リンパ浮腫療法士・リンパ浮腫セラピストの取り方【2026年版】

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はじめに|リンパ浮腫療法士・リンパ浮腫セラピストを 2026 年に目指す理由

専門資格をキャリアにどう活かすか整理する( PT キャリアガイド )

リンパ浮腫療法士・リンパ浮腫セラピストは、がん治療や手術、先天性疾患などに伴うリンパ浮腫に対して、用手的リンパドレナージ・圧迫療法・運動療法・スキンケア・セルフケア指導などを組み合わせてケアできることを示す専門資格です。乳がん・婦人科がん・前立腺がんなどの術後だけでなく、長期的な浮腫管理や再発予防、生活の質( QOL )の維持に深く関わる領域であり、今後も需要の高まりが予想されます。

一方で、認定コースへの参加や一定時間以上の講義・実技の受講、症例経験の蓄積などが必要になることが多く、「どのコースを選べばよいのか」「がん専門施設でなくても目指せるのか」といった悩みもよく聞きます。本記事では、2026 年の取得をひとつの目安とし、リンパ浮腫療法士・リンパ浮腫セラピストの位置づけ、一般的な受講条件と認定までの流れ、学び方のコツ、急性期・回復期・外来・在宅・訪問看護など各フィールドでの活かし方、よくある詰まりどころを整理します。

リンパ浮腫療法士・リンパ浮腫セラピストとは?資格の位置づけ

リンパ浮腫療法士・リンパ浮腫セラピストは、がん関連リンパ浮腫を中心に、慢性の四肢浮腫に対する包括的なケアを提供できることを証明する資格です。名称やカリキュラムは主催団体によって異なりますが、多くのコースで「複合的理学療法( CDT :複合的理学的治療)」を軸に、用手的リンパドレナージ( MLD )、弾性包帯・弾性ストッキングを用いた圧迫療法、運動療法、スキンケア、セルフケア指導を系統立てて学ぶ構成となっています。

対象職種は、看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師・医師などの医療職を中心に、訪問看護や在宅医療で浮腫管理に携わるスタッフなどが含まれます。資格そのものが診療報酬に直接紐づく場面は限られますが、がんリハビリテーション料や周術期リハ、在宅がんリハ、訪問看護などにおいて、「リンパ浮腫ケアを任せられる人」として院内外での信頼を高める材料になります。

受講条件と認定までの流れ(おおまかなイメージ)

具体的な受講条件やカリキュラムは主催団体によって異なりますが、一般的には次のような枠組みが多く見られます。まず、看護師・ PT ・ OT など、医療系国家資格を有し、一定年数(例:臨床経験 2〜3 年以上)現場で勤務していることが前提となります。加えて、がん患者やリンパ浮腫患者へのケア経験があると望ましいとされることが多く、応募時に所属施設や業務内容を記載する形式のコースも少なくありません。

受講が許可されると、数日〜数週間にわたる講義・実技研修を受けます。リンパ系の解剖・生理・病態、生検・リンパ節郭清・放射線治療などとの関係、感染や深部静脈血栓症との鑑別、圧迫材料の選択と巻き方、セルフケア指導の実践などを、理論と実技の両面から学ぶのが一般的です。修了後には筆記試験や実技評価が行われ、合格と一定の症例経験・ケースレポート提出などの条件を満たしたうえで、リンパ浮腫療法士・リンパ浮腫セラピストとして認定されます。

取得までの 5 ステップ(2026 年をゴールにした計画)

2026 年の取得をひとつのゴールとしたとき、次の 5 ステップで準備を進めるイメージが現実的です。実際の募集要項と照らし合わせつつ、自施設の症例数や自分のキャリアプランに合わせて調整してみてください。

