抹消課題(USN)のやり方と判定
抹消課題は USN(半側空間無視)のスクリーニングで最初に行いやすいテストです。左右の見落とし数・探索開始側・所要時間を標準化して記録し、同一レイアウトの用紙で再評価まで一貫させましょう。運用導線の整備は キャリア相談の流れ も参考に。
やり方(2–3 分)
- 用紙/環境:机上に A4(横)を中央配置。視距離 約 35–40 cm、姿勢は正面。
- 教示(統一):「指定マーク(例:◯)だけを、できるだけ早く、すべて消してください。」
- 実施:練習なしで本番。必要なら試行前に視力/上肢操作の可否を確認(所見に併記)。
- 計時:開始〜終了まで秒で計測(ストップウォッチ)。
- 終了判定:本人が「終わり」と申告、または 3 秒以上探索停止で終了。
判定の指標(最小 3 点)
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| 指標 | 目的 | 測り方/記録 | 所見例 | 注意 |
|---|---|---|---|---|
| 左右見落とし数 | 無視の空間偏りを把握 | 左/右エリアで正解数と見落とし数をカウント | 左見落とし 8 / 40 | 配置は固定(列/行ずらし禁止) |
| 探索開始側 | 探索の初期バイアス | 最初にチェックした側(左/右)を記録 | 開始=右 | 教示で開始位置を誘導しない |
| 所要時間 | 速度と探索の効率 | 開始〜終了(秒) | 120 秒 | 中断は別途メモ |
| 誤反応/訂正 | 注意の質 | 誤抹消、二度塗り、迷い線の有無 | 誤反応 2 回 | 視力/上肢失調の影響を併記 |
品質管理(落とし穴と対策)
- レイアウト固定:同じ用紙・同じ配置・同じ記号密度で再評価。
- 教示の一貫性:文言を固定(早く/正確にの両方を含める)。
- 学習効果:短期間の反復では別レイアウトを用意するか、再評価間隔を空ける。
- 併存の影響:視力低下・上肢運動失調・理解困難は所見へ明記(解釈に注意)。
判定・記録の型(コピペ可)
| 項目 | 所見例 |
|---|---|
| 見落とし数 | 左 8 / 右 1(総 40) |
| 探索開始側 | 右から開始、右→中央→左の順 |
| 所要時間 | 120 秒(途中中断なし) |
| 誤反応/訂正 | 誤抹消 2、二度塗り 1 |
| まとめ | 左側見落としが目立ち USN を示唆。線分二等分/二重同時刺激でも左偏りを確認予定。 |
次の一手(臨床の運用)
- 追加評価:線分二等分・二重同時刺激・時計描画へ展開(課題横断の一貫性を確認)。
- 訓練計画:左側探索の系統練習、視覚フィードバック、転倒/ADL への安全配慮。
- 共有:カンファ用に「所見テンプレ+用紙の現物」を添付すると伝わりやすい。

