落ち込み 点数をそのまま採用
Q6〜Q9 食欲・体重 食欲の低下・増加、体重の減少・増加 4項目の最大点を1つ採用
Q10 集中・決断 集中の続きにくさや決めにくさ 点数をそのまま採用
Q11 自己評価 自己否定、自責感、罪責感 点数をそのまま採用
Q12 希死念慮 死や自傷についての考え 点数をそのまま採用
Q13 興味・喜び 活動への興味や楽しみの低下 点数をそのまま採用
Q14 活力・疲労 疲れやすさやエネルギーの低下 点数をそのまま採用
Q15〜Q16 精神運動 動作や思考の遅さ、落ち着かなさ 2項目の最大点を1つ採用

体重に関する項目は、ほかの項目と確認期間が異なる場合があります。実際に使用するときは、厚生労働省が公開している評価表の説明を確認してください。

QIDS-Jの採点方法|最大点を採用する3領域がポイント

QIDS-Jは16項目の単純合計ではありません。睡眠、食欲・体重、精神運動の3領域では、領域内で最も高い点数を1つだけ採用します。

QIDS-Jの採点方法。睡眠、食欲・体重、精神運動は最大点を採用し、残り6領域と合わせて9領域を0〜27点で合計する
QIDS-Jは16項目を単純合計せず、9領域にまとめて0〜27点を算出します。
QIDS-Jの採点ルール
領域 採用する点数 採点時の注意
睡眠
Q1〜Q4
4項目の最大点を1つ採用 4項目をすべて足さない
食欲・体重
Q6〜Q9
4項目の最大点を1つ採用 低下と増加、減少と増加を重複して足さない
精神運動
Q15〜Q16
2項目の最大点を1つ採用 遅さと落ち着かなさを両方足さない
その他6領域
Q5・Q10〜Q14
各項目の点数をそのまま採用 6項目をそれぞれ1領域として扱う
合計 9領域の合計 合計範囲は0〜27点

たとえば睡眠の4項目が「1点、2点、0点、1点」であれば、睡眠領域の点数は合計4点ではなく、最大値の2点です。同じ考え方で、食欲・体重と精神運動も最大点を1つ選びます。

QIDS-Jの重症度|合計点0〜27点の見方

QIDS-Jの合計点は0〜27点で、点数が高いほど抑うつ症状が強いことを示します。

QIDS-J合計点と重症度の目安
合計点 重症度 確認のポイント
0〜5点 正常 現時点で目立った抑うつ症状が少ない範囲
6〜10点 軽度 症状や生活への影響を確認し、必要に応じて相談につなげる
11〜15点 中等度 生活機能、活動、参加への影響を含めて共有する
16〜20点 重度 医師や関係職種と連携し、支援方針を検討する
21〜27点 きわめて重度 速やかな専門的評価と安全確認が必要になる

厚生労働省の資料では、6点以上の場合は医療機関への相談が勧められています。ただし、合計点だけで対応を決めるのではなく、症状の内容、生活への影響、本人の訴え、既往歴、服薬状況などを含めて判断する必要があります。

希死念慮が確認された場合の注意

希死念慮や自傷に関する回答が認められた場合は、合計点の高低にかかわらず、安全確認を優先してください。本人を一人にせず、所属施設の手順に従って、速やかに医師・看護師・上司などへ共有します。具体的な計画、手段、時期が示されている場合や、切迫性が疑われる場合は、緊急対応が必要です。

合計点だけでなく症状領域も確認する

同じ合計点でも、点数を押し上げている症状領域によって、必要な確認や支援は異なります。

たとえば、同じ12点であっても、睡眠や活力の点数が高い場合と、自己評価や希死念慮の点数が高い場合では、共有すべき内容や対応の優先順位が変わります。

臨床では、合計点に加えて次の内容を記録すると、評価結果を支援につなげやすくなります。

  • 点数が高かった領域
  • 前回評価から変化した領域
  • 睡眠、疼痛、疲労、服薬変更などの背景因子
  • 離床、訓練参加、セルフケア、交流への影響
  • 回答時に行った説明や読み上げ支援

