K 式スケールと在宅版 K 式の評価方法|運用の型と記録シート

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K 式スケールと在宅版 K 式の評価方法(まず結論)

K 式スケール(金沢大学式 褥瘡発生予測スケール)は、リスクを 前段階要因引き金要因 に分け、Yes / No で短時間に整理できる評価です。点数をゴールにせず、引き金要因が陽性かどうか陽性パターン で介入優先度を決めると、支持面(寝具)・湿潤対策・ずれ対策がブレにくくなります。

在宅版 K 式は、在宅療養の現実に合わせて 介護力(介護知識・実行可能性)栄養 を追加で見ます。「計画は正しいが回らない」「食事が整わない」を評価の時点で拾い、実行できる頻度と手順に落とせるのが違いです。

評価項目と構成の比較(K 式/在宅版 K 式)

ここでは原票の文章を写すのではなく、臨床で解釈がブレにくい “ 見方の型 ” を整理します。表はスマートフォンでは横スクロールしてご覧ください。

評価構成の比較(成人・運用の目安)
区分 K 式(入院・施設) 在宅版 K 式(在宅療養) 判定の観点(例)
前段階要因 体位変換の困難/骨突出/やせ など 上記+介護知識・介護力(実行可能性) 体動・突出部保護・介護者の理解と手順
引き金要因 体圧/湿潤/ずれ 体圧/湿潤/ずれ/栄養 寝具の硬さ・蒸れ・しわ・滑走・摂取量
採点と解釈 各項目 Yes( 1 )/ No( 0 )で簡便に記録 引き金要因が 1 つでも陽性なら、介入を前倒しで強化

在宅版 K 式スケールの特徴(介護力と栄養)

在宅版 K 式スケールは、K 式の枠組みに「介護力」と「栄養」を足して、実行できるプランに落とせるか を評価の中で見える化します。体位変換の頻度は “ やるべき ” より “ 回せる ” を優先し、夜間や介護者 1 人の時間帯でも破綻しない手順に落とすのがコツです。

点数の目安とリスクの見方(早見)

K 式は「合計点」よりも、引き金要因が陽性かどの要因が陽性か を優先して判断します。記録は「合計点+陽性パターン(短文)」をセットにすると、介入と再評価がつながります。

K 式の判断早見(成人・運用の目安)
前段階要因 引き金要因 リスクの捉え方 まずやること
0 点 0 点 低め 皮膚所見を確認しつつ、条件固定で経過を追う
1–3 点 0 点 潜在的リスク 支持面の準備と “ 弱点項目 ” の予防介入を前倒し
0–3 点 1 点以上 高リスク 支持面・湿潤・ずれ対策を前倒しで強化(再評価を早める)

K 式スケールの評価方法と介入の流れ(現場 10 分版)

  1. 観察( 2–3 分 ):突出部・発赤、湿潤(失禁・発汗・滲出・蒸れ)、ずれ(背上げ・移乗・端座位)を確認します。在宅は介護者人数と “ 回せる頻度 ” を必ず確認します。
  2. 判定( 2 分 ):K 式(在宅なら在宅版)で Yes / No を記録し、陽性の要因を 1〜2 個に絞ります。
  3. 初期介入( 3–4 分 ):支持面(寝具)・体位変換・湿潤対策・ずれ低減のどれを先に変えるかを決め、実行できる手順に落とします。
  4. 共有( 1 分 ):家族・看護・ケアマネへ短文で共有し、再評価(目安: 48〜72 時間 )を合意します。

現場の詰まりどころ・よくある失敗

K 式はシンプルな分、「湿潤」「ずれ」「介護力」の解釈がブレると、リスクの見落としや過小評価につながります。つまずきポイントと、すぐ実装できる対策を整理します(表はスマートフォンでは横スクロールしてご覧ください)。

