リハ実施計画書は「期限→説明・保存→実施記録」の順に確認します
2026年6月1日以降のリハビリテーション実施計画書を確認するときは、署名欄から見るのではなく、①作成期限、②説明・交付・保存、③説明日・説明者、④計画内容、⑤実施記録の順に追うと整理しやすくなります。疾患別リハビリテーションでは、計画書はリハ開始後原則7日以内、遅くとも14日以内に作成し、作成時とその後原則3か月に1回以上、患者または家族等への説明・交付と写しの診療録添付が必要です。
この記事では、2026年度の公式ルールを先に整理したうえで、個別指導や院内の自主点検前に何を確認すればよいかを、実務で追いやすい順番にまとめます。
「監査対策」という表現について:この記事では検索時によく使われる「監査対策」を、自院での自主点検や個別指導前の書類確認を含む広い意味で使用しています。行政上の「指導」と「監査」は別の手続きであり、監査は不正または著しい不当が疑われる場合などに行われます。
2026年6月以降に最初に確認する5項目
最初に見るべきなのは、院内独自の書き方ではなく、診療報酬上の基本要件を満たしているかです。目標文の細かな表現を直す前に、作成期限、説明・交付・保存、説明者、計画内容、実施記録の順に確認します。
| 順番 | 確認すること | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 作成期限 | リハ開始後、原則7日以内・遅くとも14日以内に作成されているか |
| 2 | 説明・交付・保存 | 作成時と、その後原則3か月に1回以上、説明・交付し、写しを診療録に添付しているか |
| 3 | 説明日・説明者 | 計画書の写しで説明日・説明者を確認できるか。記載がなければ診療録に残っているか |
| 4 | 計画内容 | 患者の状態、目標、リハビリテーション実施方針・内容が確認できるか |
| 5 | 実施記録 | 機能訓練の内容の要点と、開始時刻・終了時刻が診療録等に記載されているか |

疾患別リハビリテーションの実施に当たっては、医師が定期的な機能検査等をもとに効果判定を行い、リハビリテーション実施計画書を作成することが基本です。まず公式要件を確認し、その後に患者ごとの目標や実施内容まで見ていくと、確認の優先順位がぶれにくくなります。
作成期限は「原則7日以内・遅くとも14日以内」です
疾患別リハビリテーションでは、別紙様式21またはこれに準じたリハビリテーション実施計画書を、リハビリテーション開始後原則として7日以内、遅くとも14日以内に作成する必要があります。
したがって、自主点検では計画書だけを見るのではなく、まずリハビリテーション開始日と計画書作成日を照合します。内容が十分に書かれていても、作成時期を追えなければ確認として不十分です。
| 確認する日付 | 見るポイント |
|---|---|
| リハ開始日 | 疾患別リハビリテーションを開始した日を確認する |
| 計画書作成日 | 開始後原則7日以内、遅くとも14日以内か確認する |
| 次回の説明・交付 | 特段の定めがある場合を除き、原則3か月に1回以上の運用になっているか確認する |
なお、標準的算定日数を超えて疾患別リハビリテーションを継続する場合などは、患者の条件によって計画書の作成頻度や必要な記載が異なる場合があります。すべての症例を「3か月に1回」だけで判断せず、該当する規定をあわせて確認してください。
署名・説明者・記録先で迷いやすい境界
2026年度改定で特に整理しておきたいのは、「患者等の署名が不要になったこと」と「説明や記録が不要になったこと」は別という点です。
患者・家族等の署名は不要です
2026年度から、リハビリテーション実施計画書では患者等の署名は不要とされています。そのため、自主点検で従来の署名欄だけを追い続ける必要はありません。
一方で、計画書の内容を患者または家族等へ説明して交付し、その写しを診療録へ添付する要件は残っています。したがって、2026年6月以降は「署名があるか」より「いつ・誰が説明し、交付・保存まで追えるか」を見ることが重要です。
PT・OT・ST等による説明は医師の指示が前提です
一般の病棟等では、2026年度から医師だけでなく、医師の指示を受けた看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が計画書を説明することも可能になりました。
疑義解釈では、計画書を作成した医師が他職種による説明が可能と判断した症例について、文書または口頭で指示することとされています。また、この指示自体については、必ずしも診療録への記載を要しないとされています。
