K式スケールの評価方法|在宅版との違い・採点・記録

評価
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K式スケールは前段階要因から引き金要因へ進む2段階評価です

褥瘡リスク評価の全体像から確認する

褥瘡リスク評価スケールの比較・使い分けへ

K式スケール(金沢大学式褥瘡発生予測尺度)は、寝たきり高齢者を主な対象として、褥瘡発生につながる要因を前段階要因引き金要因の2段階で評価するスケールです。各項目をYes/Noで判定し、まず前段階要因を確認したうえで、該当する場合に引き金要因へ進みます。

在宅版K式スケールは、在宅療養者の生活環境に合わせ、介護者の知識や栄養提供を含む介護力の視点を加えた評価です。本記事では、K式と在宅版K式の違い、評価の順序、結果の見方、記録方法を整理します。

この記事の結論

  • K式は、前段階要因を確認してから引き金要因へ進む
  • 在宅版では、身体要因だけでなく介護知識や栄養提供も確認する
  • 合計点だけでなく、どの項目が陽性だったかを記録する
  • 尺度の定期評価と、介入変更後の効果確認は分けて考える

K式スケールの対象と評価を始める時期

K式スケールは、主に寝たきり状態にある入院高齢者の褥瘡発生リスクを予測するために開発された評価です。

評価開始の目安は、疾患名だけで決めるのではなく、何らかの理由で床上生活が中心となり、自力での体位変換や除圧が難しくなった時点です。評価対象や実施時期は、自施設の褥瘡予防手順、使用している正式な評価表、最新のガイドラインに従ってください。

在宅版K式スケールは、寝たきり、または1日の多くを自宅のベッドで過ごす在宅療養者を対象として、身体状況に加えて介護環境を確認するときに使用します。

K式スケールは前段階要因と引き金要因で構成されます

K式スケールでは、最初に普段から存在する身体的なリスクを確認し、その後に褥瘡発生の直接的なきっかけとなり得る要因を確認します。

K式スケールと在宅版K式スケールの評価方法の違いを示した図。K式は前段階要因から引き金要因へ進み、在宅版では介護知識・介護力と在宅環境を追加して確認する
K式と在宅版K式の評価構造。合計点だけでなく、陽性項目と対応をセットで記録します。
K式スケールの基本構造
評価段階 主な確認内容 評価上の役割
前段階要因 自力での体位変換、骨突出、栄養状態など 普段から存在する褥瘡発生の基礎的なリスクを確認する
引き金要因 体圧、湿潤、ずれなど 短期間のうちに褥瘡発生へつながり得る変化を確認する

各項目は原則としてYes/Noで判定し、該当する場合を1点として記録します。ただし、K式はすべての項目を無条件に合算するだけのスケールではありません。

最初に前段階要因を評価し、前段階スコアが1点以上の場合に引き金要因を評価するという順序が重要です。

在宅版K式では介護知識と栄養提供の状況を追加して確認します

在宅版K式スケールは、K式の2段階構造を基本としながら、在宅で褥瘡予防を継続できるかという介護力の視点を加えています。

K式スケールと在宅版K式スケールの違い
比較項目 K式スケール 在宅版K式スケール
主な対象 寝たきり状態にある入院高齢者 寝たきり、またはベッド上で過ごす時間が長い在宅療養者
前段階要因 自力体位変換、骨突出、栄養状態など K式の要因に加えて、介護者の褥瘡予防に関する知識を確認する
引き金要因 体圧、湿潤、ずれなど 体圧、湿潤、ずれに加えて、在宅での食事提供や栄養を支える介護状況を確認する
評価の目的 身体状況とケア上の変化から褥瘡発生リスクを予測する 身体状況に加えて、在宅で予防ケアを実行・継続できるかを確認する

K式の前段階要因にも栄養状態は含まれます。在宅版で追加される栄養の視点は、単に本人の栄養状態をもう一度評価するのではなく、食事を適切に準備・提供し、必要な栄養を支えられる介護状況を確認する意味合いがあります。

在宅版を使用するときは、家族の努力不足と決めつけるのではなく、介護者数、夜間の対応、用具、サービス利用、本人の食事状況などを具体的に確認することが大切です。

K式スケールの評価方法は5段階で整理します

評価では、正式な評価表の判定基準に従いながら、以下の順序で進めます。

  1. 評価対象か確認する:床上生活が中心となり、自力での除圧や体位変換が難しい状態かを確認します。
  2. 前段階要因を評価する:自力体位変換、骨突出、栄養状態などを正式な判定基準に沿ってYes/Noで記録します。
  3. 前段階スコアを確認する:該当項目が1つ以上ある場合は、引き金要因の評価へ進みます。
  4. 引き金要因を評価する:体圧、湿潤、ずれなど、直近のケアや状態変化に関連する要因を確認します。
  5. 陽性項目を予防計画へ反映する:合計点だけで終わらせず、陽性になった項目と具体的な対応を記録します。

