MTDLPの書き方|公式6段階・記入例・PDFで解説

臨床手技・プロトコル
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MTDLPの書き方|まず公式6段階と記入の流れを分ける

生活行為向上マネジメント(MTDLP)は、本人の「したい」「する必要がある」「することが期待されている」生活行為を起点に、アセスメント、目標、支援計画、介入、再評価までをつなぐ作業療法実践の手法です。書くときは、公式の6段階を押さえたうえで、本人の希望 → 困り場面 → 課題分析 → 目標 → 支援計画へつなげると整理しやすくなります。

この記事では、MTDLPの制度や研修制度ではなく、「シートを前にして何を書けばよいか」に絞ります。記入例、OK / NG、目標を具体化する考え方、再評価の確認指標、下書き用PDFまでまとめました。なお、本文で使用するSMARTやKPIはMTDLP公式の欄名ではなく、記入を具体化するための補助的な整理方法です。

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MTDLPは6段階|公式プロセスを先に押さえる

MTDLPは、インテーク → 生活行為アセスメント → 生活行為向上プラン → 介入 → 再評価・見直し → 終了・課題申し送りの6段階で進みます。日本作業療法士協会では、臨床で実践する際に第1〜3段階をひとつにまとめた「生活行為向上マネジメントシート」も案内しています。

MTDLPの公式6段階と記入時に確認すること
段階 主な役割 記入時のポイント
1. インテーク 望む生活行為を聞き取る 本人・家族が「したい」「必要」「期待されている」生活行為を確認する
2. 生活行為アセスメント 課題と強みを分析する 阻害要因と強みを整理し、予後を見立てて具体的な生活行為目標を合意する
3. 生活行為向上プラン 支援計画を立てる 基本的・応用的・社会適応プログラムと役割分担を整理する
4. 介入 計画を実行する 合意した生活行為の達成に向けて練習・支援・調整を行う
5. 再評価・見直し 継続・終了を判断する 変化を再評価し、必要なら目標や計画を修正する
6. 終了・課題申し送り 支援を次へつなぐ 経過・結果と、今後必要な支援内容を整理して申し送る

公式様式と各シートは、日本作業療法士協会の最新版を使用してください。生活行為向上マネジメントのプロセスとシート(日本作業療法士協会)から確認できます。

MTDLPの公式6段階と記事で扱う書き方の下書き手順を整理した図版
上段はMTDLPの公式6段階、下段はこの記事で使う記入前の下書き手順です。SMARTやKPIは公式欄名ではなく、目標や再評価を具体化する補助として扱います。

MTDLPシートの書き方|本人の希望から計画まで7ステップ

実際に書くときは、本人の希望を最初に固定し、生活場面の困りごとと課題分析を経て、目標と支援計画へつなぐと流れが崩れにくくなります。以下の7ステップは公式シートそのものの欄順ではなく、この記事で提案する記入前の下書き手順です。

  1. 本人の希望:本人が大切にしたい生活行為を、できるだけ本人の言葉で残す。
  2. 困り場面:いつ・どこで・何が難しいのかを生活場面で具体化する。
  3. 課題分析:阻害要因だけでなく、できていること・強み・環境・支援者も整理する。
  4. 目標の具体化:達成した生活場面を第三者が想像できる表現にする。
  5. 確認指標:再評価時に変化を判断するため、必要な指標を絞る。
  6. 介入計画:目標につながる練習、環境調整、実生活での支援、役割分担を決める。
  7. モニタリング:実行度・満足度や必要な評価を再確認し、継続・修正・終了を判断する。

重要:SMARTやKPIは、MTDLPの公式シートにその名前の欄があるという意味ではありません。本記事では、目標を曖昧にしないこと、再評価で何を見るかを決めることを助ける整理方法として使用します。

各欄は何を書く?記入例とOK / NG早見

記載に迷ったら、評価所見を増やす前に「この記載が本人の生活行為、目標、支援計画のどこにつながるか」を確認します。MTDLPでは、心身機能の問題だけを並べるのではなく、生活行為の遂行を妨げる要因と強みを整理することが重要です。