ただし、回復期リハビリテーション病棟入院料または特定機能病院リハビリテーション病棟入院料を算定している場合は、医師による説明が必要です。「2026年からPTが説明できる」と一律に扱わず、患者が入院している病棟区分まで確認してください。
説明日・説明者は「写し→診療録」の順に確認します
リハビリテーション実施計画書の写しに説明日・説明者が記載されていれば、まずその写しで確認できます。写しに説明日・説明者の記載がない場合は、診療録への記載が必要です。
電子的に診療情報を記録・保存している場合についても、患者等へ交付したものと同じ内容の文書が電子媒体で保存され、説明日と説明者が記載されていればよいとする取扱いが示されています。
つまり、院内ルールを作るときは、記録を何重にも増やすより、「説明日・説明者をどこで確認できる運用にするか」を明確にしたほうが実務上は追いやすくなります。
説明日・説明者の記録先を具体的に整理したい場合は、リハ実施計画書の説明日・説明者の残し方で詳しく解説しています。
公式要件の次に「計画内容の整合」を確認します
作成期限や説明記録を満たしていても、計画書の内容が患者の状態や実際のリハビリテーションと大きくずれていれば、その後の経過を説明しにくくなります。ここでは、診療報酬上の一律の記載要件と、院内で記録品質をそろえるためのQCを分けて考えることが重要です。
| 観点 | 確認すること | 見直したい状態 |
|---|---|---|
| 患者の状態 | 計画書に記載された状態と現在の評価結果に大きなずれがないか | 状態が変化しているのに古い情報だけが残っている |
| 目標 | 患者ごとに目指す状態を読み取れるか | 「ADL改善」「歩行能力向上」など抽象的な表現だけで終わっている |
| 実施方針 | 目標とリハビリテーション実施方針の関係を説明できるか | 目標と実施方針が別々の内容になっている |
| 実施内容 | 実際に行っているPT・OT・STの内容と大きくずれていないか | 患者が変わっても同じ定型文だけが残っている |
| 見直し | 状態変化に応じて評価結果や計画の変更を追えるか | 目標や介入内容が変わった経緯を確認できない |
ここで挙げた「どこまで具体的に目標を書くか」「目標と実施内容をどの程度対応させるか」といった点は、すべてが全国共通の固定文言として定められているわけではありません。公式要件と、説明可能性を高めるための院内運用を混同しないようにしてください。
目標は再評価したときに変化を判断できる形へ寄せます
2026年度の別紙様式21では、今後の目標や退院時・終了時の目標を整理する構成になっています。
たとえば「歩行能力を改善する」だけでは、どこまで到達すれば目標を達成したのか判断しにくくなります。評価結果に応じて、「T字杖・見守りで病棟内20mを移動する」のように、再評価時に到達状態を比較できる情報を含めると、チーム内でも共有しやすくなります。
ただし、すべての目標へ「期限・距離・介助量」を必ず入れなければならないという意味ではありません。患者の課題と目標に応じて、達成状況を判断するために必要な情報を選びます。
実施記録では内容の要点と開始・終了時刻を確認します
疾患別リハビリテーションだけでなく、第7部リハビリテーションの通則では、すべての患者について機能訓練の内容の要点と実施時刻(開始時刻・終了時刻)を診療録等へ記載することが示されています。
自主点検では、計画書だけを確認して終わらず、実際のリハビリテーション記録までつなげて確認します。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 実施内容 | どのような機能訓練を行ったか、内容の要点を追えるか |
| 開始時刻 | 実際にリハビリテーションを開始した時刻が記載されているか |
| 終了時刻 | 実際に終了した時刻が記載されているか |
| 日付整合 | 計画書、実施記録、説明記録などの日付関係に矛盾がないか |
特に開始・終了時刻は、「20分実施」のような時間数だけで置き換えず、実施時刻として追える状態になっているかを確認します。
個別指導・自主点検前は5段階で確認します
最終確認では、文章表現を細かく直すところから始めるのではなく、公式要件から順に5段階で追うと抜けを見つけやすくなります。
-
リハ開始日と計画書作成日を照合する
原則7日以内、遅くとも14日以内に作成されているか確認します。 -
説明・交付・保存を確認する
作成時と、その後原則3か月に1回以上の説明・交付、写しの診療録添付を確認します。 -
