いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!
この記事は「老研式活動能力指標」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。
IADLを評価する老研式活動能力指標は、地域に住む高齢者の生活能力を測定することを目的に作成されました。IADL評価の中でも、より高次となる生活行為に対する質問が組み込まれている印象はありますが、「はい」「いいえ」の2択で回答してもらう合計13点満点の評価となっているため、採点自体は容易といえると思います。
明日からにでも、老研式活動能力指標が臨床で使用することができるように、こちらの記事でまとめさせて頂きます!
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。
理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです
登録理学療法士
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
【リハビリテーション専門職の転職サイト】
医療従事者となる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーション専門職は超高齢社会を突き進む本邦において必要不可欠な職種になります。
実際に近年では、理学療法士は 10,000 ~ 11,000 人程度、作業療法士は 4,000 ~ 5,000 人程度、言語聴覚士は 1,600 ~ 1,800 人程度、国家試験に合格しており、順調に有資格者数が増え続けています。
このように世の中から必要とされている反面、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の給与は他業界と比較して恵まれてるとはいえません。「賃金構造基本統計調査」から他業界と比較してみても2022 年度のリハビリテーション専門職の初任給平均額は 239,100 円となっており、満足できるものではありません。
また、給与の問題もありながら、リハビリテーション専門職は業界特有の激しい人間関係という荒波に揉まれながら業務にあたることになります。この人間関係で辛い思いをする人はかなり多いと考えられます。
このように、給与や人間関係、また福利厚生などを含めた恵まれた労働環境で働くためには転職が必要になることもあります。1 年目、すなわち始めての職場が恵まれた環境であればいうことありませんが、必ずしもそう上手くはいきません。
最近では転職サイトにも様々な種類のものがあり、どの転職エージェントを選択するか迷うと思います。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士におすすめしたい転職サイトは、他の記事で詳しくまとめています!《【理学療法士転職サイトランキング】おすすめ5選|リハビリ職の転職》こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️
IADL(手段的日常生活動作)とは
IADL は「Instrumental Activities of Daily Living」の略で、日本語では「手段的 ADL」もしくは「手段的日常生活動作」と呼ばれています。
ADL は日常生活の「基本的な動作」であるのに対し、IADL は ADL よりも複雑な動作と判断が求められる「応用的な動作」のことを意味しています。
リハビリテーションを実施して在宅復帰を果たすためには、ADL 能力の向上であったり、機能の再獲得が一般的に必要になります。
ADL が生活に重要なものであることは間違いありませんが、生活における最低限の動作能力に過ぎず、それだけでは生活を安全に快適に送ることはできないこともあります。
そのためリハビリテーション専門職は、ADL だけでなく「生活に関連する動作」や、趣味や生活様式などといった患者の特徴を加味したうえで、リハビリテーションを進めていく必要があります。
IADL評価尺度の種類
手段的日常生活動作(IADL)の評価尺度は今日までにさまざまな指標が開発されています。代表的なものについて、いくつかご紹介します。
- Lawton(ロートン)の尺度
- 老研式活動能力指標
- JST 版活動能力指標
- DASC-21
- Frenchay Activities Index(FAI)
本邦では上記の 5 種類の IADL 評価法が一般的に使用されています。こちらの記事では「老研式活動能力指標」について詳しく解説していきます。
老健式活動能力指標とは
日本では昔、高齢者の健康は疾病の有無ではなく、生活機能の自立の程度で評価するべきと考えられていました。その後しばらく経ち、地域に暮らす高齢者に対して、より高次の生活機能を評価できる指標が必要だと考えられました。
その中で東京都老人総合研究所によって開発されたのが、『老研式活動能力指標』です。
主に、地域に暮らす高齢者の生活機能を測定する際に用いられます。
老研式活動能力指標 評価項目
IADL を評価する老研式活動能力指標は、地域に住む高齢者の生活能力を測定することを目的にしています。
質問は全 13 項目から構成されていますが、その内容は「手段的自立」「知的能動性」「社会的役割」の 3 つの領域に分類されています。
退職後の高齢者を想定していることから「仕事・生産活動」の項目はありません。
手段的自立
- バスや電車を使って一人で外出ができますか
- 日用品の買い物ができますか
- 自分で食事の用意ができますか
- 請求書の支払ができますか
- 銀行預金、郵便貯金の出し入れが自分でできますか
知的能動性
- 年金などの書類が書けますか
- 新聞などを読んでいますか
- 本や雑誌を読んでいますか
- 健康についての記事や番組に関心がありますか
社会的役割
- 友達の家を訪ねることがありますか
- 家族や友達の相談にのることがありますか
- 病人を見舞うことができますか
- 若い人に自分から話しかけることがありますか
老研式活動能力指標 評価方法
全 13 項目について「はい」または「いいえ」で回答してもらい、「はい」は 1 点、「いいえ」は 0 点で得点化して合計点を算出します。
「はい」の項目が多いほど、活動能力(IADL 能力)が高いことを示します。
また、老研式活動能力指標では「手段的自立」「知的能動性」「社会的役割」の 3 つのカテゴリーを個別に使用することもできます。
この指標の妥当性は十分に検証されており、地域や高齢者住宅に住む高齢者の活動能力測定に広く使用されています。
老研式活動能力指標 評価用紙
老研式活動能力指標の評価用紙は以下の通りになります。
評価表をダウンロードはこちらからどうぞ☺
基準値、カットオフ値
老研式活動能力指標を使用した先行研究では以下のような報告があります。
65 歳以上の高齢者を対象にしたデータとなっており、高齢になるほど得点が低下することがわかります。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では「老研式活動能力指標」をキーワードに解説させて頂きました。
こちらの記事を読むことで老研式活動能力指標についての理解が深まり、臨床における IADL 評価の一助へとなれば幸いです。
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参考文献
- 平瀬達哉,井口茂,塩塚順,中原和美,松坂誠應.高齢者におけるバランス能力と下肢筋力との関連性について ─性差・年齢・老研式活動能力指標別での検討─.理学療法科学 .2008,23(5),p641–646.
- 鈴木直子,牧上久仁子,後藤あや,横川博英,安村誠司.地域在住高齢者のIADLの「実行状況」と「能力」による評価の検討-基本チェックリストと老研式活動能力指標から-.日本老年医学会雑誌.2007年,44巻,5号,p619-626.
- 吉田史郎,白濱正博.IADL.整形外科看護.20(10),p956-957,2015.