- FIM 5 点とは?運動項目と認知項目の違い
- 結論:FIM 5 点は「身体介助なし+人的関与あり」が入口
- FIM 運動項目 5 点|監視・準備・声かけが必要かを見る
- FIM 5 点と 6 点の違い|他者の関与が必要か
- FIM 5 点と 4 点以下の違い|身体的な手助けが必要か
- FIM 認知項目 5 点|促しや手がかりが 10 % 未満かを見る
- FIM 5 点で迷いやすい 6 ケース
- FIM 5 点の判定フロー|介助→人的関与→認知の順で確認
- 記録は「5 点」だけで終わらせず、関与の内容を残す
- FIM 5 点 判定評価シート PDF
- よくある失敗|5 点を「迷ったときの中間点」にしない
- よくある質問
- 次の一手
- 参考文献
- 著者情報
FIM 5 点とは?運動項目と認知項目の違い
FIM 5 点は、身体的な介助は不要でも、監視・準備・声かけなど他者の関与が必要な状態を中心に考える点数です。ただし、運動項目と認知項目では 5 点の根拠が異なります。運動では監視・準備・促しなどの人的関与、認知では必要な促しや手がかりが 10 % 未満かを確認します。本稿では、5 点を 6 点や 4 点以下とどう切り分けるかを、具体例と記録の型まで含めて整理します。
FIM 全体を先に確認したい方へ
18 項目・7 段階の全体像は、FIM 総合ガイドで確認できます。
結論:FIM 5 点は「身体介助なし+人的関与あり」が入口
運動項目の 5 点を考える入口は、「身体的な手助けは不要だが、監視・準備・声かけなど他者の関与が必要か」です。他者の関与そのものが不要なら 6 点または 7 点を検討し、動作を成立させるために身体的な手助けが必要なら 4 点以下を検討します。
一方、認知項目では採点の考え方が異なります。5 点では、理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶に対する促し、反復、手がかりなどが 10 % 未満で、本人が 90 % を超えて担えているかを確認します。
| 判断 | 人的関与 | 身体的な手助け | 考える点数 |
|---|---|---|---|
| 一人で成立 | 不要 | 不要 | 6 点または 7 点 |
| 監視・準備・声かけが必要 | 必要 | 不要 | 5 点を検討 |
| 支える・持ち上げるなどの手助けが必要 | 必要 | 必要 | 4 点以下を検討 |

ここで注意したいのは、「身体介助がない=必ず 6 点」ではないことです。見守り、物品の準備、口頭指示などがなければ動作が成立しない場合は、人的関与が残っているため 5 点を検討します。
FIM 運動項目 5 点|監視・準備・声かけが必要かを見る
運動 5 点では、介助者は必要でも、患者の身体を直接手助けする必要はありません。監視、近接見守り、準備、口頭指示、促しなどによって安全または動作が成立する状態が中心です。
| 関与 | 5 点を考える状況 | 確認すること |
|---|---|---|
| 監視 | 転倒などに備えて見守りが必要 | 見守りなしでも安全に成立するか |
| 準備 | 必要物品を他者が準備してから本人が実施 | 本人だけで準備から終了まで行えるか |
| 声かけ・促し | 開始や手順について言語的な促しが必要 | 声かけがなくても一貫して完遂できるか |
| 身体的な手助け | なし | 支える、持ち上げる、方向づけるなどが必要ではないか |
たとえば、病棟歩行そのものは患者だけで行えても、転倒時にすぐ介入できる距離での見守りが必要なら 5 点を検討します。また、動作自体は自分で行えても、必要物品を毎回スタッフが準備しなければ始められない場合も 5 点を考えます。
FIM 5 点と 6 点の違い|他者の関与が必要か
5 点と 6 点の境界は、「補助具を使うか」よりも、他者の関与が必要かで考えると整理しやすくなります。6 点は補助具、時間延長、安全性への配慮などの修正があっても、介助者の監視・準備・声かけなしで本人だけで成立する状態です。
| 点数 | 身体介助 | 監視・準備・声かけ | 判断の中心 |
|---|---|---|---|
| 6 点 | なし | なし | 本人だけで成立するが、補助具・時間延長などの修正がある |
| 5 点 | なし | あり | 他者の関与がなければ安全または動作が成立しない |
したがって、杖や手すりを使っているだけで 5 点になるわけではありません。補助具を本人が自分で使用し、監視や準備も不要なら 6 点を検討します。
