GNRIの使い方と運用手順|計算・判定・記録PDF

栄養・嚥下
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GNRIの使い方|計算・判定・記録の流れ

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結論:GNRIは、血清アルブミン値と現在体重・理想体重から、主に高齢者の栄養関連リスクを評価する指標です。正しく運用するには、使用したIBW方式、体重/IBWの上限処理、浮腫・脱水・炎症の影響まで記録し、同じ条件で比較する必要があります。

GNRIだけで低栄養を確定診断したり、栄養投与経路や運動の可否を決めたりすることはできません。本記事では、GNRIの計算、4段階の判定、透析患者でのカットオフの考え方、GLIMなどの追加評価へのつなぎ方を、記録例とA4 PDF付きで整理します。

GNRIの運用4ステップ。条件を確認、IBWを決定、計算・判定、次へつなぐ流れと、GNRI単独で低栄養を確定しない注意点を示した図版
図:GNRIは、算出条件を確認し、計算・判定から追加評価と再評価へつなげて使用します。

GNRIの計算式とIBWの決め方

GNRIは、血清アルブミン値、現在体重、理想体重(IBW)を次の式へ代入して計算します。

GNRI=14.89×Alb(g/dL)+41.7×(現在体重/IBW)

現在体重/IBWが1を超える場合は、1として計算します。

Albをg/Lで代入する場合は係数が1.489になります。単位を取り違えると結果が10倍程度ずれるため、計算前に必ず確認してください。

原法のIBWはLorentz式

GNRI原法では、IBWの算出にLorentz式が使われています。日本の臨床や研究ではBMI 22から求めた標準体重を使用する場合もありますが、これは原法と算出条件が異なります。

原法との整合性を優先する場合はLorentz式を使用します。施設でBMI 22を採用する場合は、「IBW:BMI 22」と記録し、Lorentz式で算出した過去データと単純比較しないことが重要です。詳しい選択方法は、GNRIに用いるIBWの決め方で整理しています。

GNRIを計算して次の評価へつなぐ手順

GNRIは、採血値を式へ入れるだけでなく、算出条件と数値に影響する要因を確認してから解釈します。

  1. Alb・身長・体重をそろえる:Albの単位、体重の測定日、身長が実測値か推定値かを確認します。
  2. 数値を動かす要因を確認する:炎症、浮腫、脱水、体液量の変化、急性増悪などを確認します。
  3. IBW方式を決める:Lorentz式または施設で採用している方式を使用し、方式名を記録します。
  4. GNRIを計算する:体重/IBWが1を超える場合は1として計算します。
  5. 対象患者に合う基準で判定する:原法の4区分と、疾患別研究のカットオフを混同しません。
  6. 追加評価を行う:体重減少、BMI、筋肉量、摂取量、炎症・疾患負荷などを確認します。
  7. 対応と再評価日を決める:必要な栄養評価、専門職への相談、機能評価、再測定条件を記録します。

GNRIの判定基準

GNRI原著では、栄養関連リスクを4段階に分類しています。ただし、この区分だけで低栄養の診断や栄養投与方法を決めるものではありません。

スマートフォンでは表を横へスクロールできます。

GNRI原著に基づく4段階の栄養関連リスク
GNRI 栄養関連リスク 次に確認すること
>98 なし 体重・摂取量・身体機能を定期的に確認する
92〜98 低リスク 体重変化、摂取不足、炎症の有無を確認する
82〜<92 中等度リスク 詳細な栄養評価と多職種での対応を検討する
<82 高度リスク 原因と全身状態を早めに評価し、医師・管理栄養士・NSTへ共有する

「リスクなし」は、低栄養や病状悪化が完全に否定されたことを意味しません。急な体重減少、食事摂取量の低下、筋力低下などがあれば、GNRIが98を超えていても追加評価が必要です。

透析患者ではカットオフの目的を確認する

透析患者ではGNRI 91.2未満を栄養リスクの識別に用いた研究や、GNRI 90未満を死亡リスクの判別に用いた研究があります。したがって、92をすべての透析患者に共通する絶対的な診断基準として扱うことはできません。

