リハビリ実施計画書の監査対策 2026 年版|まず押さえる結論
リハビリ実施計画書の監査で差が出るのは、書式の多さではなく確認順の統一です。まずは「同意・署名」「目標の具体性」「介入との整合」「再評価」「日付整合」を固定順で確認するだけで、指摘されやすい不備を減らせます。
本記事は、2026 年運用を前提に、現場で詰まりやすい点を「失敗パターン」と「回避手順」に分けて整理しました。提出前の 10 分チェックに落とし込めるよう、表とFAQで実装しやすくまとめています。
現場の詰まりどころ
監査対応のつまずきは、知識不足よりも「チーム内で記録の型が揃っていない」ことが原因になりやすいです。担当者ごとに表現がズレると、同じ内容でも説明しづらくなります。
監査で見られる 5 つの観点
監査での確認は、優先順位を固定すると再現性が上がります。以下の 5 観点を毎回同じ順番で確認してください。
| 観点 | 確認ポイント | 指摘されやすい不備 | 修正の方向性 |
|---|---|---|---|
| 患者情報・同意 | 患者属性、説明、同意の記録 | 同意日・説明日の不整合、記載漏れ | 説明日・同意日・担当者を同じ形式で記録 |
| 目標設定 | 期限・条件・達成基準の明確化 | 抽象的な表現のみ | 期限・場面・判定基準を 1 文で明記 |
| 介入内容の整合 | 目標と介入の対応関係 | 目標と実施内容がつながらない | 目標ごとに対応する介入を対応付ける |
| 再評価・見直し | 再評価時点、結果、変更理由 | 再評価日の未記載、根拠不足 | 再評価日・結果・変更理由をセットで記録 |
| 署名・日付 | 職種、署名、日付の整合 | 日付逆転、署名漏れ | 提出前チェックで機械的に最終確認 |
よくある失敗( OK / NG 早見 )
監査での指摘は、表現の曖昧さで起きることが多いです。長文より「判断できる 1 文」を優先してください。
| 場面 | NG 例 | OK 例 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 目標 | 歩行能力を改善する | 2 週以内に見守りで 20 m 歩行を達成する | 期限・条件・基準が明確 |
| 再評価 | 状態を見て再評価 | 毎週金曜に再評価し、翌週計画を更新する | 時点と更新手順が明確 |
| 計画変更 | 必要に応じて変更 | 疼痛増悪時は負荷を 1 段階調整し翌日再判定 | 変更条件と判断基準が明確 |
監査前日〜当日の時系列フロー
前日に不備を潰し、当日は説明可能性を担保する流れが安定します。以下をチーム運用の基準にしてください。
| 時点 | やること | 確認項目 | 担当 | 完了基準 |
|---|---|---|---|---|
| 前日 午前 | 対象症例の抽出 | 提出対象・更新対象の洗い出し | 責任者 | 対象一覧が確定している |
| 前日 夕方 | 一次チェック | 同意・署名、目標具体性、再評価日 | 担当者 | 主要不備が修正済み |
| 当日 開始前 | 最終チェック | 日付整合、記載漏れ、目標と介入の整合 | 責任者+担当者 | 説明に使う記録が揃っている |
| 当日 監査中 | 説明・提示 | 根拠資料の提示順、変更理由の説明 | 責任者 | 質問に一貫して回答できる |
| 当日 監査後 | 振り返り | 指摘項目の記録、再発防止策 | チーム全体 | 次回チェック表に反映済み |
監査前 10 分のチェック手順
以下の 5 手順を固定すると、担当者が変わっても確認品質を揃えやすくなります。
- 同意・署名・患者情報の整合を確認する
- 目標文に期限・条件・達成基準があるか確認する
- 目標と介入内容の対応関係を確認する
- 再評価日・見直し条件・変更理由を確認する
- 提出直前に日付逆転・署名漏れを最終確認する
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
リハビリ実施計画書の監査では、どの項目から確認すべきですか?
最優先は「同意・署名」「目標の具体性」「再評価日」の 3 点です。まずこの 3 点を固定順で確認すると、指摘頻度が高い不備を短時間で減らせます。次に、目標と介入内容の整合を見て、最後に日付の逆転・漏れを確認してください。
実施計画書の目標記載は、どこまで具体的に書けばよいですか?
「いつまでに」「どの条件で」「何を達成するか」の 3 要素が入っていれば、監査で説明しやすくなります。例としては「2 週以内に見守りで 20 m 歩行」など、期限・条件・基準を 1 文で示す形が有効です。
監査で指摘されやすい“よくある不備”は何ですか?
抽象的な目標文、再評価時点の未記載、署名・同意の日付不整合が代表的です。担当者ごとの書き方の差が原因になりやすいため、提出前チェックの順番をチームで統一すると改善しやすいです。
リハビリ記録( SOAP )と実施計画書はどう連動させるべきですか?
計画書の目標ごとに、SOAP の O/P が追える状態にしておくのが基本です。監査では「目標に対して何を実施し、どう再評価したか」を一貫して示せるかが重要になります。
監査前日に最低限やるべきセルフチェックは何ですか?
前日は 10 分で、①同意・署名 ②目標文 ③再評価日 ④日付整合の順に確認するのが効率的です。チェック項目を固定すると、抜け漏れを個人依存にしにくくなります。
次の一手
- 運用を整える:2026 年改定リハ実務ハブ(全体像)
- 共有の型を作る:計画( P )記載テンプレート(すぐ実装)
教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- 厚生労働省・関連通知、施設基準通知、院内運用規程の最新版を用いて、施設内で確認・更新してください。
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


