訪問リハへの転職はあり?結論は「合う条件なら強いが、運用が悪いと消耗する」
訪問リハは、生活場面で成果が見えやすく、介入の裁量も取りやすい一方で、件数・移動・記録・オンコールの運用が崩れると一気に消耗します。つまり「訪問が向いているか」より先に、その事業所の運用が健全かを見極めるのが最短ルートです。
この記事では、求人票では見えにくいポイントを赤旗(数値)→質問→解釈の順に整理し、見学・面接で “判断がつく” 形にまとめます。読み終える頃には、応募するか見送るかを迷わず決められます。
転職の進め方(まず型を揃える)
赤旗チェック → 比較 → 条件交渉まで、全体の流れを 1 ページで整理できます。
※同一タブで開きます。先に型を押さえると、求人比較が速くなります。
訪問リハが合う人・合わない人(最短チェック)
合う人は「一人で回す責任を前向きに背負える人」です。評価〜目標〜再評価を自走でき、移動や書類も含めて “仕事” と割り切れるほど伸びやすいです。
合わない人は「運用の悪さを個人努力で埋めがちな人」です。件数だけ多く、記録が勤務外、急な追加対応が常態化、のような環境だと燃え尽きやすいので、次の H2 の判断フローで “先に落とす” ほうが安全です。
判断フロー(応募する前にここだけ見る)
スマートフォンでは、表が画面からはみ出す場合は左右にスワイプしてご覧ください。
| 確認ポイント | OK の目安 | NG(赤旗)の目安 | 次にやること |
|---|---|---|---|
| 1 日の担当 | 新人:4〜5 件 中堅:5〜6 件 |
常態で 7 件以上 | 「最大件数」「キャンセル時の扱い」「記録時間」を質問 |
| 記録の扱い | 勤務時間内に確保 | 持ち帰り前提 | 「 1 件あたりの記録分」+「終業後の残業申請」を確認 |
| 移動の設計 | 移動に無理がない | 移動が詰め込み | 「担当エリア地図」「駐車・自転車・坂道」を確認 |
| オンコール | 頻度・手当が明確 | 曖昧 / 手当が薄い | 「出動条件」「代休」「緊急時の同乗/同行」を質問 |
赤旗チェック(必ず “数値” と “式” で確認)
求人票の言葉よりも、数値と算定式がすべてです。面談前に “表で提示できるか” を見れば、運用の成熟度も判断できます。
スマートフォンでは、表が画面からはみ出す場合は左右にスワイプしてご覧ください。
| 項目 | 見るべき数値 / 質問 | 赤旗(要注意) | 解釈(何が起きやすいか) |
|---|---|---|---|
| 1 日件数 | 平均 / 最大 / 新人の立ち上がり | 常態で 7 件以上 | 移動と記録が圧迫され、質より回転になりやすい |
| 記録時間 | 1 件あたり何分確保? | 「各自で」しか言えない | 勤務外の持ち帰りが常態化しやすい |
| 移動 | 担当圏の地図 / 平均移動分 | 担当圏が広すぎる | 遅延・天候で崩れ、次利用者に連鎖しやすい |
| インセン | 「何を」基準に「いくら」増える? | 式が出ない | 期待年収がブレて、実質時給が下がりやすい |
| オンコール | 頻度 / 手当 / 出動条件 | 手当・代休が曖昧 | 休息が削れ、生活が不安定になりやすい |
| 教育 / OJT | 同行期間と増やし方 | 同行が短い | 安全管理が個人依存になりやすい |
給与とインセンの見方( “式” をもらえれば勝ち)
訪問リハの給与は、固定給+手当+インセンの組み合わせが多く、見た目の月給よりも「増減の条件」と「記録・移動が勤務に含まれるか」で実質が決まります。
インセンがある場合は、算定の基準(件数 / 単位 / 売上)と、閾値(何件目・何単位目から)、上限の 3 点だけ先に固定してください。介護報酬は地域区分で 1 単位単価が変わるため、「単位=円」を固定で断定しないのも安全です。
見学・面接の質問リスト( 15 )
質問は “詰める” のではなく、運用の成熟度を確かめるために使います。答えが曖昧なら、そこがリスクです。
- 新人の同行期間は何週間で、件数はどの順で増やしますか?
- 1 日平均件数と最大件数、キャンセル時の扱いは?
- 担当エリアの地図は見せてもらえますか?(移動の目安は?)
- 移動手段(車 / 自転車 / 原付)と貸与物(スマホ等)は?
- 直行直帰は可能ですか?条件と対象者の決め方は?
- 1 件あたりの記録時間は平均何分で、勤務内に確保されていますか?
- 記録ツールは何ですか?(電子カルテ / タブレット / 音声入力の有無)
- インセンは何を基準に計算しますか?算定式を見せてもらえますか?
- オンコールの頻度・手当・出動条件・代休はどうなっていますか?
- 緊急時のエスカレーション(誰に連絡し、誰が同行するか)は?
- 症例構成(整形 / 脳血管 / 内部 / 難病 など)の比率は?
- 多職種連携(主治医 / 看護 / ケアマネ等)の定例やルールは?
- 計画書・報告書・会議は、勤務内でどの程度確保されていますか?
- 残業の理由は何が多いですか?残業申請は通りやすいですか?
- 評価〜目標設定〜再評価は、事業所として型がありますか?
現場の詰まりどころ/よくある失敗(ここを先回りで潰す)
訪問リハで詰まりやすいのは、だいたい記録・移動・情報共有に集約します。ここが弱い事業所は「頑張る人ほど損をする」構造になりやすいです。
- 記録:訪問の合間に書けず、夕方にまとめて崩れる → 「 1 件あたりの記録分」を勤務内に確保できるか確認
- 移動:天候・渋滞・駐車で遅れが連鎖 → 担当圏の地図と “詰め込み” の有無を確認
- 情報共有:ケアマネ・看護・主治医への報告が属人化 → 報告の頻度とテンプレ(書式)を確認
見学前に準備を整えたい場合は、面談準備のチェック項目を先に揃えると比較が速くなります(関連:面談準備チェックのダウンロード)。
よくある質問( FAQ )
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
新人でも訪問リハに行けますか?
可能ですが、条件があります。同行 OJT の期間が十分で、件数が段階的に増える設計になっていること、緊急時のエスカレーションが明文化されていることが最低条件です。面接では「同行は何週間で、何件目から単独か」を必ず確認してください。
自家用車は必要ですか?
事業所により異なります。貸与車の有無、自家用の場合のガソリン・保険・駐車場の扱い、事故時の対応をセットで確認してください。曖昧な場合は、リスクが個人に寄りやすいです。
インセンはどれくらい増えますか?
「件数」「単位」「売上」のどれを基準にするかで大きく変わります。算定式、閾値(何件目から)、上限、固定残業の有無を “書面” で確認できれば判断しやすいです。
直行直帰は本当にできますか?
「制度としてある」だけでは不十分で、対象者や条件(終業後に事務所へ寄る必要があるか、記録の締めはどこで行うか)が重要です。実際の運用例を確認してください。
次の一手(回遊)
参考文献
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


