老研式活動能力指標(TMIG-IC)とは|13項目の採点・解釈・再評価

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老研式活動能力指標(TMIG-IC)とは|13項目の採点・解釈と再評価

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老研式活動能力指標(TMIG-IC)は、高齢者の高次生活機能を、手段的自立・知的能動性・社会的役割の3領域、計13項目で確認する評価尺度です。公式質問票の各項目を「はい」「いいえ」で回答し、合計0〜13点で採点します。

評価で重要なのは、設問の表現に従って正式な得点を付けたうえで、家族による代行、実施機会、身体・認知機能、生活環境などを補足情報として分けて記録することです。本記事では、採点方法、領域別の解釈、得点が低いときの追加評価と支援、再評価時の注意点を実務向けに整理します。

TMIG-ICは高齢者の高次生活機能をみる13項目の尺度です

TMIG-ICは、基本的ADLよりも高い水準にある生活機能を、3つの下位領域から評価する尺度です。地域生活に必要な活動だけでなく、情報への関心や家庭・地域での社会的な役割まで確認できます。

TMIG-ICの構成と配点
領域 項目数 配点 確認する内容
手段的自立 5項目 0〜5点 外出、買い物、食事の準備、支払い、預貯金の管理など
知的能動性 4項目 0〜4点 書類の記入、新聞・書籍を読むこと、健康情報への関心など
社会的役割 4項目 0〜4点 友人宅への訪問、相談、見舞い、世代間交流など
合計 13項目 0〜13点 3領域を合わせた高次生活機能の全体像

合計点が高いほど、質問票で確認する高次生活機能が多く保たれていることを示します。ただし、点数だけで生活上の問題や必要な支援を断定する尺度ではありません。

TMIG-ICの評価方法|公式質問票に沿って回答します

TMIG-ICは、公式質問票の13項目を順番に確認し、「はい」「いいえ」の回答を採点します。評価者独自の言い換えや、追加情報による得点の修正は避けます。

  1. 評価する時点を確認する:現在の通常の生活について回答するのか、発症前など過去の生活を振り返るのかを明記します。
  2. 公式の設問を提示する:設問の意味を独自に変更せず、公式質問票に沿って確認します。
  3. 「はい」「いいえ」で回答する:本人による回答を基本とし、必要に応じて実施方法や補足者を記録します。
  4. 各項目を0点または1点で採点する:合計点と3領域の小計を算出します。
  5. 得点に影響した背景を補足する:家族代行、実施機会、環境、身体・認知機能などを得点とは分けて残します。

本人回答を基本とします。自記が難しく、評価者が設問を読み上げる場合は、答えを誘導する説明や独自の言い換えを避けます。家族から補足情報を得た場合は本人回答と混在させず、回答者・補足者・実施方法を記録してください。

入院中に発症前の生活を確認する場合は、「発症前」「入院前」など、どの時点を振り返って回答したかを必ず記録します。退院後に予想される生活は支援計画には使えますが、実際の回答結果と混ぜて正式得点として扱わないようにします。

TMIG-ICの採点方法|「はい」1点・「いいえ」0点

TMIG-ICは、各項目について「はい」を1点、「いいえ」を0点として採点し、全13項目を合計します。

正式な設問文と回答方法は、公式質問票を使用してください。本記事では設問全文を転載せず、尺度の構造と結果の読み方を解説します。

TMIG-ICの採点手順
集計項目 計算方法 記録例
手段的自立 項目1〜5を合計 4/5点
知的能動性 項目6〜9を合計 3/4点
社会的役割 項目10〜13を合計 2/4点
合計 13項目を合計 9/13点
老研式活動能力指標(TMIG-IC)の手段的自立、知的能動性、社会的役割の3領域を整理した図版
図:TMIG-ICは合計点だけでなく、手段的自立・知的能動性・社会的役割の3領域に分けて確認します。

正式な採点と補足的な生活情報を分けます

TMIG-ICの正式な得点は、公式質問票の設問と回答方法に従って付けます。家族による代行や実施頻度などの情報は、得点を独自に変更するためではなく、得点の背景を理解する補足情報として記録します。

正式得点と補足情報の分け方
区分 記録する内容 注意点
正式得点 公式設問への「はい」「いいえ」と領域別・合計得点 設問の内容や採点基準を独自に置き換えない
評価時点 現在、発症前、入院前など 異なる時点の得点を同じ条件として比較しない
回答方法 本人自記、設問の読み上げ、家族による補足など 再評価時には前回との違いを確認する
生活上の背景 家族代行、環境、実施機会、身体・認知機能 正式得点とは別欄に記録する
代替的な活動 スマートフォン、音声媒体、オンライン交流など 公式設問の回答を自動的に置き換えず、補足情報として扱う

