HOOSの評価方法|採点・欠測・記録シートPDF

評価
記事内に広告が含まれています。

HOOS の評価方法|まず採点・欠測・版の違いを押さえる

HOOS(Hip disability and Osteoarthritis Outcome Score)は、股関節の痛み・症状・日常生活・スポーツ/レクリエーション・股関節関連 QOL を患者さん自身の回答で評価する PROM です。原版 HOOS は5つの下位尺度をそれぞれ0〜100点で算出し、100点ほど問題が少ない方向で読みます。

この記事では、療法士が迷いやすい採点式、欠測時の最小回答数、原版/HOOS-12/HOOS, JR の違いを中心に整理します。設問全文は転載せず、正式な質問票とは別に、採点結果・実施条件・再評価内容を整理できるA4記録・採点補助シートのExcel原本とPDF版も掲載しています。

HOOS の採点方法|0〜4の回答を下位尺度ごとに0〜100へ換算する

原版 HOOS の採点で最も重要なのは、5つの下位尺度を別々に計算することです。各設問は0〜4で回答し、各下位尺度の回答平均を使って0〜100へ換算します。原版 HOOS では、40項目をまとめた単純な合計点は作りません。

原版 HOOS の計算式

下位尺度スコア = 100 −(回答済み項目の平均 ÷ 4 × 100)

HOOSの採点方法を回答確認、欠測確認、0〜100点への換算の3ステップで示した図版
原版 HOOS は、回答と欠測を確認してから5下位尺度をそれぞれ0〜100点へ換算します。

たとえば、ある下位尺度の回答平均が1.2だった場合は、100 −(1.2 ÷ 4 × 100)=70となり、その下位尺度は70点です。回答値は大きいほど問題が強い方向ですが、換算後の HOOS スコアは反対で、100点=問題なし側、0点=最も問題が大きい側になります。

原版 HOOS の下位尺度・項目数・欠測時の最小回答数
下位尺度 項目数 計算に必要な最小回答数 主に捉える領域
Pain 10 5 股関節に関連する痛み
Symptoms 5 3 その他の股関節症状
ADL 17 9 日常生活での機能
Sport/Rec 4 2 スポーツ・レクリエーション機能
QOL 4 2 股関節関連 QOL

原版 HOOS の欠測処理では、各下位尺度の50%以上に回答があれば、回答済み項目の平均を使ってその下位尺度を算出できます。必要回答数に届かない下位尺度は算出しません。

一方で、1つの下位尺度が算出できないからといって、他の下位尺度まで無効になるわけではありません。たとえば Sport/Rec の回答が不足していても、必要回答数を満たしている Pain や ADL などは個別に報告できます。

HOOS の評価手順|原版は「過去1週間」を患者本人が回答する

原版 HOOS は、過去1週間の股関節の状態を想起して回答する患者報告アウトカムです。公式 User’s Guide では patient-administered とされているため、基本は正式な質問票を患者本人が回答します。

  1. 使用する版を決める:原版 HOOS、HOOS-12、HOOS, JR のどれを使うかを先に固定します。
  2. 正式な質問票で回答してもらう:原版では過去1週間を対象として患者本人が回答します。
  3. 欠測を確認する:原版では各下位尺度が必要回答数を満たしているか確認します。
  4. 下位尺度ごとに採点する:原版では5下位尺度をそれぞれ0〜100へ換算します。
  5. 実施条件と結果を記録する:使用した版、評価日、補助の有無、各下位尺度、欠測状況を残します。

視覚・上肢機能・理解面などの理由で回答時に補助が必要だった場合は、担当者が独自に回答内容を置き換えるのではなく、どのような補助を行ったかを実施条件として記録しておくと、次回との比較条件を確認しやすくなります。

HOOS の質問票を使用するときは利用条件も確認します

HOOS/HOOS-12 は著作権で保護された尺度です。実際に使用するときは、公式配布元や日本語版提供元で最新の利用条件を確認してください。本記事では設問全文や正式な質問票そのものは掲載していません。

原版 HOOS・HOOS-12・HOOS, JR の違い|計算法まで同じではない

HOOS-12 と HOOS, JR は、単純に「原版の項目数を減らしただけ」と考えないことが重要です。算出する尺度とスコアリング方法が異なるため、原版の計算式をそのまま流用しません。

