新人 PT の勉強法 Q&A 20 選|何から・時間ない・臨床推論の型

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新人 PT の勉強法は「優先順位」と「型」で迷いが消えます

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新人 PT の勉強は、知識を闇雲に増やすよりも、「評価の型」→「解釈の型」→「記録の型」を固定して、毎日同じ流れで回す方が伸びが速いです。本記事は「何から?」「時間がない」「臨床推論がつながらない」を、現場で使える答えにまとめます。

まずは結論です。勉強の順番は「安全管理 → 評価の再現性 → 記録の短縮 → 解釈の言語化 → 介入の引き出し」で OK です。迷ったら、今日の患者 1 人だけで回せる“最小セット”から始めましょう。

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現場の詰まりどころ(新人がハマる 7 パターン)

新人期のつまずきは「努力不足」ではなく、順番が定まっていない/型が固定されていないことが原因になりがちです。まずは“最初の一手”を決めて、負荷を下げましょう。

新人 PT の詰まりどころと、最初の一手(現場で使う版)
詰まり 起きやすい理由 最初の一手( 10 分) 記録に残す一文
何から勉強? 範囲が広すぎて選べない 「よく診る 2 疾患」を決める 今週は ○○ と ○○ に集中する
評価が多すぎる 目的(意思決定)が曖昧 評価を「 5 個」に絞る 退院先判断に必要な 5 指標を固定
解釈がつながらない 所見が羅列になっている 所見→仮説を 1 行で書く ○○のため、△△が制限と推定
介入がワンパターン 狙い(何を変えるか)が曖昧 狙いを 1 つに固定する 今日の狙いは「立脚の安定」
記録が遅い 文章で全部説明しようとする 定型文+数値+変化で書く 介入→反応→次回の一手を 3 行
質問が怖い 聞く目的が曖昧で緊張する 「確認したい 1 点」を決める ○○の妥当性を確認したい
ついていけない 比較対象が“理想の先輩” 昨日の自分と比べる指標を作る 評価の再現性が上がったかを見る

新人 PT の勉強法 Q&A 20 選

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A. 何から勉強する?優先順位( 5 問)

Q1. 新人 PT はまず何から勉強すべき?

結論:最初は「安全管理 → 評価の型 → 記録の型」の順で OK です。

理由:新人期は知識量よりも、現場で同じ手順を再現できることが成果に直結します。安全確認と評価の再現性が上がると、先輩のフィードバックも受けやすくなります。

今日やること:よく診る患者 1 人で「評価 5 個」を固定し、所見→仮説→次の一手を 1 枚にまとめます。

Q2. 解剖・運動学・評価・介入はどの順番?

結論:「評価で必要になった分だけ、解剖・運動学を戻って確認」が最短です。

理由:先に全部覚えようとすると終わりが見えず、臨床との接続も切れやすいです。評価→仮説で「どこが分からないか」を特定すると、学習が一気に効率化します。

今日やること:評価で迷った用語を 3 つだけ書き出し、定義と臨床での見方を 1 行で整理します。

Q3. 疾患別の勉強はいつから始める?

結論:受け持ちに出た時点で OK です。まずは「頻出 2 疾患」を薄く広くではなく、短期で“使える形”にします。

理由:疾患別は情報が多いので、臨床の経験と結びつけないと定着しにくいです。受け持ちの患者で、症状→評価→介入の流れを回す方が理解が早いです。

今日やること:受け持ち疾患の「必ず見る所見 3 つ」と「避けるべきリスク 2 つ」をメモします。

Q4. 先輩に「これ覚えて」と言われすぎて混乱します

結論:全部はやらず、「今週やる 3 個」に絞って OK です。

理由:指導は善意で増えやすい一方、新人は処理容量が限られます。優先順位を作らないと、どれも中途半端になりやすいです。

今日やること:言われたことをメモして「安全に直結」「評価の再現性」「記録短縮」のどれかに分類し、今週は 1 カテゴリだけやります。

Q5. 勉強が続かない。最小セットは?