FIM 5 点と 4 点以下の違い|身体的な手助けが必要か
5 点と 4 点以下を分ける入口は、動作を成立させるための身体的な手助けが必要だったかです。監視や言語的な促しだけで済むなら 5 点を検討しますが、患者の身体を支える、持ち上げる、動作を補助するなどの手助けが必要なら 4 点以下の判定へ進みます。
ただし、単に身体へ触れたという事実だけで機械的に判定するのではなく、その接触が動作を成立させるための介助だったかを確認します。身体介助が必要だった場合は、本人がどの程度動作を担ったかをもとに 4〜1 点を判定します。
4〜1 点の介助割合と工程分解は、FIM 4〜1 点の介助割合で詳しく整理しています。
FIM 認知項目 5 点|促しや手がかりが 10 % 未満かを見る
認知 5 点は、運動 5 点と同じ考え方で身体介助の有無だけを見てはいけません。理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶について、本人が 90 % を超えて遂行でき、促し、反復、手がかりなど他者の援助が 10 % 未満で済む状態を中心に判断します。
| 確認 | 5 点に寄る状態 | より低い点数を検討する状態 |
|---|---|---|
| 促し・手がかり | 時々必要だが、本人が 90 % 超を担える | 促しや方向づけが 10 % 以上必要 |
| 自己修正 | 短いヒントで本人が修正できる | 繰り返し方向づけや代行が必要 |
| 安全・判断 | 軽い助言で適切な行動へ戻れる | 継続的な制止や判断の代行が必要 |
認知 5 項目それぞれの採点で迷う場合は、FIM 認知 5 項目の採点ガイドで、理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶に分けて確認できます。
FIM 5 点で迷いやすい 6 ケース
5 点を安定して判断するには、「できたか」だけではなく、誰が何を補った結果としてできたのかを見ることが重要です。代表的な境界を整理します。
| ケース | 判断 | 根拠 |
|---|---|---|
| 病棟歩行は自分で行えるが常時見守りが必要 | 5 点を検討 | 身体介助はないが監視が必要 |
| 必要物品をスタッフが準備すれば本人だけで完遂 | 5 点を検討 | 準備という人的関与が必要 |
| 杖を使用するが準備・監視・声かけは不要 | 6 点を検討 | 他者の関与なしで修正自立 |
| 立ち上がりで身体を支える必要がある | 4 点以下を検討 | 身体介助が必要 |
| 問題解決で短いヒントが時々必要 | 認知 5 点を検討 | 援助が 10 % 未満に収まるか確認 |
| 問題解決で何度も方向づけや判断の代行が必要 | 4 点以下を検討 | 5 点の援助量を超える可能性がある |
FIM 5 点の判定フロー|介助→人的関与→認知の順で確認
運動項目では「身体介助があるか → 監視・準備・声かけが必要か」の順で確認すると、5 点の位置を整理しやすくなります。
① 身体的な手助けが必要だったか
必要 → 4〜1 点を検討 / 不要 → ②へ
② 監視・準備・声かけなど他者の関与が必要だったか
必要 → 運動 5 点を検討 / 不要 → 6 点または 7 点を検討
③ 認知項目なら援助の割合を確認
促し・反復・手がかりなどが 10 % 未満 → 認知 5 点を検討 / それ以上 → 4 点以下を検討
④ 点数だけでなく根拠を記録
「項目+関与の種類+頻度+身体介助の有無」を残す
記録は「5 点」だけで終わらせず、関与の内容を残す
再評価やカンファレンスで重要なのは、点数そのものより「なぜ 5 点なのか」を追えることです。同じ 5 点でも、見守りが必要なのか、準備が必要なのか、声かけが必要なのかで支援内容は異なります。
| 場面 | 記録例 |
|---|---|
| 歩行 | 病棟内歩行:身体介助なし。方向転換時の近接見守りが必要。 |
| 更衣 | 更衣:物品準備後は身体介助なく完遂。準備介助あり。 |
| 問題解決 | 問題解決:手順が止まる場面で短いヒントを時々要する。提示後は自己修正可能。 |
「見守りあり」「声かけあり」だけで終わらせず、どの場面で、何のために、どの程度必要だったかまで残しておくと、5 点から 6 点への変化も追いやすくなります。
FIM 5 点 判定評価シート PDF
5 点・6 点・4 点以下の境界と、判断根拠を 1 枚で整理できる自作評価シートです。評価条件、人的関与、身体介助の有無、判定根拠、再評価時のメモをまとめて残せます。
