理学療法士の仕事内容|業務マップと書類業務の実例

キャリア
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理学療法士の仕事内容を30秒で

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理学療法士(PT)の仕事は、評価 → 目標設定 → 介入 → 振り返り(記録) → 連携・書類の循環で進みます。本ページは「診療業務(臨床の中心)」「診療記録(SOAP の型)」「各種書類(時短のコツ)」を軸に整理し、勤務先による比重の違いと近年の職域拡大も概観します。
※「1 日のタイムテーブル」は別記事に集約しています(下部リンク)。

診療業務(臨床の中心)

  • 評価:バイタル・疼痛・既往/ROM・MMT・バランス・歩行・ADL/リスク(転倒・誤嚥・皮膚)を短時間で要点化。
  • 目標設定:ICF に整合。誰が・どこで・どの補助で・何を(期間・達成基準を添える)。
  • 介入:起居・移乗・歩行練習/筋力・持久力・協調性トレーニング/シーティング・補装具調整/自主練と家族教育。
  • 安全管理:前中後のモニタリング、中止基準と再開条件の共有(疼痛・SpO₂・意識・血圧・疲労など)。
  • 多職種連携:看護・栄養・MSW・主治医と方針をすり合わせ、退院・在宅支援の導線を設計。

診療記録(SOAP の型を素早く)

SOAP の要点と時短のヒント
項目 書く内容 時短のコツ
S(主観) 痛み・息切れ・疲労・やる気・生活上の困り事 定型句+数値(NRS・Borg 等)で短文化
O(客観) 数値(距離・回数・速度)+出来事(介助量・補助具) 「単位+比較」:10m 2 往復(T 字杖)→ 昨日より+1 往復
A(解釈) 原因仮説→現在地→方針 一文で「原因→阻害因子→改善鍵」を固定文言化
P(計画) 次回の目標・負荷・注意点・家族への依頼 チェックリスト化(下の配布物を活用)

各種書類の実例とコツ

まずはテンプレ化+「誰が・どこで・どの補助で・何を」の型で統一。 実地では下のように使い分けます。

よく使う書類と活用ポイント
書類 主な内容 時短・品質向上のポイント
計画書 評価要点/目標(期間・基準)/介入計画 ゴール文を定型化;環境条件と補助量を必ず明記
経過記録(SOAP) 日々の変化とリスク管理 定型→差分だけ上書き/比較表現を毎回 1 行
サマリー 目標達成度・残課題・申し送り 在宅 KPI(転倒・移動・トイレ等)を冒頭の箇条書きに
訪問/通所 計画・報告 目標・頻度・家族指導・連絡事項 家族向け「家庭内の注意点」を固定枠で運用
補装具関連 目的・適合・訓練計画・フォロー 写真・採寸値・変更履歴を一枚に集約

業務マップ(評価/計画/介入/連携/書類)

  • 評価:バイタル・疼痛・既往/ROM・MMT・バランス・歩行・ADL/リスク(転倒・誤嚥・皮膚)
  • 目標・計画:ICF に沿って長短期目標/介入内容・頻度・期間
  • 介入(治療):起居・移乗・歩行/筋力・持久力・協調性/シーティング・補装具調整/患者・家族教育
  • 連携:看護・栄養・MSW・主治医のカンファ/退院・在宅サービスの調整
  • 書類:計画書・要約(SOAP)・報告書・補装具関連書類

勤務先別:業務の比重(早見表)

勤務先別に高くなりがちな業務の比重(◎>○>△)
勤務先 評価 介入 連携 書類 退院支援/環境
急性期 ◎(全身管理・早期離床) ◎(主治医・看護)
回復期 ◎(高頻度の介入) ◎(多職種カンファ) ◎(家屋調整・訓練)
生活期(外来・通所) ○(生活目標の更新)
訪問リハ ○(環境評価) ◎(ケアマネ等) ◎(計画・報告) ◎(生活環境の最適化)
スポーツ/産業 ◎(パフォーマンス) ◎(復帰支援)

タイムテーブルや件数の目安、回復期/訪問のモデル日課は別記事に集約しています。具体例は 理学療法士の1日のスケジュール をご覧ください。

理学療法士の職域(近年の拡大トレンド)

従来領域に加え、広がっている実践フィールド
領域 代表タスク ポイント
フレイル・予防 集団運動・転倒予防教室・地域介入 地域包括や自治体事業と連携
産業・職場 作業姿勢改善・復職支援・人間工学評価 安全衛生・保健師/産業医との協働
スポーツ/コンディショニング 傷害予防・復帰判定・パフォーマンス向上 指標化とデータ連携が鍵
遠隔・デジタル オンライン指導・リモート評価 記録様式とセキュリティ整備
自費/在宅自立支援 個別ニーズに応じた継続支援 目標契約と成果の見える化
教育・研究 院内教育・研究デザイン・学会発表 臨床課題をテーマ化して波及

ダウンロード(A4・印刷用)

印刷ガイド:A4/余白 10–12 mm/ヘッダー&フッター非表示。病棟掲示・新人オリエンにそのまま利用できます。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

残業は多い?夜勤はある?

残業は職場差が大きく、書類締切や退院調整の時期に増えやすいです。夜勤は基本ありませんが、急性期などで早朝対応が発生する場合があります。

病院と訪問で仕事内容はどう違う?

回復期=介入と退院支援が濃い一方、訪問=連携・書類・環境調整の比重が高いです。前者は集中的訓練と在宅準備、後者は生活環境に合わせた継続支援が中心になります。

きつい点は?

移乗や歩行介助などの身体負担と、記録・書類の両立が難所です。安全第一(中止基準の徹底)と、テンプレ化・定型句の活用で負担を下げられます。

新人は何から学べばいい?

評価の基本(バイタル・ROM・MMT・歩行)の精度と、SOAP の型づくりから。上の A4 配布物で日々の記録を標準化しましょう。

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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