結論:「 1 人の患者で、毎日同じ 10 分」を続けるのが最小セットです。

理由:続かない原因は、量が多い/成果が見えない/疲労が強い、のどれかです。最小化して“できた感”を毎日作ると継続しやすくなります。

今日やること:評価 2 個、解釈 1 行、次回の一手 1 行だけを書いて終えます。

B. 時間がない問題( 4 問)

Q6. 1 日 30 分しか取れないときの回し方は?

結論:「復習 10 分 → 臨床メモ 10 分 → 次回準備 10 分」で固定が最強です。

理由:短時間では体系学習より、臨床で“使える形”に変換する方が伸びます。次回の準備まで入れると、翌日の迷いが減ります。

今日やること:受け持ち 1 人を選び、所見→仮説→介入→反応を 4 行で残します。

Q7. 勉強時間を確保できない職場で、何を守れば伸びる?

結論:守るべきは「安全確認の習慣」と「評価の再現性」です。

理由:時間が少ない環境では、成果が出やすい行動に集中するのが重要です。安全と再現性が上がると、臨床経験がそのまま学習になります。

今日やること:訓練前の“必ず見る 3 点”(バイタル・疼痛・転倒リスクなど)を固定し、毎回同じ順で確認します。

Q8. 記録が遅くて勉強時間が消える…改善の順番は?

結論:「書く量を減らす → 型を固定 → 数値化」の順で改善します。

理由:新人は丁寧に書こうとして文章が膨らみがちです。まず量を減らし、同じ構造で書けるようにすると速度が上がります。

今日やること:記録を「介入(何をした)→反応(何が変わった)→次回(何をする)」の 3 行にします。

Q9. 休日の勉強、やりすぎて燃え尽きます

結論:休日は「回復」と「軽い整理」に寄せて OK です。

理由:疲労が残ると平日の臨床パフォーマンスが落ち、学習効率も下がります。休むことは“サボり”ではなく投資です。

今日やること:休日は 30 分だけ「今週の学び 3 行」と「来週の課題 1 つ」を書いて終えます。

C. 臨床推論の型(評価→解釈→介入)( 6 問)

Q10. 評価はたくさん取るほどいい?削り方は?

結論:たくさん取るより、「意思決定に必要な評価だけ」に絞る方が良いです。

理由:評価の目的は“情報収集”ではなく“次の行動を決めること”です。退院先や介入方針に直結しない項目は、優先度を下げても大丈夫です。

今日やること:評価を「安全」「ADL」「移動」「上肢」「認知・注意」などに分類し、各カテゴリ 1 個に絞ります。

Q11. 評価結果をどう解釈して、介入に落とす?

結論:「所見 → 仮説(なぜ) → 狙い(何を変える) → 手段(どうやる)」の 4 点セットで考えます。

理由:所見が羅列になると、介入が場当たりになります。仮説と狙いが決まると、手段は複数あっても選びやすくなります。

今日やること:所見を 1 つ選び、「○○のため △△が制限」と 1 行で仮説を書きます。次に狙いを 1 つだけ決めます。

Q12. 症例の「問題点」と「課題」が混ざります

結論:問題点は“現状の障害”、課題は“介入で変える標的”と分けます。

理由:問題点は多くなりがちですが、課題は“今週変える 1〜 2 個”に絞る方が進みます。課題が多いと、介入が薄くなります。

今日やること:問題点を 3 つまでに整理し、その中から「最短で改善して ADL が変わる 1 つ」を課題にします。

Q13. ゴール設定(短期/長期)が苦手です

結論:長期は“退院後の生活”、短期は“ 1 週間で変える動作”から作ると簡単です。

理由:長期ゴールが曖昧だと、短期ゴールも迷子になります。生活の場面(トイレ、入浴、屋外移動など)から逆算すると、ゴールが具体化します。

今日やること:長期ゴールを「どこで」「何を」「どの程度」まで 1 文で書き、短期は“次の 1 週間で変える動作”を 1 つにします。

Q14. 介入がワンパターンになる…引き出しの増やし方は?