カンファレンス前の採点整理、病棟での申し送り、新人指導などで、点数だけでは伝わりにくい「なぜその点数なのか」を共有する補助資料として使用できます。
利用時の注意:この PDF は臨床での確認・記録を補助するための自作シートです。公式の FIM 評価用紙や認定教材の代替ではありません。正式な採点基準と施設の運用ルールを確認したうえで使用してください。
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よくある失敗|5 点を「迷ったときの中間点」にしない
FIM 5 点は、迷ったときに選ぶ中間点ではありません。人的関与と身体介助の内容を確認し、根拠を説明できる状態で判定します。
- 身体介助がないから 6 点:見守り・準備・声かけが必要なら 5 点を検討する
- 補助具を使うから 5 点:他者の関与なしで使用できるなら 6 点を検討する
- 少し触ったから必ず 4 点:動作成立のための身体介助だったかを確認する
- 認知で声かけがあれば全部 5 点:援助が 10 % 未満か、それ以上必要かを確認する
- 点数だけを記録する:監視・準備・促し・身体介助など判断根拠も残す
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
FIM 5 点とはどんな状態ですか?
運動項目では、身体的な手助けは不要でも、監視・準備・声かけ・促しなど他者の関与が必要な状態を中心に 5 点を検討します。認知項目では、促しや手がかりなどの援助が 10 % 未満かを確認します。
FIM 5 点と 6 点の違いは何ですか?
大きな違いは人的関与の必要性です。監視・準備・声かけなどが必要なら 5 点を検討し、それらが不要で、補助具や時間延長などの修正だけで本人が完遂できるなら 6 点を検討します。
物品の準備だけ必要な場合も FIM 5 点ですか?
動作を開始するために介助者による物品準備が必要で、その後は身体介助なく本人が行える場合は、運動 5 点を検討します。本人だけで準備から終了まで行える場合は、6 点または 7 点との境界を確認します。
見守りだけでも FIM 5 点になりますか?
安全確保のため介助者が近くで監視し、必要時に介入できる状態を保つ必要があるなら 5 点を検討します。他者の監視がなくても安全に完遂できる場合は 6 点または 7 点を検討します。
身体に触れたら必ず FIM 4 点以下ですか?
接触したという事実だけでなく、その接触が動作を成立させるための身体介助だったかを確認します。支える、持ち上げるなど患者の動作を補う介助が必要だった場合は 4 点以下を検討し、本人実施割合を確認します。
認知項目の FIM 5 点はどう判断しますか?
理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶について、本人が 90 % を超えて担えているかを確認します。促し、反復、手がかりなどの援助が 10 % 未満なら 5 点を検討し、それ以上必要なら 4 点以下との境界を確認します。
次の一手
5 点の次に確認する内容は、迷っている境界によって分けると効率的です。
- 人的関与なしまで改善したケース:FIM 6 点(修正自立)の判定基準
- 身体介助が必要なケース:4〜1 点は本文中の専用記事から介助割合を確認する
参考文献
- Granger CV, Hamilton BB, et al. Performance profiles of the Functional Independence Measure. Am J Phys Med Rehabil. 1993;72(2):84–89. PubMed / DOI.
- Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The Functional Independence Measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6–18. PubMed.
- Ottenbacher KJ, et al. The reliability of the Functional Independence Measure. Arch Phys Med Rehabil. 1996;77(12):1226–1232. PubMed / DOI.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級

