- KOOS 評価|採点・解釈・欠損ルールを迷わず回す
- KOOS で何がわかるか: 5 下位尺度を “別々に” 読む
- いつ使う?: KOOS が向く場面と “外す” 判断
- 採点の手順:欠損 50% ルールと 0–100 変換を固定
- 解釈のコツ:数字を “判断” に変える読み方
- 日本語版で運用するときのコツ:版と説明を固定する
- KOOS 記録シート PDF
- 現場の詰まりどころ:よくある失敗を先に潰す
- 記録と共有の型:比較できる “ 4 点セット” を残す
- WOMAC / LEFS と使い分け:迷いを表で終わらせる
- よくある質問(FAQ)
- 回避の手順(チェック):同じ条件で “比較できる” 状態にする
- 次の一手:全体像に戻る → 短縮版との違いを整理する
- 参考文献
- 著者情報
KOOS 評価|採点・解釈・欠損ルールを迷わず回す
KOOS( Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score )は、膝の痛み・症状・日常生活・スポーツ動作・ QOL を 5 つの下位尺度で別々に追える膝特異的 PROM です。ACL / 半月板などの外傷から変形性膝関節症まで幅広く使えますが、現場で迷いやすいのは「欠損の扱い」「 0–100 の向き」「合計点を作るか」「 Sport/Rec をいつ報告するか」です。この記事では、そこだけを最短で整理して、採点から記録まで同じ型で回せる状態を目指します。
このページで答えるのは、フル版 KOOS を「採点 → 解釈 → 記録」まで迷わず運用する方法です。設問文の全文、日本語票そのものの配布、 KOOS-JR / KOOS-12 の詳しい比較は広げすぎず、必要な場所は親ハブや兄弟記事へ分けます。
同ジャンルをまとめて整える:運動器 PROM は「選び方(親)」→「各スケール運用(子)」でそろえると、再評価と回遊が安定します。
KOOS で何がわかるか: 5 下位尺度を “別々に” 読む
KOOS の強みは、「膝の調子」を 1 本の合計点に丸めず、どの領域が詰まっているかを下位尺度ごとに分けて見られることです。痛みだけでなく、腫脹や引っかかり感などの症状、生活動作、スポーツ動作、膝関連 QOL を分けて追えるので、介入の打ち手が決めやすくなります。
特に便利なのは、痛みは改善したのに ADL や QOL が戻らないといったズレを見つけやすい点です。フル版 KOOS は 5 下位尺度を別々に扱う設計なので、まずは「どこが残っているか」を 5 本のプロファイルで整理します。
スマホでは表を横スクロールできます。
| 下位尺度 | 臨床で拾えること | 使いどころ |
|---|---|---|
| Pain | 荷重・動作・日内変動を含む “痛みの負担” | 主訴の変化、負荷調整や鎮痛の効果確認 |
| Symptoms | 腫れ、引っかかり、可動域感など “症状の質” | 腫脹や機械的症状の経過整理 |
| ADL | 階段、立ち座りなど “日常生活の機能” | 生活再建、通勤・家事の回復確認 |
| Sport/Rec | 走る・跳ぶなど “高負荷動作の機能” | 復帰期、活動量の高い症例の評価 |
| QOL | 膝に関連する不安・自信・生活の質 | 満足度の差、継続課題の見える化 |
いつ使う?: KOOS が向く場面と “外す” 判断
KOOS は ACL / 半月板損傷などの外傷から、膝 OA、術前後、復帰期まで使いやすい尺度です。膝の症状を多面的に見たい、日常生活だけでなく Sport/Rec や QOL まで拾いたい、という場面では特に向いています。
一方で、術後早期などで Sport/Rec が現実的でない時期は、その下位尺度を無理に混ぜない方が読みやすくなります。 KOOS は下位尺度ごとに独立して報告できるため、「全部そろわないと使えない」と考えない方が実務では止まりにくいです。
- 向く:外傷、膝 OA、術前後、復帰期、 QOL まで見たい症例
- 迷ったら:日常中心なら Pain + ADL、活動復帰なら Sport/Rec + QOL を重視
- 外す判断:時期や病期に合わない下位尺度は無理に混ぜず、報告する尺度を固定する
採点の手順:欠損 50% ルールと 0–100 変換を固定
KOOS は各項目を 0–4( 0=問題なし、 4=極めて問題が大きい)で数値化し、下位尺度ごとに平均を出して 0–100 に変換します。ここでいちばん詰まりやすいのが欠損です。運用は「各下位尺度で 50% 以上回答があるか」を先に確認するだけでかなり安定します。
向きは 100=問題なし、 0=極めて問題が大きい で統一です。採点シートやカルテの見出しにも「高いほど良い」と明記しておくと、共有時の取り違えを防ぎやすくなります。
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| 下位尺度 | 最小回答数 | 現場メモ |
|---|---|---|
| Pain | 5 項目以上 | 50% 未満なら算出しない |
| Symptoms | 4 項目以上 | 2 つチェックなら重い方を採用 |
| ADL | 9 項目以上 | 記入漏れが出やすいので回収時に確認 |
| Sport/Rec | 3 項目以上 | 術後早期など不適な時期は無理に混ぜない |
| QOL | 2 項目以上 | 痛み改善後に残る困り感の把握に有用 |
採点 5 ステップ(運用の型)