たとえば、新聞を読んでいなくても、スマートフォンで毎日ニュースを確認している場合があります。この情報は知的活動を理解するうえで重要ですが、公式設問への回答とは分けて記録する方が、尺度の得点と現代的な生活実態の両方を残せます。

得点が低い領域から原因・追加評価・支援方法を考えます

得点が低い領域をそのまま訓練項目へ置き換えず、なぜ「いいえ」になったのかを確認します。身体・認知・感覚機能だけでなく、実施機会、生活環境、家族による代行、本人の関心や役割も含めて原因を整理します。

以下はTMIG-ICの正式な採点基準ではなく、得点低下後に療法士が追加評価と支援方法を考えるための整理です。

TMIG-ICの領域別に考える追加評価とアプローチ
領域 まず考える背景 主な追加評価 アプローチの方向
手段的自立 屋外移動、家事能力、金銭操作、認知機能、家族代行、地域の店舗・交通環境 基本ADL、屋外歩行、バランス、持久力、認知機能、家事動作、住環境、支援体制 動作練習、道具や環境の変更、移動手段の調整、配食・買い物支援、家族との役割分担
知的能動性 視力・聴力、読み書き、注意・記憶、意欲、生活歴、利用している情報媒体 視聴覚機能、注意・記憶、読み書き、気分、興味・関心、情報機器へのアクセス 文字の拡大、音声媒体、機器設定、情報取得手順の簡略化、本人が関心を持てる活動の導入
社会的役割 外出機会、移動手段、気分、交流相手、コミュニケーション、家庭・地域での役割 生活範囲、屋外移動、コミュニケーション、気分、支援ネットワーク、本人の希望 役割の再設計、短時間からの参加、交流手段の変更、移動支援、家族・地域・多職種との調整

同じ低得点でも、必要な対応は異なります

能力低下によって実施できない場合と、家族が代行している場合、機会がない場合、本人が希望していない場合では、必要な支援が異なります。「原因仮説→追加評価→練習・代償手段・環境調整→生活場面での再評価」の順に整理してください。

介入後は、評価場面で課題を実施できたかだけでなく、実際の生活で活動や役割が再開したか、必要な支援量が変化したか、本人が望む生活につながったかを確認します。正式得点、補足情報、尺度外の追加評価を分けて再評価してください。

再評価では条件・領域・項目別の変化を確認します

再評価では、合計点の増減を見る前に、前回と今回の評価条件がそろっているかを確認します。

  1. 評価時点:現在の生活か、発症前など過去の生活か。
  2. 回答者・回答方法:本人自記、設問の読み上げ、家族補足のどれか。
  3. 生活環境:入院、退院、転居、サービス導入などの変化があるか。
  4. 合計点:全体の得点がどの程度変化したか。
  5. 領域別得点:3領域のどこが変化したか。
  6. 項目別回答:どの項目が「はい」「いいえ」に変わったか。
  7. 変化の背景:能力、機会、環境、役割分担のどれが変わったか。

状態が安定した地域在住高齢者を対象とした再検査研究では、合計点・知的能動性・社会的役割の1点変化は測定上の揺れである可能性があり、2点以上の変化を無視すべきでないと報告されています。一方、手段的自立は1点の変化でも無視すべきでないとされています。

再評価時の小さな得点変化を考える目安
確認する得点 研究上の示唆 臨床での注意点
手段的自立 1点の変化でも無視しない どの項目が変化したか、移動・金銭・家事能力などを確認する
知的能動性 1点変化は測定上の揺れの可能性があり、2点以上の変化に注意する 視聴覚、情報媒体、意欲、回答方法の変化も確認する
社会的役割 1点変化は測定上の揺れの可能性があり、2点以上の変化に注意する 交流機会、入退院、外出環境、家庭内の役割変化も確認する
合計点 1点変化は測定上の揺れの可能性があり、2点以上の変化に注意する 合計点だけでなく、領域別・項目別の変化を確認する

ただし、この結果は状態が安定した地域在住高齢者を対象とした研究に基づくものであり、すべての患者にそのまま適用できる一律の改善・悪化判定基準ではありません。疾病、入退院、回答方法、生活環境の変化を含めて解釈してください。

TMIG-IC評価・再評価記録シートPDF

継続して評価する場合は、合計点だけでなく、評価時点、回答方法、3領域の小計、項目別の変化、生活上の背景を同じ用紙に残すと比較しやすくなります。

下のPDFは、公式13項目の設問文を転載せず、評価結果と再評価条件を記録するためのA4・1枚シートです。公式質問票と組み合わせて使用してください。

TMIG-IC評価・再評価記録シート(A4・1枚)

TMIG-IC評価・再評価記録シートPDFを開く

記録内容:評価条件/3領域の前回・今回比較/支援条件/変化の解釈/次回確認

PDFプレビューを開く

プレビューできない場合は、こちらからPDFを開いてください

公式質問票の確認先

TMIG-ICを実施するときは、正式な設問と採点方法が掲載された公式資料を使用してください。本記事の記録シートは、公式質問票の代替ではなく、得点と再評価条件を整理する補助用紙です。