K 式評価のよくある誤りと対策(成人・運用の目安)
誤り なぜ問題? 対策(実装)
「湿潤」を失禁だけで判断する 発汗・滲出・蒸れを見落とすと、皮膚脆弱化を過小評価しやすい。 臀部だけでなく背部・踵周囲も確認し、交換タイミングと皮膚ケアをチームで固定する。
在宅で介護力を具体化せずに計画する “ 毎回できる前提 ” の体位変換計画になり、実行されずに破綻しやすい。 介護者数/時間帯・用具の有無を定型で聴取し、“ 続けられる頻度 ” で合意してから組む。
ずれの観察が臥位だけで終わる 背上げ・移乗・端座位の滑走を見逃し、引き金要因を拾えない。 評価時に「背上げ」「移乗」「端座位」の 3 場面で骨盤・仙骨周囲を確認し、角度と手順を 1 行で残す。

記録シート(PDF)

印刷して使える A4 記録シート(PDF)です。院内共有や在宅の申し送りで「点数メモ+陽性パターン+次の一手」が揃う形にしています。

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よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

K 式スケールとブレーデンスケールはどう使い分ければよいですか?

ブレーデンスケールは全身状態や活動性を含めた包括的な層別に向いています。一方、K 式は「前段階要因」と「引き金要因」に分けて整理できるため、支持面・湿潤/ずれ対策など具体介入の優先順位を決めるのに強みがあります。実務では、ブレーデンで全体の層別を押さえつつ、K 式で “ どこから手を付けるか ” を決める併用が回しやすいです。

在宅版 K 式スケールは PT も評価してよいですか?

在宅版は看護評価として運用されることが多い一方で、PT・OT が観察(ずれ・姿勢・動作)と介護動線の翻訳を担うと、介入の精度が上がります。チームで「誰がスコアリングするか」よりも、「陽性の要因をどう行動に落とすか(誰が・いつ・何を変えるか)」を先に決めておくと運用が安定します。

評価に時間が取れないとき、どこだけは必ず見ておくべきですか?

時間が限られるときは、①突出部(仙骨・踵など)の当たり、②湿潤(失禁・発汗・滲出)、③ずれが出る場面(背上げ・移乗)、④在宅なら介護力(夜間を含む実行可能性)の 4 点を優先すると、見落としが減ります。短時間でも「引き金が陽性か」を先に判断できる形に寄せます。

再評価はいつが目安ですか?

引き金要因が陽性で「今日、具体的に変えた」場合は、変化が出やすいので 48〜72 時間での確認が実務的です。前段階要因のみで教育・環境調整中心のときは、 1〜2 週間後でも回ります。迷ったら「皮膚所見の変化」と「介護負担の増減」を早めに拾える間隔に寄せます。

次の一手

運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

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参考文献

  1. Sanada H, Sugama J, Konya C, Okuwa M, Konishi C, Kitagawa A, Nagakawa T. The Reliability and Validity of the K Scale for Predicting Pressure Ulcer Development. J Jpn Soc Wound Ostomy Continence Manag. 1998;2(1):11-18. doi: 10.32201/jpnwocm.2.1_11
  2. Pancorbo-Hidalgo PL, García-Fernández FP, López-Medina IM, Álvarez-Nieto C. Risk assessment scales for pressure ulcer prevention: a systematic review. J Adv Nurs. 2006;54(1):94-110. doi: 10.1111/j.1365-2648.2006.03794.x / PubMed: 16553695
  3. Bergstrom N, Braden BJ, Laguzza A, Holman V. The Braden Scale for Predicting Pressure Sore Risk. Nurs Res. 1987;36(4):205-210. PubMed: 3299278
  4. Wound, Pressure Ulcer, and Burn Guidelines (2023)–2 Pressure Ulcer Guidelines (3rd edition) (secondary publication). doi: 10.1111/1346-8138.17758 / 原掲載(Japanese Journal of Dermatology)doi: 10.14924/dermatol.133.2735

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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