透析患者で報告されているGNRIカットオフの例
研究上の用途 実務上の扱い
<91.2 栄養リスクの識別に用いられた例 約92としてスクリーニング上の目安にする場合がある
<90 維持血液透析患者の死亡リスク判別に用いられた例 予後との関連を示した研究値であり、低栄養の確定診断値ではない

透析患者では体液量によって体重とAlbが変動します。採血日、透析前後のどちらで測定した体重か、浮腫やドライウェイトとの関係をそろえて比較してください。

GNRIからGLIMなどの追加評価へつなぐ

GNRIは栄養関連リスクや予後を捉える指標であり、低栄養の確定診断そのものではありません。

GNRIが低い、または経時的に低下している場合は、GLIMなどを用いて次の項目を確認します。

  • 表現型基準:意図しない体重減少、低BMI、筋肉量減少
  • 病因基準:食事摂取量・吸収の低下、炎症または疾患負荷

GLIMによる低栄養診断には、少なくとも表現型基準1項目と病因基準1項目が必要です。GNRIのみでGLIM診断を完了することはできません。

理学療法場面では、握力、歩行能力、立ち上がり能力、身体活動量などを併記すると、栄養関連リスクが機能へどう影響しているかを共有しやすくなります。ただし、これらの機能指標はGLIMの筋肉量基準と同義ではありません。

GNRI運用で起こりやすいミス

特に注意したいのは、Albだけで低栄養と判断することと、異なるIBW方式や体重測定条件を混在させることです。

スマートフォンでは表を横へスクロールできます。

GNRI運用で起こりやすいミスと対策
よくあるミス 問題 対策 記録項目
Albだけで低栄養と診断する 炎症、浮腫、脱水などの影響を受ける 身体所見、炎症、摂取量、体重変化と合わせて解釈する CRP、浮腫、脱水、急性増悪
Albの単位を確認しない 係数の選択を誤り、計算結果が大きくずれる g/dLでは14.89、g/Lでは1.489を使用する Alb値と単位
体重/IBWの上限処理を忘れる 体重がIBWを超える場合にGNRIを過大算出する 体重/IBWは1を上限にする 比率と上限処理の有無
IBW方式が混在する 前回値との比較条件が変わる 方式を固定し、変更時は再計算または理由を記録する Lorentz式/BMI 22など
体重の測定条件が異なる 浮腫、衣服、食事、排泄、透析などの影響が混ざる 可能な範囲で同じ条件にそろえる 日時、衣服、透析前後、浮腫
GNRIを出して終わる リスクが介入や再評価につながらない 追加評価、相談先、対応、再評価日まで記録する 次の対応と再評価条件

GNRIの記録例

GNRIは、点数だけでなく、算出条件と次の対応を一緒に記録します。

GNRI記録テンプレートの記入例
評価日 Alb 身長 体重 IBW方式 IBW 体重/IBW GNRI 解釈・次の対応
2026-01-16 3.4g/dL 160cm 48.0kg BMI 22 56.3kg 0.85 86.1 中等度リスク。浮腫なし、CRPと摂取量を確認。GLIM評価を追加し、NSTへ共有。介入後に再評価する。

この例ではBMI 22によるIBWを使用しているため、記録上も方式を明示しています。Lorentz式で算出したGNRIとは、同じ条件として比較しません。

GNRI記録シートPDF

A4 1枚の記録シートには、Alb、身長、体重、IBW方式、GNRI、判定、数値に影響する要因、次の対応を記録できます。施設で使う場合は、採用するIBW方式とカットオフを事前に統一してください。

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GNRIの再評価時期

GNRIに、すべての患者へ共通する固定の再評価間隔はありません。病期、採血頻度、栄養介入、体重変化、全身状態に合わせて再評価日を決めます。

  • 入院時など、栄養関連リスクを把握するとき
  • 栄養介入や治療内容を変更したあと
  • 食事摂取量や体重が低下したとき
  • 炎症、感染、心不全、浮腫などが変化したとき
  • 退院・転院・在宅サービス変更など、支援体制が変わるとき
  • 施設で定めた定期評価日