スマホでは表を横スクロールして確認してください。

MTDLP記入時のOK / NG例
整理する内容 NG例 OK例 確認ポイント
本人の希望 「歩行訓練を頑張る」 「朝食を自分で整えたい」 訓練ではなく生活行為になっているか
困り場面 「下肢筋力低下」 「台所で立っていると膝痛が増え、途中で座る」 実生活のどこで困るか見えるか
課題分析 「ADL低下」 「立位耐久性、疼痛、道具配置、休憩方法、家族支援を確認」 阻害要因と強みを分けて考えられるか
目標 「料理ができる」 「4週後、朝食の準備を休憩を入れながら行う」 達成した場面を第三者が想像できるか
確認指標 「評価をたくさん行う」 「実行度・満足度に加え、必要なら立位時間や疼痛を確認」 目標の変化を判断するために必要か
介入計画 「筋トレ、歩行練習」 「立位練習、調理動作、道具配置、休憩方法、家族との役割調整」 生活行為目標へ直接つながっているか

生活行為アセスメント|阻害要因だけでなく「強み」も書く

生活行為アセスメントでは、できない理由だけを並べるのではなく、生活行為を遂行するうえでの阻害要因と強みをICFの視点から整理し、予後を見立てることがポイントです。その結果をもとに本人・家族と相談し、解決すべき課題の優先順位と達成可能な生活行為目標を合意します。

たとえば「朝食を自分で整えたい」という希望なら、下肢筋力だけを見るのではありません。

  • 心身機能:立位耐久性、疼痛、上肢機能、認知機能など
  • 活動・参加:立位での調理、物品操作、移動、作業手順など
  • 環境:調理台の高さ、道具配置、椅子、動線など
  • 人的資源:家族の支援、役割分担、見守りの可否など
  • 強み:すでにできている工程、本人の経験、習慣、意欲など

「筋力低下があるから筋力訓練」と短絡せず、何が生活行為を止めているのか、何を活かせば実現へ近づくのかまで書くと、次のプランにつながります。

目標の書き方|本人の生活行為を具体化する

目標は、評価尺度の改善そのものではなく、本人と合意した生活行為がどうなれば達成なのかを示します。抽象的な目標になったときは、SMARTの考え方を下書き補助として使うと整理しやすくなります。

  • 何を:どの生活行為を行うのか
  • どこで:実際の生活場面はどこか
  • どの程度:どこまでできればよいか
  • いつまでに:見直す時期はいつか
  • どの条件で:道具、休憩、支援者などを含めるか

記入例

本人語:「朝ごはんくらいは自分で用意したい」

目標:「4週後、必要時に椅子で休憩しながら、朝食の準備を行える」

最初からきれいな文章を作る必要はありません。本人の言葉を残したうえで、チームが同じ生活場面を想像できるところまで具体化することを優先します。

実行度・満足度|1〜10で聞き、目標の変化を追う

MTDLPでは、合意した生活行為目標の現状について、実行度と満足度をそれぞれ1〜10で本人に確認します。単に「できた・できない」で終わらせず、本人からみた遂行状況と満足感の変化を確認できる点が重要です。

再評価では点数だけを比較するのではなく、変化した理由も一緒に確認します。

  • 実際に生活行為を行う機会が増えたか
  • 介助や見守りの量が変わったか
  • 疼痛や疲労など阻害要因が変わったか
  • 道具や住環境を変更したか
  • 家族・他職種の支援方法が変わったか
  • 本人が目標そのものを見直したいと感じていないか

立位時間、疼痛、介助量などを追加で追う場合も、その指標が生活行為目標の達成判断に必要かで選びます。本記事では、このような補助的な確認指標を整理する意味で「KPI」という言葉を使用しています。

生活行為向上プラン|3つのプログラムと役割分担を書く

生活行為向上プランでは、合意した目標を実現するための支援を、基本的プログラム・応用的プログラム・社会適応プログラムに整理します。機能訓練だけで終わらせず、実際の生活場面までつなげることがポイントです。

生活行為向上プランを整理する3つの視点
区分 考え方 朝食準備の例
基本的プログラム 心身機能へのアプローチ 立位耐久性、疼痛への対応など
応用的プログラム 活動・参加に関する模擬的アプローチ 調理工程、物品運搬、休憩を含む練習など
社会適応プログラム 実際の環境での適応と環境調整 自宅の道具配置、椅子の位置、家族との役割調整など

さらに、作業療法士だけで完結させず、本人、家族、他職種、地域の支援者が何を担うかを整理します。「誰が・どこで・何をするか」まで決まると、カンファレンスでも共有しやすくなります。

