理学療法士はオワコン?将来性と辞める判断

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理学療法士が「オワコン」と言われる背景を先に整理する

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結論から言うと、理学療法士( PT )の仕事自体が消える可能性は高くありません。一方で、「どこで・どんな働き方を選ぶか」によって、将来の体感は大きく変わります。「オワコン」と言われる言葉だけに引っ張られると、必要以上に不安が増えやすいです。

本記事では、オワコン論の根拠になりやすい論点(給与、供給、業務負担、 AI /自動化など)を整理し、続ける/環境を替えるの意思決定を「再現性のある手順」に落とし込みます。

結論:仕事はなくならないが「選ばれ方」と「単価」が変わる

リハビリ領域は高齢化・慢性疾患・フレイルの増加でニーズが続きます。ただし、現場では単位・書類・教育体制・評価環境の差が広がり、同じ資格でも「伸びる職場」と「消耗する職場」の二極化が起きやすいです。

だからこそ、オワコン論への最適解は「精神論」ではなく、環境(業務設計)×専門性(強み)×働き方(選択肢)を見直し、収入と余裕の両方を作ることです。

「オワコン」と言われる 5 つの理由と、現場で起きている事実

不安の正体は、だいたいこの 5 パターンに収束します。まずは、どの論点が自分に刺さっているかを特定すると、打ち手がブレません。

下の表で「事実(起きやすいこと)」と「対策(現場で動かせること)」をセットにしました。まず 1 つだけ、すぐ着手できるものを選ぶのがコツです。

「PT オワコン論」の典型 5 パターンと実務的な対策(対象:臨床 PT )
よくある主張 現場で起きやすい事実 最初の打ち手( 1 週間) 中期の打ち手( 1〜 3 か月)
給料が伸びない 昇給幅が小さく、役割や評価軸が曖昧だと頭打ちになりやすい 給与明細の内訳(手当・残業・賞与)を分解して課題を言語化 評価制度のある職場/領域(訪問・自費など)を比較検討
供給過多で飽和 地域・領域で偏りがあり、条件の良い枠が埋まりやすい 希望条件を「譲れない 3 つ」に絞る(配属・残業・教育) 地域×領域×勤務形態の組み換えで選択肢を広げる
単位と書類で消耗 割り込み・記録・委員会で「見えない残業」が積み上がる 記録バッファ/連続配置/割り込み枠を作って日課を再設計 担当設計・役割調整が難しければ環境変更を視野に入れる
AI /自動化で不要になる 評価の一部は補助ツール化するが、説明・合意形成・介入設計は残る 評価→仮説→介入→再評価を 1 枚で説明できるよう型を作る アウトカム設計( PROM / QOL )で「価値」を言語化
将来性が不安 「このままで良いのか」が放置されると不安が増幅する 3 年後の理想(働き方・収入・余裕)を文章で固定する 小さく試す(面談・見学・副業の検討)で不安を減らす

現場の詰まりどころ:不安が強い人ほど「比較軸」が未定義

「オワコンかも…」と感じるとき、実は転職すべきかどうかではなく、何と何を比べて決めるかが未定義なことが多いです。比較軸がないまま情報収集すると、 SNS の強い言葉に振り回されます。

まずは、比較軸を 3 つだけ固定してください(例:①残業の実態 ②教育体制 ③配属の確度)。この 3 つが揃うと、「続ける」「部署を替える」「転職する」の判断が現実的になります。

打ち手は 3 本立て:環境を整える/強みを作る/選択肢を増やす

不安を減らす最短ルートは、気合いではなく設計です。とくに「環境」と「選択肢」を先に整えると、学びの継続もしやすくなります。

以下は“やる順番”のおすすめです。まず環境(消耗)を下げ、次に強み(価値)を上げ、最後に選択肢(交渉力)を増やします。

不安を減らす 3 ステップ(対象:臨床 PT /優先順位つき)
優先 狙い 具体例 チェック指標
消耗を減らす 記録バッファ固定、割り込み枠、連続配置、委員会の棚卸し 残業時間/持ち帰りの有無
価値を上げる 評価の型(結論→根拠→次の一手)、アウトカム設計、説明力 説明の再現性/再評価の回り方
選択肢を増やす 面談・見学、領域変更(訪問など)、条件交渉の準備 比較できる候補数( 2〜 3 )

辞める/続けるの判断フロー( 48 時間→ 3 か月)

