PEP呼吸法の実施と判定フロー|理学療法の実践手順

臨床手技・プロトコル
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PEP 呼吸法は「適応判定→実施→再評価」を固定すると、排痰支援の再現性が上がります

PEP 呼吸法(呼気陽圧療法)は、喀痰排出の促進や肺胞虚脱予防を目的に、理学療法で活用される代表的な手技です。臨床で成果を出す鍵は、機器の知識よりも対象選定・中止基準・記録の型をそろえることです。この記事では、病棟・外来・在宅で迷いやすい判断点を、実装しやすい順で整理します。

特に重要なのは「やるかどうか」より「続けてよいか」の判断です。開始前後で同じ指標を見て、同じ順序で実施するだけで、チーム内の申し送り精度と安全性が上がります。まずは以下の導線から、全体像と実装ポイントを短時間で押さえてください。

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関連:PEP 実施と判定フロー図
まず深掘り:よくある失敗と回避策

適応・注意・中止基準

PEP 呼吸法は、喀痰貯留や排痰困難があり、指示理解と協力が得られる症例で有効です。一方、呼吸苦の増悪や著明な疲労が出る場合は、回数・負荷・手技の再設計が必要です。開始前に「この患者に今なぜ実施するか」を 1 行で言語化すると、介入のブレが減ります。

中止判断は事前共有が必須です。SpO2 低下の持続、呼吸困難の増悪、継続困難な疲労が見られた場合は、即時中止して代替手技へ切り替えます。以下の早見表を、そのままカンファレンスの共通言語として使ってください。

PEP 呼吸法の適応・注意・中止基準(成人の実務整理)
区分 判断ポイント 実務アクション
適応 喀痰貯留、排痰困難、無気肺予防の必要性 目的を「排痰」または「肺拡張」に明確化して開始
注意 疲労が強い、協力が不安定、呼吸苦が増えやすい 回数・負荷を下げ、休息を挟んで再評価
中止 SpO2 低下持続、呼吸苦増悪、実施継続困難 即時中止し、体位調整や代替手技を検討

PEP 実施と判定フロー図

以下の図版は、開始前確認から次回調整までを 1 枚で確認できる実装用フローです。スタッフ間で同じ順序を共有すると、記録の質と再現性が上がります。

PEP 呼吸法の実施と判定フロー(開始前確認、実施、喀痰誘導、再評価、次回調整/中止判断)
図:PEP 呼吸法の実施と適応判定フロー(開始・保留・中止の判断を可視化)

5 分で回す実施手順(準備→実施→再評価)

運用は「準備 1 分・実施 3 分・再評価 1 分」を目安に固定します。開始前に SpO2、呼吸数、主観的呼吸困難、痰の性状を確認し、終了後に同項目を再測定してください。毎回同じ指標を取るだけで、次回設定の精度が上がります。

実施中は、強く吹かせることより「一定リズムで続けられること」を優先します。終了後は咳嗽やハフで喀痰誘導を行い、痰量・喀出しやすさを記録します。「何をしてどう変わったか」を残すことが、チーム医療で最も重要です。

PEP 呼吸法の 5 分運用フロー
ステップ 実施内容 記録ポイント
1. 準備 体位調整、目的確認、バイタル確認 開始時 SpO2、呼吸数、呼吸困難感
2. 実施 無理のない負荷で一定リズムの呼気を反復 中断回数、疲労感、実施耐性
3. 再評価 喀痰誘導、再測定、継続可否判定 終了時 SpO2、痰量/性状、次回調整

現場の詰まりどころ

PEP 呼吸法が続かない主因は、手技そのものよりも「適応判定の曖昧さ」と「結果記録の不足」です。特に、開始条件が曖昧なまま実施すると、効果が出ても再現できません。開始前条件と中止トリガーを統一し、終了後の再評価を必ず残す運用に切り替えると改善します。

よくある失敗と回避策(OK/NG)

「回数はこなしたが排痰につながらない」「途中で疲労して質が落ちる」は、負荷設定と休息設計で改善できます。実施量より継続性を優先し、反応を見ながら都度調整するのが実務的です。以下をチェックすれば、現場での失敗を大きく減らせます。

また、記録が「実施した」の一文だけだと、次回への改善が止まります。開始前後の差分(SpO2、呼吸数、呼吸困難、痰量)を残すと、申し送りと計画修正が早くなります。

PEP 呼吸法の失敗パターンと対策
場面 NG OK 記録ポイント
開始前 適応確認なしで開始 目的・除外条件を先に確認 実施理由を 1 行で記載
実施中 強い呼気を連続で強要 一定リズム+休息で継続性を優先 中断回数・疲労感
実施後 「実施のみ」で終了 再評価して次回設定に反映 開始前後の変化を記載

運用チェックリスト(申し送り用)

以下は、病棟でそのまま使える最小チェック項目です。すべてを書き切るより、開始条件・中止判断・結果の 3 点を確実に残すことを優先してください。

  • 開始条件:目的(排痰/肺拡張)、協力可否、開始時バイタル
  • 中止判断:SpO2 低下持続、呼吸苦増悪、継続困難な疲労
  • 結果:痰量・痰性状・呼吸困難感・次回調整案

FAQ

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

PEP 呼吸法はどの患者から優先すべきですか?

喀痰貯留があり、咳嗽だけでは喀出が不十分な症例を優先します。開始時は目的を「排痰」か「肺拡張」かで明確化すると、再評価がしやすくなります。

回数やセット数はどう決めるのが実務的ですか?

固定回数より、疲労や呼吸苦の増悪なく継続できる範囲を優先します。途中で質が落ちる場合は、回数を減らして休息を増やす方が効果的です。

実施後に必ず見るべき指標は何ですか?

SpO2、呼吸数、主観的呼吸困難、痰量・痰性状の 4 点は最低限確認します。開始前後で比較可能な形で記録してください。

PEP と他の気道クリアランス手技はどう使い分けますか?

PEP で喀出可能かを確認し、困難な場合や増悪リスクが高い場合は、体位調整や他手技へ切り替えます。安全性と即時性を優先して判断します。

次の一手

教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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参考文献

  • 日本呼吸理学療法学会 監修資料(気道クリアランス関連)
  • 呼吸理学療法・術後肺合併症予防に関する総説およびガイドライン
  • 施設プロトコル(病棟運用・安全管理基準)

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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