原版 HOOS・HOOS-12・HOOS, JR の違い
指標 項目数 算出するスコア 採点上のポイント
原版 HOOS 40 5下位尺度 各下位尺度を独立して0〜100へ換算する
HOOS-12 12 Pain / Function / QOL + Summary hip impact 各尺度4項目。欠測時は HOOS-12 専用の処理を用いる
HOOS, JR 6 1つの interval score raw sum 0〜24を専用換算表で0〜100へ変換する

HOOS-12 は、Pain 4項目、Function 4項目、QOL 4項目から構成され、それぞれの尺度に加えて3尺度の平均による Summary hip impact score を算出できます。各尺度は少なくとも2項目の回答が必要で、欠測項目については専用のスコアリング処理が用いられます。

HOOS, JR は6項目の回答を合計した0〜24の raw score を、専用表で0〜100の interval score へ変換します。こちらも100が良好な方向です。

したがって、同じ患者さんを経時的に追う場合は、原則として最初に選んだ版を継続し、異なる版の数値を単純に同じ尺度として比較しない方が解釈しやすくなります。

HOOS の点数の読み方|低い下位尺度は「原因」ではなく確認すべき領域を示す

原版 HOOS は、5下位尺度の中でどこに問題が残っているかをプロフィールとして見ると使いやすい尺度です。Pain が改善しても ADL が低い、ADL は改善しても Sport/Rec や QOL が残る、といった違いを確認できます。

ただし、HOOS の低得点だけから「筋力低下が原因」「可動域制限が原因」と決めることはできません。PROM が示すのは患者さんが感じている問題の領域です。その理由を考えるときは、問診や身体機能評価と組み合わせます。

HOOS の下位尺度から次に確認する内容
下位尺度 スコアが低いときに分かること 追加で確認する例
Pain 痛みに関する問題が残っている 疼痛部位、誘発動作、荷重との関係、夜間症状
Symptoms 痛み以外の股関節症状が残っている 可動域、動作時症状、症状が出る条件
ADL 日常生活機能の制限が残っている 実際に困っている生活動作、動作方法、環境条件
Sport/Rec より高い活動レベルの制限が残っている 本人が戻りたい活動、負荷量、必要な身体機能
QOL 股関節の問題による生活への影響が残っている 目標、満足度、不安、活動参加への影響

HOOS の記録方法|版・欠測・5下位尺度を残す

カルテには点数だけでなく、どの版を、どの条件で実施し、どの下位尺度が算出できたかを残します。再評価で数値が変わったときに、患者さんの変化なのか実施条件の違いなのかを確認しやすくなります。

HOOS の記録で最低限残したい項目
項目 記録する内容 記載例
使用した版 原版 / HOOS-12 / HOOS, JR 原版 HOOS
実施条件 評価日、想起期間、補助の有無 過去1週間・本人回答・補助なし
スコア 原版では5下位尺度を別々に記録 Pain 70 / Symptoms 65 / ADL 60 / Sport/Rec 40 / QOL 50
欠測 未回答数と算出可否 Sport/Rec:未回答3項目のため算出せず
次に確認すること 低い領域に対応する評価・生活課題 Sport/Rec低値のため復帰希望活動と負荷耐容能を確認

HOOS だけでは原因となる身体機能は分からないため、必要に応じて ROM、筋力、歩行、立ち上がりなど目的に合う客観評価を組み合わせます。股関節の身体所見を整理したい場合は、股関節の整形外科テスト一覧も参考にしてください。

HOOS でよくある失敗|合計点・欠測・版の混同に注意する

HOOS の運用で特に避けたいのは、原版を1つの合計点にすること、欠測があるだけで全体を無効にすること、短縮版へ原版の採点法を流用することです。

HOOS の採点・運用で起こりやすいミス
ミス 問題点 確認すること
原版40項目を1つの合計点にする 下位尺度ごとの違いが失われる 5下位尺度を独立して算出する
空欄があるだけで全体を無効にする 算出可能な下位尺度まで失う 下位尺度ごとの最小回答数を確認する
原版の式を HOOS-12 や HOOS, JR へ使う 異なるスコアリング法を混同する 使用した版の公式手順で採点する
低得点だけで原因を決める PROMから身体機能障害を直接推定してしまう 問診・身体機能・実際の活動と照合する

HOOS 記録・採点補助シート|Excel原本とA4 PDF

原版 HOOS の評価結果を記録しやすいように、5下位尺度、欠測時の最小回答数、実施条件、前回との変化、追加確認項目、次回評価を A4 1枚にまとめた記録・採点補助シートを作成しました。