- 各項目を 0–4 で数値化する
- 下位尺度ごとに回答数を確認する( 50% 以上か)
- 各下位尺度の平均を計算する
- 平均 ÷ 4 × 100 を算出する
- 100 −(平均 ÷ 4 × 100 )=下位尺度スコアとして記録する
採点の公式と欠損ルールは、 KOOS の scoring 資料に準拠します。詳細を確認したい場合は公式の scoring 資料と user guide を参照してください。
解釈のコツ:数字を “判断” に変える読み方
KOOS は、まず どの下位尺度が低いかを見て、次に 前回からどこが動いたかを見ます。合計点を 1 本にすると、 ADL は改善しているのに QOL が残る、症状は軽いのに Sport/Rec が戻らない、といった重要なズレが見えにくくなります。
したがって、解釈の主役は 5 本のプロファイルです。閾値や MCID / PASS は参考になりますが、まずは同一患者を同じ条件で縦に追い、どの領域が改善し、どこが残ったかを説明できる形にする方が臨床では使いやすいです。
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| 優先順位 | 何を見るか | 実務での意味 |
|---|---|---|
| 1 | 同一患者の縦比較 | 前回より何が改善 / 残存したかを把握する |
| 2 | 下位尺度どうしのズレ | 痛みと ADL、 ADL と QOL の不一致を拾う |
| 3 | 外部の閾値や参考値 | 患者説明の補助線として使う |
PASS / MCID の扱い: “補助線” として使う
PASS や MCID は便利ですが、母集団・時期・術式で動くため、どの症例にも同じ数字を当てる使い方はおすすめしません。たとえば TKA 後の PASS は報告がありますが、このページでは「その閾値を暗記すること」よりも、同条件での縦比較を優先します。
実務では、必要なときだけ参考値を添える運用で十分です。まずは「今回はどの下位尺度を報告するか」「前回と条件がそろっているか」を固定しておく方が、説明のブレが小さくなります。
日本語版で運用するときのコツ:版と説明を固定する
KOOS は、ここ 1 週間の膝の状態を答える前提で作られています。したがって、日本語版を使うときも、毎回の説明文や記入タイミングを変えないことが大切です。ここがズレると、同じ患者でも前後差の意味がぶれやすくなります。
現場では、「ここ 1 週間で最も近い状態を 1 つ選んでください」と案内を固定し、記入時点も初回・術後 6 週・ 3 か月などあらかじめ決めておくと運用しやすくなります。日本語版の妥当性は報告されているので、版を固定して継続運用する考え方が現実的です。
KOOS 記録シート PDF
採点や解釈のルールが決まっても、記録の書式が毎回ぶれると比較しにくくなります。下の A4 記録シートは、患者情報 → 固定条件 → 採点記録 → 再評価メモの順で 1 枚にまとめた実務向けの型です。
まずは PDF を開いて全体を確認し、必要なら印刷して運用に合わせて使ってください。プレビューは折りたたみで表示できます。
プレビューを表示する
現場の詰まりどころ:よくある失敗を先に潰す
ここは “読ませるゾーン” として、まずは迷子を防ぎます。必要な場所だけに戻れるよう、ページ内導線を先に置きます。
よくある失敗( OK / NG 早見)
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| NG(起きがち) | なぜ問題? | OK(回避策) | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 合計点を作って 1 本化する | どこが詰まっているかが消える | 5 下位尺度を別々に報告する | プロファイルで示す |
| 0–100 の向きを逆に読む | 改善が悪化に見える | 100=問題なしで統一する | 表題に「高いほど良い」と書く |
| 欠損が多いのに算出する | 信頼性が落ちる | 50% 以上回答した尺度だけ算出する | 回答数チェックを残す |
| 術後早期に Sport/Rec を混ぜる | 時期に合わない尺度で解釈が歪む | 時点ごとに報告尺度を固定する | 「今回の報告尺度」を明記する |
| 毎回説明文を変える | 前後差の意味がずれる | 想起期間と案内文を固定する | 記入条件を 1 行残す |
記録と共有の型:比較できる “ 4 点セット” を残す
KOOS は数値だけ残すと、次回に比較できなくなります。最低限、①時点 ②報告した下位尺度 ③条件 ④一言解釈の 4 点セットを同じ順番で残すと、チーム共有がかなりラクになります。
特に重要なのは「今回なぜその下位尺度を報告したか」がわかることです。術後早期に Sport/Rec を外したのか、あえて QOL を重視したのかが見えるだけで、次の担当者の迷いが減ります。
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| 項目 | 残す内容 | 記載例 |
|---|---|---|
| 時点 | いつ測ったか | 術後 6 週、外来初回、 3 か月再評価 |
| 報告尺度 | 今回出した下位尺度 | Pain / Symptoms / ADL / QOL |
| 条件 | 前後比較に必要な前提 | 装具あり、鎮痛変更なし、杖なし |