A4記入下書きシートPDF|公式様式を書く前の整理用

以下のPDFは、日本作業療法士協会の公式様式を置き換えるものではありません。本人の希望、困り場面、課題分析、目標、確認指標、介入計画、モニタリングを事前に整理するための下書き用シートです。

公式様式へ記入する前や、カンファレンス前に考えを1枚へまとめたいときに使用してください。


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プレビューできない場合は こちら から開いてください。


面接で希望が出ないとき|自由語りから具体化する

面接では、最初から評価項目を順番に聞くより、本人が大切にしている生活行為を探すことから始めます。本人が希望をうまく言語化できない場合、日本作業療法士協会では興味・関心チェックシートの活用も示しています。

  • 自由に聞く:「できるようになりたいこと、再開したいことはありますか?」
  • 場面を聞く:「それはいつ、どこで、誰と行いたいですか?」
  • 困りを聞く:「今はどこが一番難しいですか?」
  • 強みを聞く:「今でもできているところはありますか?」
  • 支援を聞く:「助けになっている人や道具はありますか?」

本人の希望を医療者側の言葉へすぐ置き換えず、まず本人語を残してからアセスメントへ進むと、目標と介入計画のズレを防ぎやすくなります。

MTDLPで詰まりやすい4パターンと直し方

MTDLPが書きにくいときは、文章力よりも生活行為・アセスメント・目標・計画のつながりを確認します。次の4パターンは、記載が止まったときのチェックポイントとして使えます。

MTDLPで詰まりやすいポイント
詰まり 起きていること 直し方
目標が動作名で止まる 「歩行自立」「立位向上」など訓練目標になっている その能力を使って「何をしたいか」まで戻る
評価所見が多すぎる 生活行為との関連が分からなくなる 目標達成を妨げる要因と強みに絞る
プランが機能訓練だけ 実生活へつながる支援が抜ける 基本・応用・社会適応の3方向から見直す
再評価で点数だけを見る なぜ変化したか分からない 実行度・満足度と、環境・支援・阻害要因の変化を一緒に確認する

MTDLPの書き方でよくある質問

Q1. MTDLPは、まずどこから書けばよいですか?

まず本人が望む生活行為を確認し、次にその遂行を妨げる要因と強みを分析します。その結果をもとに具体的な生活行為目標を合意し、支援計画へつなげます。欄を思いついた順に埋めるより、生活行為から目標・プランまでの因果関係をそろえることが重要です。

Q2. SMARTやKPIはMTDLPの公式項目ですか?

この記事では公式欄名として扱っていません。SMARTは目標を具体化し、KPIは再評価で何を確認するかを整理するための補助的な考え方として使用しています。公式様式は日本作業療法士協会の最新版を確認してください。

Q3. 本人が「したいこと」をうまく話せない場合はどうしますか?

本人の過去の生活、役割、興味、楽しみなどから具体的な生活行為を探します。日本作業療法士協会では、本人がうまく言語化できない場合に興味・関心チェックシートを利用する方法も示しています。

Q4. 実行度・満足度は何点満点ですか?

合意した生活行為目標について、実行度・満足度をそれぞれ1〜10の10件法で確認します。再評価時は点数の変化だけでなく、生活環境、支援方法、阻害要因など何が変化したのかも確認します。

Q5. 公式シートはどこから入手できますか?

日本作業療法士協会の「生活行為向上マネジメントのプロセスとシート」ページから、生活行為聞き取りシート、生活行為向上マネジメントシート、生活行為課題分析シート、申し送り表などを確認できます。使用時は公式ページの最新版を利用してください。

次に確認すること|他のOT評価との使い分け

MTDLPは、本人の生活行為を起点に評価から介入・再評価までをつなぐための手法です。COPM、AMPS、ADOC、GASなど、他の評価・目標設定ツールとの違いを整理したい場合は、OT評価ツール比較で使い分けを確認してください。


参考文献

  1. 日本作業療法士協会.生活行為向上マネジメントとは
  2. 日本作業療法士協会.生活行為向上マネジメントのプロセスとシート
  3. 日本作業療法士協会.作業療法ガイドライン

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のアイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。記事では、公的資料やガイドラインなどの根拠と、実務で判断しやすくするための解説を区別してお伝えします。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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