Excel版では、回答数・回答平均・前回スコアを入力すると、今回のスコアや変化量、算出可否を整理できます。PDF版は、印刷して手書きで使用したい場合に利用できます。

この配布物について

本シートは HOOS の正式な質問票ではありません。正式な HOOS を実施した後に、採点結果・欠測・実施条件・再評価内容を整理するための rehabilikunblog オリジナル記録・採点補助シートです。実際の評価には、利用条件を確認したうえで正式な HOOS 質問票を使用してください。

HOOS 記録・採点補助シート Excel を開く

HOOS 記録・採点補助シート PDF を開く

PDFプレビューを開く

プレビューが表示されない場合は、こちらから PDF を開いてください

HOOS のよくある質問

採点や版の選択で迷いやすい点を整理します。

Q1. 原版 HOOS に合計点はありますか?

A. 原版 HOOS は、Pain / Symptoms / ADL / Sport/Rec / QOL の5下位尺度を独立して算出するのが基本です。40項目の raw score を1つに合計して HOOS 総得点として扱いません。なお、HOOS-12 には3尺度から算出する Summary hip impact score があり、原版とは構造が異なります。

Q2. HOOS に未回答があっても採点できますか?

A. 原版では採点できる場合があります。各下位尺度の50%以上が回答されていれば、回答済み項目の平均を用いて算出します。必要回答数は Pain 5、Symptoms 3、ADL 9、Sport/Rec 2、QOL 2です。条件を満たさない下位尺度だけを算出せず、条件を満たす他の下位尺度は報告できます。

Q3. HOOS-12 や HOOS, JR も原版と同じ式で計算できますか?

A. いいえ。HOOS-12 は Pain / Function / QOL と Summary hip impact score を算出し、欠測時にも専用の処理があります。HOOS, JR は6項目の raw sum を専用換算表で0〜100へ変換します。使用した版ごとの公式スコアリング手順を確認してください。

Q4. この記録・採点補助シートだけで HOOS を評価できますか?

A. できません。Excel・PDFともに、採点結果や実施条件を整理するための補助シートで、正式な HOOS 質問票ではありません。HOOS を実施するときは、公式・日本語版の利用条件を確認し、正式な質問票を使用してください。

次の一手


参考文献

  1. Nilsdotter AK, Lohmander LS, Klässbo M, Roos EM. Hip disability and osteoarthritis outcome score (HOOS): validity and responsiveness in total hip replacement. BMC Musculoskelet Disord. 2003;4:10. doi: 10.1186/1471-2474-4-10. PubMed: 12777182
  2. Roos EM. A User’s Guide to Hip disability and Osteoarthritis Outcome Score (HOOS). HOOS User’s Guide. User’s Guide
  3. Roos EM. Hip disability and Osteoarthritis Outcome Score (HOOS): Scoring instructions. June 2013. Scoring instructions
  4. Satoh M, Masuhara K, Goldhahn S, Kawaguchi T. Cross-cultural adaptation and validation reliability, validity of the Japanese version of the Hip disability and Osteoarthritis Outcome Score (HOOS) in patients with hip osteoarthritis. Osteoarthritis Cartilage. 2013;21(4):570-573. doi: 10.1016/j.joca.2013.01.015. PubMed: 23376014
  5. Gandek B, Roos EM, Franklin PD, Ware JE Jr. A 12-item short form of the Hip disability and Osteoarthritis Outcome Score (HOOS-12): tests of reliability, validity and responsiveness. Osteoarthritis Cartilage. 2019;27(5):754-761. doi: 10.1016/j.joca.2018.09.017. PubMed: 30419279
  6. HOOS-12 User Guide. PDF
  7. Lyman S, Lee YY, Franklin PD, Li W, Cross MB, Padgett DE. Validation of the HOOS, JR: a short-form hip replacement survey. Clin Orthop Relat Res. 2016;474(6):1472-1482. doi: 10.1007/s11999-016-4718-2. PubMed: 26926772
  8. Hospital for Special Surgery. HOOS, JR Scoring Instructions. English version 1.0. 2022. PDF
  9. KOOS/HOOS official website. Access to instruments and conditions of use. Official website
  10. 横浜市立大学 佐藤研究室. HOOS(Hip Disability and Osteoarthritis Outcome Score)日本語版. 日本語版案内

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のアイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール編集・引用ポリシーお問い合わせ