| 一言解釈 | 次の打ち手につながる要約 | ADL 改善、 QOL は残存。階段と不安感が課題 |
WOMAC / LEFS と使い分け:迷いを表で終わらせる
膝の PROM は「どれが正解か」ではなく、誰に・何を・どれだけの負担で追うかで決まります。 KOOS は膝の症状を多面的に見たいときに強く、 WOMAC は OA を短く回したいとき、 LEFS は膝以外も含めた下肢機能を横断で見たいときに使いやすいです。
ここでは細かい比較を広げすぎず、まずは「膝を詳しく見るか」「 OA を短く回すか」「下肢全体を横断で見るか」で整理しておくと迷いにくくなります。
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| 項目 | KOOS | WOMAC | LEFS |
|---|---|---|---|
| 得意領域 | 外傷〜 OA、 Sport/Rec と QOL まで拾える | OA の痛み・こわばり・機能を短く追いやすい | 下肢全体の活動制限を横断で追いやすい |
| 読みの主役 | 5 下位尺度のプロファイル | 痛み・こわばり・機能の全体像 | 機能の総量 |
| 迷ったら | 膝を多面的に詳しく見たい | 膝 OA を短時間で回したい | 膝以外も絡む |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. KOOS は 0–100 点で、どっちが良いスコアですか?
A. 100 が “問題なし”、 0 が “極めて問題が大きい” です。各下位尺度でこの向きにそろいます。
Q2. 未回答があるとき、どこまでなら算出できますか?
A. 各下位尺度で 50% 以上回答があれば算出できます。 50% を超えて欠損がある尺度は算出せず、出せる尺度だけを報告します。
Q3. KOOS は合計点を作って共有してもいいですか?
A. おすすめしません。フル版 KOOS の強みは、 5 下位尺度を別々に見て “どこが残っているか” を拾えることです。共有もプロファイルで行う方が打ち手につながります。
Q4. 術後早期に Sport/Rec を入れるべきですか?
A. 現実的でない時期は無理に混ぜず、他の尺度だけを報告して構いません。時点ごとに “今回の報告尺度” を決めておく方が解釈が安定します。
Q5. KOOS-JR や KOOS-12 の方が向くことはありますか?
A. あります。短く回したい、 TKA 術前後で単一スコアをそろえたい、という目的なら短縮版が向くことがあります。詳しい違いは KOOS・KOOS-JR・KOOS-12 の比較記事 で整理しています。
回避の手順(チェック):同じ条件で “比較できる” 状態にする
- 回収時に欠損を確認する(各尺度 50% 以上回答か)
- 今回報告する下位尺度を時点で固定する
- 0–100 の向きを明記する(高いほど良い)
- 想起期間と説明文を固定する
- 条件と一言解釈を 1 行で残す
- 次回も同条件で再測定し、プロファイルで差を共有する
次の一手:全体像に戻る → 短縮版との違いを整理する
- 全体像に戻る:運動器 PROM ハブで選び方を整理する
- 次に比較する:KOOS・KOOS-JR・KOOS-12 の違いを確認する
参考文献
- Roos EM, Lohmander LS. The Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score ( KOOS ): from joint injury to osteoarthritis. Health Qual Life Outcomes. 2003;1:64. PubMed / DOI:10.1186/1477-7525-1-64
- KOOS Scoring 2012. August 2012. PDF
- KOOS User’s Guide 2.0. Updated January 2025. PDF
- Nakamura N, Takeuchi R, Sawaguchi T, Ishikawa H, Saito T, Goldhahn S. Cross-cultural adaptation and validation of the Japanese Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score ( KOOS ). J Orthop Sci. 2011;16(5):516-523. PubMed / DOI:10.1007/s00776-011-0112-9
- Connelly JW, Galea VP, Rojanasopondist P, Matuszak SJ, Ingelsrud LH, Nielsen CS, et al. Patient Acceptable Symptom State at 1 and 3 Years After Total Knee Arthroplasty: Thresholds for the Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score ( KOOS ). J Bone Joint Surg Am. 2019;101(11):995-1003. PubMed / DOI:10.2106/JBJS.18.00233
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