「オワコンだから辞める」は、判断として粗いです。代わりに、安全→回復→比較→決断の順で進めると後悔が減ります。迷う人ほど、期限を切った“試行”が効きます。

詳しい対処と分岐は、総論のガイドにまとめています:理学療法士を辞めたい理由と対処法

辞める/続けるを決めるための実務フロー(対象:臨床 PT )
期間 やること 目的 判断の材料
48 時間 睡眠と回復を優先し、主因(忙しさ/人間関係/給与/裁量)を 1 つに絞る 不安の増幅を止める 何が一番つらいかが言える
2 週間 日課の再設計(記録バッファ、連続配置、割り込み枠)を試す 環境で改善する余地を確認 残業が減る/疲労が軽い
1〜 3 か月 比較軸 3 つで職場を比較(見学・面談)し、選択肢を 2〜 3 にする 判断を“比較”にする 次の環境の見通しが立つ
決断 続ける/配置転換/転職のどれかを選び、条件を文面で確認 後戻りを減らす 配属確度・残業・教育の合意

よくある失敗:不安のまま「情報だけ増やす」

不安が強いと、 SNS や掲示板の体験談を集めがちです。ただ、情報収集は比較軸が決まってからが本番です。軸がないと、どの話も“正しそう”に見えてしまいます。

まずは、①譲れない条件 3 つ ②許容できる条件 3 つ ③ 1 年後にどうなっていたいか、を紙 1 枚に書き出してください。ここが決まると、オワコン論は「自分のケースに関係あるかどうか」で切り分けられます。

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 「オワコン」と感じたら、まず何から手を付けるべきですか?

最初は「主因を 1 つに絞る」ことです。忙しさ、給与、裁量、人間関係、将来不安など、原因が混ざると判断が止まります。 48 時間は回復を優先しつつ、主因を 1 つだけ言語化してください。その上で、 2 週間だけ“環境を整える試行”を入れると、転職以外の選択肢も見えます。

Q2. AI で PT が不要になる未来はありますか?

評価や書類の一部は補助ツール化しやすい一方で、患者の状態を踏まえた介入設計、説明と合意形成、行動変容の支援は残りやすいです。むしろ「説明できる PT 」「再評価で改善を示せる PT 」が選ばれやすくなります。型(結論→根拠→次の一手)を作るのがおすすめです。

Q3. 給料が不安です。転職を考えるラインは?

生活が苦しい場合は「固定費」「残業の実態」「手当の内訳」を分解し、改善余地が職場にあるかを確認します。残業が恒常化し、教育費や評価制度がなく、配属も曖昧な場合は、環境を替えた方が回復が早いことがあります。比較のために、候補を 2〜 3 つ持つことが重要です。

Q4. 続けるか辞めるかで迷っています。後悔しないコツは?

後悔を減らすコツは、判断を「気分」ではなく「比較」にすることです。譲れない条件 3 つ(例:残業、教育、配属)を固定し、現職と候補を同じ軸で比べます。比較表が作れると、辞める/続けるの納得感が上がります。

おわりに:不安は「比較できる状態」を作ると小さくなる

理学療法士がオワコンかどうかは、世の中の言葉ではなく、自分の比較軸(残業・教育・配属・収入・余裕)で判断した方が確実です。安全の確保→段階的に環境を整える→比較表で候補を揃える→決断、の順で進めると、焦りにくくなります。

面談前の準備(チェックリストと職場評価シート)を先に固めたい方は、こちらのまとめを使ってください:/mynavi-medical/#download

参考文献

  1. Venturini E, Ugolini A, Bianchi L, Di Bari M, Paci M. Prevalence of burnout among physiotherapists: a systematic review and meta-analysis. Physiotherapy. 2024;124:164-179. doi:10.1016/j.physio.2024.01.007 / PubMed
  2. Burri SD, Smyrk KM, Melegy MS, et al. Risk factors associated with physical therapist burnout: a systematic review. Physiotherapy. 2022;116:9-24. doi:10.1016/j.physio.2022.01.005 / PubMed
  3. Latzke M, Putz P, Kulnik ST, Schlegl C, Sorge M, Mériaux-Kratochvila S. Physiotherapists’ job satisfaction according to employment situation: Findings from an online survey in Austria. Physiother Res Int. 2021;26(3):e1907. doi:10.1002/pri.1907 / PubMed
  4. Lee BK, Seo DK, Lee JT, Lee AR, Jeon HN, Han DU. Impact of work environment and work-related stress on turnover intention in physical therapists. J Phys Ther Sci. 2016;28(8):2358-2361. doi:10.1589/jpts.28.2358 / PubMed
  5. Matsumoto M, Matsumoto K, Ishikawa J, et al. Job satisfaction and turnover intention among rehabilitation professionals in Japan: a cross-sectional study. J Occup Health. 2025;67(1):e12456. PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士) rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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