EER × PAL の実務(目的とリスク)
EER (推定エネルギー必要量)は参考値であり、個人差が大きい指標です。運用では PAL (身体活動レベル)の設定と併せて、栄養スクリーニングや体重変化の観察で妥当性を随時再評価する前提が重要です。
運用フロー(現場テンプレ)
- 前提整理:年齢・性・身長・体重・臨床像(発熱・炎症・安静度)。
- PAL を仮設定:病棟 ADL・離床時間・歩数・職種の聞き取りから保守的に決める。
- EER を試算: DRIs 2025 の該当表を用い、年齢区分・性・ PAL に応じた EER を参照。
- 1–2 週で検証:体重・食事摂取量・活動量・症状(浮腫/炎症)を確認し、必要に応じて PAL を補正。
- 並行評価:栄養リスクは GNRI 運用プロトコル や MNA-SF/MUST 比較で二重化。
PAL の目安(数値ではなく行動像で決める)
| 区分 | 行動像 | 判断材料 |
|---|---|---|
| 低い | 安静多め・離床はリハ時中心 | ベッド上活動が主、歩数 < 2–3 千/日 |
| ふつう | 病棟内 ADL 自立〜一部介助 | 離床は 3 食+トイレ、歩数 3–7 千/日 |
| やや高い | 院内での移動量が多い/積極的訓練 | 歩数 7–10 千/日、作業療法・歩行訓練が増量 |
| 高い | 肉体労働に近い活動/長距離歩行 | 万歩計で 1 万歩超、階段昇降が日常的 |
※ PAL は自己申告で過大/過小になりやすいため、歩数計・活動量計・看護記録で裏取りを。
よくある落とし穴と回避策
- PAL の過大評価:「リハは毎日」の一言で「高い」にせず、離床時間と歩数で確認。
- 炎症・浮腫:体重のみで過不足を判断しない( Alb や CRP、浮腫の有無を併読)。
- 固定化:EER を「一度決めたら固定」にしない。週次で見直し、必要に応じて 5–10% 単位で調整。