注意:本記事は評価の考え方を整理したものであり、正式な評価表の設問や判定基準を置き換えるものではありません。採点時は、所属施設で採用されている原票・マニュアル・運用手順を確認してください。

点数は評価順序と陽性項目をセットで解釈します

K式スケールでは、単純な合計点だけで低リスク・高リスクを決めるのではなく、前段階要因の有無と、引き金要因の陽性項目を分けて確認します。

K式スケールの結果を読む基本手順
評価結果 捉え方 記録・対応
前段階要因が0点 評価時点で前段階要因に該当しない 皮膚状態と生活状況を観察し、状態変化時に再評価する
前段階要因が1点以上 褥瘡発生の基礎的なリスクがある 引き金要因へ進み、該当項目を確認する
引き金要因が陽性 体圧・湿潤・ずれなど、短期的な状態変化やケア上の問題が存在する 陽性項目に対応した予防策を開始・修正し、効果を確認する

記録には、点数だけでなく、陽性になった要因と観察した状況を残します。

記録のまとめ方

前段階スコア/引き金スコアに加えて、「どの項目が陽性か」「どの場面で確認したか」「何を変更したか」「次に何を確認するか」を短文で残します。

定期評価と介入後の効果確認は分けて考えます

尺度として定めた評価間隔と、予防策を変更したあとの効果確認は同じではありません。

K式や在宅版K式の定期評価は、使用する正式な評価表、自施設・事業所の手順、対象者の状態に従って設定します。在宅版では、前段階要因よりも変化しやすい引き金要因を、より短い間隔で確認する運用があります。

一方、マットレス、体位、湿潤対策、移乗方法などを変更した場合は、次回の定期採点日まで待たず、皮膚所見、ずれ、湿潤、本人の耐容性、介護負担を早めに確認します。

訪問リハでの観察、介入、多職種共有、効果確認までの具体的な流れは、在宅版K式スケールをPTの介入へつなげる実践記事で整理しています。

K式スケールで起こりやすい3つの誤り

K式はYes/Noで評価しやすい一方、評価順序や項目の意味を省略すると結果が予防計画へつながりません。

K式スケールで起こりやすい誤りと修正方法
誤り 問題点 修正方法
すべての項目を一度に合算する 前段階要因から引き金要因へ進む2段階構造が失われる 前段階スコアを確認してから、必要に応じて引き金要因を評価する
合計点だけを申し送る 何を改善すべきか他職種が判断できない 陽性項目、観察場面、変更した予防策をセットで共有する
在宅の介護力を抽象的に判断する 「介護力が低い」という評価だけが残り、具体策につながらない 介護者数、対応可能な時間帯、知識、用具、食事提供、利用サービスに分けて確認する

支持面の変更が必要になった場合は、体圧分散マットレスの種類と選び方も確認してください。

K式スケールの記録シートPDF

本ページ掲載のA4記録シートは、評価結果を申し送りや再評価へつなげるための記録用PDFです。

使用時は、点数だけでなく、陽性項目、観察した場面、実施した対応、次回の確認事項を記載してください。正式なK式スケールの原票や所属施設の記録様式を置き換えるものではないため、施設内の運用ルールと併せて使用してください。

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K式スケールに関するよくある質問

K式スケールとブレーデンスケールはどう使い分けますか?

ブレーデンスケールは、知覚、湿潤、活動性、可動性、栄養、摩擦・ずれから全身的な褥瘡リスクを整理します。K式は、前段階要因と引き金要因を2段階で確認する点が特徴です。どちらを使用するかは、自施設で標準化されている評価、対象者、評価目的に合わせて決めます。

K式スケールでは前段階要因が0点でも引き金要因を採点しますか?

K式は、まず前段階要因を評価し、前段階スコアが1点以上の場合に引き金要因へ進む2段階評価です。単純にすべての項目を同時に採点して合計する方法ではありません。実際の採点では、使用している正式な評価表の手順に従ってください。

在宅版K式では栄養をどのように考えますか?

K式の前段階要因には、本人の栄養状態を確認する項目が含まれます。在宅版では、それに加えて、食事の準備や提供など、介護環境の中で栄養を支えられているかという視点を確認します。栄養状態と栄養を支える介護状況を分けて整理することが大切です。

PTやOTが在宅版K式を確認してもよいですか?

評価者や記録責任者は、所属施設・事業所の運用に従います。PT・OTは、姿勢、体位変換、移乗、座位、ずれ、支持面、介護動線などの観察情報を提供し、陽性項目を具体的な予防策へつなげる役割を担えます。

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参考文献

  1. 真田弘美, 須釜淳子, 紺家千津子, 大桑麻由美, 小西千枝, 北川敦子, 永川宅和. 褥創発生予測試作スケール(K式スケール)の信頼性と妥当性の検討. 日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌. 1998;2(1):11-18. doi: 10.32201/jpnwocm.2.1_11
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  6. Wound, Pressure Ulcer, and Burn Guidelines—2023: Pressure Ulcer Guidelines, 3rd ed. doi: 10.1111/1346-8138.17758

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

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