点数の高い領域を2つ程度記録しておくと、カンファレンスや申し送りで状況を短く共有できます。

QIDS-Jで多い採点ミス|OK・NG早見表

最も多いミスは、16項目をそのまま合計してしまうことです。

QIDS-Jで起こりやすい採点ミスと正しい対応
確認項目 NG OK 記録のポイント
睡眠 Q1〜Q4をすべて合計する 最も高い点数を1つ採用する どの睡眠症状が高かったかを残す
食欲・体重 Q6〜Q9をすべて合計する 最も高い点数を1つ採用する 食欲と体重のどちらが変化したかを残す
精神運動 Q15とQ16を両方合計する 高い方の点数を1つ採用する 遅さまたは落ち着かなさを記録する
合計点 点数だけで状態を判断する 合計点と領域別の結果をあわせて見る 点数の高い領域を2つ程度残す
再評価 毎回異なる条件で実施する 可能な範囲で実施条件をそろえる 時間帯、場所、説明方法を記録する

迷いやすい領域を評価するときのポイント

複数の症状が同時にある場合でも、採点は評価表に定められた最大点のルールに沿って行います。

QIDS-Jで迷いやすい領域の確認ポイント
領域 迷いやすい場面 採点の考え方 記録例
睡眠 入眠困難と中途覚醒などが同時にある Q1〜Q4のうち最も高い点数を採用する 睡眠領域2点。中途覚醒が最多。
食欲・体重 食欲と体重の変化が一致しない Q6〜Q9のうち最も高い点数を採用する 食欲・体重領域2点。食欲低下あり。
精神運動 動作の遅さと落ち着かなさが混在する Q15とQ16のうち高い点数を採用する 精神運動領域1点。動作の遅さあり。
希死念慮 回答が曖昧で具体性を判断しにくい 点数とは別に安全確認と職種間共有を優先する 死に関する発言あり。医師・看護師へ共有。

採点者が本人の生活上の負担を推測して点数を変更するのではなく、原則として評価表の選択肢と採点ルールに従います。追加で確認した背景や観察所見は、尺度の点数とは分けて記録してください。

再評価では実施条件と領域別変化をそろえる

再評価の目的は、合計点だけでなく、どの症状領域が改善または悪化したかを確認することです。

再評価間隔は、治療計画、診療場面、症状の変化、医師の指示などに応じて決めます。一律に固定するのではなく、チーム内で評価する時期をあらかじめ共有しておくと、結果を比較しやすくなります。

再評価時には、可能な範囲で次の条件をそろえます。

  • 評価する時間帯
  • 評価する場所
  • 自己記入または読み上げの方法
  • 説明や回答支援の内容
  • 直前の疼痛、疲労、睡眠状態
  • 服薬や生活環境の変化

記録例

QIDS-J 12点。前回9点から3点上昇。睡眠2点、活力2点、興味・喜び2点。午前、病室、自己記入で実施。読み上げ支援なし。夜間の中途覚醒と訓練後の疲労感が増加している。希死念慮に関する訴えなし。結果を医師・看護師へ共有。

点数の変化がみられた場合は、尺度の結果だけで原因を決めつけず、身体状態、疼痛、睡眠、薬剤、環境変化、家族関係なども確認します。

PHQ-9・GDS-15との違いと使い分け

QIDS-Jは、抑うつ症状の重症度と領域別の変化を追いたい場面に適しています。

QIDS-J・PHQ-9・GDS-15の使い分け
尺度 主な目的 特徴 活用しやすい場面
QIDS-J 抑うつ症状の重症度と経時変化の把握 16項目を9領域にまとめ、症状の構成を確認できる 同じ尺度で継続的に変化を追う場面
PHQ-9 抑うつ症状のスクリーニングと重症度評価 9項目で比較的短時間に実施しやすい 外来、一般病棟、地域などでの初期確認
GDS-15 高齢者の抑うつ症状のスクリーニング 高齢者を対象とした質問構成 老年期、施設、在宅などでの初期評価