結論:引き出しを増やす前に、「狙い」を言語化して固定します。

理由:狙いが曖昧だと、手段を増やしても迷いが増えます。狙いが同じなら、手段は置き換え可能です。

今日やること:今日の介入を 1 つ選び、「狙い(何を変える)」「条件(姿勢・速度・支持)」を 1 行で書きます。

Q15. “変化が出ない”とき、何を見直す?

結論:見直す順番は「狙い → 条件設定 → 量 → 評価の見方」です。

理由:変化が出ないときは、狙いがズレている/負荷が足りない/評価の捉え方が粗い、のどれかが多いです。順番を決めて点検すると迷いません。

今日やること:狙いを 1 つに絞り、同じ介入でも「支持面」「速度」「反復回数」の 1 つだけを変更して反応を見ます。

D. 症例検討・フィードバック( 3 問)

Q16. 症例検討は何を話せばいい?テンプレは?

結論:「患者像 → いま困っている 1 点 → 仮説 → 試したこと → 次の一手」で OK です。

理由:症例検討は“正解発表”ではなく、仮説を磨く場です。困りごとを 1 点に絞ると、先輩も助言しやすくなります。

今日やること:スライドや資料より先に、「困りごと 1 行」と「仮説 1 行」を作ります。

Q17. 先輩に質問するときのコツ(聞き方)は?

結論:質問は「確認したい 1 点」を先に言うと通りやすいです。

理由:忙しい現場では、前置きが長いほど時間が取れません。結論(確認点)→背景( 2 行)→自分の案、の順だと短時間で答えが返りやすいです。

今日やること:質問文を「○○の妥当性を確認したいです。背景は △△ で、私は □□ と考えています。」の 2 文にします。

Q18. 指導が少ない/怖い職場で安全に成長するには?

結論:最優先は安全です。迷ったら“安全側の判断”を取り、記録と相談の型を固定します。

理由:指導が薄い環境ほど、自己流が暴走しやすいです。安全確認とリスク想定が固定されると、経験が学習になります。

今日やること:訓練前チェック(バイタル・疼痛・転倒など)を固定し、「中止基準に触れたら相談」のルールを自分の中で決めます。

E. メンタル・キャリア( 2 問)

Q19. 「ついていけない」と感じたときの立て直し方は?

結論:立て直しは「比較対象を変える」「勝ち筋を小さくする」で進みます。

理由:新人が先輩と比べると、差が大きく見えて焦りが強くなります。昨日の自分と比べられる“指標”を作ると、前進が見えます。

今日やること:「評価の再現性」「記録速度」「仮説の言語化」の 3 指標から 1 つだけ選び、今週の成長を測ります。

Q20. 3 年目までに押さえるべき“到達目標”は?

結論:到達目標は「安全に回す」「評価で意思決定する」「記録で説明できる」の 3 つです。

理由:この 3 つが揃うと、担当範囲が増えても迷いが減り、学習が加速します。逆にここが曖昧だと、忙しさだけが増えて消耗しやすいです。

今日やること:自分の弱いところを 1 つだけ選び、来週までに“改善の証拠”を残します(例:記録を 3 行で書けた回数)。

今日やること 3 点(迷ったらこれだけ)

  1. 患者 1 人だけ決めて、評価を「 5 個」に絞る
  2. 所見から仮説を 1 行で書く(○○のため △△が制限)
  3. 記録を「介入 → 反応 → 次回」の 3 行にする

新人期の“学びの型”(毎日同じ流れで回す)

  • 安全確認:中止基準とリスクを先に見る
  • 評価:目的(意思決定)に直結する項目だけ取る
  • 解釈:所見→仮説→狙いを 1 行ずつ言語化
  • 介入:狙いを 1 つに固定し、条件を 1 つだけ変える
  • 記録:介入→反応→次回の 3 行で残し、翌日につなぐ

おわりに

新人 PT の勉強は、知識を増やす前に「順番」と「型」を固定すると、一気にラクになります。まずは安全の確保 → 評価の再現 → 記録短縮 → 解釈の言語化 → 介入の条件調整の流れで、今日の患者 1 人だけを回してみてください。

もし「教育体制や成長の見通しが立たない」「相談できる相手が少ない」などで迷いが続くなら、学び方の全体設計を整えるところから始めるのが近道です。

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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