SOAPのOの書き方|客観的情報とS・Pの境界を例文で解説

制度・実務
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結論:SOAPのOには「確認できた事実」を書きます

SOAPのO(Objective)には、医療者が観察・測定・検査などで確認した事実を記載します。大切なのは、「数値だからO」と機械的に分けないことです。たとえば疼痛NRSやRPEは数値で表されますが、本人の自己評価であるため基本的にはS(Subjective)として整理します。

PT・OT・STの日々の記録でOが長くなる場合は、必要な事実を「客観指標・主要観察・安全所見/反応」の3枠で整理すると、A(解釈)とP(次の計画)へつなげやすくなります。ただし、この3枠はSOAPの公式基準ではなく、情報過多を避けるためのrehabilikunblog独自の実務上の整理方法です。必要な記録を3項目だけに制限するものではありません。

この記事のポイント

  • Oに入れる情報と、S・A・Pへ分ける情報の境界
  • 「数値=O」とは限らない理由
  • Oが長いときに使える3枠整理
  • 当日実施した介入と、次回の計画の分け方
  • PT・OT・STで使いやすいOの例文とOK/NG

まず迷わない:S・O・A・Pの境界

Oを書く前に、「誰から得た情報か」「確認した事実か」「医療者の解釈か」「これから行うことか」を分けると、SOAPの混在を防ぎやすくなります。

一般的なSOAPでは、Sは本人や家族などから得た主観的情報、Oは観察・測定・検査などで確認した客観的情報、AはSとOを踏まえた解釈、Pは今後の対応です。PTのSOAPについてAPTAは、客観的所見だけでなく、その日に実施した治療と患者の反応もOへ含めることを推奨しています。

※実際の記録区分は、職種、施設、電子カルテ、診療報酬・介護報酬上の運用などで異なる場合があります。所属施設で定められた記載ルールがある場合は、そちらを優先してください。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

S・O・A・Pの基本的な境界
区分 基本的に書くこと リハ記録の例
S 本人・家族などの訴え、感覚、自己評価 「歩くと怖い」、疼痛NRS、RPE、家族から得た生活状況
O 観察・測定・検査で確認した事実、当日の実施内容・反応 BP、SpO₂、TUG、ROM、介助量、観察した動作、介入中の反応
A SとOを踏まえた問題、解釈、優先度 方向転換時の不安定性が移動自立を制限していると判断
P これから行う介入、条件、確認、再評価 方向転換練習を継続、見守り条件を維持、次回TUGを再評価

図版で確認:SOAP全体の流れとOの整理ポイント

SOAPでは、Sで得た訴えに対して必要なOを確認し、Oを根拠にAで解釈し、その判断をPへつなげます。Oだけを独立して考えるのではなく、「この事実をAでどう使うか」を意識すると、残す情報を選びやすくなります。

SOAPのS・O・A・Pの流れと、Oを客観指標・主要観察・安全所見や反応で整理する考え方を示した図版
Oでは確認できた事実を整理し、その根拠からAを考え、次の介入・条件・再評価をPへつなげます。

ここでいうOは、医療者が観察・測定などで確認した事実を指します。本人や家族の自己申告、NRS・RPEなどの自己評価尺度は、数値であっても基本的にはSとして整理します。

Oが長いときは「3枠」で整理する

毎日のOへ測定結果や観察所見をすべて並べると、何がその日の判断に重要だったのか分かりにくくなります。そこで、Oが情報過多になったときは、客観指標・主要観察・安全所見/反応の3枠から優先する情報を選びます。

これは「Oは必ず3項目だけ」とするルールではありません。必要な評価結果、介入内容、患者反応、施設で求められる記録は残したうえで、SOAPのOでは判断に必要な情報を見失わないための整理法として使います。

Oを整理するときの3枠
何を残すか
客観指標 測定・検査によって確認した比較可能な情報 TUG、10m歩行、5xSTS、ROM、握力、BP、SpO₂など
主要観察 その日の主問題や判断に直結する観察事実 方向転換時のふらつき、膝折れ、介助量、代償動作、指示再提示など
安全所見・反応 実施中に確認した安全上重要な変化や介入への反応 BP・SpO₂の変化、バランス喪失、休息を要した事実、介入後の動作変化など