  1. ステップ 1:コース選びと条件の確認
    まず、国内で受講可能なリンパ浮腫療法士・セラピスト養成コースをリストアップし、対象職種・臨床経験年数・定員・開催場所・日程・受講費などを比較します。そのうえで、自分の職種と勤務形態で応募可能か、勤務先の理解や出張扱いの可否なども含めて確認しておきましょう。
  2. ステップ 2:リンパ浮腫症例の「ログ」を取り始める
    乳がんや子宮がん術後の上肢・下肢浮腫、婦人科がん治療後の骨盤周囲浮腫など、リンパ浮腫が疑われる患者さんを担当した際には、発症背景・浮腫の分布や重症度・皮膚所見・日常生活への影響・実施したケアの内容と反応を簡単なフォーマットで記録します。後にケースレポートや院内勉強会に活用できるだけでなく、コース受講中の学びとも結び付きやすくなります。
  3. ステップ 3:基礎知識のインプット
    受講前に、リンパ管の解剖・生理、リンパ浮腫の分類(原発性・続発性)、がん治療後リンパ浮腫のリスク要因、鑑別すべき浮腫(静脈性・心不全・薬剤性など)の基本をテキストや総説で押さえておきます。これにより、コース受講中に扱う症例や実技の理解がスムーズになり、質問もしやすくなります。
  4. ステップ 4:コース受講と復習・症例への応用
    講義・実技研修を受ける際には、実際に自分が担当している患者さんを思い浮かべながら、「この巻き方は誰に応用できるか」「セルフケア指導をどう説明するか」といった視点でメモを残します。受講後、可能な範囲で上司や主治医と相談しながら、自施設の患者さんに安全に応用していくことで、知識と技術の定着が進みます。
  5. ステップ 5:症例整理と長期フォローの仕組みづくり
    一定期間の実践を経たら、代表的な症例を選び、評価・介入・経過・反省点をまとめます。同時に、退院後のフォロー方法(外来・訪問看護・地域の運動教室・弾性ストッキングの継続購入の支援など)をチームで話し合い、小さくてもよいので「リンパ浮腫フォローの仕組み」を作っていくと、資格取得の価値がより大きくなります。

今後のキャリア全体を見据えると、「がんリハを軸にするのか」「在宅・訪問看護で浮腫ケアを深めるのか」などの方向性も重要です。その整理には、キャリア全体の流れをまとめた PT キャリアガイド を眺めて、自分がどのフィールドで強みを出したいかを言語化しておくことも役立ちます。

勉強ロードマップと学び方のコツ

勉強の軸になるのは、①リンパ浮腫のガイドラインや専門書、②養成コースの講義資料と実技マニュアル、③自分の症例記録の 3 本柱です。まずは、リンパ浮腫の病態・分類・重症度評価(ステージ分類など)、感染や深部静脈血栓症との鑑別、禁忌・注意すべき合併症を整理します。そのうえで、複合的理学療法( CDT )の構成要素である用手的リンパドレナージ・圧迫療法・運動・スキンケア・セルフケアについて、目的と禁忌、手順の概要を押さえていきます。

試験対策としては、講義スライドやテキストに沿って重要語句や図表を何度か見返し、「なぜそうするのか」を自分の言葉で説明できるようにすることがポイントです。実技評価がある場合は、ペア練習やロールプレイを通じて、手技の流れ・圧の方向・患者さんへの声かけ・体位調整などを身体で覚えていきます。また、訪問看護や在宅リハでの実践例、弾性着衣の選択とフィッティング、装着指導の工夫など、現場のノウハウを持つ先輩から学ぶ機会を意識的に作ることも大きな助けになります。

がんリハ・周術期・在宅・訪問看護での活かし方

急性期やがん専門病院では、乳がん・婦人科がん・泌尿器がんなどの術後早期からリンパ浮腫のリスク評価を行い、セルフケア指導や早期介入につなげる場面でリンパ浮腫療法士の知識が活きます。医師やがんリハ担当 PT ・ OT ・ ST と連携しながら、「いつどのタイミングでどの程度の圧迫を導入するか」「どのような姿勢・運動でリンパ還流を促すか」といった方針を決めるうえで、専門的な視点を提供できます。

回復期・在宅・訪問看護・通所リハでは、長期的な浮腫管理と生活の質の維持がテーマとなります。日常生活の中で継続しやすい弾性着衣の選択や装着方法、セルフドレナージの指導、入浴や衣服・靴の工夫、仕事や家事との両立支援など、生活に近い視点が求められます。また、心不全や腎機能低下など他の浮腫要因とのバランスをとりつつ、主治医・訪問看護・ケアマネジャー・地域のサポート資源と連携する力も重要です。