TMIG-ICで判定・解釈を誤りやすいポイント

TMIG-ICでは、公式設問への回答と、評価者が追加で確認した生活情報を混ぜないことが重要です。

TMIG-ICで起こりやすい誤りと対策
迷いやすい場面 起こりやすい誤り 対策
能力と実施状況 全項目を一律に「できる能力」または「実際の実施」だけで判定する 各設問の表現に従って回答し、能力や実施状況は補足欄に記録する
家族による代行 代行があるという理由だけで独自に得点を変更する 公式設問への回答と、代行の内容を分けて残す
入院中の評価 病棟生活と発症前の生活を混在させる どの時点について回答したかを明記する
家族からの補足 本人回答と家族情報を混在させて正式回答を作る 本人回答、補足者、回答方法を分けて記録する
現代的な代替活動 スマートフォンや音声媒体を公式項目と同一に扱って採点する 正式回答とは別に、現在の情報活動として補足する
小さな得点変化 すべての領域で1点の変化を同じ意味として扱う 手段的自立とほかの領域を分け、項目別回答と評価条件を確認する
TMIG-ICとJST-IC 名称や項目数を混同する TMIG-ICは13項目・3領域であることを確認する

TMIG-ICの記録例

記録例

TMIG-IC 9/13点。入院前の通常生活について本人面接で回答。手段的自立3/5点、知的能動性4/4点、社会的役割2/4点。買い物は家族同行、食事は配食サービスを利用していた。前回評価との比較では社会的役割の1項目が「はい」から「いいえ」に変化。入院による交流機会の減少が影響している可能性があるため、退院後の生活状況を確認して再評価する。

記録では、「得点」「評価した時点」「回答方法」「変化した項目」「生活上の背景」を分けて残します。追加評価、支援案、退院後の予測は、正式得点とは別に記載してください。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

Q1. TMIG-ICは何点満点ですか?

A. 13点満点です。手段的自立5点、知的能動性4点、社会的役割4点の3領域で構成されます。

Q2. 自記が難しい場合は設問を読み上げてもよいですか?

A. 自記が難しい場合は、公式の設問を中立的に読み上げて本人の回答を確認します。答えを誘導する説明や独自の言い換えは避け、読み上げで実施したことを記録してください。

Q3. 家族が代行している項目は何点にしますか?

A. 家族代行の有無だけで独自に点数を決めず、公式質問票の設問と回答方法に従います。代行の内容や本人が担っている部分は、結果を解釈するための補足情報として記録します。

Q4. 入院中は退院後の生活を想定して採点してよいですか?

A. 退院後の予測は支援計画には使えますが、実際の回答結果と混ぜて正式得点にはしません。現在または発症前など、どの時点の生活について回答したかを明記します。

Q5. 再評価で1点変化したら改善・悪化と判断できますか?

A. 領域によって扱いが異なります。状態が安定した地域在住高齢者の研究では、手段的自立は1点変化でも無視すべきでないとされています。一方、合計点・知的能動性・社会的役割は1点変化が測定上の揺れである可能性があります。いずれも一律の判定基準にはせず、変化した項目、評価条件、生活環境を併せて確認してください。

Q6. 得点が低い領域にはどのように対応しますか?

A. 得点の低い領域をそのまま反復練習するのではなく、身体・認知・感覚機能、実施機会、生活環境、家族の代行、本人の希望を確認します。そのうえで追加評価を行い、練習、代償手段、環境調整、多職種連携を組み合わせます。

Q7. TMIG-ICとJST-ICは同じ尺度ですか?

A. 別の尺度です。TMIG-ICは13項目・3領域で構成されます。JST-ICは16項目・4領域で構成される別の活動能力指標です。

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参考文献

  1. Koyano W, Shibata H, Nakazato K, Haga H, Suyama Y. Measurement of competence: reliability and validity of the TMIG Index of Competence. Arch Gerontol Geriatr. 1991;13(2):103-116. doi:10.1016/0167-4943(91)90053-S
  2. Koyano W, Hashimoto M, Fukawa T, Shibata H, Gunji A. Functional capacity of the elderly: measurement by the TMIG Index of Competence. Jpn J Public Health. 1993;40(6):468-474. PubMed
  3. Tomioka K, Kurumatani N, Hosoi H. Social participation and the prevention of decline in effectance among community-dwelling elderly: a population-based cohort study. PLoS One. 2016;11(10):e0165103. doi:10.1371/journal.pone.0165103PMC
  4. Fujiwara Y, Shinkai S, Amano H, et al. Test-retest variation in the Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology Index of Competence in community-dwelling older people independent in daily living toward individual assessment of functional capacity. Jpn J Public Health. 2003;50(4):360-367. 本文

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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