経時比較では、Albの採血条件、体重測定条件、IBW方式をできるだけそろえます。条件が異なる場合は、数値の変化をそのまま栄養状態の改善・悪化と断定しません。

GNRI運用の詰まりどころ

  • 誰が計算するか決まっていない:採血結果の確認後、NSTラウンド前、カンファレンス前など、担当者と実施場面を決めます。
  • IBW方式が統一されていない:施設内で採用する方式を明記し、例外時は理由を残します。
  • 数値だけ共有される:GNRI、数値を動かす要因、追加評価、次の対応、再評価日を1つの記録にまとめます。
  • GNRIを診断名として扱ってしまう:GNRIはリスク指標として共有し、低栄養診断はGLIMなどの診断枠組みで確認します。

よくある質問

各質問をタップすると回答が開きます。

Q. GNRIはどのくらいの頻度で評価しますか?

A. 全患者に共通する固定間隔はありません。採血頻度、栄養介入、体重や摂取量の変化、病状、施設の運用に合わせて決めます。前回値との比較条件をそろえ、記録時に次の評価日または再評価条件を決めておくと運用しやすくなります。

Q. 身長を正確に測れない場合はどうしますか?

A. 過去の信頼できる実測値を確認し、必要に応じて施設で採用している代替推定法を使用します。家族からの聴取値や推定値を用いた場合は、その方法を明記してください。推定方法が変わるとIBWとGNRIも変わるため、異なる方法で得た値を単純比較しません。

Q. GNRIが低ければ運動療法を中止しますか?

A. GNRIの値だけでは運動療法の可否や強度を決められません。全身状態、摂取量、炎症、貧血、循環・呼吸状態、バイタルサイン、症状、運動負荷への反応を確認し、医師や管理栄養士などと介入内容を調整します。

Q. GNRIが低ければ低栄養と診断できますか?

A. GNRIだけでは低栄養の確定診断はできません。リスクが示された場合は、体重減少、BMI、筋肉量、摂取量、炎症・疾患負荷などを追加評価し、GLIMなどの診断枠組みへつなげます。

Q. GNRIとMNA-SF・MUSTはどう使い分けますか?

A. 対象者、評価目的、必要な情報、実施環境が異なります。採血値を使えるか、入院・在宅のどちらか、栄養リスクの初期抽出か予後との関連を見るかを整理して選びます。詳しくはMNA-SF・MUST・GNRIの使い分けを確認してください。


参考文献

  1. Bouillanne O, Morineau G, Dupont C, et al. Geriatric Nutritional Risk Index: a new index for evaluating at-risk elderly medical patients. Am J Clin Nutr. 2005;82(4):777-783. doi: 10.1093/ajcn/82.4.777
  2. Cereda E, Pusani C, Limonta D, Vanotti A. The ability of the Geriatric Nutritional Risk Index to assess the nutritional status and predict the outcome of home-care resident elderly: a comparison with the Mini Nutritional Assessment. Br J Nutr. 2009;102(4):563-570. doi: 10.1017/S0007114509222677
  3. Jensen GL, Cederholm T, Correia MITD, et al. GLIM consensus approach to diagnosis of malnutrition: A 5-year update. JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2025;49(4):414-427. doi: 10.1002/jpen.2756
  4. Yamada K, Furuya R, Takita T, et al. Simplified nutritional screening tools for patients on maintenance hemodialysis. Am J Clin Nutr. 2008;87(1):106-113. doi: 10.1093/ajcn/87.1.106
  5. Kobayashi I, Ishimura E, Kato Y, et al. Geriatric Nutritional Risk Index, a simplified nutritional screening index, is a significant predictor of mortality in chronic dialysis patients. Nephrol Dial Transplant. 2010;25(10):3361-3365. doi: 10.1093/ndt/gfq211
  6. Yoshida M, Nakashima A, Doi S, et al. Lower Geriatric Nutritional Risk Index (GNRI) Is Associated with Higher Risk of Fractures in Patients Undergoing Hemodialysis. Nutrients. 2021;13(8):2847. doi: 10.3390/nu13082847

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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