再評価する可能性がある情報では、数値だけでなく補助具、介助量、酸素投与、測定姿勢、歩行条件など比較に必要な条件も残します。条件が違えば、数値だけを前回と比較しても変化を正しく判断できないことがあります。

Oの1行テンプレと場面別の例文

Oは長い文章にする必要はありません。迷った場合は、「客観指標+条件 → 主要観察 → 安全所見・当日の反応」の順に並べると整理しやすくなります。

Oの基本テンプレ

O:[客観指標・測定条件]。[主要な観察事実]。[安全所見・当日の反応]。

以下の例では、Sに置く情報とOに置く情報をあえて並べています。「数値かどうか」ではなく、自己申告か、観察・測定した事実かで分けることがポイントです。

※数値は書き方を示すための例です。判定基準や中止基準を示すものではありません。

場面別:SとOを分けた記載例
場面 Sの例 Oの例
歩行 「1人で歩くのはまだ怖い」 TUG 18.2秒〔T字杖使用〕。方向転換時に左右動揺あり、見守りを要した。
立ち上がり 「立つときに前へ倒れそうで怖い」 5xSTS 19.0秒〔上肢支持なし〕。開始時に体幹前傾が乏しく、1回目のみ軽介助を要した。
疼痛 右膝痛NRS 6/10。「立ち上がると痛い」 椅子からの立ち上がりで右下肢荷重を避ける動作を認めた。上肢支持ありで5回実施。
息切れ 歩行後RPE 15。「息がかなり上がる」 歩行前SpO₂ 97%、歩行後93%。30m歩行後に立ち止まり休息を要した。
注意・遂行 家族より「途中で何をしていたか分からなくなることがある」 3工程課題で2回の指示再提示を要した。課題中に離席は認めなかった。

「数値=O」ではありません

SOAPで特に迷いやすいのが、数値化された情報です。数値で表されていても、患者本人の感覚や自己評価を数値化したものは主観的情報です。

そのため、疼痛NRSやRPEは基本的にはSとして整理します。一方、血圧、SpO₂、ROM、歩行時間、歩行距離、TUGなど、医療者が測定して得た情報はOです。

数値情報をSとOへ分ける例
情報 基本的な区分 理由
疼痛NRS 6/10 S 本人が感じている疼痛を自己評価した数値
RPE 15 S 本人が感じた運動強度の自己評価
BP 128/72mmHg O 測定して確認した客観的情報
SpO₂ 95% O 測定して確認した客観的情報
TUG 18.2秒 O 決められた課題を測定して得た結果

ただし、施設ごとにSOAPの入力欄や運用が定められている場合があります。分類だけを目的に記録内容を欠落させず、施設ルールを優先してください。

OとPを混ぜない:実施したことか、これからすることか

OとPの境界では、時間軸を見ると整理しやすくなります。すでにその日に実施し、確認できた内容は当日の事実です。一方、「次回こうする」「今後この条件で行う」はPに置きます。

特にPTのSOAPについてAPTAは、当日の治療内容と治療への反応をOへ含めることを推奨しています。したがって、「介入に関する文章だからすべてP」ではありません。

実施済みの事実と今後の計画の分け方
内容 基本的な区分
今日実施した介入 Oまたは施設の実施記録欄 歩行練習30mを実施。方向転換時に見守りを要した。
介入中に起きた反応 O 歩行後SpO₂低下を認め、休息後に回復した。
事実から考えた意味 A 持続歩行では呼吸循環応答の確認が必要と判断した。
次回行う介入 P 次回も歩行時のSpO₂と症状を確認しながら距離を調整する。
今後の安全条件 P 病棟歩行は見守り条件を継続する。