説明日・説明者を確認する
計画書の写しで追えるか、記載がなければ診療録で追えるか確認します。患者等の署名は不要です。 -
計画内容と実際のリハを照合する
患者の状態、目標、実施方針・内容が現在のリハビリテーションと大きくずれていないか確認します。 -
実施記録を確認する
機能訓練の内容の要点、開始時刻・終了時刻、関連する日付の不整合がないか確認します。
この5段階で重要なのは、「記載を増やすこと」ではなく、「必要な事実を後から一貫して追えること」です。院内の自主点検では、担当者ごとに見る順番を変えるより、この確認順を共通化したほうが抜けを見つけやすくなります。
自主点検で止まりやすい4つのパターン
実際の点検では、一つひとつの文章が短いことよりも、必要な情報同士をつなげて確認できない状態が問題になります。
| 場面 | 見直したい状態 | 確認の方向性 |
|---|---|---|
| 作成期限 | 計画書だけを見てもリハ開始日との関係を確認していない | 開始日と作成日をセットで照合する |
| 説明記録 | 署名の有無だけを確認し、説明日・説明者を追えていない | 写し、必要時は診療録から説明日・説明者を確認する |
| 計画内容 | 目標や実施方針が患者の現在の状態とずれている | 評価結果、目標、実施内容の関係を確認する |
| 実施記録 | 実施時間数だけで、開始・終了時刻や内容の要点を追えない | 実施時刻と機能訓練の要点を確認する |
リハ実施計画書の監査・個別指導でよくある質問
2026年6月以降、患者・家族等の署名は必要ですか?
患者等の署名は不要です。ただし、計画書の説明・交付や写しの診療録添付まで不要になったわけではありません。自主点検では署名欄より、説明日・説明者、交付・保存を確認します。
PT・OT・STがリハ実施計画書を説明してもよいですか?
一般の病棟等では、計画書を作成した医師の指示を受けた看護師、PT、OT、STによる説明が可能です。医師の指示は文書または口頭で行うことができ、その指示自体について必ずしも診療録への記載は必要ありません。ただし、回復期リハビリテーション病棟入院料または特定機能病院リハビリテーション病棟入院料を算定している場合は、医師による説明が必要です。
リハ実施計画書はいつまでに作成しますか?
疾患別リハビリテーションでは、リハ開始後原則7日以内、遅くとも14日以内に作成します。また、作成時とその後原則3か月に1回以上、患者または家族等へ説明・交付し、写しを診療録へ添付します。ただし、特段の定めがある患者では別の頻度が必要になる場合があります。
写しに説明日・説明者が書かれていない場合はどうしますか?
計画書の写しに説明日・説明者の記載がない場合は、診療録へ記載します。院内では「写しで確認するのか、診療録で確認するのか」が担当者によって変わらないよう、記録先を明確にしておくと点検しやすくなります。
「監査」と「個別指導」は同じものですか?
同じではありません。個別指導は保険診療の質的向上と適正化を目的とする「指導」の一類型です。一方、行政上の監査は、診療内容や診療報酬請求について不正または著しい不当が疑われる場合などに行われます。本記事では検索上一般的に使われる「監査対策」という表現を、自主点検や個別指導前の書類確認を含む広い意味で使用しています。
次の一手
この記事では、リハ実施計画書を個別指導・自主点検前に確認する順番へ絞りました。2026年度の様式統合、署名欄廃止、説明者の変更、リハビリテーション総合計画評価料まで含めて制度全体を整理したい場合は、2026年度のリハ計画書簡素化と総合計画評価料の要点へ進んでください。
参考文献
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について. 2026.
- 厚生労働省. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について:医科診療報酬点数表に関する事項(令和8年7月30日訂正後). 2026.
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定 様式(医科)(令和8年6月19日訂正後). 2026.
- 厚生労働省. 疑義解釈資料の送付について(その2). 2026 Apr 1.
- 厚生労働省. 疑義解釈資料の送付について(その1). 2026 Mar 23.
- 厚生労働省. 保険診療における指導・監査.
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