現場の詰まりどころ

最初の詰まりどころは、「圧迫療法を継続してもらえない」問題です。弾性包帯やストッキングは、暑さや着脱の大変さ、見た目の問題などから、患者さんにとって負担が大きくなりがちです。「正しい巻き方」だけに目を向けるのではなく、生活の中で無理なく続けられる強さ・時間・素材を一緒に考え、必要に応じて段階的に調整していく姿勢が大切です。また、費用負担や購入方法、介護保険・医療費助成との関係など、制度面を一緒に整理してあげることも大きな支えになります。

もうひとつの詰まりどころは、「施設としての体制づくり」です。個人としてリンパ浮腫療法士・セラピストの資格を取得しても、リンパ浮腫外来やフォロー体制、弾性着衣のフィッティング環境などが整っていないと、十分な実力を発揮しにくくなります。できるところからで構わないので、術前説明への同席、術後パンフレットの作成、退院前カンファレンスでの情報共有、訪問看護との連携など、院内・地域での「小さな仕組み」を一つずつ積み上げていく視点が重要です。

よくある質問

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がん専門施設で働いていないと、リンパ浮腫療法士・セラピストを目指すのは難しいですか?

がん専門施設でない場合でも、乳がん・婦人科がん・泌尿器がん術後の患者さんや、慢性浮腫を抱えた利用者に関わる機会は少なくありません。急性期であれば周術期リハ・病棟ケア、回復期や在宅・施設であれば長期管理と生活支援の役割があります。症例数が少ない場合は、院内のがん診療部門や地域のがん診療連携拠点病院と連携し、勉強会や見学などの機会を作ることで、経験を補っていくことができます。

どのくらいの勉強時間・準備期間を想定すればよいですか?

コースそのものは数日〜数週間単位ですが、その前後に基礎知識のインプットや症例記録、セルフケア指導の実践などが必要になります。目安としては、1〜2 年かけて「基礎知識の整理 → 症例ログ作り → コース受講 → 実践と振り返り」という流れを回すイメージがおすすめです。短期間で一気に勉強するよりも、日々の臨床を通じて少しずつ積み上げていく方が負担も少なく、定着しやすくなります。

PT や OT でも、看護師中心のコースに参加する価値はありますか?

十分にあります。確かに、セルフケア指導や長期フォローでは看護師が中心となる場面が多いですが、圧迫下での運動や姿勢調整、 ADL 訓練、仕事復帰支援などは PT ・ OT の強みが生きる領域です。多職種混合のコースで学ぶことで、お互いの視点を知り、「看護師がここまでやるなら、自分はここを補完しよう」といった役割分担のイメージが具体化します。

資格を取っても手当や役職が変わらない場合、コスパはどう考えればいいですか?

手当や役職に直結しないケースは確かにありますが、リンパ浮腫ケアの知識と技術を深めることは、がんリハ・周術期・在宅・訪問看護など複数のフィールドで活躍の場を広げることにつながります。院内外の勉強会での講師役や、患者会・地域のサロンでの情報提供など、人脈と経験が増えるほど、将来的なキャリアの選択肢も増えていきます。資格そのものに加え、そのプロセスで得られる症例経験とネットワークを含めた「長期的な投資」として捉えるとイメージしやすくなります。

おわりに

リンパ浮腫療法士・リンパ浮腫セラピストは、「むくみを軽くする」ことだけが目的ではなく、がん治療後もできるだけ長く、その人らしい生活を続けてもらうためのパートナーとしての役割を担う資格です。その一方で、コース受講や実技練習、症例整理など、日々の業務と並行して取り組むには相応のエネルギーが必要になります。「ここまで時間と費用をかけて本当に元が取れるのか」と感じる瞬間もあるかもしれません。

そんなときは、これまで担当してきた患者さんや利用者さんの中で、「もしもっと早く、適切なリンパ浮腫ケアにつなげられていたら、何が違っていたか」を静かに振り返ってみてください。今後のキャリアの軸や働き方を考えるうえでは、がんリハ・在宅・訪問看護・地域連携のどこに重心を置くかを整理しておくことも大切です。そのための面談準備チェック( A4 ・ 5 分)と職場評価シート( A4 )を無料公開していますので、職場選びや転職を考える際には、マイナビ医療介護のお役立ち資料ページも活用してみてください。

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡・がんリハ・リンパ浮腫・フレイルなどで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、がんリハビリテーション、リンパ浮腫、フレイル・サルコペニア、リハ栄養、呼吸リハ、シーティング、住環境整備

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