たとえば「BP低下あり。中止。次回はゆっくり。見守り強化」と一続きに書くと、事実と計画が混在します。

O:起立後にBP低下を認め、ふらつきが出現したため立位練習を中止。臥位へ戻した後に改善を認めた。

A:起立時の循環応答から、現条件での立位継続には安全面の課題がある。

P:次回は起立前後のBPと症状を確認し、段階的に離床条件を調整する。

このように、「起きたこと→どう考えたか→次にどうするか」へ分けると、O・A・Pの役割が明確になります。

よくあるNGをOらしい書き方へ直す

Oで問題になりやすいのは、情報が少ないことよりも、主観・事実・解釈・計画が同じ欄へ混ざることです。NG例を見たら、まず「これは誰の情報か」「確認した事実か」「解釈ではないか」「未来の話ではないか」を確認します。

※必要な臨床情報まで削除する必要はありません。下表はSOAP内で優先する情報を整理する例です。

OのNG・OK記載例
NG 問題点 修正例
O:疼痛NRS 6/10 数値という理由だけでOに分類している S:右膝痛NRS 6/10。O:立ち上がり時に右下肢荷重を避ける動作を認めた。
O:状態安定、問題なし 何を確認してそう判断したのか分からない O:歩行前後でBP・SpO₂に大きな変化なし。歩行中のふらつきを認めなかった。
O:歩行で膝折れ、すり足、体幹側屈、骨盤後傾あり 所見が並び、当日の主問題が分かりにくい O:方向転換時に患側膝折れを認め、軽介助を要した。
O:BP低下あり。次回はゆっくり起こす。 当日の事実と次回の計画が混在している O:起立後にBP低下を認めた。P:次回は段階的に起立し、BPと症状を再確認する。
O:歩行練習実施。良好。 実施内容と反応が具体的でない O:T字杖で30m歩行。方向転換時に見守りを要したが、休息なく完遂した。

書く前30秒チェック:Oに残す情報を選ぶ

Oが長くなりやすい場合は、文章を書き始める前に4つだけ確認します。測定結果を減らすことではなく、Aで使う根拠を先に選ぶことが目的です。

SOAPのOを書く前の30秒チェック
確認 自問すること
1 これは本人・家族の自己申告か、医療者が確認した事実か?
2 Aの根拠として最も重要な客観指標・主要観察・安全所見は何か?
3 再評価に必要な測定条件、介助量、デバイスなどを残したか?
4 今日起きた事実と、次回行う計画が混ざっていないか?

この4点を確認してもOが長い場合は、詳細な測定結果を施設の評価欄やフローシートへ分けられないか確認します。SOAPのOだけですべての診療情報を完結させようとすると、Aで必要な根拠が埋もれやすくなります。

よくある質問

Q1. SOAPのOは本当に3点だけでよいですか?

いいえ。「客観指標・主要観察・安全所見/反応」の3枠は、SOAPの公式基準ではありません。Oが長くなったときに重要な事実を選びやすくするための実務上の整理方法です。必要な評価結果、介入内容、患者反応、施設で求められる記録は省略しません。

Q2. NRSやRPEは数値なのでOではないのですか?

基本的にはSです。NRSやRPEは患者本人が感じている疼痛や運動強度を自己評価した情報だからです。一方、BP、SpO₂、ROM、TUGなど、医療者が測定して得た情報はOとして整理します。

Q3. 今日実施した訓練はOとPのどちらですか?

PTのSOAPについてAPTAは、その日に実施した治療と患者の反応をOへ含めることを推奨しています。「今日実施したこと」は当日の事実、「次回実施すること」はPと考えると分けやすくなります。ただし、施設に独立した実施記録欄がある場合などは、施設ルールを優先してください。

Q4. 安全情報はOとPのどちらに書きますか?

実際に確認したふらつき、バイタル変化、介助を要した事実などはOです。その事実を踏まえて「次回は見守りとする」「この条件で再評価する」など、今後の対応を決めた内容はPへ分けます。

次の一手

Oを整理できたら、次はその事実をAでどう解釈し、Pへどうつなぐかを確認するとSOAP全体がまとまりやすくなります。

参考文献

  1. Podder V, Lew V, Ghassemzadeh S. SOAP Notes. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2026 Jan-. PMID: 29489268. PubMed
  2. American Physical Therapy Association. Documentation: Documentation of a Visit [Internet]. Alexandria (VA): American Physical Therapy Association; [cited 2026 Aug 31]. APTA

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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