どの尺度を使う場合も、目的を明確にし、点数だけで診断や対応を決めないことが重要です。施設内で継続評価する場合は、使用する尺度と実施条件を可能な範囲で統一してください。

QIDS-Jに関するよくある質問

各質問をタップすると回答が開きます。

Q1.QIDS-Jは何分くらいで実施できますか?

本人が評価表を読んで回答できる場合は、5分前後が一つの目安です。ただし、読字能力、視力、注意機能、疲労、理解度などによって所要時間は変わります。読み上げや説明を行った場合は、その支援内容も記録してください。

Q2.QIDS-Jだけでうつ病を診断できますか?

できません。QIDS-Jは抑うつ症状の程度や変化を把握するための尺度です。診断は、医師が問診、診察、既往歴、身体疾患、薬剤、生活背景などを総合して行います。

Q3.再評価はどのくらいの間隔で行いますか?

一律の間隔ではなく、治療計画、症状の変化、診療日程、医師の指示などに応じて設定します。比較可能性を高めるため、再評価時期と実施条件をチーム内で共有しておくことが重要です。

Q4.自己記入が難しい場合はどうしますか?

静かな環境を整え、必要に応じて読み上げや説明を行います。ただし、回答内容を誘導しないよう注意してください。自己記入が難しかった理由と、どのような支援を行ったかを記録します。

Q5.睡眠や食欲の項目はすべて足しますか?

足しません。睡眠のQ1〜Q4、食欲・体重のQ6〜Q9、精神運動のQ15〜Q16は、それぞれ領域内で最も高い点数を1つだけ採用します。16項目を単純に合計しない点が重要です。

Q6.希死念慮の点数が低ければ経過観察でよいですか?

点数だけで経過観察を決めることはできません。希死念慮や自傷に関する回答がみられた場合は、合計点にかかわらず安全確認を優先し、所属施設の手順に従って医師・看護師・上司などへ共有してください。

次の一手|QIDS-Jを記録と再評価につなげる

QIDS-Jは、評価表へ回答して合計点を出すだけでなく、点数の高い領域と実施条件を残すことで臨床に活用しやすくなります。

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参考文献

  1. Rush AJ, Trivedi MH, Ibrahim HM, et al. The 16-Item Quick Inventory of Depressive Symptomatology(QIDS), clinician rating(QIDS-C), and self-report(QIDS-SR): a psychometric evaluation in patients with chronic major depression. Biol Psychiatry. 2003;54(5):573-583. doi:10.1016/S0006-3223(02)01866-8
  2. 厚生労働省. うつ病チェック(簡易抑うつ症状尺度:QIDS-J). 厚生労働省公開資料. 2026年7月25日閲覧.
  3. Fujisawa D, Nakagawa A, Tajima M, et al. Cross-cultural adaptation of the Quick Inventory of Depressive Symptomatology-Self Report(QIDS-SR-J). Jpn J Stress Sci. 2010;25:43-52.
  4. Wada K, Satoh T, Tsunoda M, Aizawa Y. A national survey on the state of support for workers with mental health problems in Japan. Ind Health. 2010;48(6):794-802.
  5. Sugishita K, Sugishita M, Hemmi I, Asada T, Tanigawa T. A validity and reliability study of the Japanese version of the Geriatric Depression Scale 15(GDS-15-J). Clin Gerontol. 2017;40(4):233-240.

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、評価、プロトコル、制度、記録用紙など、リハビリテーション実務に役立つ情報を発信しています。脳卒中、褥瘡・創傷ケアなどに関する講師登壇経験があります。

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハビリテーション、リハビリテーション栄養、シーティング、摂食・嚥下

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